『土くれのフーケ』
そう呼ばれトリステイン中の貴族を恐怖に陥れているメイジの盗賊がいる
その手口は『錬金』の魔法を使い。頑強な扉や壁を粘土や砂に変え、密やかに忍び込み、盗み出す
例え『固定化』の魔法で守られていようが、その強力な『錬金』で打ち破り、ただの土くれへと変えてしまう。
故に名付けられた『土くれ』の二つ名。
だがその様な大人しい盗みばかりでは無い、
時に身の丈およそ30メイルの巨大なるゴーレムを操り、貴族の屋敷を、別荘を粉々に破壊し粉砕し、大胆に盗み出す。
正体不明にして強力なトライアングルクラスの『土』系統のメイジ、
犯行現場に壁に己の犯行の旨であるサインを残していく事もあり、最もトリステインで有名な盗賊である。
その盗賊『土くれのフーケ』が次に目をつけた場所、それこそがトリステイン魔法学院であった。
そう呼ばれトリステイン中の貴族を恐怖に陥れているメイジの盗賊がいる
その手口は『錬金』の魔法を使い。頑強な扉や壁を粘土や砂に変え、密やかに忍び込み、盗み出す
例え『固定化』の魔法で守られていようが、その強力な『錬金』で打ち破り、ただの土くれへと変えてしまう。
故に名付けられた『土くれ』の二つ名。
だがその様な大人しい盗みばかりでは無い、
時に身の丈およそ30メイルの巨大なるゴーレムを操り、貴族の屋敷を、別荘を粉々に破壊し粉砕し、大胆に盗み出す。
正体不明にして強力なトライアングルクラスの『土』系統のメイジ、
犯行現場に壁に己の犯行の旨であるサインを残していく事もあり、最もトリステインで有名な盗賊である。
その盗賊『土くれのフーケ』が次に目をつけた場所、それこそがトリステイン魔法学院であった。
夜、二つの月を眺めるのが半ばこの世界での趣味と化してきているバージル、
塔の一番上に登り静かに月を眺めていると、なにやら妙な音と震動がすることに気がついた。
―ズズゥゥゥゥン…ズズゥゥゥゥン…
という音が響いてくる。
怪訝な顔で音がした方向を眺めると、高さが30メイルはあろうかと言うゴーレムが本塔を殴りつけている。
学院内は丁度夕食の時間、どうやらパニックが起こっているのか食堂から悲鳴が巻き起こり
教師達が避難誘導を行っているらしい。
「なんだあれは?」
「なんだって…みりゃわかんだろう、ゴーレムだよ相棒」
「そんなものは見ればわかる、何をしているんだ?」
と呑気に会話を交わすバージルとデルフ
「どうやら、壁を壊そうとしてるみたいだねぇ、相棒、あのゴーレムを止めに行かないのかい?」
「何故俺が行く必要がある?あのゴーレムが何をしようが俺には関係がない。」
「それもそうだな、そんなこと聞いた俺が馬鹿だったよ…」
そんな会話をしながら、静かにゴーレムが本塔を殴り続けるのを見物していたバージル。
その時、ゴーレムの胴体部分がわずかに爆発したのが見えた。
「あれは…小娘か」
「あぁ、あの爆発はあの娘っ子だぁな。」
魔法をロクに使えもしないのにどこまでも身の程知らずである。
やがてゴーレムは目的を達成したのか大きな音と振動を立てながら学院から去って行った。
「行っちまったな…」
「らしいな…」
そう呟きながらバージルは静かに月へと視線を戻した。
バージルが部屋へと戻ろうと廊下を歩いていると顔を真っ赤に泣き腫らしたルイズが立っていた
それを平然と無視し目の前を通り過ぎる。
「待ちなさいよ!」
「…なんだ?」
すごく嫌そうな顔でバージルは振り向く。
「あんた…いままでどこに行っていたのよ!学院に賊が入ったのよ!?」
「知っている」
「じゃあなにを!」
「貴様に話して何になる」
「~~~~っ!!」
「貴様があのゴーレム相手に何をしようとしていたのかは知らんが、俺には関係がない」
「…っ!見てたの…?」
「あぁ」
「…」
その言葉を聞き押し黙るルイズ、
「私は…っ、あのゴーレムを止めようとしていたのよ!あのゴーレムを止めれば誰も私をゼロなんて呼ばない!
そう思って必死に止めようと思ってたのよ!」
「それであのザマか」
「っ…!」
突き刺し抉るような言葉にぐうの音も出ない。
「で、その事に俺のあるなしが関係あるのか?」
「なっ!ないわよ!なにも!」
そう叫ぶように言うとルイズは自室へと戻って行った。
ルイズはベッドの中に潜り込み思う、
なんで来てくれなかったの?そう言いたかった、
でもバージルのことだ『関係ない』その一言で終わりだろう。
そもそもバージル一人に頼りたくないから一人ゴーレムに挑んだのだ。
途中、タバサやキュルケが援軍に駆けつけてくれたが、そのゴーレムに相手にもされなかった。
自分はあまりに無力だ、だが必ず見返してやる。そう決意を固めルイズは眠りへと落ちた。
塔の一番上に登り静かに月を眺めていると、なにやら妙な音と震動がすることに気がついた。
―ズズゥゥゥゥン…ズズゥゥゥゥン…
という音が響いてくる。
怪訝な顔で音がした方向を眺めると、高さが30メイルはあろうかと言うゴーレムが本塔を殴りつけている。
学院内は丁度夕食の時間、どうやらパニックが起こっているのか食堂から悲鳴が巻き起こり
教師達が避難誘導を行っているらしい。
「なんだあれは?」
「なんだって…みりゃわかんだろう、ゴーレムだよ相棒」
「そんなものは見ればわかる、何をしているんだ?」
と呑気に会話を交わすバージルとデルフ
「どうやら、壁を壊そうとしてるみたいだねぇ、相棒、あのゴーレムを止めに行かないのかい?」
「何故俺が行く必要がある?あのゴーレムが何をしようが俺には関係がない。」
「それもそうだな、そんなこと聞いた俺が馬鹿だったよ…」
そんな会話をしながら、静かにゴーレムが本塔を殴り続けるのを見物していたバージル。
その時、ゴーレムの胴体部分がわずかに爆発したのが見えた。
「あれは…小娘か」
「あぁ、あの爆発はあの娘っ子だぁな。」
魔法をロクに使えもしないのにどこまでも身の程知らずである。
やがてゴーレムは目的を達成したのか大きな音と振動を立てながら学院から去って行った。
「行っちまったな…」
「らしいな…」
そう呟きながらバージルは静かに月へと視線を戻した。
バージルが部屋へと戻ろうと廊下を歩いていると顔を真っ赤に泣き腫らしたルイズが立っていた
それを平然と無視し目の前を通り過ぎる。
「待ちなさいよ!」
「…なんだ?」
すごく嫌そうな顔でバージルは振り向く。
「あんた…いままでどこに行っていたのよ!学院に賊が入ったのよ!?」
「知っている」
「じゃあなにを!」
「貴様に話して何になる」
「~~~~っ!!」
「貴様があのゴーレム相手に何をしようとしていたのかは知らんが、俺には関係がない」
「…っ!見てたの…?」
「あぁ」
「…」
その言葉を聞き押し黙るルイズ、
「私は…っ、あのゴーレムを止めようとしていたのよ!あのゴーレムを止めれば誰も私をゼロなんて呼ばない!
