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第七十七話「風の竜のともだち(前編)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第七十七話「風の竜のともだち(前編)」
凶悪怪獣ギャビッシュ 登場



 エズレ村のミノタウロス事件の際に、グレンファイヤーがシルフィードの正体を知っている
ということが発覚した。今一度確認するが、シルフィードはただの風竜ではない。本名をイルククゥと
言い、人間の間では絶滅したと言われているがその実隠遁して生き延びている風韻竜の子供なのだ。
イルククゥはタバサのコントラクト・サーヴァントの呪文に導かれて、彼女の使い魔となった。
 しかし、その事実を何故グレンファイヤーが知っていたのか。それにまつわる話には、
魔法学院の夏季休暇期間中に起きたある事件が関わっていた……。

 夜のトリステインの森の一つ。その上空を、ジャンボットが飛行している。しかし普通に
飛行している訳ではなかった。彼は、自身と同等のサイズの巨大怪獣を抱えている。
『むんッ!』
「ピィ――――――――!」
 無人の森の上に強行着陸するジャンボット。その際に巨大怪獣が放り出され、木々の上に叩きつけられた。
「ピィ――――――――!」
 青い毛皮に覆われ、真っ赤な両眼を持つ、凶暴な面構えの怪獣が立ち上がる。その顔面からは、
おぞましいほどの悪意がにじみ出ていた。
 怪獣の名はギャビッシュ。とめどない破壊衝動と狡猾な頭脳を併せ持つ危険な宇宙怪獣であり、
これに襲われた星はあまりにも大きな被害が発生してしまう。実際、このハルケギニアでも
人の街を積極的に狙い、住民をわざと巻き込む形で彼らの命を盾にして思う存分暴れ回ろうと
していた。しかしそこにジャンボットが駆けつけ、ギャビッシュが反応する間も与えずにこれを
捕獲し、こうやって無人の土地に運ぶことで卑劣な策略を無効化したのだ。
『ここならこちらも存分に戦える! 行くぞ、ならず者怪獣!』
 正義の心をたぎらせたジャンボットはビームエメラルドで先手を打った。
 だが緑色のレーザーはギャビッシュの赤い目に吸い込まれ、口からジャンボットへと送り返された!
「ピィ――――――――!」
『むッ、光線を反射する能力を持ってるのか! ならば格闘戦だ!』
 はね返されたビームエメラルドを盾で防いだジャンボットはすぐに戦い方を切り換える。
ぐっと両の拳を握り締めて、ギャビッシュへと接近していく。
「ピィ――――――――!」
 だがギャビッシュに肉弾戦をするつもりはないようだ。口から針状の光線を吐いてジャンボットを攻撃。
ジャンボットは足止めされる。
『ジャンナックル!』
 しかしこれしきで追い詰められるジャンボットではない。素早くロケットパンチを飛ばし、
ギャビッシュの頭部に命中させた!
「ピィ――――――――!」
 大きく仰け反ってよろめくギャビッシュ。その隙にジャンボットは押し込もうと、再び踏み込んでいく。
 が、その時にギャビッシュの長い尾が頭上まで持ち上がり、その先端から電撃光線が辺り一面に発せられた!
『ぐッ!』
 強烈な一撃が連続して爆発を引き起こし、ジャンボットの視界が一瞬さえぎられた。
 そして晴れた時には、ギャビッシュの巨体が影も形もなくなっていた。
『何ッ、しまった! 逃げられたか!』
 ギャビッシュは光線反射や光線発射の能力の他に、いざという時に逃避するテレポートの
超能力も備えている。自分が敵う相手ではないと見るや、すぐに逃走して姿をくらますのも、
ギャビッシュの狡猾さの一面である。
 ジャンボットはレーダーも使って捜索したが、ギャビッシュは既にこの付近からいなくなっているのか、
反応は全くなかった。最早ここには現れないだろう。
『あの怪獣は、野放しにしておくほどに危険度が高まる。早く見つけ出さなければ! 仲間たちにも
協力してもらおう』
 そう判断したジャンボットはジャンバードへと変形し、一旦衛星軌道上へと引き返していった。

 一夜明けて、トリステイン魔法学院近くの森の中。そこが普段のシルフィードのねぐら。
タバサに呼ばれないときは、ここを中心に遊んだり、使い魔仲間と話し合ったりして日々を
過ごしているのだ。
 しかし今日のシルフィードは憂鬱そうだ。岩の上に腰掛け、前足で器用に頬杖を突いている。
はぁ、とため息まで吐いた。
「さっきは哀しかったのね……」
 思わず声に出してから、はっと気がついて慌てた顔で辺りを見回す。
 しゃべっちゃった!
