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第三話「姿なき脅威」


ウルトラマンゼロの使い魔
第三話「姿なき脅威」
猛毒怪獣ガブラ
宇宙怪獣エレキング 登場



「ガアアアアアア!」
 トリステイン王国の領地の一つであるド・オルニエール内に突然出現した怪獣が、空を飛んで
駆けつけたウルトラマンゼロに向かって咆哮を上げる。姿は獅子のようだが、顔面はどことなく
人間のように見え、薄気味悪い風貌である。この怪獣は、かつてウルトラセブンと戦って
牙に仕込まれた猛毒で苦しめた、猛毒怪獣ガブラである。
「ガアアアアアア!」
 ガブラは光の戦士の命も脅かした極悪な武器である牙を剥いて、ゼロに飛び掛かっていく。が、
『てんで遅いぜッ!』
 その動作は、訳あって劣悪な環境で、数いるウルトラ戦士の中でも近接戦闘最強といわれる
ウルトラマンレオから血反吐を吐くような厳しい修行を課せられたことのあるゼロからすれば、
鬼ごっこの鬼の方がまだ良い動きをするのではないかと思いたくなるほどとろいものだった。
 ゼロがすかさず飛ばしたゼロスラッガーが、相手にかわす暇どころかろくな反応をさせる暇すら与えずに首を切断した。
首を失ったガブラの胴体は、当たり前だが声もなく横転して動かなくなった。
『へへッ、今回も楽勝だったな』
 余裕をこいて、親指で下唇をぬぐうゼロ。
 とその時、胴体から離れてゴロゴロと転がっていったガブラの首が、何と宙に浮いてゼロの背後から忍び寄り出したではないか!
 ガブラの首はゼロに気づかれないように、音もなく無防備な肩へと近づいていく。そして、
大口を開いて食らいつく――。
「シャッ!」
 その瞬間に振り返ったゼロがエメリウムスラッシュを放ち、一瞬でガブラの首を爆散させた。
『はッ、そんなこすい手が通用するかっての。首が飛ぶことは親父から聞いてるんだ』
 と余裕綽々に語るのだが、それに反して胸のカラータイマーは赤く点滅していた。だがこれは
戦闘でエネルギーを多用したという訳ではない。トリステイン魔導学院の辺りから変身してから
ここへ一直線に飛んできたので、その時間経過分があるからだ。この問題は、何も今日に始まった訳ではない。
この時点で既に数度経験していた。
『またピコピコ言ってるぜ。移動に時間を食っちまうの、どうにかならないもんかな……』
 肩をすくめると、トリステインの民が死体の後処理で困らないように胴体の方もエメリウムスラッシュで爆破、
消滅させておく。全てが終わると、両腕を高く掲げて、
「ジュワッ!」
 天高く飛び上がり、魔導学院へと帰っていった。

 だがこの戦いを、ある場所から観察している者たちがいたことを、ゼロは知らなかった。
『ウルトラマンゼロ……聞きしに勝る強さだ。ガブラをこともなげに瞬殺するとは』
 正体の知れない者の一人が口を開くと同時に、その場にいる他の者たちが釣られたようにしゃべり出す。
『全くその通りだ。奴がいると、我々の侵略計画に大きな支障が出る』
『この星の――大陸の名前を取って、仮にハルケギニア星としよう――知的生命体である
ハルケギニア人の文明水準は丸でお話にならんレベルだが、あのウルトラ戦士がいては迂闊に手が出せない』
『こんな辺鄙な別の宇宙に来てまで我々の邪魔をするとは、全く以て憎らしい……』
 誰もかれもがゼロのことを恐れて、同時に恨みの念を抱いていた。だがそんな中で、こんな意見が出る。
『しかしウルトラ戦士には、致命的な弱点がある。一定以下の環境下では、真の姿を保っていられないことだ。
滞在するにあたり、その星の生命体に準じた姿にならなくてはならない』
『その通りだ。そして多くの者は、本来の姿となるのにエネルギーを摂取するためのアイテムが必要。
ウルトラマンゼロもその一人。つまりそのアイテムを使わせなければ、奴は赤子も同然』
 この言葉で、場に押し殺した邪悪な笑い声が響く。
『奴のこの星での姿はもう調べがついてある。後は機会を待つのみ!』
『時が来れば、奴の変身を封じ込め、そのまま一気にこの美しい星を頂こうぞ!』
 ゼロの力を奪い去る計画を既に立てていたこの者たちは、邪な陰謀を胸に抱えたまま、その「時」を待つことにした。

