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第八十一話「ウルトラマン高校生」


ウルトラマンゼロの使い魔
第八十一話「ウルトラマン高校生」
月の輪怪獣クレッセント 登場



「……サイトさん、サイトさん」
「う~ん……」
「サイトさん、起きて下さい。もう朝ですよ」
 ……シエスタの呼ぶ声で、俺は目を覚ました。
 うっすらと開けた目に飛び込む景色は、俺の部屋のもの。
 ……え? 俺の部屋?
「おはようございます、サイトさん」
 寝転がっている俺の顔を上から覗いているのは、声の主のシエスタ。
「お、おはよう、シエスタ。……っていうか、どうしてシエスタが俺の部屋に?」
 俺が尋ねかけると、シエスタは呆れたように返答した。
「もう、毎朝、起こしに来てるじゃないですか。じゃないとサイトさん、いつも遅刻するんですから」
「毎朝? えーと……いつから?」
「いつからって、いつの間にか……ですよ? えーと中学校の時にはもう習慣になってましたね」
「中学校?」
 ちょっと待て。俺、シエスタとそんなに長いつき合いだったっけ? それに……シエスタの
格好はどういうことだ?
「シエスタ……。何で俺の学校の制服なんて着てるの?」
 そう、シエスタは俺の学校のブレザー姿なのだ。いつものメイド服はどこ行ったんだ?
「何でって、これから学校に行くんだから、制服を着ているのは当たり前でしょう?」
 え? シエスタが、俺の学校に……? シエスタの職業はメイドじゃあ……。
 あれ……でも、言われてみれば、シエスタが俺の学校の生徒というのも、違和感がないような
気がしてきた……。うーん……。
「おかしなサイトさん。もしかして、悪い夢でも見たんですか?」
 首をひねる俺に、シエスタはクスッと笑ってそう聞いた。
「悪い夢っていうか……俺、剣と魔法の異世界に召喚されたはずなんだけど……」
 と言うと、シエスタにますます笑われた。
「それが夢じゃなきゃ、何なんですか? サイトさんが異世界に召喚されるなんて、現実に
ある訳ないじゃないですか」
「い、いや、でも……」
 戸惑う俺。あんなにはっきりと現実感があるのが夢だなんて……。特に、俺を召喚した
あのピンク髪のかわいい……。
 ……あれ? 何て名前だったっけ……。全然思い出せない……。
 ……いや、思い出せないんだったら現実じゃあないよな。あれは長い長い夢だったんだ! 
うん、ここが現実! そうに決まってるじゃないか! 俺の部屋が現実じゃないなんてことが
ある訳ないよ!
「い、いや、ごめん。変な夢見たから混乱してたみたいだ」
「ふふ、ならよかった」
 シエスタの笑顔が安堵のものに変わった。
「ごめんなシエスタ、心配かけちゃって」
「いいえ。それより、早く起きて支度して下さい。一緒に登校する幼馴染を遅刻させる気ですか?」
 幼馴染……。そうだ、生まれてからずっと一緒の幼なじみだよな、俺とシエスタは。
 こうして毎朝シエスタに起こしてもらって、一緒に高校に登校して、授業受けて……。
これが俺の日常なんだよな。
 ……でも……何か違う……ような。
 って、そんなこと考えてる場合じゃない! 急がないと、本当に遅刻だ!

 制服に着替えた俺は、シエスタと一緒に学校へと走っていた。
「ほら、シエスタ、早く行こうぜ。遅刻しちゃう!」
「はぁ、はぁ……。さ、サイトさんが早く起きてくれれば、走らなくてもいいのに……」
 それは、まぁ……その通りか。すまんシエスタ、俺の幼馴染に生まれたんだから、諦めてくれ。
「あ、サイトさん」
 ふと足を止めたシエスタが、横手の公園を見やった。
「見て下さい、あの公園。子供の時、よく一緒に遊びましたよね」
「ああ、そうだな」
 懐かしいなぁ。小さい時に、よく遊んだ公園だ。もちろんシエスタとも一緒に……。
 ……一緒だったよな? その時の情景が、よく思い出せないんだが……。
 疑問を抱いていると、シエスタがこんなことを言った。
「ねえ、サイトさん……。わたしたち、この街でずっと一緒に過ごしてきたんですよね」
「あ、ああ。そうだよな」
「小学校も中学校も、高校だって同じ……。だから、これからも一緒ですよね、わたしたち。
大人になっても……ずーっと……」
 一緒……。そうだよな……こんなことを女の子が言ってくれるからには、そうだったに
決まっているよな。わざわざ嘘を吐く必要があるはずないしな。
「一緒なんじゃないかなぁ。シエスタが俺の幼馴染をやるのが嫌になっちゃったら、そこで
終わりだろうけど」
 からかい気味に言うと、シエスタは急に大声を出した。
「嫌になんかなりません!!」
「わッ!? じ、冗談だって今のは。びっくりさせるなよ」
「冗談でも、そんなこと言わないで下さい!」
「ご、ごめん。そんなに怒らないでくれよ。なッ、なッ?」
 必死にシエスタをなだめる俺。まさかこんな過敏な反応するとは思わなかったなぁ……。
 と、俺がシエスタの方に意識を向けていたら……。
「あ、サイトさん危ない!」
「え?」
 シエスタが叫ぶので、振り向くと……セーラー服の小柄な女の子がこっちに向かって走ってきた!