 心の中で、そう呟く。
 風韻竜の子供、シルフィードは普通の竜と異なり、言葉を操ることが出来る。しかし言葉を
話すところを人に見られたら、正体が一発でバレてしまう。それを防ぐために、タバサは上空
三千メイル以上の場所以外での、シルフィードの発声を禁じているのだ。同時に、この周辺での
人間への変身も禁止している。勘の良い知り合いに、一緒にいるところを見られたらシルフィードの
正体に気づかれてしまうかもしれないからだ。とにかく、タバサはシルフィードの正体が
露見しないように気を遣っている。
 それを破ったら大目玉だ。シルフィードはどうか周りに誰もいませんように、と願いながら
見回していたが……。
「……」
 振り向いたその先に、木々の間から半身を出してこちらに視線を送っているグレンの姿を見とめた。
(い、いるのねー!?)
 ガビーン! とショックを受けるシルフィード。彼は確か、グレンファイヤーがその身の中に
宿ったウェールズという人間。それがどうしてこんな場所に? 一体シルフィはどうしたらいいの!? 
と混乱するシルフィード。
 しかしふと落ち着きを取り戻す。まだ自分の声を聞かれたとは限らない。もしかしたら
彼の耳には届いていなかったかも……と、一縷の望みにかけたが、
 グレンはこちらにつかつかと歩いてきて、こう言ってきた。
「おいおいどうしたよ、えぇと、シルフィード。アンニュイな空気醸し出して、挙句『哀しかった』だって? 
何か嫌なことでもあったのか?」
(バッチリ聞かれてたのねー!)
 再びガビーン! とショックを受けるシルフィード。それでも最後の抵抗とばかりに、
そっぽを向いてしらを切ろうとしたが、
「おーい、返事しろっての。お前さっきしゃべってたじゃ……」
 とグレンが言うので、無視できずに慌ててその口を塞いだ。これ以上ややこしいことになるのはごめんだ。
 観念したシルフィードははぁ……とため息を吐いて、口を開く。
「あの……シルフィがしゃべってることに驚かないの?」
 まずはそう問い返した。いくら使い魔でも、動物が人語を話すようになるのは極めて稀なことだ。
普通なら竜が口を利くことに驚かないはずがないのだが、グレンはそんな様子が微塵もない。
 そのことにグレンは、ポカンとした表情で質問を返した。
「えッ、普通はしゃべらねぇもんなのか? そういや、竜が言葉話してるとこって見たことねぇな」
「……し、知らなかったのね?」
 唖然としてしまうシルフィード。それくらいは常識であることは、シルフィードだって知っている。
まぁ、グレンはハルケギニアの人間ではないので、ハルケギニアの常識は通用しないのかもしれないが。
「まぁな。竜っていうくらいだし、言葉ぐらいは話せてもおかしかねぇって思ってた。怪獣にも、
しゃべれる奴はいるしな」
「しゃべれる怪獣もいるのね……!? そっちが驚きなのよ」
「ってぇなると、シルフィード、お前は普通の竜じゃねぇってことだよな」
 聞かれて、シルフィードは今度こそ近くに人がいないことを確認してから、開き直ったような
態度でグレンに答えた。
「そうなのね! シルフィのほんとの名前はイルククゥ。人間はいなくなったと思ってる
古代の幻獣、韻竜の眷属なのよ! そこらの竜とは格が違うのね」
「へー、そうだったのか! お前ってすごい奴だったんだな!」
 称賛されて、シルフィードは何だか誇らしい気持ちになり鼻高々となった。思えば、人間たちの
都合で普通の風竜の振りをし続ける毎日で、ずっと窮屈な思いをしていた。韻竜は本来気高い
生き物なので、そんな思いをするのはストレスが溜まる。
「そうなのよそうなのよ! シルフィはすごいのね! 飛ぶ速さだって鳥なんかとは比べものに
ならないし、精霊の力も使えるのね! 姿を変えるのだって、ほらこの通り!」
「おぉー! やるじゃねぇか!」
 すっかりいい気になって人間への“変化”まで披露し、二人で盛り上がる。