そう思って必死に止めようと思ってたのよ!」
「それであのザマか」
「っ…!」
突き刺し抉るような言葉にぐうの音も出ない。
「で、その事に俺のあるなしが関係あるのか?」
「なっ!ないわよ!なにも!」
そう叫ぶように言うとルイズは自室へと戻って行った。
ルイズはベッドの中に潜り込み思う、
なんで来てくれなかったの?そう言いたかった、
でもバージルのことだ『関係ない』その一言で終わりだろう。
そもそもバージル一人に頼りたくないから一人ゴーレムに挑んだのだ。
途中、タバサやキュルケが援軍に駆けつけてくれたが、そのゴーレムに相手にもされなかった。
自分はあまりに無力だ、だが必ず見返してやる。そう決意を固めルイズは眠りへと落ちた。
翌日、トリステイン学院は噂の盗賊『土くれのフーケ』襲撃という前代未聞の大事件に大騒ぎになっていた。
厳重な『固定化』の魔法が掛けられており壊れるはずのない宝物庫の破壊。そこで守られていた秘宝『破壊の杖』の強奪。
そして犯行現場である宝物庫に落ちていた『秘蔵の破壊の杖、確かに領収いたしました』という犯行の旨を記したカード。
まさに学院創設以来初の大事件であり、同時に、過去に例を見ない大失態でもあった。
学院長室では教師達が集まり対策会議と称しての責任の所在の押し付け合いを行っていた。
それを一喝して黙らせたオスマンが口を開く。
「さて、みっともない所を見せてしまったが…
君たちに集まってもらったのは他でもない、『土くれのフーケ』による学院襲撃の件についてじゃ。
犯行の現場を見たのは君たちと言うわけでここに来てもらったと言うわけじゃ。」
オスマンはそう言うと学院長室に呼びつけた三人と一人の使い魔を見る。
そこにはキュルケに、相変わらず無表情のタバサ。
目を充血させ、目元に泣きはらした痕を残しているルイズの三人、
そしてルイズの使い魔であるバージルの姿があった。
「では犯行を見た時の事を説明してもらおうとするかの。」
ルイズとキュルケが昨日の夜あったことを詳しく説明する。
バージルはただそれを壁に寄りかかりながらつまらなそうに聞いていた。
「ふむ、報告の通りじゃな、皆が知っての通りあの宝物庫には強力な固定化がかかっていた、
ところが、一部の場所に原因不明の亀裂があっての、そこだけなぜか固定化がかかっていない状態になっていたそうじゃ。
そこをフーケにねらわれたんじゃろうのぉ。」
その言葉を聞きルイズがビクッ!と反応しバージルを見る。
そうだ…ギーシュと決闘騒ぎを起こした日、あいつは突然ヤマトを抜いて斬撃をとばして…そのぶつかった場所は確か…。
まさか、壊れた原因はこいつか!?
