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第百四十五話「六冊目『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(その3)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十五話「六冊目『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(その3)」
地獄星人スーパーヒッポリト星人
剛力怪獣キングシルバゴン
超力怪獣キングゴルドラス
風ノ魔王獣マガバッサー
土ノ魔王獣マガグランドキング
水ノ魔王獣マガジャッパ
火ノ魔王獣マガパンドン
究極合体怪獣ギガキマイラ
巨大暗黒卿巨大影法師 登場



 最後の本の世界への冒険に挑む才人とゼロ。最後の世界は、メビウスが不思議な赤い靴の少女に
導かれて入り込んだもう一つの地球の世界。ここで才人たちはメビウスの代わりに、侵略者に立ち向かう
七人の勇者を探すことに。しかしまだ一人も見つけられていない内に、怪獣キングパンドンが
襲撃してきた! それはゼロが倒したのだが、直後に怪獣を操るスーパーヒッポリト星人が出現し、
キングシルバゴンとキングゴルドラス、更には四体の魔王獣をけしかけてくる。さしものゼロも
この急襲には耐え切れず、とうとう倒れてしまった。どうにかダイゴに救われた才人だが、重傷にも
関わらず再度変身しようとする。だがその時、暴れる怪獣たちの前にウルトラマンティガが立ち上がった。
勇者として目覚めたダイゴが変身したのだ!

「ヂャッ!」
 我が物顔に横浜の街を蹂躙する邪悪なヒッポリト星人率いる怪獣軍団の前に敢然と立ち
はだかったのは、ダイゴの変身したウルトラマンティガ。その勇姿を目の当たりにした
人々は、それまでの疲弊と絶望の淵にあった表情が一変して、希望溢れるものに変わった。
「ウルトラマンだ……!」
「ウルトラマンが来てくれた……!」
「頑張れ! ウルトラマーン!!」
 街の至るところでウルトラマンティガを応援する声が巻き起こる。そして才人も、感動を
顔に浮かべてティガを見つめていた。
「ダイゴさん……変身できたのか……!」
『ああ……! この物語も、ハッピーエンドの糸口が見えてきたな!』
 ヒッポリト星人はティガに対してキングシルバゴン、キングゴルドラスをけしかける。
しかしティガは空高く飛び上がって二体の突進をかわすと、空に輝く月をバックにフライング
パンチをシルバゴンに決めた。
「グルウウウウゥゥゥゥ!」
 ティガの全身の体重と飛行の勢いを乗せた拳にシルバゴンは大きく吹っ飛ばされた。ゴルドラスは
ティガに背後から襲いかかるが、すかさず振り返ったティガはヒラリと身を翻して回避しながら
ゴルドラスのうなじにカウンターチョップをお見舞いする。
「ギュルウウウウゥゥゥゥ!」
 魔王獣たちも続いてティガに押し寄せていくが、ティガはその間を縫うように駆け抜けながら
互角以上の立ち回りを見せつけた。
「いいぞ! ティガーッ!」
 才人は興奮してティガの奮闘ぶりに歓声を上げた。……しかし、所詮は多勢に無勢。やはり
一対七は限界があり、ヒッポリト星人の放った光線が直撃して勢いが止まってしまう。
「ウワァッ!」
「あぁッ! ティガがッ!」
 ティガの攻勢が途絶えた隙を突き、怪獣たちは彼を袋叩きにする。挙句にティガはヒッポリト
カプセルに閉じ込められてしまった!
「まずい!」
 ヒッポリトカプセルが中からは破れない、必殺の兵器であることを才人たちは身を持って
体験している。才人はティガを救おうとゼロアイを手に握った。
「ゼロ、行こう! ティガを助けるんだ!」
『よぉしッ!』
 今度はゼロも止めなかった。
 が、しかし、才人がゼロアイを身につけるより早く、夜の横浜に更なる二つの輝きが生じる。
「! あれは、まさか……!」
『二人目と三人目の勇者か……!』
 ティガに続くように街の真ん中に立った銀、赤、青の巨人はウルトラマンダイナ! そして
土砂を巻き上げながら着地した赤と銀の巨人はウルトラマンガイアだ!
