第15話 目覚めと帰還-2

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DDがフェンスから飛び降りてくる。彼女は音も無く私の隣に着地した。 「えへー。カッコよくなったね。爺ちゃんの時もカッコよかったけどな」 そう言って笑う。仕草は見た目より幼い感じがするんだなDDは。 「まずはありがとう。助けてくれて。・・・・死ぬほど嬉しかったよ」 せっかく救出したのだ、死なれても困るがね。 まあ私は死んだんだが・・・・。 それから私たちは建物へと戻り、簡単な自己紹介を済ませた。 DDが語った内容は大体私は既に把握している事柄ばかりであったが。 「なるほどね。じゃああそこへは別に私を助けに来たわけじゃなかったんだ」 そういう事だ。最終的に少々義憤にかられてああいう流れにはなったがね。 だからその事について君が感謝したりする必要は無い、と私は言った。 こちらが好きで勝手に首を突っ込んだのだ。 するとなぜかDDがジロリと私を睨んだ。 「そういうわけにはいかないな!ノラ犬だってエサをあげたら懐く。そうなったらエサあげた方にも責任はあるんだぞぅ」 よく意味がわからん。 「そのつもりなくたって特大のエサ放ったんだから、毎日駅でわんわんが自分待ってるくらいの覚悟はしなさいよ」 そう言って彼女は笑った。 やっぱりよく意味はわからなかった。 そして私たちが島へと戻る日が来た。 「行くのかウィリアム、そしてDDよ。短い間じゃが楽しかったぞぃ」 あなたには何と礼を言っていいかわからない。本当にお世話になった。賢者ギゾルフィ。 しかし、あなたは戻らないのか、我々の世界へ。 ギゾルフィは静かに首を横に振った。 「ワシはもう異界の技術に触れすぎた。もうあの世界に戻るべきではないのじゃよ」 そうか・・・・・。言わんとしている事は理解できるが、寂しいものだ。 「無茶はするな。命を大切にな・・・・ウィリアム」 そう言ってギゾルフィは手を振ってゲートをくぐる我々を見送った。 ゲートをくぐると元の水晶遺跡だった。我々は手分けをして探索し元の水晶洞窟へと戻る道を見つけた。 ようやく洞窟の入り口まで戻ってくる。 そこへエリスが駆け寄って来た。 「すいません!! 中で人に会いませんでしたか!? 60台くらいの髭のある男性で・・・・」 落ち着け、エリス。私だ・・・・心配かけてしまったね。 事情があって若返ってしまっているが私は大丈夫だ。 我ながら端折り過ぎているがとりあえずそう説明する。 「・・・・え?・・・・おじさま?・・・・だって・・・・・」 エリスが私を指さしてカタカタと震えている。 ズドーン!!と凄い音がした。 驚いてそちらを見ると、何か巨大な・・・・肌色の大砲のようなものが・・・・。 「すいません先生、驚いて鼻が伸びました」 なんだ妖怪か。 「そ、そちらの方は・・・・?」 まだ動揺から立ち直っていないエリスがDDを見て言った。 私はまずDDにエリスを助手だと紹介した。 「お、センパイか。ヨロシクなえりりん。私はダイヤモンドダスト、DDって呼んでくれ」 何で先輩になるのか意味がわからなかったが、DDがそう挨拶してエリスの肩をぽんぽんと叩いた。 エリスはもう何も言えなくなってしまったらしく、口を開いたままで固まってしまった。 ボボン!!とまた凄い音がしたのでそちらを見る。 するとハンドボール大の眼球が2つ、ポーンポーンとバウンドしながら森の中へ消えていった。 「ああ、見開きすぎて目が・・・・私の目・・・・・」 そして妖怪がそれを追っていった。 ともあれ、我々は揃って町へと引き返す事にした。 「へーぇ、そんなでっかい町になってるのか今あそこ。私が最後に見た時なんかまだテントが固まってるだけだったぞ」 DDは始終上機嫌でべたべたとエリスにまとわりついていた。 