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夜刃の使い魔 第一夜

夜刃の使い魔 第一夜『ファーストキスは針と毒と炎の香り』

春の使い魔召喚の儀式は滞りなく進んでいた。
誰も彼もが、今後一生付き合う事にもなる使い魔との邂逅に心躍らせ、現れた存在に一喜一憂する。
その様子をトリステイン魔法学院教師、ミスタ・コルベールは見つめていた。
今年は思いのほか豊作のようだ。既に風竜やサラマンダーなど、かなりの力を持った使い魔たちが召喚されている。
明らかに野良犬であったり、ネズミであったり、ズベスベマンジュウカニあったりといった、俗に言うハズレの使い魔を召喚するものもいたが、それは極ほんの一部だ。
使い魔の召喚はその召喚者の実力を反映すると言う。だとすれば、今の教え子たちは中々の逸材がそろっていると言えそうだった。
今もまたジャイアントモールという変り種を召喚した者が居る。あれは確かグラモン家の者か。
あの家は土の系統に秀でているので、納得と言えば納得と言える。
つまりは順調と言う事だ。今年もこの儀式をつつがなく終えられそうで、コルベールは胸をなでおろしたくなる。

その一方でコルベールはある一人の生徒の事を気に病んでいた。
召喚の儀式を始めたのは比較的早い時期だったのにも関らず、未だに成功していない一人の少女。
彼女の周りの地面は、何故か農夫が新たな畑でも開墾したかのようだ。
無数の穴に千切れ飛んだ草。元は一面に広がる草原の一部だと誰が信じるだろう。
今もまたあの少女の儀式は失敗に終わり、使い魔の代わりに景気の良い爆発が巻き起こる。
爆発の規模から見て、内に秘めた魔力はかなりの物だとは思う。だが悲しいかな彼女 ミス・ヴァリエールにはそれを制御する力が欠けているようだ。
未だに何の系統にも目覚めていない彼女を、口の悪い生徒は「ゼロ」と呼ぶ。
だが、彼女ほどの努力を重ねているものが学院に他に居るだろうか?
その点でコルベールはミス・ヴァリエールを評価していた。
同時にその努力が、この春の使い魔召喚の儀式で実れば良いと思っていたのだが、現実は上手くいかないらしい。
今もまた儀式は失敗に終わり、盛大な爆発が起こって

「・・・ふむ?」

コルベールはその中に黒い影のようなものを見たような気がした。
とするとサモン・サーヴァントは成功したのか。おめでとう、ミス・ヴァリエール。
コルベールは教え子の成功を喜びながら、爆煙が晴れるのを待った。
その現れた者が何であるかを気付かないまま。


「あんた、誰よ?」

そんな声でホークアイは目を覚ました。抜けるような青空に目が眩む。
(青空?)
違和感を感じ、周囲を注意深く見回す。
そこは草原だった。青い空と緑の大地が一面に広がっている。遠目には城砦にも似た何かの建物が見て取れた。
近くには黒のマントを着た一団が大勢居る。あれは魔法使いだろうか?だとすると、ここはアルテナか?
しかし、魔法王国アルテナは雪深い寒冷地だ。こんな緑豊かな草原はありはしない。
草原と言う点でならフォルセナを思い浮かべるが、あの草原を駆け回ったホークアイでもこんな場所は見た事無い。
そしてようやく違和感の正体に気付く。夜ではないのだ。
ブラックマーケットはシェイドの刻のみ扉を開く。あの輝く銀の鏡に触れるまで、ホークアイは確かにブラックマーケットに居た。
だというのに今はウィスプの刻であり、見知らぬ草原に居る。
(まだ何処かの勢力の生き残りがいたのか?)
考えられない話ではない。
全ての勢力がマナの聖域に集い三つ巴となったあの時、ホークアイ達が見たのは勝者となった邪眼の伯爵と美獣イザベラ、他は温情で生き延びたと言う死を食らう男位か。
他勢力の幹部級が実は生き残っていても不思議ではなく、マナの女神と剣の加護を受けたホークアイ達を狙う事は十分に考えられる。
(とすると、この娘はアルテナの魔女か?紅蓮の魔導師あたりが生き残っていたなら、操られてもう一度フォルセナに攻め込もうとしてもおかしくは無いか)
もっともその場合、最大の障害になりかねないホークアイを此処まで呼び寄せる理由がわからない。同時に、ホークアイに向かって、誰?とは奇妙な話だ。
ホークアイは彼を覗き込むピンク色の髪の少女を見て、そっと懐のデスストロークに触れる。
この娘が妙な動きをし次第、何時でも喉を掻き切れるように。

