あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

異世界BASARA-17


「今日は町に行くわ」
虚無の曜日…日曜日にあたるこの日にルイズは幸村にこう言った。
「町…都でござるか!拙者、この世界の都をまだ見た事が無い故に楽しみでござる」
学院から出た事がない幸村にとっても、町に行く事には興味がある。
幸村は本当に楽しみといった感じだ。
「遊びに行くんじゃないのよ?服に下着に…いろいろ買わなくちゃいけないんだから…」
「…ルイズ殿、あまり無駄遣いするのは良くないと思うのだが…」


「………無駄遣い?」


幸村の一言で、ルイズの口調が突然変わった。
気のせいか、体から怒りのオーラが漂っているようにも見える。
突然の変化に幸村は戸惑い、声を掛けられない。
「…私の服を力任せに洗ってボロボロにして破いたり…」
「ぬぁっ!?」
「床やテーブルを拭いてて小火を起こして…カーペットを燃やしたり…」
「あ……あ…」
「馬鹿みたいに熱いお茶を淹れてティーカップをダメにしたのは…」
ルイズはゆっくり…ゆっくりと振り返る。

「一体何処の誰だったかしらああああぁぁぁぁっっっ!?」
「ももも申し訳ありませぬうぅっ!全てこの幸村でござったああぁー!!」
振り返ったルイズの顔を一言で表すなら…「般若」の如き形相。
もはや幸村に残されたのは土下座して謝る事だけだった。

そんなやり取りがあった後、2人はトリステインの城下町へとやって来た。
道幅は5メイル程しかないが、並んでいる露店に行き交う人々、洋風の建築物…初めて見る光景に幸村は目を輝かせていた。
「おおー!活気に溢れた、良い町にござるな!」
元いた世界でも、幸村はお館様と都に上洛する為に勇を振るっていた。
言わば都に来る事は彼にとって夢だったのだ。

だが今日はそれにしても人が多い。
見ると、一角に人が集まって賑やかな声が聞こえる。
「そういえば今日は何か催し物があったわね。だからって勝手に歩き回っちゃダメよ!」
「う、うむ…心得ましたぞ」
人だかりを後にし、目的の店へと2人は向かって行った。


その一角から「飯ー!!」という大声が聞こえているが、それはまた別の話…


買い物は今のところ順調に進んでいる。
ただ、幸村が時折道に並ぶ露店に足を止めたりするのでその度に声を掛けなければいけないのが難儀だが。
「ルイズ殿、あれは何の店でござろうか?」
「あれは酒場よ…」
さらにこのように目についた物について色々と聞いてくるのだ。

(いっその事何処かの店に置いておこうかしら…)
買ったカーペットを幸村に持たせながらルイズはそんな事を考えていた。
さて、残るのは下着だけなのだが…この男を店に入れたらその場で鼻血を噴き出して倒れそうだ…
店の外で待たせた方がいいのだが、フラフラと何処かへ行ったりしないだろうか…

「ルイズ殿、あの店は何でござろうか?」
どうしようか考えていると、当の本人がまた質問をしてきた。
指差した方を見ると、狭い路地裏に剣をかたどった看板の店が目に付く。
「ああ、あれは武器屋よ。剣や槍を売っている店ね」
「武器屋…でござるか…」
そう呟きながら幸村は看板をジッと見ている。

「もしかして入りたいの?」
「うむ!拙者も武士、この世界の刀剣はどれ程のものか一度見ておきたい」
ルイズの口からしょうがないといった感じの溜め息が出た。
だがあの店で待たせておいた方が他に興味を持ったりしないかもしれない。
何より、折角来たのだから少しぐらいこの使い魔の頼みを聞いてやってもいいだろうと考えた。
「仕方ないわね…あそこでちょっと待ってなさい。でもおとなしくしているのよ!」


「いらっしゃ…」
久しぶりの来客かと思ったが、現れた客を見て店主は顔をしかめた。

(何じゃこの男は…)

店主が最初に目に付いたのは男の格好だった。
この世界の傭兵というのはガチガチの鎧に身を包んでいる。
ところが目の前の男は上半身に赤い袖なしの服(言わばライダースジャケット)を着ているだけ、半裸に近い。
が、格好は奇妙であっても背中に槍を携えているから傭兵か何かだろう。
それに久しぶりの客だから愛想ぐらいは良くしなければ…


