あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのロリカード-19


 アルビオンとトリステインの決戦から三日。
学院では授業も再開され、つつがない日常が戻りつつあった。

「いやあ~スゴかったね!まさに奇蹟の光だったよアレはッ!!さすがはアンリエッタ女王陛下、聖女万歳!」
「ふゥ~ん、そんなに凄かったんだ?まあ奇蹟でも起きない限り、トリステインが勝てるわけないわよね~。ルイズとアーカードも見たんでしょ?」

 キュルケの言葉にルイズはしどろもどろに頷く。
「へ?・・・ぁ・・・う・・うん。凄かったわよ・・・・・・うん」
「私は敵旗艦で暴れてたからなぁ・・・直接は見ていない。というか聞いている限りだと、件の光のド真ん中にいたことになるな。んむ、確かにアレは眩しかった」
広場に集まっているのは、ギーシュ、キュルケ、ルイズ、アーカード、そしてタバサである。

「敵旗艦で暴れてたって・・・何やってたのよ」
「敵艦を奪って騙撃を敢行してた」
フフンと鼻を鳴らしアーカードはVサインをする。

「あの敵艦対敵艦の。わけのわからない状況は君の所為だったのか」
ははぁと、ギーシュは唸り驚きアーカードを眺める。改めて喧嘩を売った自分、よく生きていたなぁと。

「さっすがね~、フーケのゴーレムを瞬殺したのも伊達じゃないわ。ルイズは何やってたわけ?」
いきなり自分に向けられた質問にルイズはドキリとするも、平静を装い答える。
「私は・・・姫さまと一緒にいたわ」


 ルイズは悩んでいた。生まれて初めて成功した魔法、さらにはその系統が『虚無』だったということ、そして自分がもたらした戦果の大きさに。
あれから何度か、ちょっとだけ使おうと試しで詠唱をしたものの、きちんと『エクスプロージョン』を唱えきれたのは戦争の時の一回のみである。
それ以降は詠唱途中で必ず失神してしまう。恐らくは精神力が足らない為の結果だろう、それでも半端にでも発動するのは『虚無』ゆえか。
しかしコモンマジックなら、失敗なく唱えられるようになったのは嬉しかった。自分の中で、何かが変わり始めたのは確かであった。


「なんかさっきから変な態度よね、よそよそしいというかなんというか」
「べ・・・べべべっ別になんにでもないわよ!」
そんな様子を見てルイズ以外全員の目が細まる。

「まぁいいわ。話が変わるけどさ、この後はやっぱアルビオン大陸まで攻め入るかしらね」
「えっ?」
「へっ?」
思わずルイズとギーシュは揃って声をあげた。

「今トリステインは勢いに乗ってる。その可能性は低くない」
タバサが静かに口を開く。


「そうよね~。戦争下手とは言っても、ここで戦をやめる愚行は流石にしないだろうし。侵攻かしらね~、包囲する手もあるけど」
「私は断然侵攻がいいな。ふっふっふ・・・今から血沸き肉踊る、やはり戦は攻めてこそだ」
タバサ、キュルケ、アーカードはさも当然といったように話していた。
しかしルイズとギーシュは呆然としていた。

(そ・・・それもそうよね。敵の空戦主力はなくなったわけで、同盟国のゲルマニアもきっと正式に参戦してくるはず・・・。こちらから向こうに攻め入る可能性だって・・・)
(ぁぁああぁあああ、また僕は戦場に行かなくちゃならないのかぁぁあああ・・・・・・。この前はたまたま生き残れたけど次も助かる保証なんて・・・)

「まっ、私は面倒だから戦争なんてゴメンだけどね」
「タバサは・・・・・・ん、興味ないだろう」
アーカードは思わず言いそうになったことを訂正して適当に流す、それにタバサは無言で頷いた。
タバサがガリア出身ということ、そして定期的に与えられている任務のことを思い出したのだ。