「遅刻遅刻ー! 転校初日から遅刻なんて最悪だわー!」
「うわぁッ!?」
 俺はその女の子に激突される!
「きゃあッ!?」
「いててててて……」
 女の子の勢いがすごかったので、お互い尻もちを突いてしまった。
「いったぁーい……」
「サイトさん、大丈夫ですか!?」
「ああ、俺は大丈夫だけど……」
 シエスタの手を借りながら立ち上がると、ぶつかってきた女の子に目をやる。いい体当たり
かましてきやがって……何だこいつ。
 ピンク色の髪の、顔はかわいらしい女の子……。あれ? どこかで見覚えがあるような……
それに、どことなく親近感を覚えるような……。
 いやいや、そんなまさかな。こんな、ひと目見たら忘れられないような美少女、どこかで
会ってたら忘れる訳がないや。
「おい、危ないじゃ……」
「ちょっと、あんた! こんなところで何ぼーっと突っ立ってんのよ!」
 俺が文句をつけようとしたら、先に女の子から怒鳴られた。
「へ?」
「ああもう! グズね! 紳士たるもの、女性が走ってきたら道を開けなさいよ!」
 あんまりな物言いに、俺もついむかっ腹が立ってしまった。
「な、何なんだよ、お前! 前も見ないで走ってたのはそっちだろ!」
「何よ! 道の真ん中に突っ立ってるあんたが悪いんじゃない!」
「悪いのはお前だッ! 俺のこと見えてたんだろ、避けるくらいしろッ!」
 女の子と口論する俺だが、女の子は苛立ったようにそれを打ち切った。
「あーもう、こんなことしちゃいられないの! 遅刻しちゃうんだから~!」
「あ、おい、待てよ!」
「あんたに構ってる時間はないの! もう、遅刻遅刻ー!」
 女の子は俺の制止を振り切って、嵐のように去っていった……。俺はそれを呆然と見送る……。
「……何だったんだ、あいつ」
「……すごい女の子でしたね」
 シエスタも呆気にとられている。
「まぁ、そんなことは置いといて、俺たちもそろそろ急ごうぜ。大分時間食っちまったよ」
「そ、そうでしたね。行きましょう、サイトさん!」
 気を取り直して、学校へ向けて走っていこうとした、その時……!
「ギイイイイイイイイ……!」
「ん?」
 上の方から、何かのうなり声のようなものが聞こえた気がした。その方角を見上げると……。
 空の彼方の一画が唐突にスパークし、雷が集まって巨大怪獣が出現した!
「ギイイイイイイイイ!」
「う、うわぁぁぁッ!? 怪獣!?」
 全身灰色の皮膚だけど首元だけ白い三日月模様があり、まるでツキノワグマみたいだ。
顔には真っ赤な二つの目玉と、三本の牙が出っ歯みたいに裂けた口からはみ出している……! 
かなり凶暴そうな雰囲気だ!
 通信端末には、月の輪怪獣クレッセントとある。けど……地球圏の怪獣は全部倒されて、
もう出現しないんじゃなかったのか!? それがこんないきなり……!
『才人、怪獣の出現だ!』
 ん? いきなり、誰かの声が耳に……いや、脳内に直接届いた。
 目を落とすと、左腕の手首にごてごてとした銀色のブレスレットが嵌まっている! うわッ!? 
こ、こんなのつけていたっけ……!?