そんな事を考えている店主を余所に、幸村は壁に掛かっている槍を見ている。
「いらっしゃい旦那!槍をご所望ですかい?」
そこへ店主が揉み手をしながらやって来た。
「…いや、これは結構だ……剣を見てもよいか?」
だが、その槍の出来が良くないのが分かったのか、今度は剣の方へと向かう。
それに、この世界の通貨を持っていないので買う事も出来ないのだが…

次に幸村は無造作に置いてある剣の内、1本を手に取った。
(あ!まずい、ありゃあ…)
慌てる店主など知らず、剣を鞘から抜き取る。
これは良い、所々に錆があるものの、刃自体はしっかりと鍛えられている。
「良い剣だな、中々の業物ではないか?」
と、幸村は素直に感想を述べた。
「へ、へぇ…でも旦那、それはちょっと…」
だが店主の様子はあまり良くない。これに何か問題でもあるのだろうか。
「如何がいたした?確かに古いが刀身は上出来…」

「おう兄ちゃん!中々見る目があるじゃねぇか!」

声が聞こえたのは突然だった。
そんな馬鹿な、この店には自分と店主しかいない筈だ。第三者などいない…

「ん?おでれーた!兄ちゃん使い手じゃねぇか!」

また聞こえた。今度は何処から聞こえたかはっきりと分かった。
自分が持っている剣からだ。
「こらデル公!客に失礼な口聞くんじゃねぇ!すいませんね旦那、どうもこいつは口が悪くて………旦那?」
「ありゃ?兄ちゃんどうした?顔色が悪いぜ?」


「あいつ…ちゃんとおとなしく待っているかしら…」
下着も買い、ルイズは武器屋のある路地裏を歩いていた。
最初は大丈夫だと思っていたが、やはり幸村を1人にした事が心配になったのだ。
「何も騒ぎを起こしてなきゃいいんだけど…」
しばらくして目的の店に到着したルイズ。すると、中から何か騒がしい声が聞こえてくる。

「だ、旦那止めてくだせぇ!そんなのでもうちの商品でさぁ!」
「ええい下がっておられよ!拙者がこの妖刀めを成敗してくれるわぁ!」

残念ながらルイズの不安は的中したようだ。
「ああもう!やっぱり1人にするんじゃなかった!」
勢いよく扉を開き店の中へ入る。
中では両手に槍を持った幸村を店主が必死になって押さえていた。
「ルイズ殿!?いかん!その剣に近づいてはならん!それは妖刀にござる!」
「お、おい嬢ちゃん!こいつの主人か!?何とかしてくれ!この兄ちゃん話を聞いてくれねぇんだよ!」
そして床を見ると、オンボロな剣が助けを求めている。

(何が妖刀よ…ただのインテリジェンスソードじゃない!)
幸村の世界では言葉を喋る剣など妖怪以外の何でもない。
そんな事は知らないルイズは、まだ店主に押さえられている幸村に近づいていく。
そして…
「耳を貸してはなりませぬぞルイズ殿!惑わして我等に憑くつもり…」

キーーーーーーーン!

「ぐ、ぐぬうぅぅぅあぁぁぁぁぁーっっ!!!!」
股間に強烈な蹴りの一撃をくれてやる。
流石の幸村も急所までは鍛える事が出来なかったようで、そのまま昏倒してしまった。


「おとなしくしてろって言ったのに!どうしようもない使い魔なんだから!」
そう言うとまだ床で痙攣している幸村の足を掴み、店を後にしようとした。

「ちょっと待ちな嬢ちゃん!こんな所で使い手と巡り会えたんだ、俺を一緒に連れて行ってくれ!」
ところが、店を出ようとしたルイズを剣が引き止めた。
しかし、ルイズからしてみれば余計な出費が増えるだけである。それにこんなボロボロの剣が使えるように見えなかった。
「冗談じゃないわ!何であんたなんか連れて行かなくちゃいけないの!」
「んな固い事言うなって!その兄ちゃんも俺は業物だって言ってくれたぜ!」

「あの…あっしからもお願いします」
と、剣とのやり取りを聞いていた店主がおずおずと間に入ってきた。
「その、デル公は本当に口が悪くていつも店に来る客と喧嘩するんで困ってたんでさぁ」
「そんな事言われても…これいくらするのよ」
「新金貨100なんですが…この際30で結構ですぜ。こっちも厄介払いみたいなもんなので…」

結局、金貨30枚を払ってこのオンボロの剣を買い、2人は店を後にした。



ちなみにその後、武器屋に「赤くて半裸の人お断り」という張り紙が張られたそうな…
「どうしよう!それがし入れないんだって!」
「あなたは赤くないから大丈夫でしょ」


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