 そんなことがあってからの、後日。「虚無の曜日」というハルケギニア社会における毎週の休日。
「へぇ。ここが「城下町」っていうもんか」
 才人とルイズの二人は、トリステイン王国の城下町、ブルドンネ街の大通りにやって来ていた。
才人は初めて目にした、ファンタジー世界そのままの石造りの街並みを物珍しそうに見回す。
そしてひと言感想を漏らした。
「道が狭いな」
「狭いって、これでも大通りなんだけど。……まぁ、あんたの元の世界と比べたら、そう感じても無理ないんでしょうけど」
 ルイズは地球でのウルトラ戦士と怪獣の戦いの記録を見た時に、街の道幅が広く取られていることにも驚きを覚えていた。
「怪獣がしょっちゅう出てくる環境だから、道が広くないとやってけないのかしら?」
「それが理由って訳じゃないんだけど……ゼロ、お前はこの通り、どう思う?」
 才人が何となしに尋ねると、ゼロは才人と同じ意見を発した。
『俺の故郷、光の国と比べても狭いな。まッ、光の国より広い道があるところなんて、
宇宙中探しても見つかるもんじゃないだろうけどな』
「……まぁ、そりゃそうだよな。ウルトラマンの街だもんな」
「40メイルを超えるのが通常サイズなんだから、当然よね……」
 まさしく宇宙並みのスケールの話に、才人もルイズも若干呆けた。

 彼らがブルドンネ街に足を延ばしたのには、理由がある。才人が剣を欲したからだ。
 ベムラーたちが現れて以降は、学院の周辺に異常事態は発生しなかったので、学院はある程度
落ち着きを取り戻していたのだが、昨夜、才人がサラマンダー(サラマンドラではない)によって
その主人であるキュルケの部屋に引っ張り込まれる事態が起きた。するとキュルケは、
ギーシュを倒した才人に恋心を抱いたとか何とか言って彼を誘惑し出したのだ。その場は、
キュルケがその前から約束を作っていた男子生徒たちが窓から突入しようとしてはぶっ飛ばされたり、
カンカンになったルイズが乱入してきたりで流されたのだが、才人がキュルケといたところは
その男子生徒たちに見られてしまった。それで身の危険を感じた才人はルイズに、
自分の身を守るための武器に剣をねだったのである。ウルトラマンゼロの力を借りれば男子生徒ぐらい、
と思うかもしれないが、才人もそんなしょうもないことのために力を借りるのは気が引けたのだ。
 そんな訳で、剣を買いに来たという訳である。

 怪獣が出没するようになってしまったハルケギニア大陸だが、その回数はまだまだ少ない。
また、今のところ都市部に出現した例はないので、ブルドンネ街には実に平和な空気が流れている。
 そして武器屋を目指す最中、好奇心旺盛な才人は道端の店をキョロキョロと見回してずっと忙しない様子だった。
そんな落ち着きのない彼を、ルイズが叱る。
「ほら、寄り道しない。スリが多いんだから! それでなくても、最近は怪事件が多発して物騒になってるそうなのよ。
気をつけなさい」
「怪事件?」
「ええ。何でも深夜になると、道行く人がいきなり消えちゃうそうなのよ。貴族が一人消えた時は、
王宮はそれこそ大騒ぎだったらしいわ。学院もゼロの話以外だと、その噂話で持ち切りよ。
聞いた話だと昨夜も、検問を張ってた夜警たちの目の前で、人が一人消えちゃったんだって。
それも比喩じゃなく、本当にスーッと、幽霊だったみたいに。まぁ貴族の噂だから、
どこまで信じられるか分からないけど」
 その話に、才人ではなくゼロが最も関心を示した。
『そいつは聞き捨てならない話だな。もしかしたら、侵略宇宙人の仕業かもしれねぇ』
「でもゼロ、この世界に宇宙人っているのか?」
『俺たちの世界の怪獣が入り込んできてるんだから、宇宙人どもがこの宇宙に侵入してきててもおかしくはないぜ。
第一昨日倒した怪獣は本来、シャドー星人の用心棒怪獣だったはずだ。首も外部からのコントロールだってことだぞ』
「なるほど。つまり、あいつを操ってた奴がどこかにいたってことが考えられるのか……」
「ち、ちょっと待ちなさい!」
 ゼロと才人だけが理解している話を始められたので、置いていかれているルイズが説明を要求する。
「その、ウチュウジンっていうのは何なの? 怪獣とは違うものなの?」
 この問いにゼロが答える。
『ルイズ。このハルケギニア以外にも大地が存在し、それらは「星」というもんだってことは話したよな?』
「ええ。覚えてるわ」
『その「星」にも、お前や才人、俺みたいに知性を持った「人間」が存在してることもある。
そういう「星」に住む「人間」のことを総称して宇宙人と呼ぶのさ。俺やルイズ、
お前だって厳密に言えば宇宙人なのさ』
「そうなの。でも、あなたたちが言ってるのはそれと違う意味のようだけど?」
『賢いじゃねぇか。確かに俺たちが言ってる宇宙人は、俺たち以外の星の人間、異星人の意味合いだな。
で、この宇宙人というのは、友好的な連中ばかりじゃない。別の星を力ずくで奪い取り、
支配してやろうと日々狙ってる悪い宇宙人が、俺と才人の宇宙にはわんさかいるんだよ』
「侵略戦争を仕掛けてるって訳ね……。それで、その侵略者のウチュウジンが、
ハルケギニアを狙ってるかもしれないってこと……?」
『その可能性は十分にあるな。侵略者ってのは基本力任せの怪獣とは違い、陰でコソコソ動き回って
人の隙や弱みを突こうとするもんだ。その分、怪獣よりも性質が悪い』
 新たな敵の存在を知ったルイズは、思わず意識が遠のいたような気分になった。
「怪獣だけでもとんでもないのに、そんな奴らがハルケギニアに本当に忍び込んでるなんて、考えたくないわ……。
そいつらも、何か恐ろしい力を持ってるんでしょ?」
『まぁな。ちょうど俺のように、地球人型とは全く違う姿で、多種多様な能力を持った宇宙人が数え切れないほどいる。
だが心配はいらねぇぜ。このウルトラマンゼロがいる限り、侵略者なんかの好きにはさせないからな! 今からでも、
怪事件が本当に宇宙人の仕業か調べてもいいんだぜ』
「はぁ……。まぁとりあえずは、今日の目的を先に済ましちゃいましょう……」
 大きくため息を吐きながら、ルイズは才人とともに武器屋への道筋に着いた。
 ……その二人のことを尾行している者がいることは、ゼロですらも気づいていなかった。

