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第三十九話「無敵の春奈」


ウルトラマンゼロの使い魔
第三十九話「無敵の春奈」
電脳魔人デスフェイサー
サーベル暴君マグマ星人
異次元宇宙人イカルス星人
反重力宇宙人ゴドラ星人
憑依宇宙人サーペント星人
四次元ロボ獣メカギラス
ロボ怪獣メガザウラ
侵略変形メカ ヘルズキング 登場



 現在はマグマ星人たち宇宙人連合に占拠された学院長室。才人、ルイズ、更にウェザリーも
侵略者たちの攻撃で倒れ、立っているのは宇宙人のみ。外にはデスフェイサーが仁王立ちして、
こちらを見張っている。
『さぁ、サーペント星人! まずは女のガキの方からやっちまいな!』
 マグマ星人はルイズの息の根を止めるように命令するが、サーペント星人は反対した。
『まぁ待て。この娘は連れ帰って、研究材料にするのがいいだろう。この星の人間の魔法とかいう
能力は、我々からしたら大したものではないが、この娘だけは別のようだ。宇宙でも類を見ないほど
強力な力を宿しているらしい』
 ルイズが『虚無』の魔法の力を有していることは、既に敵にばれているようだった。
『それを利用できるようになれば、我らの力は格段に高まる! ヤプールをも出し抜けるように
なるかもなぁ。クックックッ……』
「いや……来ないでッ!」
 悪だくみを働かせて、ルイズに手を伸ばすサーペント星人。そこに、
「ルイズに近づくんじゃねぇよ、寄生ナメクジ野郎……!」
 才人が、もうボロボロの状態ながら、懸命に立ち上がってサーペント星人を制止した。
「春奈の身体を返しやがれ……! それ以上、人様の身体で好き勝手するんじゃねぇよ……!」
『ふん、まだ立ち上がれるだけの力があったか』
 サーペント星人は白けたように鼻を鳴らすと、才人に近寄って殴り倒した。
「ぐあぁッ!」
「サイトぉッ!」
『いい加減目障りだ。やはり、先にお前を、ウルトラマンゼロごと始末しよう』
 仰向けに倒れた才人の胸を踏みつけ、手にエネルギーを溜めてとどめを刺そうとする。
ルイズは焦燥して考えを巡らした。
(止めないと! でも、ハルナの身体に手出しすることは出来ない……どうしたら……!)
 考えに考えた末に、大きな博打に出ることにした。
(ハルナの想いの強さに、賭けよう!)
 今にも怪光線を撃とうとしているサーペント星人を見据え、叫ぶ。
「ハルナ、目を覚ますのよッ!」
『んん?』
 サーペント星人は手を止めて、ルイズに表情のない顔を向ける。ルイズはその下の春奈へと、
呼びかけ続ける。
「今足の下にいるのが誰か分かる? サイトよ! ハルナあなた、サイトのことが好きなんでしょ!? 
それくらい、見てれば分かるわ! 助けてもらった以上の好意を、サイトに向けてた! その好きな相手を、
自分の手で殺めていいの!?」
『イカカカカカカ! あの子供、馬鹿なことをしてるじゃなイカ!』
『全くだ! サーペントに意識を乗っ取られた時点で、元の身体の持ち主の意識は消えてんだ! 
それを呼び起こそうなんて、全くの無駄だぜ!』
 イカルス、マグマ星人らはルイズを嘲笑するが、ルイズは構わずに呼びかけた。
「ハルナ、目を覚まして! あなたが本当にサイトを想ってるなら、侵略者に負けちゃ駄目よ! 
今サイトを助けられるのは、あなたしかいないの! サイトを助けて! ハルナぁーッ!!」
『ふん、何を馬鹿げたことを……』
 サーペント星人もルイズを鼻で笑うが、その直後に、
『ぬうぅッ!?』
 突如頭を抱えると、才人から離れて悶え苦しみ始めた。
『ん!? おいどうした! 急に頭抑えて!』
『風邪でも引いた?』
 不可解な行動にマグマ星人たちは驚かされる。一同の見ている中で、サーペント星人は
うめき声を上げる。
『な、何だこの力は!? 意識が遠くなりそうだ……! くッ……平賀くん……!』
「!? ハルナ……ハルナなのか!?」
 サーペント星人の口から、春奈の声が漏れたのを、才人は確かに耳に留めた。
『高凪春奈か!? お前の意識は消滅させたはずなのに……! 人間の子供如き……! 