「ジュワッ!」
「デュワッ!」
 並び立ったダイナとガイアは同時に邪悪な力を消し去る光線、ウルトラパリフィーを放って
ヒッポリトカプセルを破壊し、ティガを解放した。助け出されたティガの元へダイナ、ガイアが
駆け寄る。
 三人のウルトラマンが並び立ち、ヒッポリト星人の軍勢に勇ましく立ち向かっていく!
「ダイナとガイアが、ティガのために立ち上がってくれたのか……!」
 感服で若干呆けながら、三人の健闘を見つめる才人。
 ティガはヒッポリト星人、ダイナはシルバゴン、ガイアはゴルドラスに飛び掛かっていく。
一方で四体の魔王獣は卑怯にも三人を背後から狙い撃ちにしようとするが、その前には四つの
光が立ちはだかった。
「ヘアッ!」
「デュワッ!」
「ジュワッ!」
「トアァーッ!」
 才人もゼロもよく知るウルトラ兄弟の次男から五男までの戦士、ウルトラマン、ウルトラセブン、
ウルトラマンジャック、そしてウルトラマンエース! この世界のハヤタたちが変身したものに違いない。
「七人のウルトラマンが出そろった!」
『勇者全員が覚醒したってことだな……!』
 ウルトラマンたちはそれぞれマガグランドキング、マガパンドン、マガジャッパ、マガバッサーに
ぶつかっていき、相手をする。これで頭数はそろい、各一対一の形式となった。
 七人の勇者が邪悪の軍勢相手に奮闘している様をながめ、才人はポツリとゼロに話しかける。
「なぁ、ゼロ……俺はさっきまで、俺たちが頑張らないとこの世界は救われないって、そう思ってた。
俺たちが物語を導いていくんだって」
『ん?』
「でも違ったな。ダイゴさんは、俺たちが倒れてる間に自分の力で変身することが出来た。
他の人たちも……。思えば、これまでの物語の主人公たちも、みんな強い光の意志を持ってた。
俺たちはそれを後押ししてただけだったな」
 と語った才人は、次の言葉で締めくくる。
「たとえ本の中の世界でも、人は自分の力で光になれるんだな」
『ああ、違いねぇな……』
 才人とゼロが語り合っている間に、ウルトラ戦士対怪獣軍団の決着が次々ついていこうと
していた。
「ヘアッ!」
「ミィィィィ――――! プォォォ――――――!」
 空を飛んで上空から竜巻を起こそうとするマガバッサーに、エースがウルトラスラッシュを
投げつけた。光輪は見事マガバッサーの片側の翼を断ち切り、バランスを崩したマガバッサーは
空から転落。
「デッ!」
 エースは落下してきたマガバッサーに照準を合わせ、虹色のタイマーショットを発射。
その一撃でマガバッサーを粉砕した。
「シェアッ!」
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
 ウルトラマンは非常に強固な装甲を持つマガグランドキングに、両手の平から渦巻き状の
光線を浴びせた。するとマガグランドキングの動きが止まり、ウルトラマンの指の動きに
合わせてその巨体が宙に浮かび上がる。これぞウルトラマンのとっておきの切り札、ウルトラ
念力の極み、ウルトラサイコキネシスだ!
「ヘェアッ!」
 ウルトラマンがマガグランドキングをはるか遠くまで飛ばすと、その先で豪快な爆発が発生。
マガグランドキングは撃破されたのだった。
「ヘアァッ!」
 ジャックは左手首のウルトラブレスレットに手を掛け、ウルトラスパークに変えて投擲。
空を切り裂く刃はマガジャッパのラッパ状の鼻も切り落とす。
「グワアアアァァァァァ!? ジャパッパッ!」
「ヘッ!」
 鼻と悪臭の元を失って大慌てするマガジャッパに、ジャックはウルトラショットを発射。
一直線に飛んでいく光線はマガジャッパに命中し、たちまち爆散させた。
「ジュワーッ!」
「ガガァッ! ガガァッ!」
 セブンはマガパンドンの火球の嵐を、ウルトラVバリヤーで凌ぐと、手裏剣光線で連射し返して
マガパンドンを大きくひるませる。
「ジュワッ!」
 その隙にセブンはアイスラッガーを投擲して、マガパンドンの双頭を綺麗に切断した。
 魔王獣は元祖ウルトラ兄弟に全て倒された。そしれティガたちの方も、いよいよ怪獣たちとの
決着をつけようとしている。
「ダァーッ!」
 ダイナのソルジェント光線がキングシルバゴンに炸裂! オレンジ色の光輪が広がり、
シルバゴンはその場に倒れて爆発した。
「アアアアア……デヤァーッ!」
 ガイアは頭部から光のムチ、フォトンエッジを発してキングゴルドラスに叩き込む。光子が
ゴルドラスに纏わりついて全身を切り裂き、ゴルドラスもたちまち爆散した。
 最後に残されたスーパーヒッポリト星人は口吻から火炎弾を発射して悪あがきするが、
ダイナとガイアにはね返されてよろめいたところに、ティガが空中で両の腕を横に開いて
必殺のゼペリオン光線を繰り出した!
