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モンハンで書いてみよう 轟竜編

私ことルイズ・フランソワーズ・ラ・ヴァリエールがその使い魔を見た時は純粋に嬉しかった。
それはドラゴンだった。くすんだオレンジに青い模様が走る鱗に覆われていた。
引き締まりながらもその動きが解る筋肉と、頑丈そうな骨格は正に野生を感じさせる。
発達した前足は鋭い爪が突いた翼のようになっており、やはり硬そうな尾は太くて長い。
角ばった大きな頭には人間など丸呑みに出来そうな巨大な口が開き、鋭い無数の牙と真っ赤な舌が覗く。
小さな目には彼なりの驚きが満たされているらしく、忙しなく辺りを見渡している。

『今しかない!』

相手が状態を把握する前に契約をしなければ成らない。臨戦態勢になったコイツは色々とヤバイ!
そんな野生の勘に突き動かされ、ルイズは人間離れした運動神経で呆然としているドラゴンに駆け上がる。
同時にサモン・サーヴァントの呪文を唱え、頭部に辿りつくと同時に小さな唇を巨大な口に重ねた。
そのままバクリとヤラれるのではないか?と自他共にハラハラしたが契約は無事に終了した事だけを明記する。


徐々にその使い魔の事が解ると次にルイズを襲ったのは失望だった。このドラゴンは目立った能力が無いのだ。
高所や跳躍からの滑空は出来るが自力では飛べないし、歩くのも四本足で首から腹まで地面につけて引きずり、カッコが悪い。
炎も吐けなければ、姿も消せず、毒も吹かないし、電気も出さない。
使い魔とメイジの契約で垣間見た彼?の記憶では得物を狩るのも、ハンター?って言う職業と戦うのも全て肉弾戦。
噛み付いたり、飛びついて噛み付いたり、ダッシュしたり回転してみたり、器用に岩とばしたりしていたようだ。
お飾りの羽根で風圧を起こしたり、叫び声で怯ませるって言うのも有るには有るが、やっぱりそれも唯の力任せ。
デカイから何時もは連れて歩けないし、馬代わりに乗るのも試してはみたが乗り難いことこの上ない。
当然と言えば当然だろう。他のドラゴンは飛行するからこそ騎乗することに価値があるのだ。
もし地面を走らせるのを馬と飛竜どちらにする?と聞かれたら誰もが馬を選択するだろう。

アァ、そうだ……このドラゴンはティガレックスと呼ばれていたらしい。
記憶の中でコイツと遭遇した戦士の叫んでいたことから名前が判明している。彼は遅めのディナーになってしまったが……



さらにティガレックスは他の使い魔を餌か敵としか見ていないようだ。
契約当日にギーシュのジャイアントモール ヴェルダンデを追い掛け回し、タバサの風竜(こちらは空も飛べる普通のドラゴン)シルフィードとガチバトルを繰り広げたのは思い出したくない思い出だ。
そんな出会いだったから他の使い魔たちとは物凄く仲が悪く、私まで使い魔達に冷たい目を向けられている気がしてならない。
結局争いを集結させるのに私が週一で牛を丸ごと与える事になってしまい、懐が大変な事になりかけた。
だが「使い魔としてドラゴンを召喚した」と実家に文を出したら援助してくれたのが幸いである……嘘などついていないよ?
空も飛べず、炎も吐けず、餌を貰える事を学習したらすっかり野性味を失い、毎日ゴロゴロしているけれど、ドラゴンである事に変わりは無い。

他の使い魔と離れた所で丸くなったり、気紛れに歩き回って使用人達が腰を抜かすと言うのが日課だった。



期待した使い魔の正体がそんな奴だったからだろう。生徒達は一斉に私とティガレックスへの嫌味と陰口が噴出した。
『ルイズのドラゴンは空も飛べない役立たず』
『主人に似て何も出来ない無能』
『主従揃ってゼロ』
ゼロのルイズがドラゴンなんて呼び出したから不満や不安があったのだろう。そんな鬱憤を晴らすように悪意ある言葉が聞こえてくる。
ある種それも仕方がないと私は思っていた。「ティガレックスは体が大きく、鱗が硬く、力が強い『だけ』なのだ」と。

勿論人間の言語を理解するわけも無いティガレックスは何時も通りだが、私は遂にプッツンきてしまったのだ。
最初は私とギーシュの決闘だったのだが、わざと外した失敗魔法の爆発がマリコルヌを直撃した辺りで、私対多数になった。
アレには思い出しただけでも世の中の不条理を感じざる得ない……なによ? 私が悪いって?

