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ゼロの魔獣-15


―チェルノボーグの監獄。

一切の不審人物が立ち入ることのできないハズのその館内を、
明らかにその場に似つかわしくない不審者が二名、我が物顔で進んでいく。

片方は長身の白仮面。
黒マントからのぞく長柄の杖が、かろうじて彼がメイジである事を推測させる。

もう片方の男の格好は、その場どころかその世界にすら似つかわしくない。
大柄の恰幅のいい肉体にスーツ姿、その上から、さらに白衣を羽織っている。

ふたりは目的の牢獄の前までたどり着くと、その女性とおぼしき囚人に声をかける。
「迎えに来たぞ『土くれ』よ」

『土くれ』と呼ばれたその囚人は何の反応も示さない。
訪問者の方を見ようともせず、空になった茶碗で遊んでいる。
『仮面』の男が言葉を続ける。

「ここから出たくは無いかね『土くれ』のフーケよ」
「・・・・・・・」
「アルビオン王家が滅ぶ瞬間を見たくは無いか?
 マチルダ・オブ・サウスゴータ・・・」

フーケはまるで言葉が聞こえないかのように、木製のスプーンをクルクルと回している。
チッ、と仮面が舌打ちをする。
『土くれ』のフーケが一介の学生に敗れ、心を壊された、という噂は耳にしていたが
これ程の重症だとは思いもしなかった。
目の前の彼女の行動が演技であるなら、最後の言葉には何らかの反応を示すはずだった。

まったくの無駄足だった。そう思い、立ち去ろうとした仮面の肩を、白衣の男が叩く
白衣の男は、無言でフーケの手元を指差した。

それは、奇妙な光景だった。
フーケの手を離れたスプーンが、木製の椀の中で独楽のように回転している。
よく見ると、フーケの右手には鳥の骨が握られている。
食事に出たのであろうソレを削り、時間を掛けて練り上げた、杖の代用品といったところか。
無論、そんな有り合わせの得物で使える魔法など、たかが知れているが・・・。

フーケが骨を振るう。
スプーンの先が木串のように尖り、徐々に回転のスピードが増していく。
木椀が削れ、木クズが螺旋状に宙を舞う。木が焦げる臭いが鼻を突く。

やがて、パキッ、という乾いた音とともに、椀が二つに割れ、周囲に静寂が戻った。


「そうか・・・ そうだったんだ・・・!」

何事かをブツブツと呟いていたフーケが、突如、嬌声をあげる。

「フフッ フハハッ ハァッハハハハハハハハアアッ!!
 わかったァッ!! わかッたぞォ!! 魔獣ッ!!
 魔法とはッ! 力とはッ! ゴーレムとはッ!!
 全ての答えは回転の中にあった!!
 こんな! こんな簡単な事だったなんてッ!!
 真のゴーレムがッ! 史上最強のゴーレムがついに完成したァ!!
 クァーッハッハハハッハハハハハハアアアア!!!!」

来た当初はまるで狂人のようだったその囚人は、今や完全な狂人そのものと化していた。

「ミスタ・・・人選を間違えたのではないのか・・・?」
フーケの突然の変貌ぶりに、仮面が問う。
「フフ・・・これから戦う相手の事を考えれば、これぐらいのヤツの方がいい。」
白衣の男がニヤリと笑う。

ピタリと嬌声が止まり、囚人の双眸が訪問者達を捉える。

「ここから出してもらえるかい? 旦那方・・・
 そちらの期待以上の働きはしてやろうじゃないか

 この『土くれの』フーケの新境地・・・

 螺旋の妙技を とくと見ておくがいいさッ!!!!」

大きく吊り上ったフーケの両目の奥で、深緑の瞳がグルグルと渦を巻いていた。


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