 路地裏に入ったルイズたちは、目的の武器屋を発見し、店の中に入った。店内は昼間だというのに薄暗く、
奥では店の主人が胡散臭げにこちらをながめていたが、ルイズの紐タイ留めに描かれた五芒星に気づいてへりくだる。
「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、
これっぽっちもありませんや」
「客よ」
 ルイズは腕を組んで言った。
「こりゃおったまげた。貴族が剣を! おったまげた!」
「どうして?」
「いえ、若奥さま。坊主は聖具をふる、兵隊は剣をふる、貴族は杖をふる、そして陛下は
バルコニーからお手をおふりになる、と相場は決まっておりますんで」
「使うのはわたしじゃないわ。使い魔よ」
「忘れておりました。昨今は貴族の使い魔も剣をふるようで」
 ルイズと主人が会話している後ろでは、才人が店に並んだ武器を興味津々にながめていた。
「うわッ! すげぇなー。どれも強そうだな」
『そうかぁ? どれもこれも質がいいとは言えないと思うんだがな』
 武器のことなどてんで知らない才人は感心しているが、本物の戦闘を何度も経験して、
自身もいくつかの武器の扱いがあるゼロは、商品に難癖をつけていた。その声が主人に聞こえないのが
何よりの救いであった。何せこの武器屋の主人は、お世辞にも良い性格とは言えないのだ。
「わたしは剣のことなんかわからないから。適当に選んでちょうだい」
 とルイズが言うと、案の定主人はルイズからぼったくろうと考え、きらびやかな細身の剣を薦め始めた。
「そういや、昨今は宮廷の貴族の方々の間で下僕に剣を持たすのがはやっておりましてね。
その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」
「貴族の間で、下僕に剣を持たすのがはやってる?」
「へえ。近頃は『土くれ』のフーケとかいうメイジの盗賊が城下町を荒らしたり、人間の消失が相次いだり、
物騒なことが続きまさあ。だから貴族の方々は恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末で。へえ」
 レイピアをながめたルイズは才人を側に寄らせ、小声で尋ねかける。正確には、才人の中のゼロに向けて。
「どう? あなたから見て、これは」
『あー……ダメだな。切れ味は悪くなさそうだが、そんな細いんじゃすぐに曲がっちまうだろうよ。
長く使うつもりなら、切れ味よりも強度を重視した方がいいな』
 ゼロはそう駄目出しした。ルイズも、才人が大きな剣を軽々と振っていたのを思い出し、
別のものに変えてもらうことにした。
「もっと大きくて太いのがいいわ」
「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。男と女のように。見たところ、
若奥さまの使い魔とやらには、この程度が無難なようで」
「大きくて太いのがいいと、言ったのよ」
 ピシャリとはねつけると、主人はペコリと頭を下げて奥に消える。だがその時に「素人が!」と
陰口を叩いたのをゼロは聞き止めた。
 そして今度に持ってきたのは、1.5メイルはあろうかという大剣だった。宝石が散りばめられた、
何ともぜいたくなこしらえである。
「これなんていかがです? 店一番の業物でさ」
 しかしそれを見たゼロは呆れて述べる。
『もっとダメだな。そいつは見栄えを良くしただけで、とても実用に耐えるもんじゃない。
客から金をふんだくるためだけのガラクタだぜ。……店主の態度も悪いし、
こりゃ別の店で選んだ方がいいんじゃないのか?』
 見切りをつけるゼロなのだが、ルイズには他に武器を売っているところに心当たりがない。
どうしようか悩んでいると、突然第三者の声が割り込んできた。
