パンドラキックはアテナ用 ◆2RguXBg.P2
「実験、だと? それにここは……」
確かにそこは広大な墓地の中心だった。
しかし冥王ハーデスに仕えるパンドラにはわかる――この墓地は、まがい物だ。
死者の怨嗟の声、またはそれに類するものを感じないのだ。相反する、弔いの心さえも。
土を盛り、十字架を立てただけで、その下に亡者はいない。在ったとしても別の何かだ。
「あの男……どこまで死を……ハーデス様を侮辱する!!」
彼女にとっては冥王による死こそが絶対なのだ。
それに仕える者――己や冥闘士――とハーデス自身以外がその力を弄ぶことは許されない。
それはハーデスの依り代の分際でありながら、その力を我が物としたアローンにも言える。
ましてや、どこの馬の骨とも知れぬ男の実験による殺し合いなどと。
確かにそこは広大な墓地の中心だった。
しかし冥王ハーデスに仕えるパンドラにはわかる――この墓地は、まがい物だ。
死者の怨嗟の声、またはそれに類するものを感じないのだ。相反する、弔いの心さえも。
土を盛り、十字架を立てただけで、その下に亡者はいない。在ったとしても別の何かだ。
「あの男……どこまで死を……ハーデス様を侮辱する!!」
彼女にとっては冥王による死こそが絶対なのだ。
それに仕える者――己や冥闘士――とハーデス自身以外がその力を弄ぶことは許されない。
それはハーデスの依り代の分際でありながら、その力を我が物としたアローンにも言える。
ましてや、どこの馬の骨とも知れぬ男の実験による殺し合いなどと。
「許せん……ハーデス様の名の下に、あの主催者を断罪してくれる!」
思わず振りかざした杖から電撃が迸る。
大きな石造りの墓――石碑と呼んだほうが正しいが――の一片が砕けた。
ただ、その力は普段より弱まっているようだった。いつもならば石碑全体を粉砕している。
しかし怒りに身を焦がした彼女には気付けない。
大きな石造りの墓――石碑と呼んだほうが正しいが――の一片が砕けた。
ただ、その力は普段より弱まっているようだった。いつもならば石碑全体を粉砕している。
しかし怒りに身を焦がした彼女には気付けない。
「参加者たちもだ……この死を愚弄する実験に参加するならばそ奴らも同罪!」
この実験は団体戦なのだが、パンドラは勢力を問わず殺す気でいた。
――この場で、いや、この世で背中を任せられる者などいようものか。皆殺しにしてしまえば自然と勝利条件は達成される。
そうすればまたあの鏡張りの部屋か何処かで主催の男と出会えるだろう。
彼女は孤立無援を恐れない。弟――ハーデスの魂が奪われた時から、彼女はずっと、本質的には独りだったのだから。
この実験は団体戦なのだが、パンドラは勢力を問わず殺す気でいた。
――この場で、いや、この世で背中を任せられる者などいようものか。皆殺しにしてしまえば自然と勝利条件は達成される。
そうすればまたあの鏡張りの部屋か何処かで主催の男と出会えるだろう。
彼女は孤立無援を恐れない。弟――ハーデスの魂が奪われた時から、彼女はずっと、本質的には独りだったのだから。
そして。
あの暗闇の中で見た、天馬星座(ペガサス)のテンマと、天魁星メフィストフェレスの杳馬の姿が焼きついて離れない。
パンドラにとってはどちらもアローン同様の讐敵だ。
あの暗闇の中で見た、天馬星座(ペガサス)のテンマと、天魁星メフィストフェレスの杳馬の姿が焼きついて離れない。
パンドラにとってはどちらもアローン同様の讐敵だ。
思えば杳馬とパルティータはその身に天馬星座の魂が宿ることを知りつつテンマと名付けたのだろう。
良い名だと思っていた過去の自分の無知蒙昧さに反吐が出る。
幼き日のささやかな夢。テンマ自身には罪はないのではないかと一瞬脳裏をよぎる。
しかしそれをも砕く。アテナの聖闘士というだけで重罪だ。まして天馬星座であるならば。
良い名だと思っていた過去の自分の無知蒙昧さに反吐が出る。
幼き日のささやかな夢。テンマ自身には罪はないのではないかと一瞬脳裏をよぎる。
しかしそれをも砕く。アテナの聖闘士というだけで重罪だ。まして天馬星座であるならば。
そして、杳馬。
パンドラから弟であり生きる喜び――ハーデスを、友――パルティータへの信頼を、全てを奪った男。そしてテンマの父。
そしていきなり後ろから両胸を――まあそれはいい。
とにかく人の心を弄び、事態を混乱させることを至上の悦びとする男。
この実験でも大喜びで彼が育てる踊り子を探していることだろう。
「あの男が! 全ての元凶! 冥府送りにするだけでは済まされぬ!」