もちろんただでさえゼロの私が複数を相手に勝てるわけがない。
叩きのめされて無様に這い蹲る事を想像し、目を瞑って唇をかんだ瞬間。
何かが自分と他数人の生徒達の間に着地した。何で解ったかって? 簡単なことよ、だってスゴイ振動と風圧だったもの。
恐る恐る目を開ければ、そこには争いの根源とも言える四本足で歩く不恰好な私の使い魔。

「ティガ……」
「はっ! 役立たずの使い魔に何が出来るんだよ! やっちまおうぜ!!」

そうだっ! 助けにきてくれるのは嬉しいけど、駄目だ! 
空も飛べず炎も吐けない、ただ力で如何にかするドラゴンじゃメイジには……「勝てないなんて誰が決めた?」

硬い鱗はウィンドブレイクを弾き、剥き出しの闘争本能は鼻っ柱にファイヤーボールを受けても怯まない。
飛ぶには適さない太い前足が青銅のゴーレムを踏み潰し、肉を断ち切る音がしたと思ったら誰かの使い魔が上半身を失って落ちてきた。
巨体には似合わない速度で走り回り、尻尾を振れば辺りの全てを薙ぎ払う。

「人間は食べちゃ駄目!」

そう命令できた事は私の一生の誇りである。このドタバタで人間の死人は出なかった。
重傷者だけで十名を超えたけどね……はぁ……



結局ティガレックスは処分される事も無く、私を含めた決闘と乱闘の実行者達は一週間の部屋での謹慎と言う事になった。
もっとも私以外はそれ以上の期間、ベッドに繋がれる事になったけどね。
唯の決闘ならば未だしも一対多数と言う状態で戦うなんて貴族としては問題があるので、私の責任と差し引きゼロと言う事にしたらしい。

この一週間は私にとって色々と考える事ができた貴重な時間だった。
私を含めてメイジはティガレックスを大した事無いドラゴンだと思っていた。それはなぜか?
空が飛べないから? 炎が吐けないから? だから弱い? だから使えない?
そんな事は無い。頑丈な肌と凶悪な闘争本能とバカ力とデカイだけの図体で十人近いメイジと使い魔を虐殺(メイジは殺してない)できたのだ。
弱くない……空が飛べるなんて大した問題ではない。炎が吐けるからなんだと言うのだ?
これはメイジに対してもいえることだと感じる。魔法が使えるからエライのだろうか?
違う……それは建前だ。王家の信頼とか貴族だからとか、そう言ったものは全て建前。
何故メイジが、貴族が偉いのか? なぜ優れていると思うのか?

答えは一週間ぶりの授業で唐突に閃いた。
ボーとした頭は未だに一週間引きずり続けた答えを探したまま、疾風のギトーが永遠と続ける風の自慢話を聞きながら呟いた。

「風だから何だって言うのよ……」
「何か言ったかね? ミス・ヴァリエール!」
「風だからエライのかって言ったのよ!!」

イライラしていたからなのだ。どうして「何でもありません」と言えなかったのか?
ザワリと周りの皆が波立った。一週間の謹慎から帰って来たばかりのゼロが何を言い出すのか?と。
私は何やら怒鳴っているミスタ・ギトーの言葉を華麗に聞き流し、自分の今の叫びを分析してみた。
風だから風はエライ?……違う。「風は全てを吹き飛ばすから最強!」と言う事らしい。吹き飛ばせない物が無い? そんな事は無い。
ウィンドブレイクを受けても、ただデカイだけと言われていたティガレックスはピンピンしていた。
そんな風すら無視する硬い鱗と……『純粋な力』……そういう事か。