「・・・・それで何であなたは私にくっついてるんですか」 「えー。いいじゃん仲良くしようぜーえりりん。これから一緒に長くやってくんだからさ」 ぶーとDDが口を尖らせる。 「は? 何で私があなたと一緒にやってかなくちゃいけないの! それにえりりんってやめなさい!」 「え、何? えりりん国に帰んの?」 DDがキョトンとしている。 エリスがむがーっと爆発した。 「帰りません!!!! 私はおじさまの助手なの!! おじさまが帰れって言わない限りはずっと一緒にいるんだから!!!」 それを聞いてDDがニタリと笑う。猫っぽい笑いだなDDのは。 「だろー? つまり私ともずっと一緒ってことだよえりりん」 む・・・・ようやく彼女の言わんとしている所に気づく。そしてそれはエリスも同様だった。 DDが頬を赤らめてくねくねしだす。 「ウィルったら私の事熱い目で見つめてね。『お前はこれからずっと俺の側にいろ』って・・・・」 言ってませんよね!? てゆかそんなキャラじゃないしね!!? 「おじさま・・・・おじさまの・・・・・」 エリスが拳を握り締めて震えていた。 ・・・・・来たわかりやすい命のピンチ!!!! 「バカーーーーーーーッッッッ!!!!!!」 カルタァース!!!!!!!! 「お任せ下さい先生!!!!鼻バリア!!!!!!!!」 私を庇って立ちふさがったカルタスの鼻にエリスの拳が炸裂した。 「・・・・おお、ユーゲンフォルツの草原が見える・・・我が・・・故郷・・・よ・・・」 全身にヒビが入ったカルタスがバラバラと崩れ落ちていく。 危ないところであった。 エリスははぁはぁ肩で息をさせながら頭から湯気を出していた。 DDは楽しそうに笑っている。 私はそんな2人を交互に眺めて町へ戻ってからの生活を思い浮かべて嘆息したのであった。 ~探検家ウィリアム・バーンハルトの手記より~ [[第15話 1]]← →[[第16話 ウィリアム何でも相談所]]
DDがフェンスから飛び降りてくる。彼女は音も無く私の隣に着地した。 「えへー。カッコよくなったね。爺ちゃんの時もカッコよかったけどな」 そう言って笑う。仕草は見た目より幼い感じがするんだなDDは。 「まずはありがとう。助けてくれて。・・・・死ぬほど嬉しかったよ」 せっかく救出したのだ、死なれても困るがね。 まあ私は死んだんだが・・・・。 それから私たちは建物へと戻り、簡単な自己紹介を済ませた。 DDが語った内容は大体私は既に把握している事柄ばかりであったが。 「なるほどね。じゃああそこへは別に私を助けに来たわけじゃなかったんだ」 そういう事だ。最終的に少々義憤にかられてああいう流れにはなったがね。 だからその事について君が感謝したりする必要は無い、と私は言った。 こちらが好きで勝手に首を突っ込んだのだ。 するとなぜかDDがジロリと私を睨んだ。 「そういうわけにはいかないな!ノラ犬だってエサをあげたら懐く。そうなったらエサあげた方にも責任はあるんだぞぅ」 よく意味がわからん。 「そのつもりなくたって特大のエサ放ったんだから、毎日駅でわんわんが自分待ってるくらいの覚悟はしなさいよ」 そう言って彼女は笑った。 やっぱりよく意味はわからなかった。 そして私たちが島へと戻る日が来た。 「行くのかウィリアム、そしてDDよ。短い間じゃが楽しかったぞぃ」 あなたには何と礼を言っていいかわからない。本当にお世話になった。賢者ギゾルフィ。 しかし、あなたは戻らないのか、我々の世界へ。 ギゾルフィは静かに首を横に振った。 「ワシはもう異界の技術に触れすぎた。もうあの世界に戻るべきではないのじゃよ」 そうか・・・・・。言わんとしている事は理解できるが、寂しいものだ。 「無茶はするな。命を大切にな・・・・ウィリアム」 そう言ってギゾルフィは手を振ってゲートをくぐる我々を見送った。 ゲートをくぐると元の水晶遺跡だった。