周囲に雷を落としヒステリックに八つ当たりする。誰かに感知されるかもしれないとは露とも考えずに。
――殺す。二度と蘇らぬよう魔星すらも抹消してくれる。
パンドラから弟であり生きる喜び――ハーデスを、友――パルティータへの信頼を、全てを奪った男。そしてテンマの父。
そしていきなり後ろから両胸を――まあそれはいい。
とにかく人の心を弄び、事態を混乱させることを至上の悦びとする男。
この実験でも大喜びで彼が育てる踊り子を探していることだろう。
「あの男が! 全ての元凶! 冥府送りにするだけでは済まされぬ!」
周囲に雷を落としヒステリックに八つ当たりする。誰かに感知されるかもしれないとは露とも考えずに。
――殺す。二度と蘇らぬよう魔星すらも抹消してくれる。
砕けた十字架を見て息を荒げながらこの実験について考える。
消滅したはずがハーデスの力を乗っ取っていたアローン。
それを討つためにロストキャンバスを目指していたパンドラ。
そこで出会った天馬星座とメフィストフェレス。
抹殺しようと動いたパンドラ。
何故いつの間にかこのような場所でこのような実験に参加させられているのかという疑問はある。
“神”の力を感じるが、アテナもハーデスもこのような戯れを好まないはずだ。
或いは――あの“聖戦”こそが神々の戯れなのかも知れないけれども。
消滅したはずがハーデスの力を乗っ取っていたアローン。
それを討つためにロストキャンバスを目指していたパンドラ。
そこで出会った天馬星座とメフィストフェレス。
抹殺しようと動いたパンドラ。
何故いつの間にかこのような場所でこのような実験に参加させられているのかという疑問はある。
“神”の力を感じるが、アテナもハーデスもこのような戯れを好まないはずだ。
或いは――あの“聖戦”こそが神々の戯れなのかも知れないけれども。
――ではアローンは?
確かにこの実験ならば真実の色とやらも存分に現れることだろう。
神気取りで自己憐憫に満ちた彼の者の場合、この実験を行いながら血の涙を流し、それを“救済”と呼ぶだろう。
しかしお互いに刃物を向け合う行為には目を背ける偽善者は、この場の者が死に至るまで苦しむのを、決して好みはしない。
そして因縁のある天馬星座をこのような場でむざむざと殺すだろうか。
確かにこの実験ならば真実の色とやらも存分に現れることだろう。
神気取りで自己憐憫に満ちた彼の者の場合、この実験を行いながら血の涙を流し、それを“救済”と呼ぶだろう。
しかしお互いに刃物を向け合う行為には目を背ける偽善者は、この場の者が死に至るまで苦しむのを、決して好みはしない。
そして因縁のある天馬星座をこのような場でむざむざと殺すだろうか。
――――今考えても仕方のないことだ。実験者に会えば全てわかる。
ルールに従うのは癪だが、元々冥王のために全ての人間に死という断罪を与えようとしていたのだ。
それが少し変わっただけ、と己を納得させようとする。
ルールに従うのは癪だが、元々冥王のために全ての人間に死という断罪を与えようとしていたのだ。
それが少し変わっただけ、と己を納得させようとする。
「私は勝ち抜いてみせる……そして再び主催者が現れた時が、あやつの最期の時! ……ハーデス様……どうか私に勝利を」
そしてふと呟いた。
「天馬星座……アテナなき世界で貴様は何を守る?」
「天馬星座……アテナなき世界で貴様は何を守る?」
【(C-7/墓地・一日目・深夜】
【パンドラ@聖闘士星矢 冥王神話】
[属性]:悪(set)
[状態]:ハイテンション
[装備]:パンドラの杖
[持物]:基本支給品、未確認支給品1~3
[方針/目的]
基本方針:実験を勝ち抜き、主催者をハーデスの名の下に断罪する
1:テンマと杳馬を探しだして殺す
2:他の参加者も発見次第殺す
[属性]:悪(set)
[状態]:ハイテンション
[装備]:パンドラの杖
[持物]:基本支給品、未確認支給品1~3
[方針/目的]
基本方針:実験を勝ち抜き、主催者をハーデスの名の下に断罪する
1:テンマと杳馬を探しだして殺す
2:他の参加者も発見次第殺す
※パンドラの杖
己の気を雷撃として撃ち出すもの。本来はパンドラ専用だが魔力などでも可。
気や魔力を高めることで打撃武器としての威力も上がる。
己の気を雷撃として撃ち出すもの。本来はパンドラ専用だが魔力などでも可。
気や魔力を高めることで打撃武器としての威力も上がる。
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