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第百三十一話「二冊目『わたしは地球人』(その1)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百三十一話「二冊目『わたしは地球人』(その1)」
蛸怪獣ガイロス
恐竜
地球原人ノンマルト 登場



 トリステイン王立図書館にあった六冊の『古き本』に精神力を奪われ、目覚めなくなって
しまったルイズ。才人はルイズを救うために、司書リーヴルの力を借りて本の世界の攻略を
始める。そして一冊目の『甦れ!ウルトラマン』を激闘の末に、完結に導くことに成功したが、
残念ながらルイズに変化は見られなかった。
 それから一夜明け、才人は二冊目の攻略に臨む。

「……シエスタ、ルイズの様子はどうかな」
 ルイズを寝かせている図書館の控え室で、才人は昨日からルイズの看護に加わったシエスタに、
ルイズの容態を尋ねた。が、シエスタは残念そうに首を振った。
「昨日から、同じままです。悪くなる気配もなければ、目を覚ます気配もありません」
「そうか……。やっぱり、残る本の世界を完結させて、ルイズの精神力を取り戻す以外に
方法はないってことか」
 つぶやいた才人が依然変わらぬルイズの寝顔に目を落とし、改めて誓った。
「ルイズ、待っててくれ。必ず、お前を本の世界から助け出してやるからな」
 それから待機済みのリーヴルの方に振り返る。彼女は才人に告げる。
「こちらの準備は完了してます。次に入る本をお選び下さい」
 テーブルに並べられている五冊の『古き本』。才人はそれらを手に取りながら、心の中で
ゼロと相談する。
『ゼロ、次はどの本にする? 結局は、全部に入らなきゃいけないんだろうけど……』
『……次は、その左端の奴にしてくれ』
 ゼロが指示した本を手に取る才人。
『これか? この本は……ウルトラセブンが主役……!』
『次は親父の物語を完結させたい。やってくれるよな?』
『ああ、もちろんだ』
 相談が終わり、才人は手に取った本をリーヴルに差し出した。
「次はこいつにするよ」
「お決まりですね。では、そこに立って下さい」
 これから二冊目の本の旅に出ようとする才人に、シエスタたち仲間が応援の言葉を向けた。
「サイトさん、どうかお気をつけて!」
「俺がいなくとも、しっかりやんな! 油断すんなよ!」
「がんばってなのねー!」
「パムー!」
 ただ一人、タバサだけは目だけをリーヴルに向け、一挙手一投足を観察していた。彼女は
昨日のミラーたちとの話し合いの通り、行動に不審なところの多いリーヴルを、密かに監視
しているのだった。
 だが今のところ、リーヴルに怪しいところは見られなかった。
「では、どうぞ良い旅を……」
 昨日と同じようにリーヴルが才人に魔法を掛け、才人は本の中に入っていった……。

   ‐わたしは地球人-

 中国奥地の砂漠地帯。断崖絶壁と、その崖に彫り込まれた巨大な仏像に囲まれた地に、
中国軍の一部隊が到着した。彼らはこの地の地下に発見された、謎の遺跡の調査にやって
来たのだ。
 地下に潜った部隊を迎えたのは、仏のような壁画や石像で構成された遺跡。だがこのような
遺跡は、ありえないはずだ。何故なら、
『殷の文明より古い……』
『この地層から言うと、一万五千年以上前……』
『そんな古い時代に……考えられない……』
 一万五千年前というと、仏教伝来どころか稲作すら始まっていない。そのような時代に
こんな高度な遺跡が築かれていたということを、こうして実際に目にしなければ誰が信じる
だろうか。
 兵士たちが呆気にとられていると、突然の地震が発生し、遺跡の天井から礫岩がこぼれ落ちてきた。
身の危険を感じた兵士たちは後ずさると、震動によって遺跡の壁の一部が崩れて穴が開いた。遺跡が
その奥に続いているのだ。
 調査隊はその穴を潜っていくと……そこは部屋のようになっており、内部には恐竜型の
怪物が刻まれた石板と、謎の紋様が刻まれた棺らしきものだけが置いてあった。
 これら出土品――オーパーツは、ウルトラ警備隊が護送することが、地球防衛軍上層部により
決定された。

