あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

絶望の使い魔(本編)


闇に閉ざされた世界。
その中心にある城の地下深くに玉座のある広い部屋がある。
暗い中を松明の火だけが辺りを照らす。
その中で動いているのは5つの影であった。
その中でも5メートル近い巨躯を誇る者が語る。
「よくぞわしを倒した。
だが光あるかぎり 闇もまたある……。
わしには見えるのだ。ふたたび何者かが闇から現れよう……。
だがそのときは お前は年老いて生きてはいまい。
わははは………っ。ぐふっ!」
その者は炎が出し、自らを焼いてゆく
そのとき光でできた鏡のような物が突如現れた。
他の4つの影はあっ言う間に鏡とともに消し去られた様子を見ているしかできなかったが
振動が起こり周りが崩れようとしていることを感じると
すぐにその場から離れるために駆け出した。


青空の下、マントを羽織った集団が草原に集まっていた。
距離を置いたところには城のような建物も見える。
そしてその集団から少し離れて桃色の髪をした少女が緊張しながら杖を振っている。
その少女―ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
この使い魔召喚の儀にすべてをかけていると言っても過言ではない。
ルイズは魔法を使うと常に爆発させてしまい、まともに成功したことが一度もない。
それを理由にいままで散々馬鹿にされてきたのだ。現在の状況を何とかして変えたい。
だから使い魔なのだ。使い魔を見ればメイジの力量が分かるとまで言われる。
ここですばらしい幻獣、そうドラゴンのような使い魔を呼べば自分は馬鹿にされなくなる。

「宇宙の果てのどこかに居る私の僕よ、
神聖で美しくそして強力な使い魔よ。
私は心より求め訴えるわ。
我が導きに答えなさい!」
爆発が起こる。
周りは嘲笑の笑みを浮かべる。

「独自性のある面白い呪文を歌ったのは流石だがゼロはゼロだな」
「使い魔召喚で失敗したら留年なんじゃねぇの?」

囃し立てる声が聞こえるが少女―ルイズは爆煙が晴れていくにつれて見えてくる大きな影に期待を膨らませる。
しかしその全貌が明らかになると少し驚く。大きいと思ったら身長が5メイル近い亜人が倒れていた。
格好は高価そうなローブとマントそして角と目玉のような装飾をつけた兜をしている。
亜人の中でも地位のある者なのだろう。
しかし問題は・・・

「亜人だ!ゼロのルイズが呼び出したのは亜人だぞ」
「でも傷だらけってどういうことだ?ゼロの爆発で死にそうになったのかw」
「さすがだ!常に斜め上を行ってくれるこいつにwktkが止まらない!」

そう傷だらけでいまにも死にそうなのだ。
まわりでは他の使い魔が逃げようとしたり主人の影に隠れたりしている。
大きくて強そうなのは間違いない。もっとかっこいいのがよかったが悪くはないだろう。

「ミスヴァリエール。はやく契約をするんだ。」

なぜか焦っているコルベールに促されさっさと契約をした。
左手の甲にルーンが刻まれる。
それをコルベールは珍しいなとつぶやき紙に写す。

コルベールはこのとき恐れていた。
呼び出された使い魔の亜人は魔力の塊と言っても過言ではなかった。
なぜ怪我を負っているか知らないが、司祭のような姿をしているからには
おそらく先住魔法の使い手だろう。
エルフではないようだがこいつが暴れれば唯ではすまないことになるのはは間違いない。
使い魔の契約は主人に対する親しみを無意識のうちに刷り込むことができる魔法であることが
このときほどうれしく思えたことはない。
生徒たちに帰るように促し、ルイズの使い魔をコルベールが運ぼうとする。
ルイズは驚いたようだが、ついでだからと言い監視も兼ねてレビテーションを使い医務室まで運んで行った。
背丈が大きいのでベッドを3つ使い寝かせる。足が大きくはみ出してしまっていたが仕方がない。
いざ、怪我を治すために医師であるメイジが傷の酷さから高価な清められた水の秘薬を使うと傷が大きくなってしまう。
仰天しながら水の魔法を使うとある程度は回復したことから清められた物はダメなのがわかった。
まるで悪魔ですなと医師が笑いながら話すがコルベールは目を鋭くし使い魔を注視する。
秘薬を使うまでもなく自然回復がはやいのでこの分なら魔法だけで十分回復できるだろうこともわかった。

