第12話 邂逅と再開と-2


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飛空船が降下してくる。
必死にバランスを取ろうとしているのがわかるが、結界への衝突と突破が機体のあちこちに破損を生じさせている。これ以上の飛行は無理そうなのが見てわかった。
それでも操縦士の腕がいいのか、何とか飛空船は市外の空き地へ上手く不時着した。
「・・・乗員を捕らえよ」
兵士達に指示を出すクバードに待ってくれと声をかける。
・・・なるべく穏便に願いたい。身内なのだ・・・。
「・・・お話を伺う必要がありそうですな」
表情を変えずにクバードが言った。

執務室へ逆戻りで私は彼女達は私の身内で、私を探しに来たのだろうと説明した。
そして後は平身低頭でひたすら謝罪する。
結界破りと領空侵犯の罪がこの国では軽い事を祈りつつ・・・だ。
DD達は既に別室へ拘束されている。
話がこれ以上面倒な事にならないように、兵士達には私の名前を出して連行してもらった。
今は別室で大人しくしているらしい。
私の話を聞き終わったクバードは暫く何か考えている風であったが、やがて口を開いてわかりました、と言った。
「本来なら皇国の法に照らし合わせていくつか罰さねばならない点もありますが、先生の我が国に対しての功績を考慮し自分の一存で不問とします」
・・・た、助かった・・・!
礼を言って深々と頭を下げる私に、クバードがやや表情を崩すと、兵士に私をDDたちの所へ案内するようにと指示を出した。

兵士に案内されてDD達の所へ向かう最中ふと思った。
・・・・そう言えば、この姿でいきなり行って私だとわかってもらえるだろうか。
まあ、話せれば大丈夫だろう。
しかしその心配は杞憂だった。
部屋へ着き扉を開け、中へ案内されると、そこにはDDらと一緒にベルナデットがいたのだ。
「・・・ほら、来たわよ。少年ウィリアム」
ベルナデットが私の方を向いて言う。どうやらこちらの状況をある程度は説明してくれたようだ。
皆、久しぶりだ。長く不在してすまなかった。心配させてしまっただろう。
皆を見る・・・DD,エリス、カルタス、カイリ・・・と、知らない女性が一人。
随分不思議な人選で尋ねて来たものだ。
とりあえずDDやエリスは呆気に取られてしまっているようだ。
まあ無理も無い。
「・・・・・ウィル・・・なの?」
フラフラとDDが私の前に来る。
私は、ああ、と肯く。
するとDDの包帯に覆われていない左の瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
「・・・心配かけちゃってさーもう・・・大変だったんだから・・・」
エリスにはよく泣かれるのだが、DDにこんな風に泣かれた事は今まで無かった。
私に抱きついてしゃくりあげる彼女の背をそっと撫でる。
「貴方は行かないの?」
この中で一人だけ私と面識の無いスーツ姿の女性がエリスにそう聞いた。
「なんか、タイミング外して・・・先越されちゃって・・・涙が引っ込んじゃった・・・」
「・・・自分もです・・・」
カルタスは来なくていい。

落ち着いた所で、私は皆をバルカンの家に連れて行くことにした。
ずうずうしいが頭を下げて頼もう。まあ、ダメとは言わないだろうがあの老人は。
「じゃあ、私はここで失礼するわね。お互いに目的は達したし」
スーツの女性がそう言う。
そう言えばまだ互いに自己紹介もしていない。DDと一緒に来ているのだから、彼女にも礼を言ったほうがいいような気がする。
口を開きかけたが、その前に女性はベルナデットへ声を掛けていた。
「ベルナデット・アトカーシア。最後にもう一度確認を取るけど、貴女は彼と手を組んだ、とそういう事なのね?」
彼、の部分で私を見る。
「そうよ。私とウィルはもうお互いにハァハァしたりされたりする仲!!」
した覚えねーよ!!!された覚えはあるけど!!!!
ああああエリスの顔が怖い!!!!!
言われた女性は少しだけ困ったように微笑む。
「・・・『予定が狂ってしまった』わね。まあいいわ。今はまだ私も自分の都合をごり押しするつもりはないし」
そして私とベルナデットを交互に見る。
「暫くは貴方達とは何度か顔を合わせる事になると思うわ。私の名前は柳生霧呼・・・よろしくね」
・・・柳生霧呼!!!
財団のNo,3・・・ハイドラと特務機関の実質的な指揮官・・・。
・・・そして、『永劫存在』・・・!!!
絶句する私に微笑みかけるとキリコはそのまま去っていった。

ベルナデットに皆をバルカンの家へ案内して貰う事にした。
私はその間に皇宮にいるバルカンに滞在人数が増えた事を許可してもらいに行く。
バルカンは普段は聖堂にいるらしい。
そちらへと向かう。道順は先程説明してもらって頭に入っている。
その途中、私は廊下で談笑しているアシュナーダとフェルテナージュを見た。
・・・・声をかけようと思って、私は思い留まった。
理由はよくわからない。
・・・よくわからないままに、柱の影へなんとなく身を隠す。
そして恐る恐る二人の様子を窺う。
声をかけられず身を隠した理由がそこでわかった。
・・・二人が「いい雰囲気」だったからだ・・・。
しかし片や時期神皇の座が約束された皇姫の婚約者、片や皇国を支える四人の神護天将の一人白の将・・・2人が皇宮内で談笑していようがその事自体は別に驚くには値しない・・・だが、この2人の間に流れる空気はそういったものではなく・・・。
「・・・これはもう相思相愛ね」
突然頭上から声が聞こえて飛び上がる。
見上げればベルナデットが同じように2人を柱の影から覗いている。
何故ベルナデットが・・・皆は?
「アレイオンがいたから押し付けてきたわ。私もバルカンに用事があるの」
なるほど・・・しかしアレイオンに任せたという事は・・・。
『胸見てなかった?』と視線で問う私。
『胸見てたわよ』と視線で答えるベルナデット。
ここにアイコンタクトが成立する。
・・・まあ、それはさておきあの二人だ。
「ああ、あの二人なら心配するに及ばん」
突然また声がして飛び上がる。
見れば私の上のベルナデットのさらに上からバルカンが二人を覗き込んでいる。
「互いに自分の置かれた立場を良く理解し、皇国の事も皇姫様の事も大事に思っておる。・・・あれ以上互いに距離を縮める事はあるまい」
届かぬ想いであると互いに理解しているという事なのか?
うむ、とバルカンが肯く。
しかしそれは・・・。
「勘違いしてはいかん。アシュナーダは皇姫様を大切に思い、直に訪れる婚礼を誰よりも喜んでいる事もまた事実・・・・フェルテナージュがその両者を心より祝福しておるのもまた事実よ。だが、その過程にて2人とも置いていかねばならぬ思いもあると言う事だ。全てが都合よく収まる方法などないのだからな」
むう・・・。
ベルナデットが肩を竦める。
「・・・誰かさんみたいに皆周りに置いておければいいのにね」
そうだな・・・。
「貴方のことだっつーの!!!!!!」
ドガッ!!!!
!!!??
蹴り飛ばされる。
その先には何故か右手の袖を大きく捲くり上げて肩をぶんぶんと回すバルカンがいる。
やーちょっとまって!!!! それはまって!!!!
私の叫びも虚しく、渾身のラリアットを受けてあえなく私は皇宮の廊下に倒れて意識を失ったのだった。