バージルもその言葉に少し反応したが無視を決め込んでいた。
そんなことを考えていると突然ドアから秘書のロングビルが現われた。
「ミス・ロングビル!どこ行ってたんですか!大事件ですぞ!」
「申し訳ありません、。昨晩から急いで調査しておりましたの」
ロングビルが言うには近くの森の廃屋がフーケの隠れ家ではないかということだ。
学院に起きた一大事、王宮への報告と王室衛士隊の手配を進言したが、その間にフーケに逃げられてしまう可能性と
自身の問題は自分たちで解決するというオスマンの意向で却下された。
そのためすぐに捜索隊を結成することになったが誰も自ら行こうとしない。
その中で静かにルイズが杖を掲げる。
「私が行きます!」
宝物庫の壁を抉ったのは自身の使い魔だ、その責任は必ず取る、
そしてフーケを捕まえて誰も彼も見返してやる!そう決意を固め凛々しく名乗りを上げた。
それを見て驚いたミセス・シュヴルーズが声を上げる。
「あなたは生徒ではありませんか!ここは教師に任せて……」
しかしその言葉を聞きながら続けて杖を掲げたのはキュルケであった。
「ヴァリエールには負けられませんわ。」
さらに続けてタバサも杖を掲げる。
「タバサ。あんたまで付き合わなくても」
「経験を積みたい」
そう言うとタバサはバージルを見た。
バージルは相変わらず壁に寄りかかっている。
「うむ、では彼女等に頼む事としよう」
その様子を見てオスマンが言った。
「何よりもミス・タバサは、若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いている」
タバサは返事もせず黙ったままだ。教師達は驚いたようにタバサを見つめた。
「本当なの?タバサ」
キュルケも初耳だったらしく驚いている。
タバサは軽く頷くだけだった、シュヴァリエの称号も実力もこの男の前では無いに等しかった。
そう考えると称号など取るに足らない、そんなものよりもっと力が欲しい。
そのために志願したのだ。
次にオスマンはバージルを見つめる、
「ミス・ヴァリエールの使い魔、バージル君といったかな?」
「…」
「ギーシュ・ド・グラモンとの決闘は皆も知っておる筈じゃな、彼は――」
「俺がいつ行くと言った」
バージルが不機嫌そうにオスマンの言葉をさえぎる。
「いやっ、その、君の主人が行くのじゃぞ?」
その返答は想定外だったのかオスマンが驚いたように聞き返す。
「だからどうした、そもそも俺がここに呼ばれた事自体気に入らん。」
「それは君がミス・ヴァリエールの使い魔――」
「くだらん」
そう言うとさっさと踵を返し退室しようとした。
それを後ろからルイズが飛びかかり阻止する。
「なんだ…」
「(あんたも行くのよ!そもそも宝物庫が崩れたのはあんたの責任じゃない!)」
「それは奴らがそこから見ていたからだ、俺の責任ではない」
「だからって!あんたも行くの!これは命令よ!」
何かと言い訳をかこつけるルイズ。教師も教師なら、生徒も生徒である。
「そうよダーリン!私もダーリンの戦う所見てみたいなぁ」
「あなたも来て欲しい」
キュルケやタバサまで説得に加わる。
バージルもさすがに折れたのか
チッと軽く舌打ちすると
「くだらん…さっさと行って終わらせるぞ…」
と非常に気だるそうに了解した。
厳重な『固定化』の魔法が掛けられており壊れるはずのない宝物庫の破壊。そこで守られていた秘宝『破壊の杖』の強奪。
そして犯行現場である宝物庫に落ちていた『秘蔵の破壊の杖、確かに領収いたしました』という犯行の旨を記したカード。
まさに学院創設以来初の大事件であり、同時に、過去に例を見ない大失態でもあった。
学院長室では教師達が集まり対策会議と称しての責任の所在の押し付け合いを行っていた。
それを一喝して黙らせたオスマンが口を開く。
「さて、みっともない所を見せてしまったが…
君たちに集まってもらったのは他でもない、『土くれのフーケ』による学院襲撃の件についてじゃ。
犯行の現場を見たのは君たちと言うわけでここに来てもらったと言うわけじゃ。」
オスマンはそう言うと学院長室に呼びつけた三人と一人の使い魔を見る。
そこにはキュルケに、相変わらず無表情のタバサ。
目を充血させ、目元に泣きはらした痕を残しているルイズの三人、
そしてルイズの使い魔であるバージルの姿があった。
「では犯行を見た時の事を説明してもらおうとするかの。」
ルイズとキュルケが昨日の夜あったことを詳しく説明する。
バージルはただそれを壁に寄りかかりながらつまらなそうに聞いていた。
「ふむ、報告の通りじゃな、皆が知っての通りあの宝物庫には強力な固定化がかかっていた、
ところが、一部の場所に原因不明の亀裂があっての、そこだけなぜか固定化がかかっていない状態になっていたそうじゃ。
そこをフーケにねらわれたんじゃろうのぉ。」
その言葉を聞きルイズがビクッ!と反応しバージルを見る。
そうだ…ギーシュと決闘騒ぎを起こした日、あいつは突然ヤマトを抜いて斬撃をとばして…そのぶつかった場所は確か…。
まさか、壊れた原因はこいつか!?
バージルもその言葉に少し反応したが無視を決め込んでいた。
そんなことを考えていると突然ドアから秘書のロングビルが現われた。
「ミス・ロングビル!どこ行ってたんですか!大事件ですぞ!」
「申し訳ありません、。昨晩から急いで調査しておりましたの」
ロングビルが言うには近くの森の廃屋がフーケの隠れ家ではないかということだ。
学院に起きた一大事、王宮への報告と王室衛士隊の手配を進言したが、その間にフーケに逃げられてしまう可能性と
自身の問題は自分たちで解決するというオスマンの意向で却下された。
そのためすぐに捜索隊を結成することになったが誰も自ら行こうとしない。
その中で静かにルイズが杖を掲げる。
「私が行きます!」
宝物庫の壁を抉ったのは自身の使い魔だ、その責任は必ず取る、
そしてフーケを捕まえて誰も彼も見返してやる!そう決意を固め凛々しく名乗りを上げた。