見慣れないルーンと言い、ほおって置くのは危険である事は間違いない。
学院長のオスマンに報告に行きたいが目を離すことができない。
医務室付きのメイドにオスマンを呼んできてもらう。
ルイズは自分の使い魔が心配なのか寝かせているベッドの脇の椅子に座っていた。
病室のドアを開きオスマンが入ってくる。
亜人を一目見ると杖を出しすぐにディテクトマジックの魔法を使った。

「ミスタコルベール、すぐに教師を集めるんじゃ」
「は、はい!」

最近、名前を態と間違えて遊んでいたというのにどうしたのだろうかと思ったが、
オスマンが振り返ったときの顔を見ると自分の背筋が伸びてしまうのがわかる。
今のオスマンは好々爺としたボケ老人ではない。
この学院に学院長として封印されている齢百を軽く越す怪老オールド・オスマンであった。

ルイズは話に付いていけずに混乱しているようだ。
そのまま使い魔に付いているように言い、オスマンに経緯を説明しすぐに行動を始めた。

トリステイン学院学院長室に集められた教師たちは困惑していた。
授業を中断されたと愚痴を言っている者もいる。
しかしオールドオスマンが入ってきたときにそれも消え去る。
オールドオスマンはコルベールに説明を促した。

「本日2年進級した生徒たちが使い魔召喚を行いました。
 その最後の生徒が先住魔法を使うであろう亜人を召喚したのですが・・・」

その言葉に教師たちはエルフを思い浮かべる。
強力な先住魔法を使うエルフには系統魔法ではまず勝てない。これは周知である。

ざわ・・・         ざわ・・・
       ざわ・・・

ざわめきが起こるがコルベールが続けて説明する。

「亜人はエルフではありません。
 しかし・・・もっと危険なものとオールドオスマンと私は判断しました。
 召喚したときには全身に傷を負っていまして今は医務室で意識を失ってします」

続けてオールドオスマンが語る。

「使い魔を見たが嫌な予感が止まらんでな。
 わしはいまのうちに殲滅するのが一番よいと思っておる。
 だが使い魔の契約を行ったことで危険性はかなり減るであろう。
 トライアングル二人以上で監視を行う。ローテーションを組んでおけ。
 召喚した使い魔を生徒が御すことができたならばよし。
 できなければなんとしても叩かねばならん。
 召喚した生徒はラ・ヴァリエール家の3女じゃ。
 後で使い魔の姿は確認しておくこと。以上じゃ。解散」

各々退出してコルベールとオスマンが残る。

「ではオールド・オスマン、ルーンの方も確認してまいります」

重々しく頷くオスマンを残し駆けていく。

「何事も起こらないというのは無理じゃろうなぁ」

そうしみじみ呟きながらオスマンは遠見の鏡で病室を確認していた。

すでに夜になり病室から部屋にもどったルイズは今日の召喚した使い魔のことを考えていた。
ミスタコルベールと学院長の緊張した様子から強力な種族ではないかと言うことが分かる。
それを使い魔としたのは自分!
亜人に洗濯をさせよう。着替えもさせて、もちろん飯は貧相なものを。
身形からそれなりの文化を持っていて位が高いことが分かるので、
どうやって自分より下であることを使い魔に自覚させるかを考える。
そうして優越感に浸る自分を思い浮かべると自然と笑顔が浮かんでくる。
とりあえず使い魔にさせることを箇条書きで記し、寝ることにする。
今日はぐっすり眠れそうだ・・・