 キュルケ達が話してる中、ルイズとギーシュは心の中で慟哭を上げていた。

(まずい・・・もうタルブの時のような『エクスプロージョン』は唱えられない・・・。折角メイジとしてこれから役に立てるかと思ったのに・・・うぅ・・・・・・)
(ぁぁあああぁああぁぁぁぁああああああぁぁあああァァァァアァアァアアアアアアァァアア嫌だぁあああぁぁあぁあああああ)

 ルイズとギーシュ、二人の苦悩は続いた。




「女王陛下か」
アーカードは部屋に招かれて開口一番そう言った。
「あはは・・・」
アンリエッタは少し困ったように苦笑いを浮かべる。

 今部屋にいるのは、アンリエッタ、アニエス、ルイズ、アーカード。
アルビオン軍を撃退して一週間。戦争後のゴタゴタも少しずつ収束し、改めて話す機会を設けるために二人を呼んだのである。


 タルブでの決戦。トリステイン軍はアルビオン軍をくだし、見事勝利を収めた。
城下はこれ以上ないほどの賑わいを見せ、アンリエッタは聖女と崇められた。

 トリステインの民の誰もがアンリエッタ女王の即位を望み、そしてアンリエッタはその期待に応える形で戴冠した。
ゲルマニア皇帝との婚約も正式に解消となり、アンリエッタは女王として政をおこなっている。

「・・・こうして顔をつきあわせるのも、なんだかとても久し振りな気がします」
「そうですね。姫さ・・・いえ・・・陛下、とても忙しそうでしたから」
「やめてちょうだいルイズ、私がどのような立場になろうとあなたは大切なお友達です」
「ふふっ、わかりました。姫さま」
アンリエッタとルイズは互いに微笑み合う。


「そ~れ~で、まだまだ忙しいのだろう?無理に時間を作ってまで我々に構わなくてもいいのだぞ、のうルイズ?」
「はい、・・・姫さま。アーカードの言う通り、私たちの事ならお気になさらなくても結構です」
「確かにまだまだ忙しいです。心労も日に日に溜まっていくばかりで、とても大変です」

 そこでアンリエッタは一拍置いた。
「しかし、先の戦での・・・二人の英雄に恩賞を与えないといけませんからね」
アーカードは眉を顰める。ルイズはアニエスへと目を向けた。

「二人?」
疑問を抱いたアーカードは思わず口に出た。
「はい、勿論あなたがた二人です」
あぁ、とアーカードは思った。使い魔の功績は当然主人であるルイズの功績だと。

「示威行動中の敵艦隊を落とし、レキシントン号を奪って援軍にきてくれたのはアーカードさん、あなたなのでしょう?」
「まあ、な」
「そしてタルブ上空に位置した、アルビオン艦隊を落としたと思われる謎の光球。あれはあなたね、ルイズ」


 そう言われるもルイズは何も言わず黙ったままであった、しかし視線はアニエスへと向いたまま見つめている。
「申し訳ない、ラ・ヴァリエール殿。貴方に口止めされていたが、私は陛下直属の騎士だ。陛下に直接問い質された以上、言わないわけにはいかなかった。
 それに・・・貴方がしたことは賞賛されることこそあれ、非難されるような事は何一つありません。心情もお察しするが、無理に隠すことではないと思った判断ゆえです」

 ルイズは改めてアンリエッタを見つめる。
「あなたなのね、ルイズ」
「・・・・・・はい」
観念したのかルイズはそれを肯定し、アーカードは目を丸くしてルイズを見つめた。
「なに・・・?」
ルイズは少し恥ずかしそうに顔を下に向けていた。

「あれは・・・・・・そうか、主がやったのか。んむ、聞いてないぞ」
「そりゃ言ってないもの。なんというか、一回話すタイミングを逃しちゃったから今更言いづらくて・・・。
 それにその・・・一旦落ち着いちゃったら、なんだか実感が湧かなくて・・・・・・まるで白昼夢を見ていたようで、まだはっきりと信じられないの。」