それを見て驚いたミセス・シュヴルーズが声を上げる。
「あなたは生徒ではありませんか!ここは教師に任せて……」
しかしその言葉を聞きながら続けて杖を掲げたのはキュルケであった。
「ヴァリエールには負けられませんわ。」
さらに続けてタバサも杖を掲げる。
「タバサ。あんたまで付き合わなくても」
「経験を積みたい」
そう言うとタバサはバージルを見た。
バージルは相変わらず壁に寄りかかっている。
「うむ、では彼女等に頼む事としよう」
その様子を見てオスマンが言った。
「何よりもミス・タバサは、若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いている」
タバサは返事もせず黙ったままだ。教師達は驚いたようにタバサを見つめた。
「本当なの?タバサ」
キュルケも初耳だったらしく驚いている。
タバサは軽く頷くだけだった、シュヴァリエの称号も実力もこの男の前では無いに等しかった。
そう考えると称号など取るに足らない、そんなものよりもっと力が欲しい。
そのために志願したのだ。
次にオスマンはバージルを見つめる、
「ミス・ヴァリエールの使い魔、バージル君といったかな?」
「…」
「ギーシュ・ド・グラモンとの決闘は皆も知っておる筈じゃな、彼は――」
「俺がいつ行くと言った」
バージルが不機嫌そうにオスマンの言葉をさえぎる。
「いやっ、その、君の主人が行くのじゃぞ?」
その返答は想定外だったのかオスマンが驚いたように聞き返す。
「だからどうした、そもそも俺がここに呼ばれた事自体気に入らん。」
「それは君がミス・ヴァリエールの使い魔――」
「くだらん」
そう言うとさっさと踵を返し退室しようとした。
それを後ろからルイズが飛びかかり阻止する。
「なんだ…」
「(あんたも行くのよ!そもそも宝物庫が崩れたのはあんたの責任じゃない!)」
「それは奴らがそこから見ていたからだ、俺の責任ではない」
「だからって!あんたも行くの!これは命令よ!」
何かと言い訳をかこつけるルイズ。教師も教師なら、生徒も生徒である。
「そうよダーリン!私もダーリンの戦う所見てみたいなぁ」
「あなたも来て欲しい」
キュルケやタバサまで説得に加わる。
バージルもさすがに折れたのか
チッと軽く舌打ちすると
「くだらん…さっさと行って終わらせるぞ…」
と非常に気だるそうに了解した。
フーケの隠れ家のある森へは馬車を使い向かうことになり
御者は案内も兼ねてロングビルが務めることとなった。
馬車に揺られながらキュルケは手綱を握るロングビルに訪ねる
「ミス・ロングビル、なぜ御者を自分で?手綱なんて付き人にやらせばいいじゃないですか」
「いいのです。わたくしは貴族の名をなくした者ですから」
「だって、貴女はオールド・オスマンの秘書なのでしょ?」
「ええ、でも、オスマン氏は貴族や平民だということに、あまり拘らないお方です」
「差しつかえなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」
ロングビルは困ったような笑みを浮かべそれを返事とした
それを見たルイズが人の過去を根掘り葉掘り聞くものではないとキュルケを止めた。
「それもそうね、ごめんなさいね、ミス・ロングビル」
「いえ、いいのです、お気になさらないでください」
そう言うと優しい笑みを浮かべた。
御者は案内も兼ねてロングビルが務めることとなった。
馬車に揺られながらキュルケは手綱を握るロングビルに訪ねる
「ミス・ロングビル、なぜ御者を自分で?手綱なんて付き人にやらせばいいじゃないですか」
「いいのです。わたくしは貴族の名をなくした者ですから」
「だって、貴女はオールド・オスマンの秘書なのでしょ?」
「ええ、でも、オスマン氏は貴族や平民だということに、あまり拘らないお方です」
「差しつかえなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」
ロングビルは困ったような笑みを浮かべそれを返事とした
それを見たルイズが人の過去を根掘り葉掘り聞くものではないとキュルケを止めた。
「それもそうね、ごめんなさいね、ミス・ロングビル」
「いえ、いいのです、お気になさらないでください」
そう言うと優しい笑みを浮かべた。
森に入りそのまま進んでいくと、道幅が狭くなり馬車では通れないとのことで
ここから先は徒歩で進むとのことになった。
その場からは小道があり、うっそうと茂る木々が日の光を遮り昼でも薄暗く感じられる。
「目撃者の話しでは、この小道の先にある廃屋で、黒ずくめのローブを纏った人影を見たそうですわ」
風が吹き抜けると、不気味に木々がざわざわと枝葉が擦れる音を立てる。
―悪魔の気配は…ないな
そうバージルは考えると一人でさっさと進んでしまった
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!主人を置いてさっさと行くなーっ!」
そう叫んで急ぎ4人はバージルの後を追った。
しばらく進んで行くと、開けた場所に出た、そこには先程のミス・ロングビルの言葉通り、広場の中心に廃屋があった。
一行は、小屋の中から見えないように、森の茂みに身を隠したまま廃屋を見つめる。
「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいると言う話しです」
ミス・ロングビルが廃屋を指差して言った。
どの様に攻めるか。4人はその相談を開始した。
「フーケがあの中で寝てくれてればいいんだけどね」
キュルケが茂みの隙間から廃屋を覗きこむ。
「寝てても起きてても奇襲かけるのが一番よね」
「小屋の中では土が無いのでゴーレムは作れない」
「だが、小屋に罠を張っている可能性も有るわ」
とロングビル含む4人が相談していると
―ズガッ!ズガッ!ズガッ!ズガッ!
小屋の方向から何かが突き刺さるような音がした。
