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第百四十三話「六冊目『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(その1)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十三話「六冊目『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(その1)」
海獣キングゲスラ
邪心王黒い影法師 登場



 『古き本』に奪い取られたルイズの記憶を取り戻すために、本の世界を旅している才人とゼロ。
五冊目の世界はウルトラマンマックスが守った地球を舞台とした本であり、地上人と地底人の
存亡という地球の運命を懸けた戦いに二人は身を投じた。同じ惑星の文明同士という、本来は
ウルトラ戦士が立ち入ることの出来ない非常に困難な問題であったが、最後まで未来をあきらめない
人間の行動が地底人デロスの心を動かし、二種族の対立は解決された。そして最後の障害たる
バーサークシステムも停止させることに成功し、地球は未来を掴み取ることが出来たのだった。
 そして遂に残された本は一冊のみとなった。リーヴルの話が真実であるならば、これを
完結させればルイズは元に戻るはずだ。……しかし、最後の本の旅が始まる前に、才人たちは
密かに集まって相談を行っていた……。

「『古き本』もいよいよ後一冊で最後だ。その攻略を始める前に……ガラQ、リーヴルについて
何か分かったことはないか?」
 才人、タバサ、シルフィード、シエスタはリーヴルに内緒で連れてきたガラQから話を
聞いているところだった。三冊目の攻略を始める前に、ガラQにリーヴルの内偵を頼んで
いたが、その結果を尋ねているのだ。
 ガラQは才人たちに、次のように報告した。
「リーヴル、夜中に誰かと会ってるみたい」
「誰か……?」
 才人たちは互いに目を合わせた。彼らは、一連の事件がリーヴル単独で起こされたものでは
ないと推理していたが、やはりリーヴルの背後には才人たちの知らない何者かがいるのか。
「そいつの正体は分からないか? どんな姿をしてるかってだけでもいいんだ」
 質問する才人だが、ガラQは残念そうに首(はないので身体ごと)を振った。
「分かんない。姿も、ぼんやりした靄みたいでよく分かんなかった」
「靄みたい……そもそもの始まりの話にあった、幽霊みたいですね」
 つぶやくシエスタ。図書館の幽霊の話は、あながち間違いではなかったのだ。
『俺はそんな奴の気配は感じなかった。やっぱり、一筋縄じゃいかねぇような奴みたいだな……』
 ガラQからの情報にそう判断するゼロだが、同時に難しい声を出す。
『しかもそんだけじゃあ、正体を特定するのはまず無理だな。それにここまで来てそれくらいしか
尻尾を掴ませないからには、相当用心深い奴みたいだ。今の段階で、正体を探り当てるってのは
不可能か……』
「むー……リーヴルに直接聞いてみたらいいんじゃないのね?」
 眉間に皺を寄せたシルフィードが提案したが、タバサに却下される。
「下手な手を打ったら、ルイズがどうなるか分かったものじゃない。ルイズは人質のような
ものだから」
「そっか……難しいのね……」
 お手上げとばかりにシルフィードは肩をすくめた。ここでシエスタが疑問を呈する。
「わたしたち、いえサイトさんはこれまでミス・リーヴルの言う通りに『古き本』の完結を
進めてきましたが……このまま最後の本も完結させていいんでしょうか?」
「それってどういうことだ?」
 聞き返す才人。
「ミス・リーヴルと、その正体の知れない誰かの目的は全く分かりませんけど、それに必要な
過程が『古き本』の完結だというのは間違いないことだと思います」
 もっともな話だ。ルイズの記憶喪失が人為的なものであるならば、こんな回りくどいことを
何の意味もなくさせるはずがない。
「だったら、全ての『古き本』を完結させたら、ミス・ヴァリエールの記憶が戻る以外の何かが
起こってしまうんじゃないでしょうか。それが何かというのは、見当がつきませんが……」
「洞窟を照らしてトロールを出す……」
 ハルケギニアの格言を口にするタバサ。「藪をつついて蛇を出す」と同等の意味だ。
「全ての本を完結させたら、悪いことが起きるかもしれない。そもそも、ルイズが本当に
治るという保証もない。相手の思惑に乗るのは、危険かも……」
「パムー……」
 ハネジローが困惑したように目を伏せた。
 警戒をするタバサだが、才人はこのように言い返す。
「けど、それ以外に方法が見当たらない。動かないことには、ルイズはいつまで経っても
元に戻らないんだ。だったら危険でも、やる他はないさ……!」
『それからどうするかは、本の完結が済んでからだな。ホントにルイズの記憶が戻るんなら
それでよし、もし戻らないようだったら……ブラックホールに飛び込むつもりでリーヴルに
アタックしてみようぜ』
 ウルトラの星の格言を口にするゼロ。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と同等の意味だ。