夢を見た。
世界を暗黒に閉ざし人々を絶望させそれを糧に君臨する自分。
それは恐ろしい光景だった。見たことのない怪物が町を襲い人を殺して行く。
恐ろしいはずなのになぜかそれを見ていると愉快にそして満たされるように感じる。
もっと絶望を感じたい・・・
すべてを踏みにじりたい・・・
上の世界まで続く穴を開けさらに蹂躙しようではないか・・・

ルイズは飛び起きた。恐ろしい夢を見た。
人を絶望させるために行動する自分。
だがその時に感じた愉悦は忘れられるものではない。
自分が自分で無くなるような気がして汗で湿ったシーツを抱きしめる。
そのまま朝日を迎えることになった。

そろそろ朝食の時間だ。いつまでもベッドで蹲っているわけには行かない。
朝日が射す窓を開ける。清々しい天気だと言うのに気分が悪い。顔を洗い、服を着替える。
部屋を出るとちょうど隣も出てきたところのようだ。
隣室の赤毛の褐色肌の女―キュルケは使い魔に関して話題を振ってくる。
まず自分の使い魔を自慢し、ルイズにも強そうな亜人を呼び出してなかなかやるじゃないかと言った。
キュルケの使い魔―サラマンダーはルイズの前に出て軽いうなり声を上げ威嚇していた。
キュルケは自分の使い魔がなぜルイズを危険視しているか分からない。
サラマンダー自身もよく分かってないのか明瞭な説明ができないようだ。
ルイズが何も言い返さないのを不振に感じたがそのまま朝食を取りに行くと言って先に行ってしまった。

ルイズはそれどころではなかった。キュルケを見た瞬間自分がキュルケを引き裂いている姿を思い浮かべて楽しんでいた。
そしてそれに気付いて愕然としてキュルケが何を言っているのか頭に入ってこなかった。

授業中も頭が一杯で揶揄の言葉もすべて聞き流していたが、
ミセスシュヴルーズに話を聞いていなかったと指摘され前に出て錬金を行うことになった。
昨日も召喚に成功したしもしかすると魔法ができるようになっているかもしれない。
思案は置いておいて錬金に集中する。見事錬金の魔法の対象となった石は吹き飛んだ。
つまり失敗してしまった。罵声を浴びせられ部屋の清掃をさせられることになった。
ルイズ本人は頭が一杯であったから、そして他の者は注意を向けていなかったから気付いていなかったが、
ルイズはの体はいつものように煤で汚れてはいなかった。
まるで爆発の影響を全く受けていないようであった。

夢を見た。
上の世界まで続く大穴を開け自分の手下を送り込む。
手下はうまく動いていたようだ。まず近くの村を滅ぼし、恐怖を与える。
人の王を替え玉に入れ替え人心が荒廃するように仕向けていた。
この調子なら簡単に闇に落としてしまえそうだ。
勇者と名乗る者たちは手下にすら到達できずに散っていく。
十分満足が行くがおもしろくない。少し人間に強くなる猶予を与えるように手下に指示を出す。
さぁ希望を抱け。その光が大きければ大きいほど失った時の絶望は計り知れない。
わしを楽しませろ。



召喚から2日目の朝、夢の内容は変わらず恐ろしい物であったが嫌悪はなかった。
自分が変わっているのだろうかと思うが悪い気はしない。
なぜ自分が変わることをそんなに恐れていたのか分からなかった。
病室に様子を見に行く。亜人の怪我はほとんど治ってしまったようだ。
目が覚めないだけのようでいい加減目を覚ましてくれないと見せびらかしたりできないではないか。
やらせようとした事が実行に移せるのはいつになるのかとため息が出しながら医務室を後にする。

昼食時に二股ギーシュに八つ当たりされているメイドが恐怖に震えるのを見てゾクゾクしてしまう。
しかしメイドを罵倒しているうちに調子に乗ってしまったギーシュを見ると腹が立ってくる。
メイドを助けることはあまり気乗りしないが
にやにや笑っているギーシュを追い詰めることを考えるとどうでもよくなってくる