 しかしはたと我に返り、グレンにお願いした。
「グレン、シルフィが風韻竜ってことや、言葉を話せるってことは誰にも言わないでほしいのね。
これが知られたら、お姉さまの使い魔をやっていられなくなるのね」
 その頼みを、グレンは快く引き受けた。
「分かったぜ! こいつは俺とお前の、男と男の約束だな!」
「シルフィは女の子なのね……」
 と突っ込むシルフィードであった。
 ともかく約束を交わしたところで、グレンが話を戻した。
「それでシルフィード、お前何でさっき暗い顔してため息吐いてたんだ? ここであったのも
何かの縁だ。相談くらいは乗るぜ」
「……実は……」
 シルフィードは己の内に抱えた重い気持ちを吐き出すように、今朝からの出来事を紅蓮に打ち明けた。
 シルフィードが朝目を覚ますと、森の中で五歳くらいの小さな女の子とばったり出くわした。
苺やキノコを採りに来たようであったニナという少女は、恐ろしい竜の姿を前にしても物怖じせず、
人懐っこく話しかけてきた。それが何だか嬉しくてシルフィードも少しつき合ったが、ニナは
森の中に籠を忘れていった。それを届けに、彼女の村まで行ったシルフィードだったが、村の人間に
見つかってしまい大騒ぎになってしまった。その上ニナが、他の人々の自分を恐れる様子に
感化されて、泣き出してしまったのだ。せっかく仲良くなれたのに……と、シルフィードは
それがショックだったのだ。
 グレンはその話を聞いて、したり顔でうなずいた。
「なるほどねぇ……。見た目が厳ついってのは何かと不利だよな。俺だって、チーム内の人気は
ゼロやミラーナイトに取られがちでちょっと悔しい思いしてるんだよ。あいつらイケメンだからなぁ」
 イケメン、と言われても、シルフィードには違いがよく分からなかった。宇宙的な美的センスは、
彼女にはまだ早かった。
「よっしゃ、そういうことなら俺が一肌脱いでやろうじゃねぇか! 要は、村の奴らがお前を
恐がらなくなりゃいいんだろ?」
「でも、どうするのね?」
「なぁに、簡単なことだぜ。俺がお前のことを、メイジの使い魔で危険なことは全然ない、
すっげぇ大人しい奴って弁解するのさ。誤解が解けりゃ、そのニナって子もお前のことを
もう怖がったりはしねぇだろ」
 おお! と一瞬喜んだシルフィードだったが、すぐに思い直して断った。
「気持ちは嬉しいけど、やっぱり遠慮するのね……」
「え? 何でだよ」
「どんなに言葉で説明しても、人間はシルフィみたいのは本能で怖がる。それはどうしようも
ないことってのは、シルフィだって知ってるのね。たとえニナが怖がらなくっても、シルフィと
一緒にいたら、あの子が村で仲間外れになるかもしれないのね……。シルフィのせいで
そんなことになったら、申し訳ないの」
 シルフィードはニナのために身を引くつもりであった。本当はあの子と友達になりたいのだが……
その気持ちを抑えつけるのだ。
「シルフィード……お前って結構大人なんだな」
「そうなのね。お姉さまはしょっちゅうシルフィをお叱りするけど、シルフィだって色々と考えてるのね」
 寂しそうなシルフィードだが、本人がこう言う以上は、グレンにはどうすることも出来ない。
そっとしておくのが関の山であった。
 考えとは裏腹に落胆を隠せないシルフィードは、それを紛らわすようにグレンに尋ね返した。
「ところで、グレンはこんなところで何やってたのね?」
「ああ、それだそれだ! 実はちょっと大変なことになっててな。ちょうどいい、お前にも
注意をしておくぜ」
 グレンはそう前置きして、自身の目的を話した。
「昨晩、焼き鳥の奴がある怪獣と戦ってな」
「焼き鳥?」
「ジャンボットの仇名だぜ。あいつは認めねぇんだけどな。それは置いといて、その怪獣が
この辺りに逃げ込んだみてぇなんだ。そいつを捜してたって訳だ。多分こんくらいの大きさの、
青い毛の奴なんだが、見てねぇか?」
 グレンはジェスチャーで、両腕で抱えられる程度の大きさを示した。