俺の意識を乗っ取ろうというのか……! あ、あ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
 サーペント星人の両手が頭から離れると、その頭部がひび割れ、勢いよく弾けた!
『な、何ぃッ!?』
『頭がパッカーンと割れたじゃなイカぁ! 痛そう!』
 仰天するマグマ星人たち三人。それとは対照的に、ルイズと才人は、サーペント星人の
顔の下から出てきた春奈の顔立ちを目にして歓喜した。
「春奈!」「ハルナ!」
「ルイズさん、ありがとう。平賀くん……今、助けるからね!」
 サーペント星人から身体を奪い返した春奈は、すぐさまマグマ星人らに飛び掛かっていった。
「えーいッ!」
『おわぁぁぁぁ―――――!?』
『イカぁ―――――!』
 春奈は片手で宇宙人たちの身体を掴むと、軽々と投げ飛ばして壁に叩きつけた。今の春奈は、
星人のパワーを自分のものとしているのだ。そのため、マグマ星人らに対等に渡り合うことが出来る。
『くっそぉ! 何てぇことだ……ここまで来て、逆転されてなるものかぁッ!』
 マグマ星人の指示で、イカルス星人がアロー光線、ゴドラガンを撃つ。だが春奈は腕で
顔をガードしながらそれを突っ切り、二人を張り倒した。
『何だとぉ!? ちくしょぉッ! どうしてたかが人間の子供なんぞが、サーペント星人の
意識を乗っ取り返せる! どこからそんな力が湧いて出てくるんだぁッ!』
「簡単なことよ!」
 訳が分からずにわめくマグマ星人に、ルイズが言い放った。
「恋する女の子は無敵なのよ!」
「うりゃあああぁぁぁぁぁ―――――――――――!!」
『ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!』
 宇宙人たちは、春奈の怪力によって窓から外へ放り出された。
 これで助かったように見えたが、最大の敵が残っていた。デスフェイサーが右腕を持ち上げ、
ビーム砲を学院長室に向けたのだ。ルイズたちを纏めて吹き飛ばそうというつもりらしい。
「ま、まずいわ!」
 焦るルイズ。さすがに今の春奈でも、デスフェイサーの砲撃は受け止められない。
「俺たちが行く! デュワッ!」
 すると才人が、残った力を振り絞って駆け出し、ウルトラゼロアイを装着して変身した。
光が外へ飛び出し、ウルトラマンゼロとなってデスフェイサーをがっしり捕らえる。
『うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!』
 最初からカラータイマーが点滅している状態だが、ゼロはデスフェイサーの巨体を持ち上げ、
投げ飛ばして学院から突き放した。デスフェイサーはジェット噴射で速度を緩め、着地する。
 ウインダムとミクラスをカプセルに戻してデスフェイサーと対峙するゼロ。しかしその周囲に、
マグマ星人、イカルス星人、ゴドラ星人が巨大化して出現した。
「オオオオオオオオオオ!」
『こなくそぉッ! 大分予定が狂ったが、テメェさえ仕留めればそれでいいんだ! ウルトラマンゼロ、
ここで死ねぇッ!』
 飛膜のような短いマントにサーベルと、反対の腕にフックを装着した、本気の状態のマグマ星人が
宣告すると、宇宙人たちが攻撃を開始する。
『ちッ……来るなら来やがれ!』
 ゴドラ星人のハサミの突きをかわし、腰部にキックを入れて返り討ちにする。だが無防備なところを
イカルス星人が狙う。
「オオオオオオオオオオ!」
 イカルス星人の全身から放たれたアロー光線を、すんでのところで横にそれて回避するゼロ。
野原に命中したアロー光線は大地を焼き尽くし、焦土に変えてしまった。
 攻撃をかわしたゼロだが、その動きをデスフェイサーに読まれていた。止まったところに
