第17話 砂漠の女王と熱砂の迷宮-2


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

私たちは最近見つかったという遺跡を探索する為に砂漠へとやってきた。
そして道中、強力な魔物サンバワームの襲撃を受けたのだった。
ズバーン!!とサンバワームがその巨躯をしならせて砂中へと消えた。
大量の砂が巻き上がって視界が悪くなる。
まずいな・・・・流石にここはヤツのフィールドだ。
自在に砂の中を移動するサンバワームを攻めかねて我々は苦戦していた。
そして何より恐ろしいのは・・・・・。
『・・・・オーレッ!!!』
雄叫びを上げてサンバワームがヒートサンドブレスを吐き出してきた。
サンドワーム、サンバワームに共通した恐るべき特技。赤熱する砂を相手に吐きつける攻撃だ。
受ければ傷口には砂を焼き付けられ大火傷を負う。傷が癒えても砂のせいで後遺症が残る。
私とDDは素早くブレスをかわし、エリスは聖護壁の魔法で何とかブレスを防いだ。
じりじりとこちらが劣勢になっていく。
「・・・・・ちょっと本気でやった方がいいかな」
DDが右目を覆っている包帯に手をかけた。
私はそんなDDを制止した。
ここは私がやる、と。
サンバワームがまた砂中へと消えた。地面の下の気配を探り、動きを止めた。
狙い通りにこちらへ気配が向かってくる。ヤツが顔を出すタイミングを予測して溜めに入る。
足元の地面が爆発しヤツの巨大な顎が現れた。しかしそれより一瞬早く私は地を蹴って跳んでいた。
溜めた渾身の力で長剣を振るった。衝撃波が走る。
攻撃はわざと逸らした。ヤツの真横に炸裂した衝撃波は大きく地面をえぐり、ヤツを真横へと吹き飛ばした。
ズズーン!!!と大地を震わせてヤツは横倒しになった。ガシャガシャともがいている。
私はそこへ歩み寄り、ヤツの顔にそっと手を当てた。
すまないな、ナワバリを荒らして。
視線が交錯する。ヤツの巨大な眼球は私の身長ほども直径がある。
その瞳一杯に私の姿が映っている。
我々はただここを通りたいだけだ。黙って通してはくれないか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
しばしの沈黙の後、サンバワームはゆっくりと身体を起こして我々に背を向け、去って行った。
「・・・・おじさま、何をしたの?」
驚いたエリスが駆け寄ってくる。
いや、害意が無い事を伝えただけだよ。上手く伝わってくれたようでよかった。
「いや、スバラシイですねー!」
突然第三者の声がする。ビックリした我々は飛び上がった。
いつの間にやら小柄な老人が立っていた。
「私はさすらいの動物研究家、ムッシュ・ゴロウなんですねー。いやー見ていましたよ愛ですねー。どんな生き物にも愛情を持って接すれば気持ちが通じ合うことができるんですねー」
突然現れたムッシュさんはしきりに感動していた。
「さあ早速私も・・・・・よーしよしよしよしよしよし」
ムッシュさんサンバワームに駆け寄って行った。
ガブッッッ!!!!
そして頭から食われた。

そして我々は再び歩き始めた。
太陽は容赦なく照り付け、体力を奪っていく。
エリスが少し辛そうにしている。
・・・・このような過酷な状況には慣れていないだろう。それでも必死によく付いてくる。
最初こそ文句を言っていたDDは反対に涼しい顔をしている。
エリスが辛そうなのに気がついたDDはペタッとエリスにくっついて腕を組んだ。
「・・・・ちょっと! こんな時に・・・・・あ・・・・」
「涼しいでしょ?」
DDが笑った。
「・・・・どうして?」
「私ねー、生まれつき特異体質で身体に氷の魔力を帯びてるんだよね。だから私に殴られると打撃のダメージと氷魔法食らったダメージの両方一度に受けるんだよ」
ぶん!とDDが拳を突き出した。その軌跡が太陽の光を受けてキラキラと輝いた。
ダイヤモンドダスト・・・・それがその名の由来か・・・・。
「今は完全にこの力の調節ができるんだけど、昔はできなかったから大変だったんだ。そのつもりないのに触ったもの凍らせちゃったりとか。悪魔の子とか呼ばれちゃったりもしてさ」
あはは、とDDは明るく笑ったが、一瞬だけその瞳が寂しそうに揺らいだのが私にはわかった。
ぎゅっとエリスがさらにDDに寄り添った。
「・・・・ちょっと、まだ暑いわ。もうちょっとくっつきなさいよ」
DDは微笑んでエリスを力いっぱい抱きしめた。
「くっつきすぎっ! 歩けないったら!!」
私はそんな二人を後ろから眺めて微笑んだ。
彼女たちは何となく上手くやっていけるだろう。そんな気がしたのだ。

