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聖闘士として ◆uBMOCQkEHY


午前6時。
空が明るさを帯び、闇が薄らいだ頃、一人の声が会場全土に轟いた。
『あー、私の名前は賀来巌……
私も参加者の一人だが、主催者からの指示により、H-4のテレビ局で放送を行うこととなった……』
その一言から始まった、時間の区切りを告げるラジオ。
主催者の指示を受けた参加者――賀来という男の名乗りから始まり、死亡者の名と禁止エリアが淡々と読み上げられていく。

そして――
『本来ならここでマイクのスイッチを切るべきなのだろう……
しかし、私は切らない……
なぜなら、ある悪魔と戦うために仲間を集っているからだっ……!
この世を滅亡に導こうとした悪魔っ…!
その悪魔の名は――』
『えっ…』
『バン!』
『き…聞いて…くれっ…!奴が求めているのは……仲間じゃない……獲物だっ……!
奴はオレを…ゴホッ……!』
『“テンマ”っ!貴様っ!』

放送者のトラブルらしき音声を中途半端に発信したまま、放送は終了した。

「何だったんだ……あれは……」
その寸劇の如き流れを、テンマは呆然と聞いていた。
一体、何があったのか。
息も絶え絶えに訴える、“テンマ”とは誰なのか。
「あの声は……」
聞き覚えがある。
しかし、テンマの記憶が正しければ、その人物は“テンマ”という名ではなく――

「テンマくん、放送の内容、何とかメモ取れたわよ!」
「あ……タイガ……助かった……」
テンマはハッと我に返ると、大河の方を振り返った。
大河は、士郎の前では自堕落な姿を見せているが、実際は教師としてのしっかりとした面も持ち合わせている。
この放送内容のメモも、彼女の機転からであった。

(こういう発想は思い浮かばなかったな……)
テンマは大河の存在に感謝しつつ、大河のメモを覗きこむ。
「………」
テンマの表情に陰りが浮かぶ。
脱落者の中にテンマと大河が求める人物の名は存在してなかった。
しかし――
「アイビーの名前……呼ばれちゃったね……」
大河はメモを握りしめる。
「また……会おうって約束したのに……」
その手は悲しみで震え、瞳からは大粒の涙がポトリと流れ落ちていた。
「タイガ……」

ポイズン・アイビー。
テンマと大河が始めて会ったこの実験の参加者。
植物を自在に操る不思議な能力を持ち合わせ、ワイングラスのように滑らかにくびれた腰や豊満な胸からは蠱惑の色香を漂わせていた。
誰よりも植物を愛し、植物を傷付けるものであれば、どのような人物であれ襲いかかる、著しく偏った激情家であったが、その根底にはやさしさがあることを、テンマと大河は知っている。

大河は涙で赤くはれた目をこすりながら顔をあげる。
「たけるくん……無事かな」
「タケルは……」

名前は呼ばれていない。
なぜ、アイビーが死に、たけるが生き延びているのかは、情報が少なすぎる現時点で特定することは難しい。
しかし、これだけは言えた。

「アイビーを倒した相手は……かなりの強敵だ」
植物の罠で相手を陥れる戦法を得意とするアイビー。
植物単体ではそれほどの力はないが、不意を突かれ蔦に捕まれば、それを破るのは容易なことではない。
テンマ達がアイビーと出会った時には森の罠はすでに完成していた。
あの縦横無尽に張り巡らされた罠を掻い潜り、アイビーを倒すことができたとすれば、相手は相当の歴戦の猛者であろう。
たけるを守ろうとしていたアイビーのことだ。
その猛者と戦いながら、たけるを逃がすことにおそらく成功した。

「だから……たけるの名が呼ばれなかった……オレはそう思っている……」

それが最もしっくりくる流れではある。
無論、そうあって欲しいというテンマの願望でもあるわけなのだが。
「けど……」
けれど、それは所詮、一時的な凌ぎでしかない。
たけるは戦う術を知らない普通の少年だ。
一人のままではいずれ誰かに狙われる。
たけるに危険が及ぶ前に――