驚いて4人が顔をあげるとバージルが小屋に向けて大量の幻影剣を放っていた。
あの中に人がいるとしたら間違いなく串刺しになっているだろう…
唖然とする4人を尻目にそのままバージルは居合の構えを取る。
「ちょ―」
ルイズが制止する間もなく閻魔刀を抜刀、10メイルは離れているにも関わらず小屋が空間ごと切り裂かれ崩れ落ちた。
「なななななにやってるのよ!!!!」
「どの道賞金首だろう?生きていても死んでいてもかまわん」
「だからって!あの中にある破壊の杖はどうするのよ!」
「しらん、この程度で壊れるものなど秘宝とは言わん」
「たしかに賞金首だけど…あんなことしたら肉片一つ残らないわよ!」
「生きていた方が報酬が多めにもらえる」
タバサがぽつりと呟く。
バージルも一時期便利屋稼業をやっていたため、金の重要さは知っている、
もらえる金が多くなるならそれに越したことはない。
「フン、まだ生きているなら生かしておくか、手足の二三本斬り落としても死にはしまい。」
しれっと言うバージルを青白い顔で見ながらロングビルは
「あ…も、もしかしたらあたりに潜んでいるのかも知れません、ち…ちょっと偵察にいってきます!!」
と逃げるように走り去ってしまった。
「さっさと破壊の杖とやらを回収するか」
「そ、そうね!いきなりあんなことするんだもん、忘れてたわ!」
バージルがもはや原形をとどめていない小屋へと進んでいく、
ルイズ達もその後を追って小屋へと足を踏み入れた、
キュルケが瓦礫の中から薄汚れたチェストを見つけるとそれを開ける。
「あったわ!破壊の杖よ!壊れてないわ!」
その声を聞きルイズとタバサが駆け寄る、
「これが破壊の杖?」
ルイズが『破壊の杖』と呼ばれる筒状のものを手に取る、
それをみたバージルの顔が険しくなった、
「(なぜこんなものがここにある?)」
そう考えつつルイズのもつ破壊の杖に触れる。すると左手のルーンが光り、使い方が頭の中に流れ込んで来た。
「なんだこれは…」
「あぁ相棒、思い出したぜ」
今まで黙っていたデルフが話しかける
「そのルーンの効果でな、相棒が持つ武器のことはなんでもわかるんだ、使い方とかな」
「あら?その剣インテリジェンス・ソードなの?」
その声を聞いたキュルケが話しかけてくる、
「そう言えばダーリンのルーンて、珍しいわよね、一体どういうものなのかしら?」
キュルケがバージルの左手を覗きこむ。
「話は後だ」
バージルが短く言い、閻魔刀に手をかける。
「フーケとやらのお出ましだ」
バージルの鋭い視線の先には30メイルはあろうかと言うゴーレムが音を立てて現れた。
そのゴーレムは全身を鋼鉄に覆われており、昨夜見た土でできたゴーレムとはまるで違う印象を持たせた。
「ちょっと!昨日のとは違うわ!」
「今回は本気ってとこかしらね!」
そう叫びつつキュルケは杖を取り出しゴーレムに向かい炎の塊を叩きつける。
同時にタバサも竜巻を巻き起こしゴーレムにぶつける、
だがそれはゴーレムに黒い跡をつくっただけでまるで効果がない。
「ルイズ!破壊の杖をもってはなれなさい!」
「いやよ!私も戦う!」
そう言うと、杖を構える、が
閻魔刀の鞘がルイズのマントを絡め取り、後ろへ放り投げる。
「ひゃうっ!」
という叫びと共に尻もちをつくルイズ、それをバージルが一瞥すると
「邪魔だ、失せろ」
と冷たく言い放つ。
その言葉に涙があふれてくる、
自分はここまできても足手まといのゼロなのか。嫌だ、そんなのは嫌だ。
バージルを見返したくてここまで来たのだ、足手まといにはなるものか!
そう決意し杖を構え詠唱する。
だがそれは爆発を起こし、ルイズの存在を気付かせ、挑発しただけとなってしまった。
ゴーレム振り向き、鋼に覆われた腕をルイズへと振り下ろさんとし、空高くかかげる。
チッとバージルは軽く舌打ちすると居合を放ちゴーレムの腕を斬り落とす。
振う腕を失くしたゴーレムはそのままバランスを崩し倒れてしまった。
倒れたゴーレムにキュルケやいつの間にか使い魔のシルフィードを呼んだタバサが追い打ちの魔法を放っている。
バージルはルイズに悠然と歩きながら近づく。
「聞こえなかったのか?俺は失せろと言ったんだ」
バージルのその言葉にルイズは唇を噛み締める。
「逃げるわけ無いじゃないっ!あいつを捕まえれば、誰ももうわたしを馬鹿にしないわ。ゼロのルイズなんて呼ばないでしょ!」
「無謀と勇気の違いすらもわからんのか?愚かな女だ…」
ここから先は徒歩で進むとのことになった。
その場からは小道があり、うっそうと茂る木々が日の光を遮り昼でも薄暗く感じられる。
「目撃者の話しでは、この小道の先にある廃屋で、黒ずくめのローブを纏った人影を見たそうですわ」
風が吹き抜けると、不気味に木々がざわざわと枝葉が擦れる音を立てる。
―悪魔の気配は…ないな
そうバージルは考えると一人でさっさと進んでしまった
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!主人を置いてさっさと行くなーっ!」
そう叫んで急ぎ4人はバージルの後を追った。
しばらく進んで行くと、開けた場所に出た、そこには先程のミス・ロングビルの言葉通り、広場の中心に廃屋があった。
一行は、小屋の中から見えないように、森の茂みに身を隠したまま廃屋を見つめる。
「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいると言う話しです」
ミス・ロングビルが廃屋を指差して言った。
どの様に攻めるか。4人はその相談を開始した。
「フーケがあの中で寝てくれてればいいんだけどね」
キュルケが茂みの隙間から廃屋を覗きこむ。
「寝てても起きてても奇襲かけるのが一番よね」
「小屋の中では土が無いのでゴーレムは作れない」
「だが、小屋に罠を張っている可能性も有るわ」
とロングビル含む4人が相談していると
―ズガッ!ズガッ!ズガッ!ズガッ!