我々は手分けをして探索し元の水晶洞窟へと戻る道を見つけた。 ようやく洞窟の入り口まで戻ってくる。 そこへエリスが駆け寄って来た。 「すいません!! 中で人に会いませんでしたか!? 60台くらいの髭のある男性で・・・・」 落ち着け、エリス。私だ・・・・心配かけてしまったね。 事情があって若返ってしまっているが私は大丈夫だ。 我ながら端折り過ぎているがとりあえずそう説明する。 「・・・・え?・・・・おじさま?・・・・だって・・・・・」 エリスが私を指さしてカタカタと震えている。 ズドーン!!と凄い音がした。 驚いてそちらを見ると、何か巨大な・・・・肌色の大砲のようなものが・・・・。 「すいません先生、驚いて鼻が伸びました」 なんだ妖怪か。 「そ、そちらの方は・・・・?」 まだ動揺から立ち直っていないエリスがDDを見て言った。 私はまずDDにエリスを助手だと紹介した。 「お、センパイか。ヨロシクなえりりん。私はダイヤモンドダスト、DDって呼んでくれ」 何で先輩になるのか意味がわからなかったが、DDがそう挨拶してエリスの肩をぽんぽんと叩いた。 エリスはもう何も言えなくなってしまったらしく、口を開いたままで固まってしまった。 ボボン!!とまた凄い音がしたのでそちらを見る。 するとハンドボール大の眼球が2つ、ポーンポーンとバウンドしながら森の中へ消えていった。 「ああ、見開きすぎて目が・・・・私の目・・・・・」 そして妖怪がそれを追っていった。 ともあれ、我々は揃って町へと引き返す事にした。 「へーぇ、そんなでっかい町になってるのか今あそこ。私が最後に見た時なんかまだテントが固まってるだけだったぞ」 DDは始終上機嫌でべたべたとエリスにまとわりついていた。 「・・・・それで何であなたは私にくっついてるんですか」 「えー。いいじゃん仲良くしようぜーえりりん。これから一緒に長くやってくんだからさ」 ぶーとDDが口を尖らせる。 「は? 何で私があなたと一緒にやってかなくちゃいけないの! それにえりりんってやめなさい!」 「え、何? えりりん国に帰んの?」 DDがキョトンとしている。 エリスがむがーっと爆発した。 「帰りません!!!! 私はおじさまの助手なの!! おじさまが帰れって言わない限りはずっと一緒にいるんだから!!!」 それを聞いてDDがニタリと笑う。猫っぽい笑いだなDDのは。 「だろー? つまり私ともずっと一緒ってことだよえりりん」 む・・・・ようやく彼女の言わんとしている所に気づく。そしてそれはエリスも同様だった。 DDが頬を赤らめてくねくねしだす。 「ウィルったら私の事熱い目で見つめてね。『お前はこれからずっと俺の側にいろ』って・・・・」 言ってませんよね!? てゆかそんなキャラじゃないしね!!? 「おじさま・・・・おじさまの・・・・・」 エリスが拳を握り締めて震えていた。 ・・・・・来たわかりやすい命のピンチ!!!! 「バカーーーーーーーッッッッ!!!!!!」 カルタァース!!!!!!!! 「お任せ下さい先生!!!!鼻バリア!!!!!!!!」 私を庇って立ちふさがったカルタスの鼻にエリスの拳が炸裂した。 「・・・・おお、ユーゲンフォルツの草原が見える・・・我が・・・故郷・・・よ・・・」 全身にヒビが入ったカルタスがバラバラと崩れ落ちていく。 危ないところであった。 エリスははぁはぁ肩で息をさせながら頭から湯気を出していた。 DDは楽しそうに笑っている。 私はそんな2人を交互に眺めて町へ戻ってからの生活を思い浮かべて嘆息したのであった。 ~探検家ウィリアム・バーンハルトの手記より~ [[第15話 1>第15話 目覚めと帰還-1]]← →[[第16話 ウィリアム何でも相談所]]

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