『ぼやぼやしてる暇はないぜ。変身だ! 怪獣と戦うぜ!』
 声はそのブレスレットから発せられているみたいだ。って……変身!? それってまさか……。
 昔の地球では、怪獣に襲われて人間がどうしようもないピンチに陥った時、助けてくれる
大恩人がいた。奇跡のような力で怪獣に立ち向かい、俺たちの先祖の命を救ってくれていた
光の巨人……ウルトラマン!
 まさか、俺にウルトラマンになれって言ってるのか!? このブレスレットは!
「お、おい、待ってくれよ! いきなりそんなこと言われても……心の準備って奴が! そもそも、
どうしてよりによって俺がウルトラマンに!?」
『なーに言ってんだよ、お前。俺たちは前から一心同体じゃねぇか。そう、お前の命が失われそうになって、
俺が融合することでつないだあの時から』
 ええッ!? お、俺の命が失われそうになっただって!?
「そ、それっていつ、どこでのことだよ! 記憶にないぞ!?」
『いつ、どこってそりゃあ……あれ? いつ、どこで起きたことだったっけ……? 何で思い出せねぇんだ?』
 ブレスレットの声にも分からないことみたいだ。おいおい、そりゃないだろ。そんな重大な
ことを忘れるなんて……。
『いや、今はそんなことどうでもいいぜ。さぁ、早くこのウルトラゼロアイを装着して変身するんだ! 
いつもやってることだろ! ……確か』
 ブレスレットのランプ部分から出てきたのは、青と赤と銀色のサングラスみたいなものだった。
 あれ? これを見た途端……混乱していた頭の中が、急にクリアになった気分になった。
これを身につけることが、これまでで一番しっくり来る動作のような……。
 俺はほぼ無意識に手を伸ばし、眼鏡を掴むと流れるような自然な動きで顔に張りつけた。
「デュワッ!」
 その瞬間、俺の身体が光に包まれ、青と赤と銀色の巨人の姿に変貌していった!
 巨人になった俺が怪獣クレッセントの前に着地する!
『よぉっし! ウルトラマンゼロ、出撃だぜッ!』
 ウルトラマンゼロ……!
 ああ、そうだよ。どうして忘れてたんだ。ウルトラマンゼロ……それが俺たちの名前じゃないか。
俺たちは今日まで、いくつもの戦いを一緒に乗り越えてきた! ……はずだ! 何故かその戦いの
日々は思い出せないけど……そうだと心が訴えている!
『よし、行こうぜゼロ! 力を合わせよう!』
『へへッ、ようやく調子が出てきたみたいだな。オーケーだ才人! 始めようぜぇッ!』
 下唇をぬぐったゼロが、クレッセントにぶつかっていく!
「ギイイイイイイイイ!」
 クレッセントは太く鋭い爪が生えた手の平を振るって、ゼロに攻撃してくる。この一撃を
もらったゼロが、ズザザザッ! と押し戻された!
『くッ、なかなかのパワーじゃねぇか』
『大丈夫か、ゼロ!』
『あったり前よ! 戦いはまだ始まったばっかりだ! おおおッ!』
 気合いを入れ直して、ゼロは再びクレッセントへ肉薄していった!
「ギイイイイイイイイ!」
 クレッセントは腕を振り回してくるが、ゼロは宇宙空手の動きで相手のパワーを巧みに受け流す。
そうして隙を作ったところで、首筋に速いチョップを見舞った。
「セアッ! ダァッ!」
「ギイイイイイイイイ!」
 チョップからのローキックでクレッセントをひるませ、そこに相手の体幹に強烈な横拳をぶち込む!
「シェアァッ!」
「ギイイイイイイイイ!」
 今度はクレッセントが押し出され、打たれたところを抑えて苦しんだ。
『その調子だ、ゼロ!』
『おう! どんどん行くぜ!』
 ゼロは勢いに乗ってクレッセントを更に追い詰めようとしたが……クレッセントは途端に
両目から赤い熱線を発射して反撃してきた!
「ギイイイイイイイイ!」
『おわぁッ!』
 かなり威力のある熱線だ! 流石のゼロも、その攻撃は耐え切れない!
「ギイイイイイイイイ!」
 クレッセントは更に熱線を撃ち続けて、ゼロを激しく攻め立てる! ゼロが熱線と爆発に
あおられて苦しめられる!
 ああ、カラータイマーも点滅を始めた!
