あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

絶望の使い魔IF-1


夢を見た。
なにやら喜びが強く感じられる。
上の世界の人間たちが送った手下を倒したようだ。
手下を倒した人間たちがいた国の兵士を殺し、そして自らが侵攻すると宣言してやる。
その国の王は絶望したようだが、まだ瞳に強い光を残す者が4人いた。
それを見て下の世界でも自分に挑んできた勇者と呼ばれた者たちを思い出す。
その中でもその4人は別格と言ってもよいかもしれない。
すばらしい。強い光は最高の生贄となる。わし自らが相手し、貴様らを絶望に堕とし飲み込んでやろう。
我が祭壇で待っておるぞ・・・

召喚から三日目、昼食後の雑談と使い魔との触れ合いの時間、ルイズは医務室を訪れていた。
自らの使い魔の横には包帯を巻かれたギーシュがいた。ルイズが入ってきた事が分かって悲鳴を上げながら
恋人らしき人に運んでもらって逃げてしまった。あれは洪水のモンモランシーだったか。
特に興味もないのできれいに忘れることにする。
ルイズがこんな性格になったのは夢のせいであり、大本はこの使い魔であろう事は分かる。
最初は自分が変わることを恐れていたが、今では開放感のほうが強く感謝したいくらいだった。
しかしこのことを漏らすわけには行かない。
人を虐げることが趣味なんてとてもいいとは言えない事であるし、
そのような影響を与える使い魔も危険視されてしまうだろう。
初めての魔法の成功例であるし、守らなくてはいけない。

医務室を出てからルイズは自分の心的な変化以外にも目を向ける。
身体能力の強化・・・ギーシュを潰したときから身体が羽のように軽いのだ。
そして薄く広がるようにルイズを覆っている黒い靄。昨日は簡単に勝てたがあれは相手がヘタレだったからである。
いつまでも失敗魔法だけで行けるとも思えない。失敗魔法以外の武器を持たなければならない。
剣はだめだ。膂力が強くなっていると言っても剣術なぞ一朝一夕で身に付くものではない。
ならば棍棒か。重いものは振り回すだけでも十分な殺傷力を秘める。
槍や銃もいいかもしれないが、槍は常に持ち歩く事を考えると厳しく、銃は一発しか撃てない。
ルイズは自分が大量の人間と戦うことを前提に考えていることに気付いていない。
一度は否定したが棍棒の代わりにもなる大剣がよかろうと、最終的に結論付けたルイズは、
午後の授業をサボり町に剣を買いに行ってしまった。


馬を厩に繋ぎ、町を散策する。途中財布を掏ろうとした奴の両腕両足をへし折り、歯を全部抜いてやった。
ちょっと騒ぎになっていたが視線に込められる畏怖にうれしく思ったほどだ。
これでここも居心地がよくなりそうだ。


武器屋の店主はその日も閑古鳥が鳴いている店内でぼけっとしていた。
やる事といえば店にある知性を持ち喋る剣、インテリジェンスソードのデルフリンガーと掛け合いをすることくらいである。
そんな中店の入り口が開き、貴族然とした少女が入ってくる。
バイトがばれたのかと肝を冷やすが顔には出さないようにする。

「旦那、貴族の旦那。うちは真っ当な商売しかしてませんぜ」
「客よ。」

店主はやる気のなさそうにふざけた事を言ってみるが即座に言い返される。

「どれがいいかはわからないけど頑丈で重い奴をお願い」
「へぇ驚いた。いやなに、平民は剣を振り貴族は杖を「御託はいいからさっさと持って来なさい」・・へいへい」

店主はこの世間知らずな貴族にどれだけ吹っかけられるか勘定しながら店の奥に入っていく。
出てきた店主は細いレイピアを持ってきた。

「どうです?これは最近貴族様方で流行ってるものですよ」
「貴族で?」
「はい。なんでも最近土くれのフーケとかいう怪盗が出没しておりまして、
 剣を従者に持たせる方が増えてますんで」
「でもすぐに折れそうじゃない?私は折れないのがいいんだけど」

『私はずぶの素人です』発言をしやがった。
厳しそうな表情を造り言ってやる。


「奥様、ご自分でお使いになられるんでしょう?
 頑丈な奴は太くて重いです。とても振ることはできないと思いますがね」
「いいから持ってきなさい」

ぶつぶつ文句を言いながらも奥から太く装飾華美な大剣を持ってくる。
はっきり言って装飾だけの展示用だが、ここが売り払う機会だと考えた。

「ではこれなんてどうですか?かのゲルマニアのシュペー卿が造られたという業物です。」

なにやらすごそうな剣が出てきてルイズもご満悦な様子である。
機嫌の良さそうな貴族にふっかけてみる。

「お値段は新金貨で4000と言ったところですか」
「は?」

眉を眉間に寄せて困惑している。ここで説得できればちょっとの間遊んでいてもいいくらい稼げる。
今が正念場だ!