ガトリングガンを撃ち込まれる。
『ぐあああぁぁぁぁッ!』
『ハッハァッ! いいザマだウルトラマンゼロぉ!』
 更に飛び掛かってきたマグマ星人にサーベルで切り裂かれた。その上で、アロー光線と
ゴドラガンの集中攻撃を浴びる。
『がっはぁッ!』
 先の負傷で満足に動けず、一対多で追い詰められる状況はアルビオン戦に似ているが、
決定的な違いは、ミラーナイトたちが手一杯で、助けに来てくれないということだ。
ゼロはなす術なく四人の敵になぶられ続ける。
『テメェの逆転の目は全て奪ってある! もうテメェを助ける奴は、どこにもいないんだよぉッ!』

「それは違うわ! ゼロはわたしが助ける!」
 マグマ星人の台詞を、学院の屋上に上って戦況を見渡したルイズが否定した。その後に
ついてきた春奈が問いかける。
「でもルイズさん、どうやって平賀くんたちを助けるんですか? 爆発ですか?」
 今の春奈は意識を乗っ取り返したことで、サーペント星人の知識の一部も吸収していた。
才人とルイズの秘密もはっきり理解していた。
「違うわ。残念だけど、あの巨大な敵を薙ぎ倒すには、精神力が足りないもの」
「じゃあ、どんな魔法を……」
「こういう時にゼロをサポートできるような呪文を、昨晩祈祷書と向き合って開眼しておいたの。
それを披露するわ!」
 ルイズは杖を手に、『虚無』の魔法特有の長い呪文を早口に詠唱した。そして杖を天高く掲げて、
魔法の光をスパークさせる。
「出でよ、ここになきもの……。ここにあるように。イリュージョン!!」

『こいつで終いだぁ!』
 デスフェイサーのビーム砲がゼロに向けられ、強力な熱線が照射された。瀕死のゼロは、
立ち尽くしたままよけられない。命中する!
 ……と思われたが、何と熱線は、ゼロの身体を貫通してそのまま通り過ぎていった。
ゼロは何事もなかったかのように立ったまま。
『な、何ぃーッ!?』
 マグマ星人は目を見張り、そして周囲を見回して、もっと衝撃を受けた。
『なぁーッ!? こ、こいつはどうしたことだぁーッ!?』
 何と戦場に、ウルトラマンゼロが数え切れないほどの人数で存在していた。突然のありえない事態に、
宇宙人たちはパニックを起こす。
 これぞルイズの新たな魔法、初歩の初歩の『イリュージョン』。効果は単純に幻影を作り出すことだが、
ルイズ自身の記憶から生み出されるそれは非常に精巧で、マグマ星人たちはどれが本物のゼロか
全く見分けられないでいた。
『これはイカがしたことか!? ゼロのはなたれ小僧がいっぱいいるじゃなイカ!』
『誰がはなたれだッ!!』
 イカルス星人を後ろからゼロが殴り飛ばした。
『イカいッ! じゃなくて痛いッ!』
『この野郎ッ!』
 マグマ星人がサーベルを振るうが、その時には既に幻とすり替わっていた。サーベルは空振りする。
 デスフェイサーは無数のゼロを見回して、どれが本物か分析しようと電子頭脳を働かせた結果、
違いを見分けることが出来ず、オーバーフローを起こして棒立ちになった。電子頭脳の限界だ。
『ルイズが助けてくれたのか……』
 敵がすっかり狼狽している中、本物のゼロは自身のカラータイマーを見下ろした。その点滅は止まり、
色は青に戻っている。
『この現象……タルブ村でも起こったな。もう偶然じゃねぇ、ルイズの魔法の影響に違いない』
 自分のエネルギーが回復した原因がルイズにあると確信したゼロだが、ではどうしてそうなるのかは、
皆目見当がつかなかった。
『まぁ考えるのは後だ。ルイズが作ってくれたチャンス、逃す訳にはいかねぇぜ!』
 ゼロは思考を切り替え、明後日の方向を向いている敵たちへ駆けていった。

「キィ――――――!」
『ぐぅッ!』