 1999年。三十年余りもの時を隔てて、地球防衛軍は、その有り様を全く変えてしまった。
カジ参謀の主導する、かつてのR1号計画を拡張した、地球への侵略者になり得る宇宙人の
生息する星に先制攻撃を仕掛けて破壊することを目的とした「フレンドシップ計画」を掲げ、
宇宙に対して牙を剥くようになったのだ。計画反対派のフルハシ参謀が死去してからは、
その傾向は強まる一方。
 ――ウルトラセブンは、かつての地球が外宇宙からの侵略者の脅威に晒され、滅亡の危機に
あったがために、無力だが美しい心を持つ地球人に代わって侵略者と戦っていた。だが今の
地球は、強大な力を背景に他の星を脅迫している。少しでも間違えれば、地球の方が侵略者に
なってしまうような状況になっていた。……今の地球を守護することが、宇宙正義足りえるのか……
心に迷いを抱えながらも、セブンはそれを振り切るように怪獣、宇宙人と戦い続けていた。
 そんな中での、オーパーツとはいえ単なる出土品を護送し、防衛軍のトップシークレット
「オメガファイル」として封印するという不可解な任務。訝しむセブン=カザモリの周囲には
謎の女が出没し、「オメガファイルを暴き、地球人の真実を確かめろ」と囁く。女に導かれる
ようにオメガファイルに接近したカザモリだが、カジ参謀に発見され、拘束された末にウルトラ
警備隊の任から外されてしまった。
 頑なに隠されるオメガファイルの正体とは何なのか……。それが封印されている防衛軍の
秘密施設に、怪獣が迫り出した。

「ギャアアオウ!」
 秘密施設に最も近い海岸から上陸し、まっすぐ施設に向かっているのは、八本の足と身体中に
吸盤を持った怪獣。頭頂部にある二つの眼が黄色く爛々と光る。蛸怪獣ガイロスである。
 また陸を横切るガイロスの近くの土中から土煙が勢いよく噴出し、また別の怪獣が地表を
突き破って出現した。
「グイイィィィィィ!」
 体長こそガイロスと同等であるが、見た目はずばり恐竜そのもの。これはメトロン星人が
二度目の地球侵略をたくらんだ際に、恐竜を生体改造して怪獣化したものである。
「ギャアアオウ!」
「グイイィィィィィ!」
 ガイロスと恐竜。この二体の怪獣が森の中を練り歩いていく様を、カザモリと『サトミ』が
見上げた。
「例のオーパーツが運び込まれた施設のある方向に向かってるわ! これって偶然なのかしら……?」
「……」
 カザモリは懐に入れているウルトラアイに手を添えたが、側には『サトミ』がいる。彼女の前で
変身することは出来ない。
 そうでなくとも、今セブンに変身して戦うことが出来るのか……自分がどうすべきか決めかねる
ところがあった。
(偶然ではない。あの怪獣たちは、確実にオーパーツに引き寄せられている。だが何故怪獣が
古代遺跡の出土品を狙う? 防衛軍がひた隠しにすることと言い、あれは何だというのだ……)
 考え込んでいると、『サトミ』が不意に大きな声を発した。
「あッ! ウルトラセブンだわ!」
「えッ!?」
 そんな馬鹿な、とカザモリが顔を上げた。
 その視線の先、ガイロスと恐竜の進行先に、青と赤の巨人――ウルトラマンゼロが巨大化して
現れた。怪獣たちは驚いて一瞬足を止める。
「セェアッ!」
 ゼロは登場直後に前に飛び出し、ガイロスと恐竜に全身でぶつかっていく。ゼロを警戒していた
怪獣二体も、ゼロの行動を受けて腕を振り上げ迎え撃つ。
 怪獣たちと戦闘を開始したゼロを見上げ、『サトミ』は怪訝に目を細めた。
「……いえ、セブンじゃない。別の巨人だわ! どことなく似てるけど……」
「……」
 カザモリもまた、ゼロを見つめて神妙な顔つきになる。
「シャアッ!」
 一方のゼロは二体の怪獣の間に割り込み、巧みな宇宙空手の技で数のハンデを物ともせずに
善戦していた。触手を振り回すガイロスの胴体の中心に掌底を打ち込んで突き飛ばし、その隙に
恐竜の首を抱え込んでひねり投げる。
「ギャアアオウ!」
「グイイィィィィィ!」
 ガイロスも恐竜も必死にゼロに抗戦するが、この二体は肉弾しか攻撃手段がなく、特別破壊力に
優れている訳でもない。そんな怪獣は、二体がかりでも宇宙空手の達人のゼロの敵ではないのだった。
「ハァッ!」
 怪獣両方に打撃を連発して弱らせたところで、ゼロはとどめの攻撃に移る。
 まずはゼロスラッガーを投擲し、ガイロスの六本の触手を根本から切断。
「ギャアアオウ……!!」
 腕となる部分を失ったガイロスは仰向けに倒れ、そのまま動かなくなった。
「セアッ!」
 ゼロは振り返りざまに、恐竜にエメリウムスラッシュを撃ち込んだ。
「グイイィィィィィ!」
 恐竜はレーザー攻撃で爆破炎上を起こし、ガイロスと同じく絶命したのだった。
「シェアッ!」
 あっという間に怪獣たちを撃破したゼロは、流れ星のような速さで空に飛び上がってこの場から
去っていった。それを見届けた『サトミ』がポツリとつぶやく。
「行ってしまったわ……。あの巨人は何者だったのかしら? やっぱり、セブンと同じように
この地球の守護者なのかしら」
 一方のカザモリ=セブンは、突如として現れた怪獣のことを気に掛けていた。
(これで終わりだとは思えない。オーパーツへまっすぐ向かう怪獣たちの行動……それに、
奴らは一度私と戦い、倒されたものたちだ。それがどうして復活したのか……。しかも片方は、
あのノンマルトと関係があった怪獣のはずだ。……もしそうならば、私の周りに現れたあの
女性は、まさか……)
 それから――ゼロのことも、次のように考えた。
(……あの戦士は、M78星雲人なのか? 何者なんだ……)