「ギーシュ、八つ当たりは止めなさい。元はと言えば貴方が二股かけるからでしょう?
 八つ当たりをすることで自分の威厳を周りに保とうとしているつもりかもしれないけど
 はっきり言って逆効果よ。滑稽すぎて笑えないわ。貴族の屑ってこうやってできていくのね」

周りもそれに乗ってギーシュを楽しそうに追い詰めていく。
さっきまで笑っていた顔が蒼くしたり赤くしたりしている様子は見ていて最高だった。
最後には真っ赤になってこっちも睨んでくる。

「決闘だ!!名誉を傷つけられて黙って入られない!グラモン家には命よりも名誉を重んずる
 家風がある!ゼロのルイズ!貴族同士の決闘は禁止されているが受けてもらおう!
 もし受k「いいわよ」ないなら、いますぐ非礼を侘びてもらお・・・え?・・・
 お、おもしろい!ヴェストリ広場で待つ!逃げるなよ!」

受けるとは思っていなかったのか一瞬呆けた後、
慌てて場所を言い残し友人を連れて広場の方に去っていった。

「あの…先ほどはありg・・・・」

メイドが何か言っているが無視しギーシュに続いて広場に向かう。
負ける気が全くしない。興味があるのはどれだけやれば相手が自身の無力を感じるかであった。

暇を持て余している学生がたくさん集まり決闘を見物しようとしている。

「諸君!決闘だ!!」

わぁああっと歓声が起こる。芝居がかった仕草で周りに愛想を振りまくギーシュ。

ギーシュは内心困っていた。誤解を招いた原因は誰にでもいい顔する自分だと自分自身わかっている。
八つ当たりまでした自分がはずかしい。しかも決闘まで仕掛けてしまった。受けないと思った相手が受けてしまったのだ。
もう引くに引けないところまで来ている。そして決闘相手のルイズは一応女性だし、
青銅人形のワルキューレをけし掛けてもいいものかと思案する。名案が浮かんだ。
一気に出せる最大数の7体出し、恐怖を感じさせる。
ルイズのことだおそらくプライドにかけて降参はするまい。
そこで自分が負けを宣言して決闘で勝つことはできたが女性に手を上げることはできないので負けたことをアピール。
この一件を無事治められ、新たなファンも獲得できるかもしれない。

杖を振り花びらが7体のワルキューレになる。

「では、行かせてもらうよ」

1体を自分の隣に残し他をルイズを取り囲むように配置する。
ルイズを見ると震えている。計画通り!
薄く黒い靄がルイズに張り付いているように見えるがなんだろうか。
さて負けを宣言しようか。

ルイズは笑い出したかった。いまからギーシュはこの衆人環視の中、絶頂から追い落とされ、
その様子は周りに恐怖を与えるだろう。それを思い浮かべると笑いをこらえ切れず体が震えてしまう。
体が嫌に軽い事もあり、さぁ処刑だ。
深呼吸した後いきなりギーシュの近くに残っていたワルキューレに錬金をかける。
ギーシュは吹き飛び、転がる。風に乗っているような速さでルイズは駆け、ギーシュの杖を踏み折る。
そして倒れているギーシュがなにかを言う前に鳩尾を力の限り蹴りつける。
うげぇと昼に食べたものを吐き出しているギーシュをさらに何度も蹴る。
最高だ・・・こんなに楽しいことがあったなんて知らなかった。
ギーシュはしゃべることができずされるがままであり、ルイズは反応がなくなるまで蹴り続けた。
動かなくなったギーシュに興味を無くしたルイズは自分の勝ちを宣言し、次の授業のある教室まで帰った。
その道中恐れを含んだ目で見られ気分がよかった。


コルベールはルーンについて調べていた。
そして召喚から2日目の昼ついに辿りついた。
それは使い魔のルーンの書物ではなく御伽噺の本の中にあった。
『ガンダールヴ』
その始祖ブリミルの伝説の使い魔、あらゆる武器を使いこなし主を守ったと言う。
ルイズの使い魔を思い浮かべ納得してしまった。あの使い魔なら伝説にもなろう。