「ううん、見てないのね。というか、そんなちっさい奴、わざわざ追いかける必要あるの?」
「いや、見た目で騙されちゃ駄目だぜ。そいつは化けの皮を被ってるだけだ。ほんとの姿は
俺たちと同じくらいの大怪獣で、しかもすげぇ凶暴なんだよ。小さな姿に化けんのも、
逃げると同時に無害な生き物の振りして、人のいるとこに潜り込んで暴れようって魂胆からだ」
「うッ、そんなずるい怪獣もいるのね……」
 か弱い存在を装って人を騙し、集団の内側に入り込んでから破壊活動を始める……その狡猾さは、
説明だけでも想像がついた。
「ここには学院がある。今は休暇中だが、人はいるんだろ? そこに侵入しやがったらえらいことだ。
もし青い生物を見つけても油断しねぇで、敷地内には絶対入れるな! ってお前からもみんなに
警告しといてくれ」
「だからシルフィは、人の前ではしゃべられないのね……」
 突っ込むシルフィードだが、今の話は放ってはおけない。タバサには事情を説明して、
学院全体に警戒してもらうようにしよう、と行動の方針を決定するのだった。

 シルフィードとグレンが出くわす少し前……ニナの暮らす村。
 ニナは母親に散々説教を食らって、しょぼんとうなだれていた。竜のそばなんかに行っちゃいけない、
と怒られたのである。そうこうするうちに、ニナは地面に転がっていた籠を見つめた。
「あ、あたしのかごー」
 中にはぎっしりと蛙苺が入っている。シルフィードが運んできて、騒動の内に置いていったものだ。
「かご、竜さんが持ってきてくれたんだ」
 ニナは立ち尽くした。置き忘れてきたことに気づいたのは、家に帰ってきてすぐのことだった。
「……ママがいうとおり、ほんとに怖い生き物なのかな」
 わからない。幼いニナにとって、母親の言葉は絶対である。でも……、今朝見たシルフィードは、
そうは見えなかった。
 ニナが悩んでいると……、彼女の元にどこからか、ひょこひょこと小動物が近づいてきた。
「あれ? この生き物……何だろう?」
 小動物を目にしたニナは首を傾げた。全く見たことのない生物だった。犬でも猫でもない。
強いて言えばネズミに似ているが……青い毛のネズミなど、ニナは聞いたこともなかった。
 その小動物はブルブルと震えている。弱っているようであった。
「あなた、どうしたの? 具合が悪いの? それとも、怪我したの?」
 ニナは小動物のことを心配し、自分のところで介抱してあげようと思い立った。
 母親は竜を、身体が大きく力が強いので、とても恐ろしい生き物だと言っていた。ならば、
身体が小さく力も弱そうなこの生き物は、家に連れて帰っても大丈夫だろう。
「おいで、家で手当てしてあげるね」
 そう決めたニナは小動物を抱え、家まで運んでいった。その道すがら、村の人たちが小動物に目を留める。
「まぁ、あの生き物は何かしら? 見たことないわ」
「でも大人しそうで、安全みたいね。それにかわいい顔をしてるわ!」
「さっきの竜とは大違いだな。貴族さまがたにも、ああいう生き物を使い魔にしてもらいたいぜ」
 家に帰ったニナは、母親に小動物の世話をする許可をもらう。
「ママ、この子弱ってるみたいなの。うちで看病してあげてもいい?」
「え? 何かしら、その生き物……」
 母親も初めは訝しんだが、すぐに小動物の愛らしい顔立ちとうるうるした瞳に気持ちをほだされた。
「……まぁ、危なくはないみたいね。いいわよ。それどころか、そんなかわいい生き物なら
うちで飼ってもいいわ!」
「やったぁ! ありがとう、ママ!」
 ニナは喜んで、小動物をテーブルの上に乗せる。
「きみ、これからニナの友達だね! 待ってて、お薬持ってくるから」
 ニナは傷に効く薬草を探しに、小動物の前から離れた。
 ……その途端に、小動物はニタァ……と、邪悪な笑みを口の端に貼りつけた。


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