「俺? 俺はホークアイだ。そういう君は誰だい?見たところアルテナの魔女みたいだけど」
「あるてな? なに、それ? 良く判らないわね」
「おいおいルイズ!そんな変な仮面被ってる奴を呼び出すなんて流石だな!」
「どこの仮面舞踏会から呼び出したんだ?」
「いや、それだと貴族になるだろ?・・・あ、いや、幾らゼロのルイズでも、まさか貴族を呼び出してりはしてないよな? な?」

緊張感の無い少女とマントの一団とのかみ合わない会話。
未だに警戒を解かないホークアイだが、いい加減に何かおかしいと言う事に気付き始めた。
(何だ?よく見ると此処に居るのは殆ど子供みたいな奴らばかりじゃないか?それに殺気・・・いや、戦いの気配すらない。どういう事だ?)
ホークアイが状況に戸惑っている間に、目の前の少女 ルイズはその場で唯一の大人に何か訴えかけている。

「ミスタ・コルベール!もう一度召喚の許可をお願いします!」
「だが断る!」
「いきなり!? さっきの心象風景はどこに行ったのよ!?」
「だが、それがいい」
「意味わかんないわよ!?」

召喚と言う言葉には効き覚えがあった。確かリースが得意としていた、あれか。
高々ほんの僅かなMPと引き換えに、何度も何度も猫の戦車に乗って戦場を駆け抜けた女神の姿を思い出す。
(最後には戦車を引いていた猫、息も絶え絶えだったよな・・・)
哀愁を帯びた巨大猫の今を気にするホークアイ。
その間もルイズとコルベールのやり取りは続いていた。が、どうもルイズが結局言いくるめられたらしい。
人生に疲れ果てた老女のように肩を落としてホークアイの傍にやってくる。

「ねぇ、その仮面外しなさいよ」
「・・・なんだよ、急に」
「いいから外しなさいよ! 仮面にキスしたんじゃ、コンクトラクト・サーヴァントに失敗するかもしれないじゃない!!」

(キス?何言っているんだ、この子は?それに仮面を取れって・・・まぁ、いいか)
ホークアイは言われるままに赤黒い色合の仮面・・・ブラッディマスクを外した
一方のルイズは息を呑んだ。仮面の下から現れたのが、細面で端正な青年だったからだ。何と言うか予想外だ。
(ワルド子爵にも負けてないわね・・・ちょっと、得したかも)
無邪気にそんな事を思うルイズ。周囲からも、奇妙な仮面の下から現れた容姿に驚きの声が聞こえる。
だが唯一コルベールだけは、仮面の下から現れた表情に背筋に走る何かを感じていた。
一瞬使い魔の再召喚を許すべきだったかと思い至る。
だが既にそんな機会は失われていた。

「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ブラン・ド・ヴァリエール。五つの力をつかさどるペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
「・・・長い名前だな。って、ちょ、おい。何する気だ!?」
「いいから大人しくしなさいよ!私だって恥ずかしいのよ!!」
「いや待て、キスなのか? まて、ちょっと待て、お前の為だまてっ・・・っ!?」

既に漆黒の装束を着た青年に、ピンクの髪の少女が圧し掛かって唇を重ねていたのだ。
青年は何故か慌てふためいている。

「・・・ん・・・?・・・っ!痛!!」
「言わん事じゃない・・・って、熱!? 何だこれ!?」

同時に、痛みを訴える「二人」。
ホークアイの痛みの理由は直ぐに判明する。使い魔のルーンが刻まれたのだ。

「これは珍しいルーンですね。実に珍しい」

ホークアイの手に浮かんだルーンをみてコルベールが首をかしげる。

だが、ルイズの痛みは?

「だから言ったんだ、少し待てって」
「ん~~~~!!!ん~~~~~~!!!(何よ、その口の中の物!?)」

ホークアイは口の中から鋭く短い針を何本も取り出す。
他には油っぽい香りのする袋に、毒々しい色の粉の入った袋。
ナイトブレードは暗殺者だ。ありとあらゆる手段を使い、純粋に死をもたらす。
これらは全て、不意打ちに使う隠し武器の数々。
お陰でルイズは現在ダメージ+毒+沈黙と、バッドステータスのオンパレードだ。
文句を言おうにも、沈黙の所為で言葉にならない。
その間、コルベールや他の生徒たちは飛び去っていった。
後に残されたのは、沈黙と毒で苦しむルイズと、空を飛ぶ生徒たちに驚くホークアイ。
(まいったな、此処は本当にどこなんだ?)
そろそろ毒ダメージで天使の聖杯が必要になりそうなルイズにぱっくんチョコを差し出しながら、ホークアイはこれからの事を思い途方にくれた。

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