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第九十四話「誰かが作ってしまった怪獣」


ウルトラマンゼロの使い魔
第九十四話「誰かが作ってしまった怪獣」
工作怪獣ガゼラ 登場



 ……今日も今日とて俺はルイズとキュルケのミスコンに向けての特訓につき合わされるために、
朝早くから二人に学校まで連行された。
 今日は自己アピールの文章を作成するのだという。それに使うためのアピールポイントを
二人は俺に聞いてきたのだが……キュルケの方はいいとして、ルイズの方はこれといって
思い浮かばなかった。スタイルは完全に幼児体型だし、性格だってキツイし。顔立ちは
なかなかだから、審査中は黙っているようにとでも助言しようかな。でもそれ言ったら
手を上げてきそうだしなぁ。
 結局、朝から考え出して帰りのホームルームの時間になっても、ルイズの長所は出てこなかった。
それに怒ったルイズに半ば命令されて、放課後もルイズの自己アピール文を一緒に考えることに
なってしまった。キュルケはこれに不満そうだったが、あいつもタバサに手伝ってもらっているし、
これでおあいこってところだろう。俺とタバサじゃ頭の出来が全然違うんだけどさ……。
 そんなこんなで、俺とルイズは今、図書室に来ていた。

「……あのさ、ルイズ」
 図書室でルイズと向かい合うと、俺は一番にあることを告げた。
「な、何? 改まった顔して」
「俺、お前のいいところ考えろって言われたけどさ。……実は、お前のことよく知らないんだ。
こないだ転校してきたばっかだし」
 そうなのだ。これがルイズの長所がなかなか思い浮かばない、一番の理由。キュルケは
つき合い長い(はずだ)からさっと出てくるけど、ルイズは出会ってからまだ日が浅いし、
ほとんどのことを知らない。だからいきなりいいところを言え、と言われても困ってしまうのだ。
 それを指摘すると、ルイズははっとした顔になった。
「そ、そういえばそうだったわね。何だか、昔から知ってるような気分になってたけど」
「あれ、お前も? 俺もさ、ルイズとはもう何ヶ月も一緒にいたような気になってるんだよな」
 ……さっき「日が浅い」と言ったし、実際その通りなのだが、俺自身としてはルイズに
異様なくらいの親しみを覚えている。それこそ、長い時間をともに過ごしたかのような……。
何故こんな気分を感じるのかは自分でもよく分からない。おまけにルイズも似たようなものだと今分かった。
 もしかして俺たち、前世で会ったことがあるとか? ……なんて、そんなロマンチックなの、
俺には似合わないかな。
 しばしの間、変に沈黙して見つめ合う俺たち。けど俺がその空気に気恥ずかしさを感じて、
慌てるように話を切り換えた。
「そ、そういうことだから! 先に、お前のことを教えてもらいたいな。まずは、そうだな……
お前って何で転校してきたんだ?」
 俺の質問に回答するルイズ。
「よくある話だけど、父の仕事の都合よ」
「あ、そう言ってたな。えーっと、お父さんの仕事は……」
「忘れたのなら素直に言いなさいよ。……外交官よ」
「ごめんなさい。でも、外交官ってことは、ルイズは海外で育ったのか?」
「一応ね。転校も何回かしてるし」
 そうだったのか。転校は今回が初めてじゃないと……。つまりルイズは、世界規模の転勤族って
ところなのだろうか。
「ふーん。じゃあ英語はペラペラ?」
「……生活に支障がないくらい」
「なーんだ。ペラペラならいいアピールポイントになるのに」
 何気なく言うと、ルイズは思ったよりも機嫌を損ねたようだった。
「わ、悪かったわね! それでも多分、あんたよりはまともにしゃべれるんだから!」
「そりゃ、俺、生まれも育ちも日本だしな」
 そもそも英語ペラペラな日本人なんて、海外で活躍しているような人でもない限りはそうそう
いないだろう。
「んー。他に何かないの? 自慢になるような趣味とか」
「趣味は編み物よ」
「あ、編み物ですか」
 何故だろう……。ルイズが編み物上手ってイメージが全然湧いてこない。まぁ、コスプレの
衣装作りが趣味とか言われるよりはマシだけど。
「趣味とは別に特技ってないの? 料理が得意とか」
 特技のことを聞くと、ルイズはやや憮然として答えた。
「……ないわ」