 ミラーナイトたちは、ロボット怪獣軍団と戦い続けている。メカギラスは次元移動能力を駆使して
神出鬼没の動きを見せ、ミラーナイトを全方位から砲撃し続けていた。
 が、その最中に、突然ミラーナイトの姿がパキーン! と音を立てて砕けた。鏡だったのだ。
「キィ――――――!?」
『こっちですよ!』
 メカギラスの背後から飛び出すミラーナイト。メカギラスは首を回してミサイルを撃ち込んだが、
それも鏡に映った虚像だった。
『いえ、こっちです!』
 ミラーナイトがまた別方向から飛び出し、メカギラスは首をそちらに向けて砲撃。だがそれも鏡。
気がつけば、周囲全てからミラーナイトが飛び出してくるようになっている。すっかり立場が逆転していた。
 ミラーナイトは、メカギラスが四次元空間に退避している間に密かに鏡を作って辺りに並べていた。
そして今のこの状況を作り出したのだ。
「キィ――――――!」
 メカギラスは現れるミラーナイトの虚像に、その都度ミサイルを発射していくが、首を回し過ぎた結果、
摩擦熱でショートを起こしてしまった。動きが停止したところで、本物のミラーナイトが大地に降り立つ。
『せやッ!』
 ミラーナイトが放ったミラーナイフは、メカギラスの背後の鏡に当たって反射、後ろから
メカギラスに直撃した。メカギラスのバリヤーは強力だが、首を向けている方向にしか展開できないのだ。
メカギラスは首と両腕が切断されて吹っ飛び、大爆発を起こした。
「ギャアアァアアアアァ!」
 メガザウラはチェーンつきの両手を伸ばしてジャンボットを捕らえ、レーザーを撃ち続けて
彼を追い詰める。
 しかし、ジャンボットの鋼鉄の勇気と根性は、その程度では屈しないのだ。
『何の、これしきぃッ! ジャンブレード! うおおおぉぉぉぉッ!』
 ジャンブレードを露出すると、レーザーを食らい続けながら、メガザウラに突撃した!
『はぁぁぁッ!』
「ギャアアァアアアアァ!」
 メガザウラはチェーンと翼を切断され、フラフラと墜落していく。同じ感情回路を搭載していても、
勇気を持たないメガザウラでは、ジャンボットの行動を完全に予測することは出来なかったのだった。
『ビームエメラルド!』
 そしてとどめのビームが決まり、メガザウラは木端微塵に砕け散った。
「ゴオオオオオオオオ!」
『俺も負けてらんねぇぜ! ファイヤァァァァァ――――――――――――!』
 グレンファイヤーも二人の奮闘に触発して燃え上がり、ヘルズキングの砲撃をその身一つで
受け止めながら接近、乱打を撃ち込んだ。その内の一発が、喉に炸裂する。
「ゴオオオオオオオオ……!」
 その途端にヘルズキングの挙動が狂い、滅茶苦茶な方向に光弾を撃ち始めた。
『んッ! そこが弱点だったのか。ラッキーだぜ! ファイヤースティック!』
 グレンファイヤーはスティックを取り出すと、無防備になったヘルズキングの喉に殴打を見舞った。
『ファイヤーフラァーッシュッ!』
 その一撃が決まり手となり、ヘルズキングはぶっ倒れて爆散した。
 こうしてロボット怪獣たちは三体とも撃破された。

『せぇぇいッ!』
『うげぇーッ!』
 そしてゼロの方も、すっかり逆転を果たして宇宙人たちを押し返していた。宇宙空手の
鉄拳がマグマ星人とイカルス星人を地にねじ伏せる。
 それを目にしたゴドラ星人は、背を向けて飛び立ち、空の彼方へ逃走し始めた。
『あぁこらぁッ! 逃げるんじゃねぇよッ!』
「ジュワッ!」
 マグマ星人が怒鳴る。ゼロも逃走を許さなかった。ゴドラ星人の背にエメリウムスラッシュを
撃ち込み、一撃で撃墜した。
「デェヤッ!」
「オオオオオオオオオオ!」
 振り返りざまにゼロスラッガーを投擲。起き上がったところのイカルス星人の腹部を貫通した。