「テヤァッ!」
『ぐわああああぁぁぁぁぁぁぁ――――――――ッ!!』
 それが決まり手となり、ヒッポリト星人もまた激しいスパークとともに大爆発を起こして消滅。
怪獣軍団はウルトラ戦士たちの活躍により撃滅されたのであった!
「やったッ!」
『ああ。……だが、戦いはこれで終わりじゃないはずだぜ。まだ真の黒幕が残ってるはずだ……!』
 ゼロがメビウスの話を思い出して、深刻そうにつぶやく。
 果たして、ウルトラ戦士の勝利で喜びに沸く人々に水を差すように、どこからともなく
おどろおどろしい声が響いてきた。
『恐れよ……恐れよ……』
 それとともに街の至るところから幽鬼のようなエネルギー体が無数に噴出して空を漂い、
更に倒したキングゴルドラス、キングシルバゴン、キングパンドン、キングゲスラ、
スーパーヒッポリト星人の霊も出現して空の一点に集結。全てのエネルギー体も取り込んで、
巨大な黒い靄に変わる。
 その靄の中から……ウルトラ戦士の何十倍もある超巨体の怪物が現れた! 首はキング
シルバゴンとキングゴルドラスの双頭、尾はキングパンドンの首、腹部はキングゲスラの
頭部、胴体はスーパーヒッポリト星人の顔面で出来上がっている、自然の生物ではあり得ない
ような異形ぶりだ!
 これぞ闇の力が怪獣軍団の怨念を利用して生み出した究極合体怪獣ギガキマイラである!
「グルウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
 空に陣取るギガキマイラは身体に生えた四本の触手から、一発一発がウルトラ戦士並みの
サイズの光弾を雨あられのようにティガたち七人に向けて撃ち始めた。
「ウワァァァーッ!」
 ギガキマイラの怒濤の猛攻に、七人は纏めて苦しめられる。これを見て、才人は改めて
ゼロアイを握り締めた。
「遅くなったが、いよいよ俺たちの出番だ!」
『おうよ! 八人目の勇者の出陣だな!』
 勇みながら、才人はこの世界での三度目の変身を行う。
「デュワッ!」
 瞬時に変身を遂げたウルトラマンゼロは、ゼロスラッガーを飛ばしてギガキマイラの光弾を
切り裂いて七人を助ける。ティガがゼロへ顔を向けた。
『ウルトラマンゼロ!』
『待たせたな、ダイゴ! 一緒にあのデカブツをぶっ飛ばそうぜ!』
『ああ、もちろんだ! これで僕たちは、超ウルトラ8兄弟だ!!』
 ギガキマイラはなおも稲妻を放って超ウルトラ8兄弟を丸ごと呑み込むような大爆炎を
起こしたが、ゼロたちは炎を突き抜けて飛び出し、ギガキマイラへとまっすぐに接近していく!