オスマンに報告しようと学院長室に入ると、
眠りの鐘の使用許可をもらいに来た教師がいた。
何事かと聞いてみれば生徒間で決闘を行うらしい。
決闘は禁止されているというのに何をやっているのだろう。
呆れながらも誰が行うのか聞くとグラモン家の馬鹿息子と件のヴァリエールらしい。
オスマンは止める必要はないと言って見物のために遠見の鏡を使い出した。
それに便乗することにする。
結果は一方的であった。
決闘が始まると同時にルイズが黒い靄を出し始め、
失敗魔法でギーシュを吹き飛ばし、人とは思えぬ速さで近寄りそのまま蹴り続ける。
10分ほど嬉々として蹴り続ける様はなにかにとり付かれているようでもあった。

「これは・・・」
「うむ。まずいのぅ。存在の大きさに引っ張られておるのかもしれんな。
 このままではいかんな。」
「待って下さい、オールド・オスマン。これを見てください」

そう言って御伽噺の本にあるガンダールヴのルーンのページを開き、ルイズの使い魔のルーンを模写した紙といっしょに机に置く。

「む、・・・・すまぬが人払いをしてくれ。ミスタコルベール、詳しく頼む。」

人が出てからコルベールはオスマンに伝説の再来を告げた。

その夜教師たちが学院長室に再び集められる。
使い魔がガンダールヴであるかもしれないことを知らない
教師たちはオスマンがかの使い魔を倒すつもりだと考えた。

「ミスヴァリエールと話合いを持って、それから使い魔自身にも目が覚めた後に話を聞いてみませんか。
 確かに魔力が恐ろしく高いと言っても彼の格好から文化レベルはある程度あるとみられますから
 突然襲うようなことはしないと思います。服の素材は固定化ではない魔法が使われているようですし
 彼の種族の生活や魔法を調べたほうが学院にとってプラスになると思います」

亜人やモンスターの生態を調べている教師がオスマンを説得しようとしている。
始めてみる種の亜人だからだろう、興奮しているようだ。

「そうですね。ミスヴァリエールにしても一生のことがかかっているのです。
 彼女のことを蔑ろにはできないのでは?」
「そこまで危険視するなら王宮に連絡すべきでは?」

他の教師もどんどん展開し始める。
彼らは戦いたくないのだ。
先住魔法を使うかもしれない者と戦うなど誰がしたいと思うだろうか。
エルフの場合メイジが100人集まっても勝てるかわからないのだ。
この中でまともに戦えるものは学院長くらいのものだろう。

「さっきからなにを言うとる。昨日のことは無しじゃよ。昨日不安を煽ってしまった様じゃから
 全員集めて改めて伝えるつもりで呼んだのだ。あの使い魔は注意が必要じゃが大丈夫だろうと思われる。
 使い魔が目を覚ましたらいろいろ聞けるじゃろうて。言葉が通じなくとも契約したヴァリエールが
 仲介に入ることができるであろうし問題はないのぉ」

夢を見た。
なにやら喜びが強く感じられる。
上の世界の人間たちが送った手下を倒したようだ。
手下を倒した人間たちがいた国の兵士を殺し、そして自らが侵攻すると宣言してやる。
その国の王は絶望したようだが、まだ瞳に強い光を残す者が4人いた。
それを見て下の世界でも自分に挑んできた勇者と呼ばれた者たちを思い出す。
その中でもその4人は別格と言ってもよいかもしれない。
すばらしい。強い光は最高の生贄となる。わし自らが相手し、貴様らを絶望に堕とし飲み込んでやろう。
我が祭壇で待っておるぞ・・・