小屋の方向から何かが突き刺さるような音がした。
驚いて4人が顔をあげるとバージルが小屋に向けて大量の幻影剣を放っていた。
あの中に人がいるとしたら間違いなく串刺しになっているだろう…
唖然とする4人を尻目にそのままバージルは居合の構えを取る。
「ちょ―」
ルイズが制止する間もなく閻魔刀を抜刀、10メイルは離れているにも関わらず小屋が空間ごと切り裂かれ崩れ落ちた。
「なななななにやってるのよ!!!!」
「どの道賞金首だろう?生きていても死んでいてもかまわん」
「だからって!あの中にある破壊の杖はどうするのよ!」
「しらん、この程度で壊れるものなど秘宝とは言わん」
「たしかに賞金首だけど…あんなことしたら肉片一つ残らないわよ!」
「生きていた方が報酬が多めにもらえる」
タバサがぽつりと呟く。
バージルも一時期便利屋稼業をやっていたため、金の重要さは知っている、
もらえる金が多くなるならそれに越したことはない。
「フン、まだ生きているなら生かしておくか、手足の二三本斬り落としても死にはしまい。」
しれっと言うバージルを青白い顔で見ながらロングビルは
「あ…も、もしかしたらあたりに潜んでいるのかも知れません、ち…ちょっと偵察にいってきます!!」
と逃げるように走り去ってしまった。
「さっさと破壊の杖とやらを回収するか」
「そ、そうね!いきなりあんなことするんだもん、忘れてたわ!」
バージルがもはや原形をとどめていない小屋へと進んでいく、
ルイズ達もその後を追って小屋へと足を踏み入れた、
キュルケが瓦礫の中から薄汚れたチェストを見つけるとそれを開ける。
「あったわ!破壊の杖よ!壊れてないわ!」
その声を聞きルイズとタバサが駆け寄る、
「これが破壊の杖?」
ルイズが『破壊の杖』と呼ばれる筒状のものを手に取る、
それをみたバージルの顔が険しくなった、
「(なぜこんなものがここにある?)」
そう考えつつルイズのもつ破壊の杖に触れる。すると左手のルーンが光り、使い方が頭の中に流れ込んで来た。
「なんだこれは…」
「あぁ相棒、思い出したぜ」
今まで黙っていたデルフが話しかける
「そのルーンの効果でな、相棒が持つ武器のことはなんでもわかるんだ、使い方とかな」
「あら?その剣インテリジェンス・ソードなの?」
その声を聞いたキュルケが話しかけてくる、
「そう言えばダーリンのルーンて、珍しいわよね、一体どういうものなのかしら?」
キュルケがバージルの左手を覗きこむ。
「話は後だ」
バージルが短く言い、閻魔刀に手をかける。
「フーケとやらのお出ましだ」
バージルの鋭い視線の先には30メイルはあろうかと言うゴーレムが音を立てて現れた。
そのゴーレムは全身を鋼鉄に覆われており、昨夜見た土でできたゴーレムとはまるで違う印象を持たせた。
「ちょっと!昨日のとは違うわ!」
「今回は本気ってとこかしらね!」
そう叫びつつキュルケは杖を取り出しゴーレムに向かい炎の塊を叩きつける。
同時にタバサも竜巻を巻き起こしゴーレムにぶつける、
だがそれはゴーレムに黒い跡をつくっただけでまるで効果がない。
「ルイズ!破壊の杖をもってはなれなさい!」
「いやよ!私も戦う!」
そう言うと、杖を構える、が
閻魔刀の鞘がルイズのマントを絡め取り、後ろへ放り投げる。
「ひゃうっ!」
という叫びと共に尻もちをつくルイズ、それをバージルが一瞥すると
「邪魔だ、失せろ」
と冷たく言い放つ。
その言葉に涙があふれてくる、
自分はここまできても足手まといのゼロなのか。嫌だ、そんなのは嫌だ。
バージルを見返したくてここまで来たのだ、足手まといにはなるものか!
そう決意し杖を構え詠唱する。
だがそれは爆発を起こし、ルイズの存在を気付かせ、挑発しただけとなってしまった。
ゴーレム振り向き、鋼に覆われた腕をルイズへと振り下ろさんとし、空高くかかげる。
チッとバージルは軽く舌打ちすると居合を放ちゴーレムの腕を斬り落とす。
振う腕を失くしたゴーレムはそのままバランスを崩し倒れてしまった。
倒れたゴーレムにキュルケやいつの間にか使い魔のシルフィードを呼んだタバサが追い打ちの魔法を放っている。
バージルはルイズに悠然と歩きながら近づく。
「聞こえなかったのか?俺は失せろと言ったんだ」
バージルのその言葉にルイズは唇を噛み締める。
「逃げるわけ無いじゃないっ!あいつを捕まえれば、誰ももうわたしを馬鹿にしないわ。ゼロのルイズなんて呼ばないでしょ!」
「無謀と勇気の違いすらもわからんのか?愚かな女だ…」
「違うわ!!」
そう叫ぶとルイズは立ち上がり、破壊の杖を構え、小走りにゴーレムに近づく
「バージル!わたしは貴族よ!魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ。
敵に後を見せない者を、真の貴族と呼ぶのよ!」
高らかに宣言し、ルイズはえいっと『破壊の杖』を振りぬいた。
しかし何も起こらない。沈黙したままである。
「えぇっ!?なんで!?なんでなにも起きないの?」
ゴーレムはゆっくり立ち上がりルイズへと振り向く
目算破れ、慌てるルイズへとゴーレムの鋼の腕が今一度振り下ろされんとかかげられた。
「え?あ……」
腕が大きな影を作りルイズの視界を覆う、慌てて逃げようとするが恐怖のため足がすくんで動けない
体も縮こまり金縛りにあったかのように動けなくなってしまった。
そう叫ぶとルイズは立ち上がり、破壊の杖を構え、小走りにゴーレムに近づく
「バージル!わたしは貴族よ!魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ。
敵に後を見せない者を、真の貴族と呼ぶのよ!」
高らかに宣言し、ルイズはえいっと『破壊の杖』を振りぬいた。
しかし何も起こらない。沈黙したままである。
「えぇっ!?なんで!?なんでなにも起きないの?」
ゴーレムはゆっくり立ち上がりルイズへと振り向く
目算破れ、慌てるルイズへとゴーレムの鋼の腕が今一度振り下ろされんとかかげられた。
「え?あ……」
腕が大きな影を作りルイズの視界を覆う、慌てて逃げようとするが恐怖のため足がすくんで動けない
体も縮こまり金縛りにあったかのように動けなくなってしまった。
「ルイズ!!ルイズーーーー!!!」
キュルケが叫び届かぬと知りながら必死に手を伸ばす
タバサは、己の使い魔シルフィードを使い、助けに飛ばそうと足掻く。
だが到底間に合わない。
もうだめだ、そう思い目を瞑る、ルイズに向かい鋼鉄の腕が振り下ろされた、その時
キュルケが叫び届かぬと知りながら必死に手を伸ばす
タバサは、己の使い魔シルフィードを使い、助けに飛ばそうと足掻く。
だが到底間に合わない。
もうだめだ、そう思い目を瞑る、ルイズに向かい鋼鉄の腕が振り下ろされた、その時
―ガキィン!!!!ズゥォォォォン!!!!