 ルイズはゆっくりと語り始めた。
水のルビーのこと、始祖の祈祷書のこと、そこに書かれていたこと。
自分が魔法を使った時の状況、そしてその結果。




「なるほどのう、虚無か。私がガンダールヴであったのは至極当然の帰結だったというわけだ」
「あら、アーカードさんはガンダールヴだったんですか?」
アンリエッタの質問に、アーカードはうんうんと頷く。

「ふむ、凄いじゃないかルイズ」
ポンポンと、アーカードは素直に褒めてルイズの頭を撫でる。
「ちょ・・・ちょっとやめてよ、姫さまの前なんだから」
アンリエッタはその仲睦まじい様子を見て穏やかに笑う。


「あぁ、そうそう。裏切り者のワルドは殺しておいたぞ」
突然思い出したかのようにアーカードは口を開き、その内容にアンリエッタの顔が一瞬強張る。
「犬の餌になった、だからウェールズの時のように話すことは出来んのであしからず」
「・・・・・・そう、ですか」
沈んだ表情を見せたアンリエッタだが、すぐに気を取り直す。
ワルドの裏切りの件は既に殆どの決着がついている。
残っていたのは本人に対する粛清のみであったが、アーカードが殺したというのなら最早言うべきことは何もない。


「それで・・・恩賞の件なんですが、虚無は一国ですら持て余す非常に危険な力です。王宮内部も信用できる人間ばかりではありません。
 故にその功績を白日の下に晒せば・・・・・・ルイズ、あなたに危険が及んでしまう可能性が多分にあります。だからその・・・――――――」
ルイズはアンリエッタの言いたい事を察して、首を振った。

「構いません、私の身とこの力は全て姫さまに捧げます。そこに見返りなんて求めていません、大切な友を助けるのは・・・当然ですから」
ルイズは笑ってそう言った、微塵の打算もない心からの言葉。
そんな純粋なルイズは、王宮内で揉まれるアンリエッタにとってこれ以上ない、何者にもかえがたいものであった。

「本当にありがとう、ルイズ」
ルイズとアンリエッタはゆっくりと抱き合い、その絆を確認する。



「アーカード殿」
アニエスが口を開く。抱き合う二人に向いていたアーカードの視線がアニエスへといく。

「本来ならば貴方の功績も隠匿すべきことなのだが・・・・・・その・・少々目立ち過ぎた」
ルイズとの絆を確認し終えたアンリエッタが、そこに付け加える。

「人の口に戸は立てられません。あなたを目の前にして逃亡した、と言うアルビオン兵士が多数いまして・・・」
「まあ、大分殺して回ったからの」
穏やかではないその言葉に少し緊張が走った。
殺すことになんの感慨も見せないようなその声色に、少女が化物なのであると改めて認識させられる。

「・・・えぇ、ですからアーカードさん。あなたには、『シュヴァリエ』の称号を授与します」
「実力で以って認められる騎士の称号だったな、ひいては貴族になるということか」
身近な存在としてタバサが挙げられる。目の前のアニエスもそうである。


「その通りです。破壊の杖奪還と、今は脱走してその所在が掴めないのですが『土くれ』のフーケ捕縛の件も含め、アーカードさんにはそれだけの資格がありますから」
「脱走したのか。まぁしかし異世界の吸血鬼が、名誉ある騎士の称号など・・・いいのか?」
「えぇ、問題ありません。そのことを知っているのは極一部だけでなのでしょう?」

 アーカードは一瞬だけ考える、今現在に於いて自分を吸血鬼だと知っている者を頭の中で羅列する。
「そうだな、今のところ知っているのは一応信頼できる者だけだ。レキシントン号を旗艦とした艦隊の人間は皆殺しにしたしの。
 タルブでは一応、人間の常識の範囲内で暴れまわったに過ぎんから、多分大丈夫だろう。銃を振り回し、嬉々として殺しまくってた程度の認識の筈だ」