「テンマくん!」
大河は立ち上がり、テンマの肩を掴んだ。
「たけるくんを助けに行こう!一人にしちゃ危険よ!」
「タイガ……」
テンマの経験から言わせてもらえば、この広大なフィールドで、たけるを見つけ出すのは苦難を極めることになることは目に見えていた。
ましてや、今のテンマの小宇宙は微弱なものでしかない。
もし、たけるを助けに行けば、アイビーを倒した敵と戦うことになることは必至である。
侵入者が入ったと分ければ、津波の如き物量の蔦で相手をねじ伏せてしまう、あのアイビーの牙城を崩した敵と――。
誰が見ても、テンマ達に不利としか思えない状況。
それでも――
「行こう、タイガ!たけるを探しに!」
テンマの気持ちは大河と一緒であった。
「今、行けば、たけるを保護できるかもしれないからなっ!」
(こんな苦難……今に始まったことじゃないんだっ!)

冥王・ハーデスとの戦いは常に、生死を分ける“苦難”の繰り返しであった。
多くの友や仲間の命が散っていった戦い。
時に打ちひしがれ、慟哭をあげる時もあった。
それでもテンマは戦い抜いてきた。
この戦いの先に、平和があることを信じて――。
そう、例え僅かであったとしても、希望が残っているとすれば、それを掴むために全力を尽くすべきなのだ。


「テンマくんが同意してくれて、嬉しい!
じゃあ、さっそく行きましょ、『ゴウラム』ちゃんで!」
「そうだな…………って、ちょっと、待ってくれ!」
ゴウラムを呼び出すスイッチを押そうとする大河を、テンマは全力で止める。
「えー、何でよ!」
「周囲を見てみろよ!!!」
「え……」
大河はテンマに言われるがまま、周囲を見渡す。

周囲は木々が乱立する林。
アイビーの罠が張り巡らされた森程見通しが悪いわけではないが、仮にもし、ここで馬を走らせようとすれば、その馬は3メートル進む間に、脚を止めなければならないであろう。

「こんな場所で、ゴウラムを呼べば、絶対木々をなぎ倒して着地する!
そうしたら、目立つだろ!
ただでさえ、あのアイビーを倒した奴が近くにいるかもしれないんだ!
ちょっとは用心した方がいい!」
「む……むぅ……」
大河は“ゴウラムちゃんで移動した方が早いのに……”と愚痴を洩らしながらも、テンマの方に理があることを悟ったのか、スイッチをディバックの中に戻した。

「タイガ……理解してくれてありがとう……」
テンマは思わず冷や汗を拭う。
大河は率先してメモをとるなど、テンマにはない機転を持ち合わせている。
しかし、不用意にゴウラムを呼び寄せたりするなど、軽率な行動に出ることも多々ある。
今度、似たような行動に出た時ははっきり注意しよう。
テンマはため息をつきながら、そう決意するのであった。

「面倒臭いけど、河まで戻ってから、ゴウレムちゃんを呼びましょ!」
“では、レッツゴー!”と、大河が元気に拳をあげて、回れ右をした時だった。
「つっ……」
大河の表情が一瞬、歪んだのだ。
「どうした、タイガ……?」
駆け寄ろうとするテンマに対して、大河はわははっと豪快に笑い飛ばす。
「一体、キミの方こそ、どうしたんだね。私はこんなにもピンピンしているぞ!!
だから、すぐにたけるくんの元へ……」
「もしかして、足……何かあったのか……」
「……」

テンマは大河の表情が変わった瞬間、足を庇うしぐさをしていたことを見逃さなかった。
大河は“テンマくんは洞察力があるわねぇ……”と、苦笑いを浮かべながら、左の踵をさする。
「この靴、ハイキング向きの靴じゃなくて、ちょっと擦っちゃったみたい……」
確かに大河が履いている靴は紐のない革靴――21世紀ではローファーと呼ばれる、舗装された道に適した靴である。
当然、テンマにはその知識はないが、一目見て、その硬さから長時間歩くための靴ではないことを察した。

「あははっ、迷惑掛けてごめんね……」
大河は“悪い悪い”と、愛嬌をふりまきながら、詫びる。
しかし、気さくさとは裏腹に、笑みは次第に陰りを帯び始める。
「でもさ……」
大河は言葉を詰まらせ、呟く。
「私の痛みなんて……一人ぼっちになっちゃった、たけるくんの心の痛みに比べれば……痛みにすら入んない……
こうして、私が足をさすっている間にも……
たけるくん、危ない目に合っているかもしれない……
こんな痛みぐらいで立ち止まっているなんて……とっても……もどかしいよ……」
「タイガ……」
テンマは悟った。
大河がこの林の中で、ゴウラムという巨大な飛行兵器を呼ぼうとしたのも、一刻も早くたけるを助けなければならないという焦りからであったことを。
今、目の前の女性の気持ちに答える方法は一つしかなかった。
「タイガ……河まで急ごう!」