金属と金属がぶつかり合う音、そして衝撃波が辺りを吹き飛ばす。
ルイズが恐る恐る目を開ける、すると目の前にはもはや見慣れた氷のように蒼いコートにオールバックにまとめた銀髪の青年
バージルが目の前に立ち、左手でデルフリンガーを持ち、その切っ先だけでゴーレムの拳を受け止めていた。
「ハァッ!」
という気合とともにデルフでゴーレムの拳を押し返す、そのままゴーレムは仰向けに倒れた。
目を点にさせルイズはバージルを見る、
「それが貴様の答えか…」
「えっ…?」
「真の貴族…か」
―あの時の俺は背を向け、結果母を失った…
バージルは昔の自分を思い返す…力無く、母を失った過去を。
金属と金属がぶつかり合う音、そして衝撃波が辺りを吹き飛ばす。
ルイズが恐る恐る目を開ける、すると目の前にはもはや見慣れた氷のように蒼いコートにオールバックにまとめた銀髪の青年
バージルが目の前に立ち、左手でデルフリンガーを持ち、その切っ先だけでゴーレムの拳を受け止めていた。
「ハァッ!」
という気合とともにデルフでゴーレムの拳を押し返す、そのままゴーレムは仰向けに倒れた。
目を点にさせルイズはバージルを見る、
「それが貴様の答えか…」
「えっ…?」
「真の貴族…か」
―あの時の俺は背を向け、結果母を失った…
バージルは昔の自分を思い返す…力無く、母を失った過去を。
「ルイズ、離れてろ…俺が片付ける」
「えっ…?」
―今名前…
ゴーレムが再び立ち上がる、それを見据えバージルがデルフを背中に納める
「おいおい相棒!俺っちつかわないのかよ!つか折れそうだったぞ!」
「黙れ」
そういうとバージルの手足が光り始める
彼の体内に僅かに残った光を司る悪魔の力、それを自身の魔力で補い形作る。
本体はテメンニグルでなくしてしまったが、バージルの魔力で再び彼の手足に装着される――
『閃光装具ベオウルフ』
「えっ…?」
―今名前…
ゴーレムが再び立ち上がる、それを見据えバージルがデルフを背中に納める
「おいおい相棒!俺っちつかわないのかよ!つか折れそうだったぞ!」
「黙れ」
そういうとバージルの手足が光り始める
彼の体内に僅かに残った光を司る悪魔の力、それを自身の魔力で補い形作る。
本体はテメンニグルでなくしてしまったが、バージルの魔力で再び彼の手足に装着される――
『閃光装具ベオウルフ』
バージルがゴーレムと同じ高さにまで飛び上がり、
そのまま上空へ両手をかざし魔力を爆発させ急加速、そのまま隕石の様な唸りを上げた蹴りが
ゴーレムの胸に…
―グゥオカァァァァァァン!!!!
すさまじい衝撃音とともにゴーレムが再び仰向けに倒れる。
ゴーレムの胸にはバージルの「流星脚」でできたのであろう惨たらしい窪みが出来上がっている。
そのまま地上におりるとそのまま加速して近づき倒れたゴーレムの脇腹に渾身のアッパーを入れる!
―ドッグゥォォォン!という凄まじい音、もはや見ているものは笑うしかない。
鋼鉄で構成されている超重量のゴーレムの身体が、浮いた。
空中に浮かび上がったゴーレムを追うようにバージルは自身の身体を縦に回転、凶悪な満月を描きながら
ゴーレムの腹に「月輪脚」を叩きこむ。そのまま地響きを伴って強烈に叩きつけられたゴーレムは、見るも無残に砕け散った。
そのまま上空へ両手をかざし魔力を爆発させ急加速、そのまま隕石の様な唸りを上げた蹴りが
ゴーレムの胸に…
―グゥオカァァァァァァン!!!!
すさまじい衝撃音とともにゴーレムが再び仰向けに倒れる。
ゴーレムの胸にはバージルの「流星脚」でできたのであろう惨たらしい窪みが出来上がっている。
そのまま地上におりるとそのまま加速して近づき倒れたゴーレムの脇腹に渾身のアッパーを入れる!
―ドッグゥォォォン!という凄まじい音、もはや見ているものは笑うしかない。
鋼鉄で構成されている超重量のゴーレムの身体が、浮いた。
空中に浮かび上がったゴーレムを追うようにバージルは自身の身体を縦に回転、凶悪な満月を描きながら
ゴーレムの腹に「月輪脚」を叩きこむ。そのまま地響きを伴って強烈に叩きつけられたゴーレムは、見るも無残に砕け散った。
「はっ…はは…」
それを見ていたキュルケはもはや乾いた笑いしか出てこない。
「……」
タバサにいたっては珍しく唖然としている。
「もう…なんでもアリね…」
ルイズはただただ、自分の呼び出した使い魔の底知れぬ実力にもはや呆れるしか出来なくなっていた。
「おでれーた!おでれーた!なんだ今のは!」
「黙れ、ただ殴っただけだ」
そう平然と剣と会話しながら帰ってくるバージルにルイズ達が駆け寄る。
「ちょっと!今の一体…」
「もうすごいわ!すごすぎるわダーリン!」
そうバージルを囲い騒ぎ立てる一行に
偵察から戻ってきたロングビルが話しかけて来た
「なっ…!なんですか!?今の音は!」
「ちょっとすごいのよ!ダーリンったら!」
とキュルケが興奮気味にロングビルに今あったことを説明していた。
「そ、そうなんですか…、それにしても」
ロングビルは破壊の杖を見る。
「その破壊の杖ってどういうものなんでしょうね?」
「フン、それは俺の世界の武器だ、使い方位なら教えてやってもいいだろう」
「え?世界?ダーリンの世界って?」
その言葉にキュルケとタバサが反応した。
「その説明は後!」
ルイズによって追及は中断され、バージルが破壊の杖はM72ロケットランチャーという名称であり、その使い方と破壊力を説明した。
「なるほど、そう言うものなんですね…」
その説明を聞いていたロングビルの雰囲気が変わった。