イカルス星人は瞬時に絶命してバッタリ倒れる。
『く、くそぉぉぉーッ! 来るんじゃねぇーッ!』
 マグマ星人は狂乱してサーベルを振り回すが、本物のゼロはその時、地を蹴って宙に舞い上がっていた。
『でええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいッ!!』
『うぎゃああぁぁぁ――――!?』
 ウルトラゼロキックが決まり、マグマ星人は大きく吹っ飛ぶ。更に着地したゼロはウルトラゼロランスを
取り出し、投げつけた。
『フィニッシュだぁッ!』
『ぐげがッ……!』
 ランスは倒れたマグマ星人の胸に深々と突き刺さった。春奈をこの世界にさらってきてから
暗躍し続けていたマグマ星人はこれであっさりと息絶え、遺体は完全に消滅した。
 同時に『イリュージョン』の効果が消え、ゼロは元通り一人だけになる。それによりデスフェイサーは
機能停止から立ち直り、ようやく再起動した。
『へッ、今頃正気に戻ってもおせぇんだよ!』
 ゼロは右手を握り締めると、それを赤く燃え上がらせる。そしてデスフェイサーが攻撃を
再開する前に突撃を掛けた。
『俺のビッグバンはぁ! もう止められないぜぇぇぇぇッ!』
 握った右手を開いて平手を作り、正面から迫っていくゼロ。デスフェイサーはゼロの行動を予測し、
顔面の前で腕を×字に組み、ガードを作った。
「デヤァッ!!」
 ゼロはガードに熱く燃えるチョップ、ビッグバンゼロを叩き込んだ。するとチョップが爆発! 
デスフェイサーの肘から先が粉砕された!
「おぉぉッ!」
 思わず歓声を上げるルイズと春奈。一方、両腕を失ったデスフェイサーは飛び上がり、
胸部の蓋を開いてネオマキシマ砲の砲身を迫り出した。
「あの武器は……!」
 トリスタニアでの惨状を思い出して絶句するルイズ。しかし、肝心のゼロは余裕すら見せていた。
『またそれか! お前の技は見切った! 同じ手は通用しねぇぞ!』
 言いながら、ゼロスラッガーを両手に握る。
『そっちが俺の戦闘データを記録してるのなら、こっちはとっておきを見せてやるぜッ!』
 更にデルフリンガーを出し、それを交えてスラッガーを連結。一振りの巨大な剣へと変じさせた。
『うおぉッ!? もう一人の相棒、こいつはどういうことだ!? 俺っち、どうなったんだ!?』
 剣からはデルフリンガーの声がする。ゼロは彼に答えた。
『ゼロツインソード・デルフリンガースペシャルだぜ! 前々から、この技を考えてたんだ!』
 ゼロツインソード。ゼロがプラズマスパークの光の恩恵を受けて生まれた、ゼロの切り札の一つだ。
そしてそれにデルフリンガーも合成することで、その意思をツインソードに宿すと同時に、切れ味を
更に上昇させた。仲間の絆が作る、悪を切り裂く至高の剣だ。
『行っくぜぇデルフ! でやぁぁぁッ!』
 ゼロツインソードDSを手に、ゼロはデスフェイサーへとまっすぐ飛び立つ。ネオマキシマ砲の
エネルギーチャージはまだ掛かる。
『うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ! おおッ!!』
 破滅の光が放たれるより早く、ゼロの斬撃が決まった。デスフェイサーは上下に真っ二つになり、
地上へと落下していった。
「やったぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
 ゼロの完全勝利に、ルイズと春奈は手を繋ぎ合って喜びを分かち合った。
「シェアッ!」
 全ての敵を撃破したゼロは、いつものように空に飛び立って帰っていく。その後には、
ミラーナイト、ジャンボット、グレンファイヤーが続いた。

「ホッホッ。ウルトラマンゼロは無事に勝てたようじゃのぉ」
