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マジシャン ザ ルイズ 2章 (3)

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マジシャン ザ ルイズ (3)水のルビー

慌てたコルベールが教室に入ると、中では異常な光景が広がっていた。
焦げたミスタ・ギトーを、「治癒」の魔法が使える生徒達が囲んで治療しているのであった。

「ななな、何があったのですかな!?」
「えー、…気にしないで下さい、ミスタ・コルベール。
 それよりも……その格好はどうなされたのですか?」
応えるルイズ、しかし、その顔は困惑気味。
無理も無い。
彼は頭に大きなカツラを被り、ローブの胸にはレースの飾り、その他全てが普段と同じ格好ではない。
そんな珍妙な格好のコルベールを見た生徒は、皆一様に同じ顔つきをしているのだった。

「そうでした!皆さん、本日の授業は全て中止でありますぞ!」
そのコルベールの一言に教室は歓声に包まれる。

「皆さん!お静かに、お静かに!お知らせです、お知らせですぞ!」

手を必死にばたつかせて、歓声に負けじと声を上げるコルベール。

「アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問のお帰りに、このトリステイン魔法学院に行幸なされます!」



トリステイン魔法学院正面門。
そこで、左右に整列した生徒達が高貴なる馬車の到着を待っていた。
やがて、馬車が到着すると一斉に杖を掲げる、例外の無い忠誠の証。

「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなぁぁぁぁぁぁりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

まず最初にマザリーニ枢機卿、そして、枢機卿に手をとられて美しい―まだ少女と呼んでも構わない年頃の―娘が馬車の中から現れた。
一斉に、湧き上がる、生徒達の歓声。
アンリエッタは生徒達の歓声に応えるように微笑むと、優雅に手を振った。
王女に微笑みかけられて、更に涌く生徒達。

ルイズは正面を向き、真面目な顔をして王女を見ている。
アンリエッタ王女、幼少のみぎり、ルイズと親しかった少女。
時間と距離が二人を引き離したが、ルイズはアンリエッタを忘れたことは無かった。
(王女様……ご立派に、ご立派になられて…)
遠い昔の話、既に王女は忘れているかもしれない。
それでも構わないと、ルイズは思う。
遠くから、遠くから王女の姿を見ているだけで、満足だと。

そして、熱心に王女を見ていたルイズであったが、視線を外したふとしたときに見事なグリフォンに跨った貴族の姿が眼に止まった。
気付く、そう…その姿は、あまりにも、あの頃の面影を残していて…ルイズは胸が切なくなるのを感じて、瞳を閉じた。



そして、その日の夜。
ウルザはいつものように机に向かい、何かを作っている。
一方、部屋の主であるルイズは、ベットに腰掛け、ほぅと息を吐いた。

「………これで十三回目だ、ミス・ルイズ。何か心配事かね」
「え、あ、ううん、そんなことじゃなくて………」
振り返らないウルザ。
背を向けたままのウルザとの会話は、既に普段の日常と化している。
「なんでもないの、…なんでも…」

無言、カチャカチャと机からウルザが何かを組み立てている音。



そんな中、扉をコンコンとノックする音が部屋に響いた。
初めに長く二回、そして短く三回。
ルイズがはっとする、記憶の中の大切な思い出。
慌てて立ち上がると、ドアを開いた。
そこに立っていたのは、黒いずきんを被った小柄な人影。
ルイズはすぐさま部屋に招き入れると、後ろ手に扉を閉めた。
「あなたはっ!」
ルイズが驚きに大きな声をあげそうになると、人影は人差し指を唇に当てる。
そのまま、懐から杖を取り出すと、何事かを呟き魔法を使う。
「ディテクトマジック?」
探知の呪文。

「どこに、眼が光っているか分かりませんからね」

人影が、頭巾を取る。
現れる、忠誠を誓うべき王族、懐かしい思い出の人、アンリエッタ。
「姫殿下!?」


「ルイズ!ルイズ!ああ、懐かしいルイズ!」
感極まったように、膝をついたルイズを抱きしめるアンリエッタ。
「ああ!姫様、このような下賤の場所へ、いらっしゃるなんて…」
「ルイズ・フランソワーズ!そんな堅苦しい他人行儀はやめて頂戴!
 わたくしとあなたはおともだち、おともだちではないですか!」
「勿体ないお言葉…」
「やめて、やめて頂戴、ルイズ。ここには枢機卿も母上も、欲の皮のはった宮廷貴族もいないのです
 私とあなたは、幼い頃に、一緒に宮廷の中庭で蝶を追いかけて遊んだ仲ではないですか」
「ええ……お召し物を泥で汚して、侍従様に叱られてしまいました」
「そう!そうよ!ルイズ。クリーム菓子を取り合って、つかみ合いの喧嘩になったこともあったわね!」
「ええ、あれは………」