「行けぇー!」
「頑張れぇー!」
 巨大な敵を相手に、それでも勇気が衰えることなく立ち向かっていくウルトラ戦士の飛翔
する様を、地上の大勢の人々が声の出る限り応援している。
「頑張ってぇーッ! ウルトラマン!」
 その中には、北斗の娘の役に当てはめられているルイズの姿もあった。
『ルイズ……!』
 才人はルイズの姿を認めると更に勇気が湧き上がり、ゼロに力を与えるのだ。
「セアッ!」
「デヤァッ!」
 八人のウルトラ戦士はそれぞれの光線で牽制しながらギガキマイラに肉薄。ゼロ、ティガ、
ダイナ、ガイアが肉弾で注意を引きつけている間に、マン、セブン、ジャック、エースが
各所に攻撃を加える。
「シェアッ!」
 ウルトラマンは大口を開けたキングゲスラの首に、スペシウム光線を放ちながら自ら飛び込む。
ゲスラの口が閉ざされるが、スペシウム光線の熱量に口内を焼かれてすぐに吐き出した。
「テェェーイッ!」
 エースはキングゴルドラスの首が吐く稲妻をかわすとバーチカルギロチンを飛ばし、その角を
ばっさりと切断した。
「テアァッ!」
 ジャックはキングシルバゴンの首の火炎弾を宙返りでかわしつつ、ブレスレットチョップで
角を真っ二つにする。
「ジュワッ!」
 キングパンドンの首にエメリウム光線を浴びせたセブンに火炎弾が降り注ぐが、海面すれすれを
飛ぶセブンには一発も命中しなかった。
『へへッ! 全身頭なのに、おつむが足りてねぇんじゃねぇか!?』
 ウルトラ戦士のチームワークに翻弄されるギガキマイラを高々と挑発するゼロ。彼を中心に、
八人が空中で集結する。
「グルウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……!!」
 するとギガキマイラは業を煮やしたかのように、全身のエネルギーを一点に集めて極太の
破壊光線を発射し出した! 光線は莫大な熱によって海をドロドロに炎上させ、横浜ベイ
ブリッジを一瞬にして両断させながらゼロたちに迫っていく。
「シェアッ!!」
 しかしそんなものを悠長に待っている八人ではなかった。全員が各光線を同時に発射する
合体技、スペリオルストライクでギガキマイラの胸部を撃ち抜き、破壊光線を途切れさせる。
「デヤァッ!!」
 煮えたぎった海面には全員の力を合わせた再生光線エクセレント・リフレクションを当て、
バリアで包んで修復させる。
 その隙にギガキマイラが再度破壊光線を放ってきた。今度はまっすぐに飛んでくるが、
すかさずウルトラグランドウォールを展開することで光線をそのままギガキマイラにはね返す。
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
 己の肉体がえぐれてしまったギガキマイラは、勝ち目なしと見たか宇宙空間へ向けて逃走を
開始した。だがそれを許すようなゼロたちではない。
『逃がすかよぉッ!』
 その後を追いかけて急上昇していく八人。大気圏を突き抜けたところでギガキマイラの
背中が見えた。
「テヤーッ!」
「シェアッ!」
 セブンとゼロはそれぞれのスラッガーを投擲。それらに八人が光線を当てると、エネルギーを
吸収したスラッガーはミラクルゼロスラッガー以上の数に分裂。イリュージョニックスラッガーと
なってギガキマイラの全身をズタズタに切り裂き、足止めをした。
「ジェアッ!!」
 とうとう追いついたウルトラ戦士たちは同時に必殺光線を発射し、光線同士を重ね合わせる。
そうすることで何十倍もの威力と化したウルトラスペリオルが、ギガキマイラに突き刺さる!
「グギャアアアアアアァァァァァァァァァ――――――――――――――ッッ!!」
 ギガキマイラが耐えられるはずもなく、跡形もなく炸裂。超巨体が余すところなく宇宙の
藻屑となったのであった。
 見事ギガキマイラを討ち取った勇者たちは、人々の大歓声に迎えられながら横浜の空に
帰ってくる。
『やりました……! この世界を守りましたよ!』
『……いや、まだ敵さんはおしまいじゃないみたいだぜ』
 喜ぶティガだが、ゼロは邪な気配が途絶えてないのを感じて警告した。実際に、彼らの
前におぼろな姿の実体を持たない怪人の巨体が浮かび上がった。
 それこそが人間の負の感情が形となって生じた邪悪の存在であり、真に怪獣軍団を操っていた
黒幕である、黒い影法師。それら全てが融合した巨大影法師であった!
『我らは消えはせぬ……。我らは何度でも強い怪獣を呼び寄せ、人の心を絶望の闇に包み込む……。
全ての平行世界から、ウルトラマンを消し去ってくれる……!!』
 それが影法師の目的であった。心の闇から生まれた影法師は、闇を広げることだけが存在の
全てなのだ。
 しかし、そんなことを栄光の超ウルトラ8兄弟が許すはずがない!