「ミスタ・ギトー。では試させてください」
「なんだと?」
「貴女の風で私の魔法が防げるかを」
「はんっ! ゼロと呼ばれる君の魔法が防げないわけが無いだろう!!」

これは実験だ。私の爆破は魔法としての形を成していない。四つの属性どれにも属していない。
だから失敗であり、価値が無いと思っていた。メイジであるが故にそう思い続けてきた。
だがそれを呆気無く破壊してくれたのは、私の使い魔 ティガレックス。

ルイズはもちろんティガレックスも知らない事だが、ティガレックスを討伐する仕事の難易度は嵐を起こす鋼龍や、歩くだけで天災を起こす老山龍に勝るとも劣らない。
ティガレックスは風を纏う鋼龍 クシャルダオラのように特殊な事はできない。
ティガレックスは老山龍 ラオシャンロンのように異常に巨大なわけでもない。
だと言うのに彼らと同じだけの危険性を認定されている。これこそが純粋が『暴力』の結果なのだ。


どんな方法でも打ち勝った者が『勝者』であり『強者』なのだと教えてくれた。
貴族が偉いのは魔法が使えるからエライのではない。魔法が『強い』からだ。平民では対抗できない『力』なのだ。
力は純粋であり、正直だ。地位も財力も権力も道徳も慈愛も力の前では単純に計算される……つまり強いか、弱いか。

私は小さく魔法を唱える。前の前にギトーの魔法で作られたゴウゴウと鳴る風の壁がある。
だが私の失敗魔法は火の玉を飛ばすわけでもなければ、石をぶつける訳でもない。ただ対象となったモノが爆発するだけ。
簡単に言えば……どんな防御だって無駄なのだ。何を唱えても爆発するのだから、相手を指定できるなるべく簡単な呪文を唱える。

「レビテーション」

轟音が響く。ミスタ・ギトーが吹き飛んだ。
私は小さな石を対象とした錬金で大爆発を起こして教室を半壊させた事がある。
今回はミスタ・ギトーを対象にしてレビテーションを唱えた。風に邪魔されてレビテーションが当たらないなんて事はありえない。
知識として知っている現象は先ほどの爆発、そして黒焦げになって倒れる元人間、沈黙するクラスメイトが証明している。


そう……これが魔法の真の価値! 世界の理! 地位よりも金よりも価値ある物! 使い魔が教えてくれた自然の法則! 
全てを支配するのは極論すれば『力』なのだ! 『純粋な暴力!』こそが絶対なのだとこのとき私は確信した。

「クックック……フッフッフ……アッハッハッハッハ……■■■■■■■!!」

後半は声に鳴らない。腹の底から搾り出すように、今までの鬱憤を晴らすように私は笑った。

「あらあら? 最強の風も大した事無いんですわね、ミスタ・ギトー。じゃあ私は責任を持って保健の先生を呼んでくるわ。ミス・モンモランシー?」
「はいっ!」
「どうしたの? そんなに緊張して? その燃え滓を治療しておいて、まだ生きているみたいだから」

そこまで言って教室を出て行くときも笑いが止まらなかった。
保健室は一階であり、そこへ行くには外と隣接する渡り廊下を通らなければならない。

「ティガ!」

打てば響くそれは唸り声。地面を揺らす振動と共に地面を這い蹲りながら、無骨な暴力の化身が巨大な頭を寄せてきた。硬い肌を撫でながら「私たち」は語り合う。

「嬉しそうだって?やっと解ったから……貴方が教えてくれた……そうね、貴方にとっては当然の事よね?
 これから私はもっと強くなる。魔法の形に縛られない本当の力を手に入れるわ!!」

理屈ではないのだ。私の使い魔が何か理由や理屈によって強いわけではない。
ただそうならなければ生き残れなかったからこそ強いのだ。
ハンターと呼ばれる連中との有利不利含めて戦い続けて得た獣の知識。
勝つためではない。生き残る為の力、敵を喰らうための力。
純粋に憧れる。トキメクのだ。今ならツェルプストーの言ってた事が解る。
相手のことを考えると体が熱くなり、他の事が考えられない状態。これが……恋だ。

私たち主従は力と闘争と生存において、絶対の絆で結ばれているようだった。

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