「そ・・・そうですか」
アンリエッタは苦い顔をする。
とりあえずさしあたって問題は無いようなので、予定通りシュヴァリエを授与することにする。

 一方ルイズはポカンとしていた、自分の使い魔がシュヴァリエを授与されるなんて・・・・・・でも当然といえば当然であった。
元々平民だからどうとか、吸血鬼だからどうだとか、そういう見方はルイズにはなかったし、なによりもとても名誉なことだ。
ルイズは素直に喜ぶことにした。略式だが叙勲式が行われる。アーカードにとっては手馴れたものなのか、滞りなくそれは終わった。


「ルイズ、あなたは私直属の女官とします。もしかしたらあなたたちにしか頼めないような事をお願いするかもしれません。不便がないよう、これを」
そう言うとアンリエッタは許可証をルイズに渡し、説明した。

「『始祖の祈祷書』もあなたが持っていて。・・・・・・本当は話したい事がまだまだあるのだけれど、女王になってからやる事が多すぎて・・・ごめんなさい」
「いえ姫さま、お気になさらないでください。また時間が出来た時に、昔のようにお話ししましょう」
ルイズの笑顔にアンリエッタもつられる。
目の前の大切な友人がいるから、様々な思惑が渦巻く王宮でも、つらい仕事が積まれても、自分は頑張れるのだと。

                                                            zero
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール、シュヴァリエ・アーカード。あなたがた二人で、非公式ですが『王立虚無騎士団』をここに設立します」




「王立虚無騎士団、通称『ゼロ』機関・・・ね、ははっ」
学院へと戻る馬車の中、アーカードは一人何かを思い出し笑う。
「しかし・・・この格好にマントは似合わんのう」
喋るアーカードの言葉も耳に入らず、ルイズは押し黙っていた。
「まぁ必要な時にだけ、出して着ればいいか」

 なんのレスポンスも返ってこず怪訝に思ったアーカードはルイズへと目を向ける。
俯いたままずっと何かを考えているようであった。


「お~い」
「・・・」
「あるじ~」
「・・・・」
「ますた~」
「・・・・・」
「ルイズ~」
「・・・・・・」

 全く反応のないルイズに対し、アーカードは思いついたかのようにキスをした。
俯いた顔に潜り込むような形で、素早くルイズの唇に己の唇を合わせる。
「んっむぐぅ・・!!??」

 アーカードが押さえ込もうと手を伸ばした瞬間、ルイズは反射的に素早く身をよじらせて回避した。
それは過去の経験からか、本能からか、反射か、無意識か、いずれにせよルイズとアーカードの距離が開く。
暫しの沈黙が流れたが、ルイズはただ溜息だけをしてその様子にアーカードは首を傾げた。


「なにか反応してくれないとつまらないではないか、主に私が」
「ふぅ・・・、残念だけどもうキスくらいじゃ狼狽えないわよ。・・・・・・それに今はそんな気分じゃないの」
「何か悩んでいるのなら相談に乗ってやるぞ、私は主の使い魔なのだからな」

 一転してアーカードは真剣な目でルイズを見つめた。
ズルイ。普段はおちゃらけたりからかったりする癖に、いきなり真面目になって。
変な包容力があるし、と思えば平然と人を殺す面も持ち合わせているし。

 つくづく読めない使い魔である。雲のように霧のようにのらりくらりと・・・、掴めない性格だ。
(私が虚無の担い手でも、これからどれだけ修練を積んでも、きっとこの使い魔を御する日は永遠にこないんだろうなぁ・・・)


 ルイズは心の中で一人ごちる。でも、今の関係も悪くないと・・・どこかで思っている自分がいた。
「そう・・・ね、話せば少しは楽になるかもね。アーカードに隠していても・・・・・・しょうがないし」
憑き物が落ちたようにルイズは気の抜けた顔を見せる。次いでゆっくりと『虚無』のこと、そして自分の胸の内を語り始めた。

(・・・ちょろいもんだな)
アーカードは一応真剣に聞きながらも、立ち直ったルイズをどうやって弄るかを考え始めた。



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