テンマはそう叫ぶや否や、大河の腕を引っ張る。
「え……え~!!!」
大河が状況を把握した時には、テンマは大河を背負い、林の中を駆け出していた。
「な……な……」
驚いたのは大河の方である。
大河を背負っているのは士郎よりも幼い少年。
体格も士郎と比較すると一回り小さいくらいであろう。
そんな少年が体重(自主規制)kgの成人女性を、二宮金次郎の薪の如く背負い、悪路を走り抜ける。
しかも、この少年はその程度のこと屁でもないらしく、涼しげな表情のままで――。
「え……えーと…テンマくん…」
大河の心に、何とも言い難いむず痒さが込み上がってくる。
それは、物のように扱われていることへの不平なのか、大した怪我でもないのに赤ん坊のように背負われていることへの照れなのか。
とにかく、この入り混じった感情を整理することができない大河は、“おろしなさ~い!”と、テンマの背中をポカポカ叩く。

「ははっ、くすぐったいよ、タイガ!」
テンマはその子供じみた反応を大らかに受け流す。
(けど……)
その瞳は真っ直ぐに林の先――たけるがいるであろう東の方角を見据えていた。

たけるは東洋人独特の健康的な褐色の肌の持ち主であり、その天真爛漫な笑顔は太陽が燦々と輝く浜辺を連想させた。

(あの笑顔を消してなるものか!)

たけるが生きているという僅かな可能性を信じ、テンマは河を目指した。

【B-9/林:朝】

【テンマ@聖闘士星矢 冥王神話】
 [属性]:正義(Hor)
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、未確認支給品1〜3
 [思考・状況]
 基本行動方針:聖衣を取り戻し、この場から脱出する
 1:タイガを守る
 2:パンドラを探す
 3:バットマンとマッティーに会ったら協力を頼む
 4:たけるを助ける

【藤村大河@Fate/stay night】
 [属性]:一般人(Isi)
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、スーパーマンのコスチューム、Pちゃん・改@天体戦士サンレッド、装甲機ゴウラム@仮面ライダークウガ
 [思考・状況]
 基本行動方針:みんなと一緒に生きて帰る
 1:士郎を探す
 2:テンマが心配
 3:バットマンとマッティーに会ったら協力を頼む
 4:たけるを助ける

※承太郎から、吉良、DIOについて聞きました。

※装甲機ゴウラム
クウガの支援のために作られた、古代の兵器。自律飛行が可能。
最高時速500km/hを超えるが、本ロワにおいては、性能が大きく制限されている。
また、バイクと融合することでその性能を大きく向上させるが、ビートチェイサー2000以外と融合した場合
融合解除後に金属部分を失い、化石化してしまう。(金属を補充出来れば再生可能)
一度呼び出した後は、呼び出した人物の付近を飛行し、命令がなくとも自由意志で支援する。
その人物が死亡した場合は、最も近くにいる聖なる心を持つ人物に自動で委譲される。
もしくは支援対象本人による委譲宣言により、支援対象を変更可能。

※スーパーマンのコスチューム
バットマンの友人、クラーク・ケントがスーパーマンとして活躍するとき着るコスチューム。
スーパーマンのチート的能力は、全て本人の能力のため、服に特殊効果はない。

※Pちゃん・改
フロシャイムのヌイグルミ怪人チーム「アニマルソルジャー」の一員。
ヒヨコ型の怪人で、自身の改造のしすぎにより、会話もほとんど出来ない。
宇宙空間、深海を航行可能、液体金属のボディ、ビーム砲、核兵器など、フロシャイム最強クラスの能力を誇る。
ただし、すぐに充電が切れてしまうため、長時間は戦えず、サンレッドを倒すには至らない。
充電に成功しても、上記の能力は大きく制限されているものと思われる。


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Forest Of The Red(前編)(後編) テンマ [[]]
Forest Of The Red(前編)(後編) 藤村大河 [[]]

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