あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔のカービィ 02


――カービィがルイズに召喚されたその夜。

1人と1体はルイズの部屋に帰ってきた。
カービィを喚び出すまでにかなりの魔力を使ったルイズは既にヘトヘトで、部屋にはいるとすぐにベッドへダイブした。
一方のカービィは、窓から2つの月を眺めはしゃいでいる。
(そんなに月が珍しいのかしら?)
ベッドの上でそんなことをぼんやり考えながら、ルイズはカービィの事へと思考を切り換えた。
思い返せば、カービィがどういう種族の使い魔なのかという基本的な事さえわかっていない。
ルイズは魔法が使えない分、周囲の生徒達よりも勉強し、それなりの知識は頭に入っている。
しかし、カービィは彼女が知っている種族のどれにも当てはまらないのだ。
モグラでも、竜でも、サラマンダーでも、ゴーレムでも、オークでもない。
一見しただけでも、カービィはかなり珍しい部類に入る使い魔だった。
(もしかして私……凄い『当たり』を引いたのかも)
メイジの実力を知るにはその使い魔を見ろと言うが、もしカービィが珍しい幻獣だとしたら、そして凄い能力を身に付けていたとしたら。
(もう私はゼロじゃない! そんな素晴らしい使い魔を喚べたなら、みんな私をバカにしたりしない!)
今まで自分をバカにしてきた連中がひれ伏す。
教師達が神童だと自分を持て囃す。
家族に胸を張って顔向け出来る。
そして、ルイズの考えは更にヒートアップしていき………鎮静化した。
理由は簡単、残念ながら目の前ではしゃぐカービィが、そんな凄い使い魔には見えないからだ。
確かにカービィは珍しい。
しかしそれだけで当たりを引いたと思うには、些か根拠が足りなすぎる。
タバサが召喚していた風竜は、見ただけで力の程が分かる。
キュルケが召喚したサラマンダーも、ルイズにとって不本意だが素晴らしいものだった。
では、カービィは? と聞かれたら返答に困ってしまう。
何より魔法が成功しただけでもかなりの成果だ、これ以上望むのは虫が良すぎるかもしれない。
ルイズは余り大きな期待はせず、使い魔を得られたという事実に満足する事にした。
何より、彼女を慕い、支えてくれる者が1人増えたのだ。
それだけでもルイズに取っては大きかった。

(カービィの出生はまた明日にでも図書室で調べるとして………問題はカービィが使い魔としてどれだけやってくれるか、よね)
カービィの能力に期待はしないとしても、使い魔としては働いて貰わなければならない。
まずは『主の目となり耳となる能力』だ。
試しに目を閉じてみた、何も見えない。
次に耳を塞ぐ、何も聞こえない。
(ま、まあ、別に見てる物が見えなくても困らないわよね)
ルイズはこれをあっさりと諦め、『主が必要とする秘薬を捜してくる』はどうかと考えてみた。
が、これも恐らく無理だろう。
カービィにただの石ころと鉱石が見分けられるとはとても思えない。
しかも鼻を頼りに捜させるにしても、肝心の鼻孔が見つけられなかった。
段々と『役立たず』の考えがルイズを侵食してくる。
(ま、まあ、別に秘薬なんて使わないからいいけどね! どうせ私ゼロ……だし……)
自分を勇気づける所か小さい傷を残してしまったルイズだった。
その後なんとか持ち直し、最後の『主を守る存在』として役立つかを考えてみた。
……が、やはりこれも絶望的であった。
精神的に幼いというのもあるが、何よりカービィの身長は20サント程しか無いのだ。
その小さな体でどう主人を守ると言うのだろう。
メイジはおろか平民にも踏みつぶされてしまうのがオチだ。
これらのことから総じてカービィは―――

そこでルイズは思考を打ち切った。
漸く呼び出した使い魔が役立たずなんて思いたくない。
それでは自分がゼロであることを認めてしまう気がするから(さっきのはノーカウントらしい)
はぁ、と大きな溜め息をつき、ルイズは枕に顔を押し付けた。
きっと疲れているからこんな悪い考えしか浮かばないのだろう。
使い魔の事は兎に角明日考えるとして、ルイズは眠りにつくことにした。
その時、ベッドが少しだけ軋み、ルイズは何かに肩を叩かれた。
何かといっても1体しかいないが。

「カービィ……?」
「ぽよぉ?」
ルイズが顔を上げると、そこには心配そうに彼女を見つめるカービィがいた。
今し方の溜め息が聞こえてしまっていたようだ。
「心配、してくれてるの……?」
「ぽよ!」
カービィは笑顔で元気よく答えた。
その姿はやはり愛らしくてーー
「……ありがとう」
ーーこんなに優しい使い魔を一瞬でも役立たずと思ってしまった自分を、呪ってしまいたくなるほどだった。
ルイズはお詫びにといわんばかりに、カービィをぎゅっと抱き締めた。
最初は少し苦しそうにしていたカービィだが、慣れたのかルイズに抱かれたまま静かになった。
…………………………
(少し静かになりすぎたような……?)
ルイズが胸元のカービィを見ると、彼は既にすやすやと夢の世界へ旅立っていた。
いい夢でも見ているのだろか、顔がニヤついている。
その顔に、思わずクスリと微笑むルイズ。
(分からないことも課題も山積だけど……ま、何とかなるわよね)
何より自分にはカービィがいる。
ルイズはカービィを抱き締めたまま、静かに眠りについた。

月に照らされた2つの寝顔は、それはそれは穏やかなものだった。


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