円卓の騎士。
アーサー王の影武者とも言われた、もう一人の聖剣の使い手である。
しかし、アーサー王を妄信的に崇拝しているが故、王の苦悩を知ることはなかった。
アーサー王の最期を看取ったヴェデヴィエールもガウェイン卿と同じ忠節の騎士だが、ヴェデヴィエールは王の人間としての幸福を心の底で願い、ガウェイン卿は王の王としての活躍を願ったのだろう。
◆
アーサー王が夜、月の象徴であるのに対し、ガウェイン卿は昼、太陽を背負っている。
その姿も見目麗しい事もあり、王城キャメロットではアーサー王の影武者、ないし王が倒れた後の代理候補の一人であった。
そんな周囲からの評価も意に介さず、ガウェイン卿はあくまでアーサー王の右腕であり続けた。
そんな彼の最大の後悔はランスロット卿との諍いである。
「ランスロット卿に兄弟を殺されたばかりか、あの黒騎士は王さえ裏切った。王の妻を拐かしたのだ。許せるはずがあろうか」
だが、最終的にアーサー王はランスロット卿を許す。
全ては余が悪かったと。
だが、ガウェイン卿はランスロット卿の裏切りを許せず、最後まで彼と敵対してしまった。
破門されながらもカムランの丘にはせ参じようとするランスロット卿をガウェイン卿は拒み続け、結果的に、彼は王を戦死させ、自らも戦死してしまう。
その結果から、英霊としてのガウェインは“王の補佐に徹する”事を絶対の使命として捉えているようだ。
カムランの丘で自戒するアーサー王のように、ガウェイン卿も死の淵で叫んだのだ。
自身の激情が王を死に誘った。
「―――もし次があるのなら。
まだ挽回する機会が、二度目の生があるのなら、今度こそ、自らの全てを王に捧げるよう―――」
◆
その誓いを胸にサーヴァント化した彼は、生前の悔い、過ちを正すため、より完成された「騎士」として主人に仕えた。
全てはひとりの、孤独な王の礎にならんがために。
|