 ガイロスと恐竜を倒し、森の中で変身を解除した才人は、ゼロに話しかけた。
「この本の世界には、一冊目のウルトラマンみたいに、セブンしかウルトラ戦士がいないみたいだな」
 ウルトラセブンは、今となっては初代ウルトラマンと同じM78星雲人であるということが
周知の事実となっているが、地球に姿を現したばかりの頃は、ウルトラマンとは大分異なる
容姿であったために同種族だとは思われていなかった。この世界は、その当時の説を採用した
ような、地球を守る戦士がウルトラセブンのみという歴史で成り立っているようだ。地球の
防衛隊も、セブンとともに活躍していたウルトラ警備隊が現在に至るまで存続しているという
設定のようである。
「……でも、一冊目とは違って何だか重苦しい雰囲気の世界だな……」
 才人はそのことを考え、眉間に皺を寄せた。一冊目の科学特捜隊は、ハヤタがスランプに
陥っていた以外は終始明るく和やかな雰囲気であったが、この世界の地球防衛軍は正反対に
ひどくきな臭い様子である。「フレンドシップ」とは名ばかりの、行き過ぎた地球防衛政策を
推し進め、またそれが何なのかは知らないが、ある事象を頑なに隠そうとし、非人道的な手段に
まで手を染めている。人間の負の面が前面に出てしまっているような世界だ。おまけに、主人公
カザモリの周りには怪しい女の姿が見え隠れしている。こんな物語を無事に完結に導くのは、
一冊目よりもずっと困難かもしれない。
『ああ、そうだな……』
 そんな才人の呼びかけに、ゼロはどこか気のない返事で応じた。
 彼は、「自分の父親ではない」ウルトラセブンのことを考えていたのであった。