「ないのかよッ!」
 やっぱり編み物は上手じゃないんだな……。
 しかし、これは困ったぞ。特技がないんじゃ、アピールすることがないじゃないか。
 ……いや、逆に考えてみよう。何か一つの要素を大々的に取り上げるんじゃなくて、そのままの
ルイズの姿をアピールするというのは? 元々の素材はいいのだから、変に飾らない方がむしろ効果的かも。
「そうだよ。ありのままのお前を出す、それが一番のアピールになるんじゃないかな」
「そのままの……わたし?」
 俺のひと言に、ルイズは若干呆気にとられたようにつぶやいた。
「うん。いつも通りの、ありのままのお前を出していくのが一番自然だよ」
「け、けど……それでキュルケに勝てるの?」
 不安そうにルイズは聞き返した。いつも強気なようでいて、いざという場面では弱気な顔を見せるんだな。
「勝てるかどうかは分かんないけど、小手先の技なんてすぐにバレるのが関の山だろうし。
そうなった時の悪印象を考えれば、最初から素直にこういう時は真っ向勝負が正しいんじゃないか?」
 ゼロだって言っていた。小手先の技に頼る奴は所詮半人前だ。心とか精神とか、もっと大きな
部分を拠りどころにするのが、戦いの第一歩だ。
 ……言ってたよな? はっきりとした記憶はないけれど……それらしいことは言っていたはずだ。
こうして俺の心に刻まれているのだから、それだけは確かだよ、きっと。
「真っ向勝負……」
「キュルケは昔からのライバルなんだろ? だったら、余計に自然なお前の姿で勝つのが一番じゃないか?」
 俺の言葉をルイズはしばし鑑みてから、答えた。
「……そうね、確かにそうだわ。サ、サイトのくせに、いいこと言うじゃない」
「サイトのくせにって何だよ。俺が推薦者らしくサポートしてやったってのに」
 全く、こういう無駄に強がりなところが玉に瑕だよな、ホント。素直にお礼を言えないものかね。
「わ、分かってるわよ! だから、す、少しくらいは感謝の気持ち、持ってあげないこともないんだから!」
「はいはい、ありがとうございますっと。んじゃ、これで自己アピールの方向は決まり! 
後は当日、どういうことをやるか決めようぜ」
「う、うん」
 何はともあれ、自己アピールのおおまかなところが決定したので、細かいところを詰めようとする
俺たち。だが、その時に……。
「ん?」
 ふと窓の向こうの背景で動くものの気配を感じ、そっちに目を配らせたら……緑色の火の玉が
フヨフヨと浮いているのが見えた。
 な、何だあれ? というか、図書室の窓の外に変なものが見えるというこのシチュエーション……
すごく覚えがあるぞ。そう、最初にミスコンのアイディアを、タバサからもらったのはこの図書室……
あの時は外に円盤が見えて、怪獣アブドラールスが出現したのだった。
 その時と似通っている今の状況……まさか!?
 緑色の火の玉が街の中に降りていって、建物の陰に入って見えなくなると……直後にそこから
巨大怪獣がぬっと姿を現した!
「ギャアアオウ!」
 な、何だ、あの変てこな見た目の怪獣は……!? 全身は青い粘土質で、右腕は関節の曲がらない
でかい握り拳がブンブンと振り回されており、左手は洗濯バサミ? 口の中には百円ライターが
収まっていて、胸には古めかしいラジオの部品が張りついている。怪獣というか……まんま子供が
作ったような怪獣の玩具がそのまま巨大化したようなのが、動いて暴れている!
 端末から引っ張ったデータによると……本当に玩具の怪獣が本物に変貌した怪獣ガゼラ! 
そんな冗談のような怪獣もいるのかよ!
「ギャアアオウ!」
 ナリは冗談のようだが、火を噴いて暴れる姿は本物の怪獣だ! これはまずいぞ!
「サ、サイト! 怪獣が現れたわ!」
「ああ!」
 叫ぶルイズ。言われなくとも分かっている。俺はウルトラマンゼロとなって怪獣に立ち向かわないと……。
「頑張ってね、サイト!」
「ああ! ……えッ!?」
 つい自然に返事してしまったが……えぇ!? 俺、今ルイズに何て言われた!?
 が、「頑張ってね」? それってつまり、俺に怪獣と戦ってこいと!? いや、まさか、
ルイズは俺がゼロだと知っているのか……? だからそんなことを言ったのか!? でも、
どうしてルイズがそのことを知っているんだ……!? バレる場面なんてなかったはずだぞ……?