少女達が抱き合い、思い出話に花を咲かせている間も、部屋の隅では黙々と作業をする男の背。


「ねぇ、ルイズ……ところで、そこの方を、紹介して頂けないかしら」
「はい?あ!ミスタ・ウルザ!」
「………何かね?ミス・ルイズ」
こほんと咳払い一つ、なけなしの威厳を振り絞る。
「挨拶を、挨拶をして頂戴、アンリエッタ姫殿下に」

そこで、始めてウルザが椅子を立ち上がり、ルイズ達に向かい合う。
そしてその場で深々と礼を取る。
「お初にお眼にかかります、アンリエッタ姫殿下。ウルザと申します」
「え?ウルザ、さん?え?え?」
きょろきょろと、ルイズとウルザ、二人の間を交互に移動させるアンリエッタ。
「…もう、言って下さればいいのに、ルイズ。
 それにしてもこのようにお歳が離れた方となんて………ああ、そういえばわたくしも変わりませんね。お忘れください。」
「ひ、姫殿下?あの、何か勘違いを…」
「いえ、いいのですルイズ。このように遅い時間、貴族の部屋に二人の男女。わたくしも分かっております」
「姫さま!?違います!違います!ミスタ・ウルザは私の使い魔です!」
「使い魔…?メイジにしか見えませんが」
「…メイジです、姫さま」

その後、ウルザの口も借りて、何とか誤解を解くことが出来たルイズであった。
「本当に、昔からあなたは人とは違った子でしたが…相変わらずですね」



「今からお話しすることは、誰にも口外してはなりません」
アンリエッタがそう切り出すと、ウルザが席を立とうとする。
「あ、いえ、メイジに取って使い魔は一心同体。席を外す必要はありません」
そして、もの悲しい調子で、アンリエッタは語り始めた。
自身がゲルマニア皇帝と結婚すること、それが望まぬ結婚であること、しかしそれが不可欠である政治情勢。
ゲルマニアに一人娘を嫁がせることで、同盟を結び、来るアルビオンとの戦いに備えるトリステイン。
トリステインとゲルマニアとの同盟締結を防ごうとするアルビオン貴族達の暗躍。
そして、それを可能とさせる、一通の手紙の存在。
手紙はアルビオン、抵抗を続ける最後の王族、ウェールズの手に。

「分かりました…このルイズ、ルイズ・フランソワーズが必ずや手紙を取り戻してまいります!」
「ああ、ルイズ、私のルイズ!この様に危険なことに巻き込んでしまう私を許してください」
「いいえ、姫さま、気になさらないで下さい。
 ………ミスタ・ウルザ…?」

勝手に危険、しかも内乱の最中であるアルビオン王国、その中に潜入しようという話を進めていることに気付き、ルイズはウルザの顔を窺う。

「私は使い魔、君が決めたことに従うだけだ。君が友達の窮地を救いたいというなら、力を貸そう」
拍子抜けするような了解、むしろ、多少の気遣いが感じられるような………
「それよりも、彼をどうするか、考えた方がいいのではないかね?」

ウルザはそう言うと、部屋の扉を開け放つ。
すると、バランスを崩して雪崩れこむように部屋に転がり込んでくるギーシュ・ド・グラモン。

「………やあ」



結局、覗いていたギーシュが一緒についていくと言い出し、秘密を知られてしまった以上同行させる他ないというアンリエッタの配慮で、ギーシュも同行することとなった。

話が纏まると、アンリエッタは一通の手紙をしたためた。
そして、その封をする直前、思いつめたように一文を書き加える。
「始祖ブリミルよ……。国を憂いても、この一文を書かざるをえない、この自分勝手なわたくしをお許しください」
改めて、手紙に封をし、それをルイズに手渡すアンリエッタ。
「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに……件の手紙を返してくださるでしょう」
それから、とアンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜くと、それをルイズに差し出した。
「母上から頂いた『水のルビー』。きっとこれがあなた達をお守りくださるでしょう。
 どうか、あなたたちに始祖ブリミルのご加護がありますように………」


誰が気付いたであろうか。
この時、『水のルビー』を見つめるウルザの瞳が、驚愕に見開かれていたことを。


                            出来ないじゃないの、やるのよ。
                            ―――虚無魔道師の見習い ルイズ


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