 そうして最後の『古き本』への旅が始まる時刻となった。
「今日で本への旅も最後となりましたね、サイトさん。最後の本も、無事に完結してくれる
ことを祈ってます」
 才人らが自分を疑っていることを知ってか知らずか、リーヴルは相変わらず淡々とした
調子で語った。
「それではサイトさん、本の前に立って下さい」
「ああ……」
 もう慣れたもので、才人が最後に残された『古き本』の前に立つと、リーヴルが魔法を掛ける。
「それでは最後の旅も、どうか良きものになりますよう……」
 リーヴルがはなむけの言葉を寄せ、才人は本の世界へと入っていく……。

   ‐大決戦!超ウルトラ8兄弟‐

 昭和四十一年七月十七日、夕陽が町をオレンジ色に染める中、虫取り網と虫かごを持った
三人の子供たちが駄菓子屋に駆け込んできた。
「くーださーいなー!」
「はははは! 何にするかな?」
「ラムネ!」
「僕も!」
「俺もー!」
「よーしよしよし!」
 駄菓子屋の店主は快活に笑いながら少年たちにラムネを渡す。ラムネに舌鼓を打つ少年たちだが、
ふと一人があることに気がついた。
「あッ! おじさん、今何時?」
「んー……六時、ちょい過ぎ」
「大変だー!!」
 時刻を知った三人は声をそろえて、慌てて帰路につき始めた。それに面食らう駄菓子屋の店主。
「どうした? そんなに急いで」
 振り返った子供たちは、次の通り答えた。
「今日から、『ウルトラマン』が始まるんだ」
「早くはやく!」
 何とか七時前に少年の一人の家に帰ってきた三人は、カレーの食卓の席で始まるテレビ番組に
目を奪われる。
『武田武田武田~♪ 武田武田武田~♪ 武田た~け~だ~♪』
 提供の紹介後――特撮番組『ウルトラマン』が始まり、少年たちは歓声を上げた。
「始まったー!!」
 三人は巨大ヒーロー「ウルトラマン」と怪獣「ベムラー」の対決に夢中となる。
『M78星雲の宇宙人からその命を託されたハヤタ隊員は、ベーターカプセルで宇宙人に変身した! 
マッハ5のスピードで空を飛び、強力なエネルギーであらゆる敵を粉砕する不死身の男となった。
それゆけ、我らのヒーロー!』
「すっげー……!」
「かっこいー!」
 ――特撮番組に夢中になる小さな少年も、月日の流れとともに大人になる。そして、そんな
日々の中で、『それ』は起こったのである……。