「これほどの業物はいまではゲルマニアに行かなければ、いや、行ったとしても手に入るものではございません。
 ここで買っておけば刃こぼれもしないので一生物になるでしょう。この見栄えといい奥様を飾るにふさわしいかと
 愚考しますですはい」
「おいおい!そんなナマクラめちゃくちゃな値段で売りつけてんじゃねぇよ!」

横からインテリジェンスソードが喚いてくる。まただ。また邪魔しにきやがった。
ルイズはすでに興味をそちらに向けてしまっている。

「やい!デル公!何度商売の邪魔すれば気が済むんでぃ!もう我慢ならん!
 火のメイジに頼んで溶かしてやる!」
「おう!やってみやがれってんだ!それに娘っこ!おめぇみてぇななよなよした奴に剣が振れると思ってんのかい!
 大人しく杖を振ってりゃあいいんだよ!」

ルイズは棚を探し喋っている剣手に取っている。
手に取られた途端インテリジェンスソードは口をつむぐ。

「デル公・・・ね?こいつは頑丈なの?」
「頑丈さは折り紙付きでさぁ。しかしそいつはさびが浮いてますぜ?」

貴族が見栄えを異様に気にする事をついてやる。なんとか興味をこちらに戻さなければ。
先ほどまで沈黙していたインテリジェンスソードがガチャガチャ身体を鳴らし始めた。

「・・・おれはデルフリンガーだ。・・・娘っこ、おめぇ何モンだ?」

ルイズは突如身を翻したかと思うとデルフリンガーを振り、先ほど熱心に勧めた大剣に当ててくる。
大剣は柄を持っていた店主の手から吹き飛び、店の壁に立てかけていた商品を崩していく。
店主はついていく事ができず、口を大きく開け商品とルイズを交互に見る。

「シュペー卿が造った剣も曲がるほどこっちは頑丈ってわけね。
 これいただくわ。お代は私をだましてナマクラ売りつけようとしたあなたの命」

鞘にしっかり入れると喋れなくなる事を確認するとすぐに出て行ってしまう。
残されたのは店の内装を破壊され、馬鹿高い剣をスクラップにされた店主だけであった。


店を出たルイズは考える。このインテリジェンスソードはルイズに何モンだと問いかけた。
この質問をなぜしたのか?おそらく自分が変化している事を知ったのだろう。
しかしこの剣と会ったのは今日が初めてである。なぜ自分の性格が変わった事を知っていたのか?
いや、見抜いたのは趣味嗜好の変化ではなく・・・身体能力。
こいつがどれだけ知ったのかわからないが放置することはできない。
手元に置いておき、監視が必要だ。
それに丈夫さは合格なのだ。もう少し大きく重いほうがよかったかもしれないが、
これ以上大きい物を平然と持っていることは、戦闘前から身体能力がおかしいことを知られる危険性も出てくる。
さて、得物も手に入った。あとは試し切りか。
大通りに戻った時から視線が集まっていたが、畏怖に紛れるように怒りの視線も感じていた。
思ったより早く試すことができるだろう。


町を出て馬でゆっくり進んでいると後ろから2頭立ての馬車と騎兵4人が追いついてくる。
ルイズを取り囲むとそのうちの一人が笑いを浮かべながら脅すように声を掛けてくる。

「大変なことをやってくれたねぇ。おまえさんが町でぶちのめした野郎は俺たちの仲間だったのよ。
 仲間をやられてそのままにしたんじゃ面子ってのが立たねぇんだ。
 死にたくなけりゃ大人しく付いてきな」

口元は笑いを浮かべているが目元は刺すように鋭い。
仲間が尋常ではないやられ方をしたのだ。話している者以外も油断なくルイズを見据えている。
馬車の中には杖を構えている者までいた。メイジが敵だと知って少しづつ身体が熱くなってくる。
話しかけている本人もよく見れば、杖でありながら剣の役目もする杖剣を持っている。
 ・・・これは殺し甲斐のある獲物だ。
ルイズは馬から下りると先ほど買った得物を抜く。周りのチンピラどもも緊張を強くする。
周りの雰囲気を読んだのかデルフリンガーも無駄口を叩かなかった。
ルイズは大きく嗤い、目の前の敵に踊りかかった。

次の日の朝、学園に物資を送るための馬車が走る。その途中、道の真ん中に馬車が置かれていた。
馬は繋がれておらず、その辺りの道は赤黒くなっている。大量の絵の具を撒き散らしたかのようであった。
鉄臭い匂いに顔をしかめ、馬車に近寄る。どんどん不安が大きくなる。
御者は嫌な予感を無視しながら馬車の中を覗き込む。
人の死体が積み重ねられていた。
御者と卸業者は顔を真っ青にして学院に向けて全力で馬を走らせた。

後に町に蔓延っている悪党だと分かったが、折れた杖が出てきたことで、
貴族ではないがメイジの死体も含まれていることがわかった。
死体の中には腕力で首を引きちぎられたような跡もあり、化け物が徘徊しているという話になる。
学院でも、町でもこの恐ろしい化け物が出た噂で持ちきりになった。


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