 ルイズと春奈が学院長室に戻ると、いつの間に戻ってきたのか、オスマンがウェザリーを
見張りつつ二人を迎えた。
「オールド・オスマン!? ご無事だったんですか!」
「学院のみんなもじゃよ。侵略者の生き残りはもう排除した。これで一件落着ということじゃな」
 オスマンは愉快そうにヒゲを撫でる。だがウェザリーは反対に、悔しげに舌打ちした。
「これで、私の望みも潰えたということか……」
「何悔しがってるのよ! 侵略者の奴らは、あんたまで始末しようとしてたじゃない!」
 ルイズが咎めると、ウェザリーはこう語った。
「私には、命に代えても果たしたい目的があったのだ……」
「相当な事情があるみたいじゃな。そもそも、どうして侵略者と手を組んでおったのか。
とりあえず、話してみては下さらんか? まぁ、悪いようにはせん」
 オスマンが窺うと、ウェザリーは観念したかのように語り始めた。
「ハルナには話したけど、私は元は貴族の身分だった。どこの国だと思う? ここ、トリステインよ」
「そうだったんですか……!」
 春奈やルイズが驚く。
「じゃあ、ウェザリーさんの家を取り潰しにしたのは……」
「もちろんトリステイン王宮よ。父が獣人を娶ったというだけで、身分も領地も、家族も何もかもを
失った私は、トリステインを恨んだ。復讐を果たし、もう一度家族と、村の人たちと穏やかに暮らしたかった……。
そのために、レコン・キスタと侵略者たちが持ち掛けてきた協力に応じたのよ……」
「なるほど。そういう事情じゃったか」
 ウェザリーの身の上を聞いたオスマンはうなずくと、彼女に尋ね返す。
「しかしお主、考え違いをしておるのではなかろうか?」
「何? どういうことだ?」
 意外なひと言に、目を見開くウェザリー。オスマンは続けて言う。
「確かに獣人がいわれのない差別を受けているのは事実。しかし……貴族の身分の剥奪の原因は、
お主の使う催眠魔法じゃろう。それは禁忌……触れただけで大罪じゃ。多分、じゃが。お前の両親が
真実を伝えなかったのは、そなたに禁忌を忘れてほしかったからじゃの」
「……なるほど。確かに人の心を操る魔法は禁忌だな。しかし、差別を受け続けた私は、
その考えが出てこなかった。私の魔法が私を苦しめていたかもしれないということに……」
 オスマンに説かれ、ウェザリーは憑き物が落ちたかのように脱力した。
「何にせよ、私は負けたことに変わりない。今更ジタバタするつもりもない。好きにするといいさ」
「それを決めるのは王宮じゃ。まぁ、お主も辛い思いをしたんじゃし、私から情状酌量を図ろう。
じゃから、ちゃんと罪を償うんじゃぞ」
 オスマンの計らいにより、ウェザリーの件にも決着がついたのだった。

 トリステインに迫っていたレコン・キスタの艦隊は、マグマ星人たちの全滅と同時に撤退。
最大の窮地に追い込まれていたトリステインだが、どうにかその危機を免れることが出来た。
ウェザリーはオスマンの口添えとレコン・キスタと宇宙人連合の情報を提供することにより、
大分刑を軽くされたという。数ヶ月もしたら自由の身となり、また劇団として各国を回るようだ。
 そして、春奈は……。
「……それじゃあ、ルイズさん、シエスタさん、お別れですね。短い間でしたし、色々迷惑を
掛けちゃったけど、大変お世話になりました。とても感謝してます」
 学院から少し離れた草原の只中まで、ルイズ、シエスタ、才人と、元の姿に戻った春奈は
やってきていた。春奈はルイズたちに別れの挨拶を告げる。
 これから、春奈はゼロに送られて、M78ワールドに帰還するのだ。
「ちょっと寂しくなりますね……」
「帰ってからも、元気でやりなさいよ。もうさらわれないように、気をつけなさい」