その時ガクン、と身体が大きく揺れた。
急に足元の地面が無くなる感触。
しまった!流砂だ!!
巨大なすり鉢状に窪んだ地面の中心に向かって砂が流れている。私たちは足を取られ流されていく。
くそっ!抜け出せん!!
DD達の方を見る。エリスをしっかり抱きしめたDDはこっちを見てウインクして見せた。
エリスは任せて、というように。
そして我々は砂に飲まれていった。

・・・・・・・・・・・・・・・。
意識が覚醒してくる。
う、私はどうなったのだ・・・・。
「目を覚まされましたか、異邦人の方」
男の声がする。私はそちらを見た。
ターバンに白い衣の男がいた。ラクダを連れている。
あなたは?ここは一体?
「ここは砂漠の地下世界。あなたはあそこから落ちてきたのです、異邦人の方」
男が頭上を指差した。どうやらこの周辺はかなり広い空洞であるらしい。
天井ははるかに高いところにあった。
連れが、連れがいたはずなのだが・・・・。
「そうですか、この周辺では見かけませんでした。他の場所へ落ちたのかもしれません。いずれにせよ我々の都へ行けば何か情報もあるでしょう。ご案内しましょう」
都! この砂漠の地下に街があるのか!?
「はい。我らが王国エル・アルカータは外界との接触を何百年も断ち、この砂漠の地下に続いてきた国家です」
何と!!このような砂漠の地下に王国があるというのか!!
DDやエリスの事も心配ではあったが、私は探検家としての興奮を抑え切れなかった。
何百年も外との交流が無いと言う王国がこんな地下にあったというのだ。
私は男にその都へと案内してもらう事にした。
突然現れた私に親切にしてくれてありがとう。私はウィリアム・バーンハルトという、お名前を伺ってもよろしいだろうか。
「私はハイパーココナッツ伊東と申します」
ああああああああああああああ聞かなきゃよかった!!神秘性が一気に薄れた!!!!
若干ションボリしながらも、我々は都へと辿り着いた。
おお、かなりの大都市だ! 石造りの建物が累々と並んでおり、都の中央には王宮のような、神殿のような建物も確認できる。
ふむふむ、ハイパーココナッツ伊東について行きながら町の中を見て回る。
生活の様子等は地上の国々とあまり変わりはないようだ。流石に文明レベルは地上の方が上か・・・・・。
む、雑貨屋らしき店があるぞ。どれどんなものを商っているのだろう・・・・って・・・・・。
ガン!と私は前を行くハイパーココナッツ伊東を後ろから殴った。
「あいた!! 何をなさいますお客人!!」
オイなんだあの店は何で週刊誌が置いてある!!
しかもジャノプもマガヅンも全部今週号じゃねーか!!!外界との接触を何百年もうんたらって話はどこいった!!
私の胸の高鳴りを返せ!!!
「・・・・さ、さあ何の事やら・・・・」
おおおい目を逸らすなこっち見れ!!!
くそー、絶対こいつら地上とどっかで交流してるよガッカリだよ・・・・。
するとそこへ、数名の身分の高そうな豪華な衣を着た男たちがやってきた。
「外界からのお客人はこちらかな」
私はうなずいた。情報が早いな、何か察知する方法があるのだろうか?
「女王テトラプテラ様がお呼びでございます。王宮までご足労願いましょうか」
・・・・・・女王?
私は思わずハイパーココナッツ伊東と顔を見合わせてしまったのだった。