第17話 砂漠の女王と熱砂の迷宮-3


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砂漠の地下にある王国エル・アルカータへと辿り着いた私は、そこで突然女王テトラプテラなる人物より王宮への召喚を受けた。
実際断る理由も無いので使者たちに同行する事にする。
王宮であればそれだけエリスとDDの情報も掴みやすいかもしれない。
街の中央にある王宮はそこまでの家々と同じく石造りであった。
巨大な円柱が並ぶ廊下を案内されていく。
そして私たちは玉座のある謁見の広間へと着いた。
オリエンタルな石造りの謁見の間の玉座の上に、「忍耐」って漢字で書いた掛け軸が下がってる・・・・。
「こちらでお待ち下さい。女王様がおいでになります」
そう言って使者たちは下がっていった。入れ替わりに侍女がお茶を出してくれる。
ありがとう、と礼を言ってお茶を受け取る。
・・・・・・湯のみで出たー・・・・。お茶が湯のみで出たよー。しかも何この湯のみ「大相撲」って漢字で書いてある!!
肝心の中身の方は・・・・緑茶だ。玉露だ・・・・いい葉使ってるなぁもう雰囲気とか台無しだけど!!!
「待たせたようじゃの。楽にするがよい、ウィリアム・バーンハルトよ」
そこに若い女性の声がした。
見ればどこか神秘的な雰囲気を持つ女性が数名の侍女を伴って謁見の間に入ってくるところであった。
「わらわがテトラプテラじゃ。全知全能のこのエル・アルカータの支配者なるぞ」
そう言って女王は優雅に玉座に腰掛けた。
「ここまでの案内、ご苦労であったなグレートマンゴー小田よ」
「いえ、ハイパーココナッツ伊東でございます」
言いながらハイパーココナッツ伊東が恭しく頭を下げた。
「そうか、まあどうでもよい事じゃ」
一蹴された。酷いよ人の名前を。しかし名前と言えば・・・・。
何故女王は私の名前を知っているのだ・・・・?
「さてウィリアムよ。わらわはそなたが来るのを待っておった」
女王よ、あなたは私をご存知なのか。
「当然じゃ。わらわは全知全能なるぞ。そなたの事も全部わかっておる」
女王が玉座でふんぞり返った。いや、そんな反り返ったら・・・・・。
「あう!!」
玉座ごと女王が後ろに倒れる。慌てて侍女が駆け寄り助け起こしている。
「・・・・よいか、ウィリアムよ。今日ここへそなたが来る事はずっと以前から決まっていた事なのじゃ。宿命なのじゃ、漢字で書くとヤドにイノチ」
漢字で解説してくれなくていい。どんだけヤマト文化好きなんだこの人は。
「そしてそのそなたに助言を与え導くのがわらわの宿命じゃ」
・・・・どうやらはったりの類ではなさそうだ。居住まいを正し女王の言葉に耳を傾ける。
「よいかウィリアム。わらわは神託により全てを見通すことができる。予言の少女に会うのじゃ。そしてその少女を門へと連れてゆけ。それがそなたに課せられた使命じゃ」
予言の少女?門?何の事だ。門とはゲート装置の事か?それならば何度か利用した事があるが・・・・。
「そうではない。あんなものは後の世の人間が真なる門を真似て作った模造品に過ぎぬ。せいぜいがこの島に吸い寄せられた世界の欠片を行き来する程度のシロモノよ。到底外の世界へと到達する事は叶わぬ」
もっと、規模の大きなゲートがこの島に存在しているというのか・・・・。
「そうじゃ、真なる『神の門』はこの島に一つ。そしてその神の門を起動させる為にはマスターキーがいるのじゃ」
・・・・神の門・・・・そしてマスターキー・・・・。
また話が大きくなってきた。
そして予言の少女とは?
「気をつける事じゃ、ウィリアムよ。神の門は魔人どもも狙っておる」
8人の魔人か・・・・。
「そうじゃ、『侵食するもの』『焼き尽くすもの』『閉ざすもの』『惑わせるもの』『貪るもの』『圧し流すもの』『刺し貫くもの』・・・・そして、『解き放つもの』の8人の魔人じゃ。侵食するものと閉ざすものは既に命を落としておる故、残りは6人じゃな」
閉ざすものであるペルゼムスはDDの手によって葬られたと聞いている。という事はカイザーキューカンバーが「侵食するもの」だったのだろう。
「わらわが言える事はそこまでじゃ。後は自分の目で確かめるがよい」
そう言って女王は静かに目を閉じた。礼を言って頭を下げる。
「さて、では助言の代償を受け取るとしようかの」
はい? 代金取るの!? あんまりお金ないんですけど私!!
「たわけ、金品はいらぬ。英雄たるそなたの力をこの国の為に役立ててもらうぞ」
そう言って女王はふふん、と胸を反らせて笑ったのだった。

「このエル・アルカータは外界とは隔離された地下の王国。しかし、ここ10年はそなたの今いる町の者たちとわずかながらに交易が続いておる」
そうか、やはりアンカーの町と交流があるのだ。
「勿論関係者はごく少数で、その者たちには固く口止めしてあるがの」
エンリケと実際交易を行っている商人という所かな。
「この地下空洞にはミスリルの鉱脈があるのじゃ。そこで採掘されたミスリルの鉱石を物々交換で我らは地上から物品を仕入れておったのじゃが・・・・。最近外界から来た者がその鉱脈を占拠しておっての。我が国の者が採掘する事ができぬのじゃ」
ミスリルは希少な魔法金属だ。なるほど、鉱脈があるとなれば良からぬ事を考える輩がいたとしても不思議ではない。
「ウィリアム、そなたちょっと行って追い払って参れ」
簡単に言ってくれるなぁ。相手の規模とか全然わからんというのに・・・・。
とはいえここまで来たらもう「イヤです」とも言えん。一先ず様子を見に行って対策を立てるとするか。
女王に引き受ける旨を伝えて同時にエリスたちの事を頼んでおく。
「よかろう。それらしき者がおれば王宮で保護しておくのじゃ。心置きなく蹴散らしてくるがよいぞ」
ほっほっほ、と高笑いした女王がまたふんぞり返る。
そしてまた玉座ごと後ろに転がった。

そして私は使者に案内されてミスリルの採掘場までやってきた。
物陰から様子を伺う。
ガション、ガションと重たい金属音を響かせて何台もの魔導機械兵が鉱石を抱えて動き回っていた。
魔導機械兵!? 何故こんな場所に・・・・という事は・・・・・。
私は数名のとりまきを引き連れて機械兵を指揮している男を見る。
見覚えのあるヒゲ面・・・・間違いない、シャハルだ。