 怪獣たちが倒された後、カザモリは『サトミ』に連れられて北海道に向かった。そこには、
ヴァルキューレ星人事件の際に殉職したフルハシの墓があるのだ。
 カザモリ……ダンは、フルハシの墓に向かって、今の自分の抱える悩みを吐露したのだった。
「私があなたと出会った時代、地球人は今のような強い力を持っていなかった。もっと美しい
心を持っていた! 地球人は変わってしまったのか……それとも……」
「いいえ。地球人は変わっていないわ、ウルトラセブン」
 ダンの前に、またしても例の女が現れた。女はダンに、今の地球人の姿こそが地球人の
本性であること、自分たちは今「地球人」を名乗る者たちに追いやられた地球の先住民で
あることを訴えた。その証拠は、防衛軍が隠している例のオーパーツ……。
 女がそこまで語ったところで、ウルトラ警備隊が現場に駆けつけた。カザモリが一度拘束
された際に調べられた脳波から、現在のカザモリはダンが姿を借りている姿、つまり宇宙人で
あることが発覚してしまったのだ。そしてウルトラ警備隊は、カジ参謀の命令で、カザモリを
拿捕するためにやって来たのだ……。
「動かないで!」
 墓地でカザモリは、『サトミ』――一冊目のフジと同じようにその役になり切っている
ルイズに、ウルトラガンを突きつけられた。
「カザモリ君が、異星人だったなんて……」
 カザモリの背後からはシマとミズノも現れ、カザモリは退路を塞がれる。
「いつから……いつからカザモリ君に入れ替わったの!?」
「待ってくれ! 君は誤解している!」
「近づかないで!」
 ルイズに歩み寄っていくカザモリを、ルイズは恫喝した。
「これ以上近づくと、撃つわ。脅しじゃないわ!」
 ルイズの指が、ウルトラガンの引き金に掛けられる――。
 その時に、才人が林の中から飛び出して、カザモリの盾となった!
「やめろッ!」
「!? あ、あなた誰!?」
 突然のことに動揺するルイズたち。それはカザモリも同じだった。
 才人はその隙を突いて、ゼロアイ・ガンモードの光弾でルイズたちの手に持つウルトラガンを
弾き落とした。
「きゃッ!」
「な、何をするんだ!」
「テメェ、侵略者の仲間か!?」
 血気に逸ったシマが才人に殴りかかっていくが、才人の素早い当て身を腹にもらって返り討ちに
された。
「うごッ……!?」
「この人に、手出しはさせないッ!」
 才人の鬼気迫る叫びに、ルイズとミズノは思わずひるんだ。
 ルイズたちが立ちすくんでいる間に、才人はカザモリの手を取って引っ張っていく。
「さぁ、こっちに!」
「あッ! き、君!」
ウルトラ警備隊からカザモリを連れて逃げる才人。追ってくる彼らをまいたところで、
カザモリは才人と向き合った。
「君は……怪獣と戦った、あの戦士なのか?」
「……」
「どうして僕を助けたんだ?」
 カザモリの問いに、『才人』は答えた。
「理由は、「あなた」には分かりませんよ……」
「……?」
 今の『才人』は――ゼロであった。カザモリ=セブンの危機に、才人と交代して助けたのだ。
 だが自分が、あなたの息子である、ということは話すことが出来なかった。何故ならば、
この本の世界ではセブンに『ウルトラマンゼロ』という息子がいるという『設定』はないからだ。
「ともかく、助けてくれたことはありがとう。でも……僕は行かなくちゃ」
 カザモリが踵を返して、ウルトラ警備隊のところに戻ろうとするのを呼び止めるゼロ。
「待って下さい! 駄目です、危険ですッ!」
「いや、このまま逃げ続けることは、自分が侵略者だと言ってるようなものだ。僕は自分の潔白を、
この身を以て証明しなければ」
 と言うカザモリを、ゼロは説得しようとする。
「潔白を証明したとしても……あなたがウルトラセブンだということが知られても! オメガファイルに
近づいたというだけで、今の防衛軍はあなたを殺すかもしれないんですよッ!」
「……!」
 その言葉には、カザモリも流石に足を止めたが……。
「……僕は、自分が守ってきた地球人を、信じる……!」
 そう言い残して、再び歩み去っていった。ゼロも、今の言葉を聞いてしまっては、これ以上
カザモリを止めることは出来なかった。
「……」
 取り残されたゼロの背後に、例の女がどこからともなく出現した。
「お前は何者だ。何故我々の邪魔をする」
 振り返ったゼロは、女に言い返した。
「それはこっちの台詞だ。あんたこそ何者だ? どうしてあの人を、オメガファイルに近づけようと
するんだ。怪獣を操ってたのはあんたか? だとしたら、怪獣を使ってまで暴こうとするオメガファイルの
正体は、何だ!」
 問い返された女は、ゼロに端的に回答した。
「我々は、真の地球人。一万年以上も前に、今地球人を名乗る者たちによって追放された。
オメガファイルの中身は、その証拠だ」
「!! ノンマルト……!」
 ノンマルト。それは1968年、一時地球防衛軍を騒然とさせた謎の集団が名乗った名前である。
海底に居を構え、人間の海底開発の全面中止を訴えて地上を攻撃してきたのだが……彼らは、
元々地球に栄えていた種族は自分たちであり、今の地球人は後からやって来て自分たちに成り
代わった種族だと主張したのである。
 その言葉が真実であったか否かは、本来のM78ワールドの歴史では、ノンマルトが二度と
姿を現すことがなかった故に不明のままで終わった。しかしこの世界では……それが『真実』
として取り扱われているのかもしれない。
「このことが白日の下に晒されれば、今の地球人はこの星を出ていかなければならなくなる。
それ故に、防衛軍はあの棺をオメガファイルとして封印しているのだ」
 女――目の前にいるノンマルトもまた、そのように主張した。そしてそれは筋が通っている。
ノンマルトの語ることが全て真実ならば、今の人間は全て、この地球に暮らす権利を全宇宙文明
から認められなくなるのだ。
「……」
 ゼロは一切の言葉をなくす。するとノンマルトは畳みかけるように告げた。
「お前が何者かは知らないが、軽率な行動は慎むべきだ。たとえ誰であろうと、侵略者に
加担したならば、お前もまた全宇宙から罪人として扱われ、居場所を失うのだ」
 そう言い残して女はいずこかへと去っていく。ゼロはその場に立ち尽くしたまま。
 才人は彼に呼びかけた。
『……とんでもない物語の中に来ちまったな。俺たち、これからどうしたらいいと思う? ゼロ……』
「……」
 ゼロは才人の問いかけに、無言のまま何も返さなかった……。


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