 ……才人は気がつくと、見知らぬ建物の中にいた。
「あれ……? 本の世界の中に入ったのか?」
 キョロキョロと周りを見回す才人。しかし周囲には誰の姿もない。
「随分静かな始まり方だな……。今までは、ウルトラ戦士が怪獣と戦ってるところから入ってたのに」
 とりあえず、初めに何をすればいいのかと考えていると……正面の階段の中ほどに、白い洋服の
小さな少女が背を向いて立っている姿が目に飛び込んできた。
「……赤い靴の女の子?」
 その少女は、履いている赤い靴が妙に印象的であった。
 赤い靴の少女は、背を向けたまま才人に呼びかける。
「ある世界が、侵略者に狙われている」
「え?」
「急いで。その世界には、ウルトラマンはいない。七人の勇者を目覚めさせ、ともに、
侵略者を倒して……!」
 少女は才人に頼みながら、階段を上がって去っていく。
「あッ、ちょっと待って! 詳しい話を……!」
 追いかけようと階段に足を掛けた才人だったが、すぐに視界がグルグル回転し、止まったかと
思った時には外にいることに気がついた。
「ここは……?」
 目の前に見える光景には、赤いレンガの建物がある。才人はそれが何かに気がつく。
「赤レンガ倉庫……。ってことは、ここは横浜か……? でも相変わらず人の姿がないな……」
 横浜ほどの都市なら、どこにいようとも人の姿くらいはあるだろうに、と思っていたところに、
倉庫の向こう側から怒濤の水しぶきが起こり、巨大怪獣がのっそりと姿を現した!
「ウアァァァッ!」
「わぁッ! あいつは……!」
 即座に端末から情報を引き出す才人。
「ゲスラ……いや、強化版のキングゲスラだッ!」
 怪獣キングゲスラは猛然と暴れて赤レンガ倉庫を破壊し出す。それを見てゼロが才人に告げた。
『才人、ここはメビウスが迷い込んだっていうレベル3バースの地球だ!』
「メビウスが迷い込んだって!?」
『メビウスに聞いたことがある。あいつがまだ地球で戦ってた時に、ウルトラ戦士のいない
平行世界に入ってそこを狙う宇宙人どもと戦ったってことをな。この本の世界は、それを
綴った物語だったか……!』
 飛んでくる瓦礫から逃れた才人は、キングゲスラの近くに一人だけスーツ姿の青年がいる
ことに目を留めた。
「あんなところに人が!」
『確か、メビウスはここで平行世界で最初に変身したそうだ。ってことはもうじきメビウスが
出てくるはずだ……』
 と言うゼロだが、待てど暮らせどウルトラマンメビウスが出てくるような気配は微塵もなかった。
そうこうしている内に、キングゲスラが腰を抜かしている青年に接近していく。
「ゼロ! 話が違うぞ! あの人が危ないじゃんか!」
『おかしいな……。メビウス、何をぐずぐずしてんだ……?』
 戸惑うゼロだったが、先ほどの赤い靴の少女のことを思い返し、ハッと気がついた。
『違うッ! あの人を助けるのは、才人、俺たちだッ!』
「えッ!?」
『早く変身だッ!』
 ゼロに促されて、才人は慌ててウルトラゼロアイを装着!
「デュワッ!」
 才人の肉体が光とともにぐんぐん巨大化し、たちまちウルトラマンゼロとなってキングゲスラの
前に立った!
『よぉし、行くぜッ!』
 ゼロは早速ゲスラに飛び掛かり、脳天に鋭いチョップをお見舞いした。
「ウアァァァッ!」
「デヤッ!」
 ゲスラが衝撃でその場に伏せると、首を掴んでひねり投げる。才人は困惑しながら戦う
ゼロに問いかけた。
『ゼロ、どういうことだ? メビウスが出てくるんじゃ……』
『詳しい話は後だ! 先にこいつをやっつけるぜ!』
 才人に答えたゼロは起き上がったゲスラの突進をかわし、回し蹴りで迎撃する。
「ハァァッ!」
 俊敏な宇宙空手の技でゲスラを追い込んでいくゼロ。しかしゲスラの首筋に手を掛けたところで、
ゲスラに生えている細かいトゲが皮膚を突き破った。
『うわッ! しまった、毒針か……!』
 ゲスラには毒針があることを失念していた。しかもキングゲスラの毒は通常のゲスラの
ものよりも強力だ。ゼロはたちまち腕が痺れて思うように動けなくなる。
「ウアァァァッ!」
 その隙を突いて反撃してきたゲスラにゼロは突き飛ばされて、倒れたところをゲスラが
覆い被さってきた。
「ウアァァァッ!」
『ぐッ……!』