 シエスタとルイズはそう返答した。それから、ジャンボットが言う。
『しかし、人の身体を奪うなど全く許せんやり口だが、そのお陰でハルナが帰還できるように
なったというのは、皮肉というか、奇妙なものだな。不幸中の幸いと言うべきか』
 春奈はサーペント星人から身体を奪還し、見た目も元通りになったが、その力の影響はまだ残っている。
その気になれば怪力や超能力をいくつか使えるし、何より宇宙空間で生存することが出来る。これにより、
ゼロが元のM78ワールド宇宙まで送り帰すことに何の問題もなくなったのだ。
 しかしゼロたちの診断によると、この影響は数日もすれば消えてなくなってしまう。つまり、
帰るのは今でないといけないのだ。それでいささか急になるが、春奈はこれから地球へと送り帰されるのである。
「皆さんのことと、このトリステインでの日々のことは、一生忘れません。それと……その……」
 春奈は不意に才人の顔を一瞥すると、ルイズたちに目を移し、もじもじと頬を赤くした。
それでルイズが察して、シエスタの手を引く。
「シエスタ。ちょっと離れるわよ」
「えぇッ!? いいんですか!?」
 春奈がこれから何をしようとするのかを、乙女の勘で理解したシエスタは慌てたが、ルイズが制した。
「これが最後になるかもしれないんだし、ハルナに譲ってあげましょう。さぁ、ほら」
「うぅぅ~……!」
 ルイズにしてはかなり寛容な心を見せ、シエスタを連れて距離を取る。春奈は頭を下げて
感謝の気持ちを示すと、才人に真剣な面持ちで向き合った。
「平賀くん……聞いてただろうけど、私の口から、改めて告白します」
「うん……」
「……あなたが好きです。いつか、平賀くんも地球に帰れるようになったら、私とおつき合いして下さい」
 女の子から愛の告白をされるという、人生で初めての経験をした才人は、にっこりと笑った。
「ありがとう。そういうこと言われるの初めてで、ほんと嬉しい」
 しかし、すぐに告げる。
「でも、ごめんな。悪いけど、今はそういうこと、考えられないんだ。帰れるようになっても、
春奈とつき合おうとは、今は思えない。嫌いって訳じゃないんだけど……」
 曖昧な拒否の理由だったが、春奈は納得したようだった。
「ううん、いいの。多分そう言うんだろうなーって、薄々思ってたから。……ルイズさんと
すごく仲いいみたいだし」
「え? 今、何か言ったか」
「何でもないッ!」
 最後の小声を聞き返す才人だが、春奈はとぼけた。そこにゼロが呼びかける。
『そろそろいいか? 春奈、お前を向こうの宇宙に送り出すと一緒にウルトラサインを出す。
それでウルトラの星のみんなが、お前を見つけてくれるはずだ。そしたら事情を説明して、
地球へ届けてもらうんだぜ』
「はい。ゼロさん、お願いします。ルイズさんたちも、もういいですよー!」
 ルイズらを呼び戻すと、才人がゼロアイを取り出す。春奈はもう一度、改めてルイズらに別れを告げた。
「ルイズさん、シエスタさん! ……平賀くん! さようなら! 絶対、絶対忘れないからねぇッ!」
「ええ! さようなら、ハルナ! わたしたちのお友達!」
「デュワッ!」
 才人がゼロに変身すると、ゼロは手の平の上に春奈を乗せた。春奈が大きく手を振るのに、
ルイズたちも手を振り返す。
『よぉし、行くぜッ!』
 ゼロはウルティメイトイージスを展開し、身に纏うと空へ飛び上がる。ぐんぐん地表を離れて
ハルケギニアからも脱すると、イージスの力により宇宙空間も越え、はるかM78ワールドへと飛んでいく。
 こうしてハルケギニアに迷い込んだ地球人の少女は、無事に故郷の宇宙へ帰還していったのだった。


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