「おいルイズ、今のどういう意味……?」
「え……?」
 聞き返すと、ルイズは我に返ったように口元を手で隠した。
「や、やだ、わたしったら! 何おかしなこと言ってるのかしら!? 何だか、自然と口から出てきて……」
 どうやらゼロのことを知っている訳ではなかったみたいだ。それならいいんだが、自然と無茶振りが
口から出てくるってどういうことなんだ。……とはいえ、俺もごく自然に返事したのだが。
「い、今のは忘れて! わ、わたしは先に避難してるからね!」
 変なことを言ったのが恥ずかしいのか、ルイズはあたふたとした様子で図書室から飛び出していった。
ほんと、おかしな奴だな……。でも、これで変身できるようになった。
「よし、行くぜ! デュワッ!」
 周りに誰もいないことを確認してから、ウルトラゼロアイを装着だ! 俺から変身したゼロは
窓から図書室より飛び出していき、ガゼラの面前で同等に巨大化する。
『もう好き勝手はさせねぇぜ!』
「ギャアアオウ!」
 これ以上の街への被害を阻止するために、ゼロは正面切ってガゼラに勝負を挑んだ!
『せぇぇぇあッ!』
 まず疾風のようなスピードの正拳突きが入り、そこからキック、チョップといった打撃技を
途切れることなく叩き込む。今日のゼロはいつにもまして絶好調だ!
 が、当のガゼラにはさして効いている様子が見られない。それは粘土細工の怪獣だから
表情の変化がないからだけでは断じてない!
「ギャアアオウ!」
 ゼロの攻撃を受け切ったガゼラは、右腕のでかい拳を振り回してきた。一撃を受けたゼロが、
ボールのように吹っ飛ばされる!
『ぐはぁッ!』
『ゼロ!!』
 想定外の事態だったので、俺は思わずゼロの名を叫んでいた。こいつ、パワーだけはゼロの
倍くらいもある! とんでもない!
『ぐッ……何て怪力だ……!』
 あまりのもダメージを食らって、よろめきながら起き上がるゼロ。俺は詳しく調べたガゼラの
情報を伝える。
『ゼロ! あいつは、受けた攻撃のエネルギーを吸収して倍の力にしてはね返してしまうんだって!』
『何だって!?』
『胸にある増幅器で、どんなエネルギーも倍にする……玩具の時の設定が再現された能力だって
書いてある……!』
 そんな子供が考えたとんでも設定を現実にするなんて、無茶苦茶だろ!? 何てデタラメな怪獣なんだ!
『くッ、てやッ!』
 ゼロはゼロスラッガーを飛ばしてガゼラの身体を貫通しようとしたが、スラッガーは相手の
身体に弾き返され、ガゼラは更に力を上げる。スラッガーの物理衝撃まで通用しないのかよ!
『こいつでどうだぁッ!』
 ゼロは続けざまにワイドゼロショットを撃ち込んだ。が、これも効果が見られない!
「ギャアアオウ!」
 それどころか、ガゼラは頭頂部の角と拳から赤い電撃光線を放って反撃してくる!
『うぐあぁぁぁッ!』
 破壊力はワイドゼロショットのそのまま倍だ! ゼロは大きく吹っ飛ばされてしまう。
 本当に、どんな攻撃も倍にして返すなんて……。それじゃあ無敵じゃないか! 倒す手段なんて
ないじゃないか……!
 一瞬絶望する俺だが、ゼロの方にあきらめの色はなかった。
『落ち着け、才人……! 絶対無敵な奴なんてこの世にいやしねぇぜ。完璧に見えても、
どこかしらに穴があるもんだ。そこを突くのさ!』
 ゼロはガゼラの弱点を見つけ出すまで、防戦の構えを取る。
「ギャアアオウ! ギャアアオウ!」
 だがガゼラの攻撃の勢いは激しく、ゼロを瞬く間にボコボコにする……!
『ぐ、ぐぅ……!』
 だ、大丈夫なのか? 弱点を発見するまでに、身体が持つのかよ?
 不安に駆られる俺だったが、その時にガゼラの胸の増幅器が確かにぐらついた!
『あれだ! 胸のパーツがしっかりくっついてないんだ!』
 それを見抜いたゼロの行動は早かった。一旦飛びすさってガゼラから距離を取ると、間髪入れずに
高く跳躍! ウルトラゼロキックの構えを取った!
「デェェェェヤッ!」
 飛び蹴りがガゼラの胸部にヒットし、その衝撃で増幅器がガタリと落下した!
「ギャアアオウ……!」
 途端に、ガゼラのそれまでのパワーが嘘だったかのように全身から力が抜けていった。
やった! 反撃のチャンスだ!