 ゼロを押さえつけながら張り手を何度も振り下ろしてくるゲスラ。ゼロはじわりじわりと
苦しめられる。この状態ではストロングコロナへの変身も出来ない。
『何か奴の弱点はねぇか……!?』
『えぇっと、ゲスラの弱点は……!』
 才人がそれを告げるより早く、地上から声が聞こえた。
「その怪獣の弱点は、背びれだッ!」
『あの人は……!』
 先ほどキングゲスラに襲われていた青年だ。ゼロは彼にうなずいて、弱点を教えてくれた
ことへの反応を表す。
「デェアッ!」
 力と精神を集中し、ゲスラの腹に足を当てて思い切り蹴り飛ばす。
「ウアァァァッ!」
「セイヤァッ!」
 立ち上がると素早く相手の背後に回り込んで、生えている背びれを力の限り引っこ抜いた!
「キャアア――――――!!」
 たちまちゲスラは悲鳴を上げて、見るからに動きが鈍った。青年の教えてくれた情報が
正しかったのだ。
『よし、今だッ!』
 ゼロはゲスラをむんずと掴んでウルトラ投げを決めると、額からエメリウムスラッシュを発射。
「シェアッ!」
「ウアァァァッ!!」
 緑色のレーザーがキングゲスラを貫き、瞬時に爆発させた。ゼロの勝利だ!
 キングゲスラを倒して変身を解くと、才人は改めてゼロに尋ねかけた。
「ゼロ、つまり俺たちがウルトラマンメビウスの代わりをした……いや、するってこと?」
『そのようだな。この本は、書き進められてた部分が一番少なかった。だから、本来の異邦人たる
メビウスの役割に俺たちがすっぽり収まったのかもしれねぇ』
「なるほど……さっきの人は?」
 才人が青年の元へ向かうと、彼は傷一つないままでその場にたたずんでいた。青年の無事を
知って才人は安堵し、彼に呼びかけた。
「さっきはありがとうございます。お陰で助かりました」
「君は……?」
 不思議そうに見つめてくる青年に、才人は自己紹介する。
「平賀才人……ウルトラマンゼロです!」
 と言ったところで風景が揺らぎ、彼らの周囲に大勢の人間が現れた。同時に、壊されたはずの
赤レンガ倉庫も元の状態に変化する。
「これは……?」
『今までは、一時的に違う世界にいたみたいだな。位相のズレた世界とでも言うべきか……』
 突っ立っている才人に、近くの子供たちがわらわらと集まってくる。
「ねぇお兄さん、今どっから出てきたの?」
「どっからともなくいきなり出てこなかった!? すげー!」
「手品師か何か!?」
 どうやら、周りから見たら自分が唐突に出現したように見えるらしい。子供に囲まれ、
才人はどうしたらいいか困る。
「あッ、いや、それはね……!」
 そこに先ほどの青年が、連れている外国人たちを置いて才人の元に駆け寄ってきた。
「ごめんね! ちょっとごめんね!」
 そうして半ば強引に才人を、人のいないところまで連れていった。
 落ち着いた場所で、ベンチに腰掛けた二人は話を始める。
「何だかすいません。仕事中みたいだったのに……」
 青年はツアーのガイドのようであった。その仕事を邪魔する形になったと才人は申し訳なく
思うが、青年は首を振った。
「いいんだ。それよりさっきのことを詳しく聞きたい。……とても不思議な出来事だった。
実際に怪獣がいて、ウルトラマンがいて……」
「ウルトラマンがいて?」
 青年の言葉に違和感を持った才人に、ゼロがひそひそと教える。
『この世界にウルトラ戦士はいねぇが、ウルトラマンが架空の存在としては存在してるんだ。
テレビのヒーローって形でな』
『テレビのヒーロー! そういう世界もあるのか!』
 驚いた才人は、ここでふと青年に問いかける。
「そういえば、まだ名前を伺ってなかったですね」
「ああごめん。申し遅れたね」
 青年は才人に向かって、自分の名前を教えた。
「僕はマドカ・ダイゴと言うんだ。よろしく」
 マドカ・ダイゴ……。かつて『ウルトラマン』に夢中になっていた三人の少年の一人であり、
彼こそがこの物語の世界の主人公なのであった。

『……』
 そしてダイゴと会話する才人の様子を、はるか遠くから、真っ黒いローブで姿を隠したような
怪しい存在……この物語の悪役たる「黒い影法師」が観察していた……。


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