ルイズの手からをロケットランチャーを奪い取るとこちらに構えだした。
「ご苦労さま」
「えっ?ミス・ロングビル、なにを!?」
「全員杖を捨てな!こっちには破壊の杖があるんだ!妙な事をしたらこいつを使うよ!」
唖然としながら突然口調まで変わったロングビルを見ながらルイズが聞く。
「どういうこと…?まさかミス・ロングビルが…」
「そう。私が『土くれ』のフーケ。全く驚いたわよ。力の殆どを注いで気合入れて作ったゴーレムを、素手で粉砕しちゃうんだもの。
破壊の杖を使わせるのが目的だったんだけど、まさか使わないで倒しちゃうなんてね。ま、使い方教えてくれたんだし、結果オーライだわ。
さぁ!早く杖をすてな!そこのあんたもだ!早く剣を捨てるんだよ!」
そう言われ渋々杖をすてる三人、なげられた杖を確認しフーケはバージルへと視線をもどした…が。
バージルの姿が消えていた。
「どっ!どこだい!?どこに消え――」
「黙れ」
その言葉とともに天地が逆さまになる。
いつのまにか後ろに立っていたバージルによって閻魔刀の鞘で足元を払われる、空中で回転させられ、
そのまま返す鞘で腹部を打たれ地面にそのまま叩きつけられる。仰向けになって悶絶していると
トドメと言わんばかりに鳩尾に鞘が叩き込まれた、
そのまま胃の内容物をすべてぶちまけ、フーケは意識を手放した。
「バージル!」「ダーリン!」
「いつの間に回り込んだの!?早すぎてなにもみえなかったわよ?」
「こんな三流に流される方がどうかしている。」
「なっ!もとはと言えばあんたが使い方しゃべっちゃうからでしょ!?」
「フン、さっさと帰るぞ…」
そう言うとバージルはフーケの髪の毛を掴みそのまま引きずるように馬車へと向かう。
「ちょっと!一応フーケも女よ!もうちょっと丁寧に…」
そのまま馬車に乱暴に放り投げる、髪の毛がブチブチッ!と千切れる音が聞こえて来た
「何か言ったか?」
手についた髪を不愉快そうに叩き落とすバージルをみてルイズは呟いた
「いいわ…もう…本当にあんたは悪魔だわ…」
それを見ていたキュルケはもはや乾いた笑いしか出てこない。
「……」
タバサにいたっては珍しく唖然としている。
「もう…なんでもアリね…」
ルイズはただただ、自分の呼び出した使い魔の底知れぬ実力にもはや呆れるしか出来なくなっていた。
「おでれーた!おでれーた!なんだ今のは!」
「黙れ、ただ殴っただけだ」
そう平然と剣と会話しながら帰ってくるバージルにルイズ達が駆け寄る。
「ちょっと!今の一体…」
「もうすごいわ!すごすぎるわダーリン!」
そうバージルを囲い騒ぎ立てる一行に
偵察から戻ってきたロングビルが話しかけて来た
「なっ…!なんですか!?今の音は!」
「ちょっとすごいのよ!ダーリンったら!」
とキュルケが興奮気味にロングビルに今あったことを説明していた。
「そ、そうなんですか…、それにしても」
ロングビルは破壊の杖を見る。
「その破壊の杖ってどういうものなんでしょうね?」
「フン、それは俺の世界の武器だ、使い方位なら教えてやってもいいだろう」
「え?世界?ダーリンの世界って?」
その言葉にキュルケとタバサが反応した。
「その説明は後!」
ルイズによって追及は中断され、バージルが破壊の杖はM72ロケットランチャーという名称であり、その使い方と破壊力を説明した。
「なるほど、そう言うものなんですね…」
その説明を聞いていたロングビルの雰囲気が変わった。
ルイズの手からをロケットランチャーを奪い取るとこちらに構えだした。
「ご苦労さま」
「えっ?ミス・ロングビル、なにを!?」
「全員杖を捨てな!こっちには破壊の杖があるんだ!妙な事をしたらこいつを使うよ!」
唖然としながら突然口調まで変わったロングビルを見ながらルイズが聞く。
「どういうこと…?まさかミス・ロングビルが…」
「そう。私が『土くれ』のフーケ。全く驚いたわよ。力の殆どを注いで気合入れて作ったゴーレムを、素手で粉砕しちゃうんだもの。
破壊の杖を使わせるのが目的だったんだけど、まさか使わないで倒しちゃうなんてね。ま、使い方教えてくれたんだし、結果オーライだわ。
さぁ!早く杖をすてな!そこのあんたもだ!早く剣を捨てるんだよ!」
そう言われ渋々杖をすてる三人、なげられた杖を確認しフーケはバージルへと視線をもどした…が。
バージルの姿が消えていた。
「どっ!どこだい!?どこに消え――」
「黙れ」
その言葉とともに天地が逆さまになる。
いつのまにか後ろに立っていたバージルによって閻魔刀の鞘で足元を払われる、空中で回転させられ、
そのまま返す鞘で腹部を打たれ地面にそのまま叩きつけられる。仰向けになって悶絶していると
トドメと言わんばかりに鳩尾に鞘が叩き込まれた、
そのまま胃の内容物をすべてぶちまけ、フーケは意識を手放した。
「バージル!」「ダーリン!」
「いつの間に回り込んだの!?早すぎてなにもみえなかったわよ?」
「こんな三流に流される方がどうかしている。」
「なっ!もとはと言えばあんたが使い方しゃべっちゃうからでしょ!?」
「フン、さっさと帰るぞ…」
そう言うとバージルはフーケの髪の毛を掴みそのまま引きずるように馬車へと向かう。
「ちょっと!一応フーケも女よ!もうちょっと丁寧に…」
そのまま馬車に乱暴に放り投げる、髪の毛がブチブチッ!と千切れる音が聞こえて来た
「何か言ったか?」
手についた髪を不愉快そうに叩き落とすバージルをみてルイズは呟いた
「いいわ…もう…本当にあんたは悪魔だわ…」