『おおおおおおッ!』
 これまでの鬱憤を晴らすかのような怒濤の打撃を入れていくゼロ! 後ろ回し蹴りが相手の
頭部に炸裂すると、ガゼラはすごい勢いでバタバタ暴れた後にばったりと横倒れになった。
 それから緑色の火の玉が抜け出し、ガゼラの肉体は小さな玩具のサイズに逆戻りした。
「シャッ!」
 ゼロは人魂の方にエメリウムスラッシュを撃ち込んだ。この一撃で人魂は消え去り、ガゼラが
二度と巨大化することはなくなった。
 やった! 一時は本気でまずいと思ったが、ゼロの大逆転だ! きっと、前に現れたガゼラも
同様の方法で倒されたんだろうな。でも……。
『どうしてあんなに分かりやすい弱点がそのままだったんだろう? 胸の一番重要な部品を
取れづらくするように手を加えるくらい、誰でもしそうなものだけど、やってないなんて』
 俺はそのことに疑問を感じた。ガゼラの最大の武器でもあり一番の弱点でもあるラジオの部品に
手を加えられた跡がないなんて、ガゼラをけしかけてきた奴はどういう考えだったのか。そもそも、
ガゼラはどのようにして再び出現したのか。
『さぁ……。今からじゃ、それはもう分からねぇな……』
 今度の戦いの裏にあるだろう真相に関しては、さすがにゼロにも何も分からなかった。

 一応のところは平和を取り戻せた。元の姿に戻った俺は、これ以上学園で何かするのはよして、
家への帰路についていた。
 いつもながら、高校生とウルトラ戦士の二足のわらじの日々はとても大変だ。でもそう悪い
ことでもないと思える。何だかんだで周りには友達がいて楽しいし、平和を守る戦いほど
やり甲斐のあるものもない。まぁ、最近のルイズとキュルケにはもうちょっと手加減をして
もらいたいところではあるが。
 そう思いながら歩いていたら……背後からパタパタと足音が近づいてきた。この軽い音だと……女の子?
 振り返ってみると、ルイズが俺の元に走り寄ってきていた。
「ルイズ? どうした、さっき分かれたばかりなのにどうしてここにいるんだ?」
 帰る方向は違うから分かれたというのに、何でこっちに来たんだ? そう思って尋ねると、
ルイズは多少上ずった声で答えた。
「こ、こっち側に用事があることを思い出したのよッ! べべ、べ、別にあんたに会うために
来たんじゃないんだからね!」
 ……用事って何だよ。
「んじゃ、俺と話してないで早く行けよ」
「せ、せっかく会ったんだから少しくらい、話をさせなさいよ」
 それって、どう考えても俺と話をするために来たとしか思えないんだけど……。どうしてこいつは
いちいち素直に物を言えないんだろうかな。
「分かったよ。話って?」
 聞き返すと、ルイズはおずおずと口を開いた。
「……あ、あの、最近のことだけど。色々迷惑かけちゃって悪いとは思ってるんだからね?」
 意外な言葉だった。ルイズもそんな殊勝なことを考えていたのか。
「そ、それで、なんだけど……明日って、祝日で学校休みよね!」
「ああ、そうだったな。……って、おい。まさか明日も特訓か?」
「ち、違うわよッ! 明日の休み、あんたは予定とかないの?」
「そーだな、特に予定はないが」
 話がよく見えない。俺の予定を確認して、それでいて特訓でもないなら、どうするつもりなんだ?
「だったら……明日は、わたしの買い物につき合いなさい!」
「はぁ? 買い物?」
「そ、そうよ! 労をねぎらうことも必要でしょうから、誘ってあげるの! けど、勘違いしないで! 
あくまで荷物持ちとしてだからね! ああ、あんたと、い、一緒がいいってことじゃないんだからね!」
 おいおい……。荷物持ちじゃ、労をねぎらうことにはならないだろうに。もっと普通に
誘うことは出来ないのか。
「そういうことだから、明日はわたしについてきなさいよ!」
「はいはい、分かったよ。どうせ暇だし、つき合ってやる」
「じ、じゃあ決まりね!」
 俺が返答したら、途端にルイズは嬉しそうな顔になった。口ではあーだこーだ言っているくせに、
そんな表情するなんて……何か俺まで嬉しくなるじゃんかよ。
「じゃ、待ち合わせは……学校の近くの公園にしましょ。時間は十時ね」
「分かった。お前、ちゃんと時間通りに来いよ」
「分かってるわよ! あんたこそ、遅刻したりしたら許さないんだから! じゃ、また明日!」
 約束を取り交わすと、ルイズはパタパタと来た道を引き返していった。こっちに用事が
あるんじゃなかったのかよ、全く。
 それはともかく、明日はルイズと買い物に行くこととなった。普通、かわいい女の子に
誘われたら嬉しいものだろうが、相手はあのルイズだからなぁ。嬉しさ半分、不安半分って
ところが正直な気持ちだ。明日はどうなるんだろうなぁ……。


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