『無駄だ! 絶望の中でも、人の心から、光が消え去ることはないッ!』
 見事に言い切ったティガの身体が黄金に光り輝き、グリッターバージョンとなってゼペリオン
光線を発射した! 他のウルトラ戦士もグリッターバージョンとなって、スペシウム光線、
ワイドショット、スペシウム光線、メタリウム光線、ソルジェント光線、クァンタム
ストリームを撃つ!
『俺も行くぜぇッ! はぁぁッ!』
 ゼロもまたグリッターバージョンとなり、ワイドゼロショットを繰り出した! 八人の
必殺光線は一つに重なり合うと、集束した光のほとばしり、スペリオルマイスフラッシャーと
なって巨大影法師の闇を照らしていく!
『わ、我らはぁ……!!』
 巨大影法師は光の中に呑まれて消えていき、闇の力も完全に浄化されていった。
 地上に喜びと笑顔が戻り、そして夜が明けて朝を迎える。昇る朝日を見つめながら、ティガが
ゼロに呼びかける。
『ウルトラマンゼロ、本当にありがとう! この世界が救われたのは、君たちのお陰だ……!』
『何を言うんだ。お前はお前自身の力で自分を、世界を救ったんだぜ』
『いや……君たちの後押しがあったからさ。感謝してもし切れない……。この恩は必ず返す
からね! 必ずだよ!』
 そのティガの言葉を最後に、ゼロの視界が朝の日差しとともに真っ白になっていく……。

 遂に六冊、全ての本を完結させることに成功した。才人はその足でルイズの元まで駆け込む。
「ルイズッ!」
 ルイズのベッドの周りには、タバサ、シエスタ、シルフィードらが既に集まっていた。
皆固唾を呑んで、ルイズの様子を見守っている。
 ルイズは今のところ、ぼんやりとしているだけで、傍目からは変化が起きたかどうかは
分からない。
「……どうだ、ルイズ? 何か思い出せることはあるか?」
 恐る恐る尋ねかける才人。するとルイズが、ぽつりとつぶやいた。
「……わたしは、ルイズ……。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……!」
「!!」
 今の言葉に、才人たちは一気に喜色満面となった。ルイズのフルネームは、ここに来てから
誰も口にしていないからだ。それをルイズがスラスラと唱えたということは……。
「そうよ! わたしはヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズだわ!」
「ミス・ヴァリエール! 記憶が戻ったのですね!」
 感極まってルイズに抱きつくシエスタ。ルイズは驚きながらも苦笑を浮かべる。
「ちょっとやめてよシエスタ。そう、あなたはシエスタよ。学院のメイドの」
「ルイズ……記憶が戻った」
「タバサ! 学院でのクラスメイト!」
「よかったのねー! 色々心配してたけど、ちゃんと元に戻ったのね!」
「パムー!」
「シルフィード、ハネジローも!」
 仲間の名前を次々言い当てるルイズの様子に、才人は深く深く安堵した。あれほど怪しい
状況の中にあって、本当にルイズの記憶が戻ったというのはいささか拍子抜けでもあるが、
ルイズが治ったならそれに越したことはない。
「よかったな、ルイズ。これで学院に帰れるな!」
 満面の笑顔で呼びかける才人。
 ……だが、彼に顔を向けたルイズが、途端に固まってしまった。
「ん? どうしたんだ、その顔」
 才人たちが呆気にとられると……ルイズは、信じられないことを口にした。
「……あなたは、誰?」
「………………え?」
「あなたの名前が……出てこない。誰だったのか……全然思い出せないッ!」
 そのルイズの言葉に、シエスタたちは声にならないほどのショックを受けた。
「う、嘘ですよね、ミス・ヴァリエール!? よりによってサイトさんのことが思い出せない
なんて……あなたに限ってそんなことあるはずがないです!」
「明らかにおかしい……不自然……」
「変な冗談はよすのね、桃髪娘! 全っ然笑えないのね!」
 シルフィードは思わず怒鳴りつけたが、ルイズ自身わなわなと震えていた。
「本当なの……! 本当に、何一つ思い出せないの……! あるはずの思い出が……わたしの
中にない……!」
 ルイズが自分だけを思い出せないことに、才人はどんな反応をしたらいいのかさえ分からずに
ただ立ち尽くしていた。

「……」
 混乱に陥るゲストルームの様子を、扉の陰からリーヴルがじっと観察していた。


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