召喚から三日目、昼食後の雑談と使い魔との触れ合いの時間、ルイズは医務室を訪れていた。
自らの使い魔の横には包帯を巻かれたギーシュがいた。ルイズが入ってきた事が分かって悲鳴を上げながら
恋人らしき人に運んでもらって逃げてしまった。あれは洪水のモンモランシーだったか。
特に興味もないのできれいに忘れることにする。
ルイズがこんな性格になったのは夢のせいであり、大本はこの使い魔であろう事は分かる。
最初は自分が変わることを恐れていたが、今では開放感のほうが強く感謝したいくらいだった。
しかしこのことを漏らすわけには行かない。
人を虐げることが趣味なんてとてもいいとは言えない事であるし、
そのような影響を与える使い魔も危険視されてしまうだろう。
初めての魔法の成功例であるし、守らなくてはいけない。
そのとき使い魔の目が開いた。

使い魔が身を起こしこちらを見る。
「やっと目が覚めたようね。あんたを召喚したのは私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。
 私の使い魔としてこれから過ごしてもら・・・・・」
得意になって説明していたルイズだが目が合った時大きな思い違いをしていたことに気付いた。
凄まじい圧迫がありルイズが圧倒的に下だと分かってしまった。使い魔と主は対等であり、お互いが補い合うと言われる。
そう考えると目の前の亜人は使い魔であって使い魔ではなくなる。この使い魔に自分が何を補えると言うのだろうか
混乱するルイズを尻目に使い魔は天上に頭が当たらないように中腰に立ち上がり
虚空に手を入れマントや兜を取り出し身に付けていく。
いきなり行使された魔法に驚きを隠せないルイズはさらに混乱する。
使い魔は違和感を感じたのか自分の左手の甲を見ている。
気に入らないのかフンっと鼻を鳴らし次の瞬間すべてを凍て付かせる波動を放った。
体に凍えるような感覚が走ったと思うとさっきまで自分にあった高揚感がほぼなくなり、
ルイズは使い魔との契約が切れたことに気付く。
そしてルイズは使い魔からの影響がなくなり、この2日間自分が考えていたことを思い出し、
自分の内面が変化してしまっていたことに改めて恐怖する。
使い魔が放ったその波動は、それだけに留まらずそのまま半径500メイルほどまで広がり
範囲内のすべての固定化や使い魔の契約を断ち切ってしまった。

そして黒い気配がハルケギニアと呼ばれる世界に遍く広がる。
それに人は全く気付かなかったがモンスターには多大な影響を与えた。

学院で使い魔と交流を行っていたらいきなり契約を切られ、メイジたちは驚いたが、
さらに驚くことにその使い魔たちが襲い掛かってきた。
信頼を置く使い魔が突如襲い掛かってくるのだ。生徒たちは対応できずに殺されていく。

被害は世界中に拡大している。
首都では使い魔ではない竜騎士隊のドラゴンなど飼いならされているだけのモンスターは近くの人を襲い、
野生のモンスターも積極的に群れを成して村や町に襲い掛かる

オールド・オスマンはその様を鏡を通して呆然として観ていた。
オスマンの使い魔は契約を解かれ、すでにどこかに逃げてしまった。
なぜ自分は最初に感じた悪寒を信じなかったのか。なぜガンダールヴであるという事だけであの使い魔を安全と取ってしまったのか。
ヴァリエールの使い魔が使い魔の契約を破棄することができるとは考えもしなかった。

眠りの鐘をすばやく使用し学院中の使い魔に眠りを与える。
遠見の鏡の中でヴァリエールの使い魔である亜人が眠っていないことに舌打ちする。
学院全体に逃げるように呼びかけた後、
窓から飛び出し医務室に突っ込む。
そこにはルイズに現状を伝え絶望に追い落としているものがいた。
無防備な背中に魔法を打ち込むが当たった瞬間に掻き消えた。
注意をこちらに向けただけであったようだ。
生半可な魔法では打ち消されることを悟り、その処理容量を超えるであろう大規模な魔法のための呪文を紡ぎながら外に出る。
この魔法で周りに被害が出るかもしれないがここで早く倒さなければもっと悲惨なことになるのは目に見えた。
亜人は動きにくそうなローブを振り乱しながらベッドを吹き飛ばし恐ろしいスピードで走ってくる。
するどい爪で引き裂かれそうになるのを寸前で避けたと思うと口が膨らんでいるのが見える。
吹雪を吐いてきた。