『しっかりしろ、ゼロ! お前はあんな奴にやられるような奴じゃない! そのこと、俺がよく知ってるぜ!』
『ああ……その通りだ! まだまだぁッ! ここから反撃だッ!』
 ゼロはわずかな攻撃の隙間を突いて、バク転の連続で熱線から逃れた! クレッセントは
追いかけて熱線を撃ってくるが、その時にはゼロも態勢を立て直していた。
『うらぁッ!』
 クロスした腕で熱線を防御! これに動揺したクレッセントへ、アクロバティックな側転の
連続で懐へ飛び込む!
『せぇぇぇぇぇぇいッ!』
 そこからの首投げが決まった! クレッセントは大きく宙を舞って地面に叩きつけられた!
「ギイイイイイイイイ!」
『おしッ! そろそろフィニッシュと行くぜぇッ!』
 クレッセントが持ち直さない間に、ゼロが必殺光線の構えを取る! 左腕をまっすぐ左へ
伸ばしてから、右腕と合わせてL字のポーズを取る!
「シェアァーッ!!」
 発射されるワイドゼロショット! この攻撃がクレッセントに直撃する!
「ギイイイイイイイイ!!」
 ワイドゼロショットを浴びせられ続けたクレッセントの動きが完全に停止し、そのまま前のめりに倒れた。
 ゼロの勝利だ! ゼロの勇姿が太陽の輝きに照らし出される!
『へッ、俺たちに勝とうなんざ、二万年早いぜ』
『やったな、ゼロ! やっぱりゼロは強いな!』
『これはお前の力でもあるんだぜ。俺たちの勝利なんだ!』
 ゼロの言ってくれた通りだ……。俺も最近は頑張って、ゼロの力になっている。俺たち二人には、
向かうところ敵はいないぜ!
 けど、勝利で浮かれていたら……突然目の前が急速にぼやけてきた。
 いきなり何だ!? 何が起きているんだ……。

 ……才人が目を覚ますと、そこは豪奢なベッドの上だった。隣には、いつものようにルイズの寝顔。
「……ん、あれ……」
 おもむろに身体を起こす才人。ぼーっ……とした眼差しで、辺りを見渡す。そこは、見慣れた
ルイズの部屋だ。
「……ああ、アルビオンから魔法学院に帰ってきたんだった……」
「お目覚めかい、相棒。けど今朝はいつにもまして寝ぼけてるみたいじゃねえか」
 壁に立てかけたデルフリンガーが話しかけてくると、才人は彼に告げた。
「いやぁ、久しぶりに故郷の夢を見てさ……しかもそれが、妙に現実感のある夢だったんだ。
ルイズがセーラー服着てたことくらいしか思い出せないんだけど……」
「へぇ? 今になってホームシックって奴かい、相棒? それとも、娘っ子にセーラー服
着せたい願望があるとか。あの時は楽しそうだったもんな」
「や、やめてくれよ。ちょっと思い出したくない……」
 才人が以前のことを思い返して辟易していると、ウルティメイトブレスレットからゼロが声を上げた。
『才人、怪獣の出現だ!』
「何だって!? 本当か! ……ん?」
 すぐに反応したかに見えた才人だが、不意に怪訝な顔になる。
『ぼやぼやしてる暇はないぜ。変身だ! 怪獣と戦うぜ!』
「……」
『場所はそう遠くないところみたいだな。直接飛んでいくぜ! ……って、おい。聞いてるのか? 
まだ寝ぼけてるのかよ』
 才人がぼんやりとしているので、ゼロが呆れた。すると才人はゼロに尋ねかける。
「なぁ……こんなやり取りをどこかでやらなかったか? しかもつい最近」
『なーに言ってんだよ、お前……ん? 俺も何か既視感があるな……。はて、どこでこんなことを
言ったんだったか……』
 ゼロも不思議に思って、一瞬黙る。が、すぐに我に返った。
『いや、今はこんなことしてる場合じゃないぜ。才人、すぐに出発だ!』
「あ、ああ、そうだったな。行くぞ、デルフ」
 ベッドから飛び降りた才人がデルフリンガーを背負う。それから、まだスヤスヤと眠っている
ルイズにそっと呼びかける。
「行ってくるな、ルイズ。すぐ戻るから」
 それからブレスレットから出てきたウルトラゼロアイを装着し、ウルトラマンゼロへの変身を行う!
「デュワッ!」
 青と赤の光は窓から外へと飛び出していき、大空で巨人の勇敢の戦士の姿へと変化する。
『よぉっし! ウルトラマンゼロ、出撃だぜッ! ……これも言ったことある気がする』
 ゼロは怪獣出現の現場に急行しながら、そうぼやいた。


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