防御魔法は無意識に発動できる簡単なものを使い勢いに逆らわず距離をとる。
杖を持っているほうの手を吹雪に当たらないように動かしながらさらに呪文を唱える。
簡単な防御魔法だけで吹雪に晒した片手は凍り付き崩れてしまったが詠唱は終わった。
亜人を中心とした場所に灼熱の風を解き放つ。
固定化の解けていた学院、眠っている使い魔、そして残っていたメイジたちは一瞬で灰燼に帰す。
しかしその中を笑いながら向かってくるものがいた。
その影が炎の嵐を抜けた瞬間、マヒャド!と声が響き3メイル以上はある巨大な氷が無数に出現し嵐のように襲ってくる。
さらに口から吹雪を吐き出す。
風の魔法でガードしながらも氷の嵐に吹き飛ばされ、魔法が全く効かないことを認識する。
ならばと土の魔法で50メイル近い土でできたゴーレムを作り出す。
ゴーレムに拳を振り下ろさせ、亜人を吹き飛ばそうとするが俊敏な動きで避けられ当たらない。
亜人がゴーレムの下に来たとき、オスマンはゴーレムの土を錬金し足を崩し胴体以上を鋼鉄の塊にし地面との間で潰そうとする。
 ・・・・受け止め逸らされる・・・・そのままゴーレムの上半身は地面に転がされる。

ゴーレムの肩に乗っていたオスマンは投げ出され自身の行動を振り返り眉をしかめる。
できるだけ早く倒すために大規模な攻撃魔法を使ったが亜人に効果はなく、
ただ学院に残っていた貴重なメイジを殺してしまっただけであった。
自身の使い魔に殺されず、オスマンの魔法にも巻き込まれなかったのは4割がいいところだろう。
まさか自分がこんなに焦って若造のような失敗をするとは・・・
しかし相手の攻略も立てることができた。ゴーレムの攻撃を避けたと言うことは物理攻撃は無効化できないということだ。
土のメイジを多く集め、巨大なゴーレムで攻め立てればなんとかなると考える。
一旦態勢を立て直すため、フライの魔法で逃げようとするが突如壁のようなものにぶつかり落ちてしまう。
何が起こったのかが分からず混乱するが、視線を感じ、振り返ると使い魔が覚めた目でこちらを見ていた。

「……知らなかったのか…?大魔王からは逃げられない…!!!」

それから数日後モンスターの大群がトリステインの首都を襲い陥落。
そしてすべての国の首都、都市に魔王の幻影と宣言が溢れる。

「我が名は大魔王ゾーマ。闇の世界を支配するもの。
 わしがいる限り この世界は闇に閉ざされるであろう。
 さあ 苦しみ悩むがよい。そなたらの苦しみはわしの喜び。
 命あるものすべてを我が生け贄とし 絶望で世界を覆い尽くしてやろう。
 我こそはすべてを滅ぼす者。
 挑戦者がわしの前に現れる日を楽しみに待っているぞ・・・
 わはははははは・・・・・・っ!! 」

トリステイン城は魔王城と呼ばれ、トリステインと呼ばれた一帯は闇で閉ざされることとなる。
闇に閉ざされた地方からいままで見たことのなかったモンスターが溢れ、割拠し、
人々は安息の地を失ってしまった。

自分が魔王を召喚してしまったからこのようなことになってしまった。
そう自虐するルイズは炎の嵐をひどい火傷を負うだけで生き残っていた。
契約破棄される前にもらっていた闇の衣の残滓がのこっていたためであろう。
まだ無事な国ではゾーマ討伐に軍を派遣しようとしているらしい。
自分は今度こそ使い魔を召喚してみせ、
少しでも討伐に役立つようにがんばろうと考える。
しかし召喚されたのは見たことない服装の平民であった。

   完


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