「坊主、おめえ自分を見たことがあるのか? その体で剣をふる? おでれーた! 冗談じゃねぇ! 
おめえにゃ棒っきれがお似合いさ!」
「なんだと?」
 けなされた才人が振り返るのだが、その方向には誰もいないので首を傾げる。ただ剣が積んであるだけだ。
なのに、主人は頭を抱えた。
「わかったら、さっさと家に帰りな! おめえもだよ! 貴族の娘っ子!」
「失礼ね!」
 ルイズも怒って声の主を探すのだが、やはり誰もいない。才人は、この辺からしたよな、
と思って剣の山に近づく。
「なんだよ。誰もいないじゃん」
「おめえの目は節穴か!」
 その声で、ハッキリと分かった。声は、サビの浮いたボロボロの長剣から発せられていたのだ。
「剣がしゃべってる!」
「やい! デル公! お客様に失礼なことを言うんじゃねえ!」
「デル公?」
 主人はしゃべる剣のことを、名前で呼んだ。ここでルイズが主人に問いかける。
「それって、インテリジェンスソード?」
「そうでさ、若奥さま。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。いったい、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、
剣をしゃべらせるなんて……。とにかく、こいつはやたらと口が悪いわ、客にケンカは売るわで閉口してまして……。
やいデル公! これ以上失礼があったら、貴族に頼んでてめえを溶かしちまうからな!」
「おもしれえ! やってみろ! どうせこの世にゃもう、飽き飽きしてたところさ! 
溶かしてくれるんなら、上等だ!」
 どうも主人と剣は仲が悪いようだった。口喧嘩していると、才人が剣を掴んで持ち上げる。
「もったいないよ。しゃべる剣なんて面白いじゃないか。お前、デル公っていうのか」
「ちがわ! デルフリンガーさまだ! おきやがれ!」
「名前だけは、一人前でさ」
 才人に掴まれたデルフリンガーは、最初は嫌がっていたが、すぐに静かになった。そしてこうつぶやく。
「おでれーた。見損なってた。てめ、『使い手』か」
「『使い手』?」
「ふん、自分の実力も知らんのか。……そしてもっとおでれーた! おめえ、中にもう一人いるな? 
『使い手』が二人で一人なんて、前代未聞だ」
 デルフリンガーは才人の中のゼロに明らかに気づいていた。このことに才人もゼロも、ルイズも驚愕する。
「まあいい。てめ、俺を買え」
「……分かった。ルイズ、これにする」
 才人が決めたことに、ルイズは顔をしかめた。
「そんなのにするの? もっと綺麗でしゃべらないのにしなさいよ」
「いいじゃんかよ。しゃべる剣なんて面白い。それに……」
 才人はルイズにそっと耳打ちする。
「ここに置いたままで、ゼロのことを言いふらされても困るしな。俺たちのところに置いといた方がいいって思わないか?」
『俺も賛成だぜ。こいつは見た目こそオンボロだが、相当な力を感じる。しゃべるだけの剣じゃないってことを保証するぜ』
 ゼロからも説得され、ルイズはしぶしぶ購入を承諾した。
「あれ、おいくら?」
「大剣の相場は新金貨で二百ですが、あれなら百で結構でさ。こっちにしてみりゃ、厄介払いみたいなもんでさ」
 ちょうど手持ちの上限だ。他に選択肢がないことも知って、とうとうデルフリンガーを購入した。
「どうしても煩いと思ったら、こうやって鞘に入れればおとなしくなりまさあ」
 鞘も受け取り、デルフリンガーは才人の武器でありもう一人の相棒となった。

 ルイズたちが出ていった後で、武器屋にキュルケとタバサのコンビが入ってきた。実は
ルイズたちが城下町に出掛けていったことを知ったキュルケが、二人の動向を監視するために
タバサを巻き込んで後をつけてきていたのだ。そして才人が入った時には持っていなかった剣を
背負っていることで、ルイズが剣をプレゼントしたと思い込み、嫉妬に駆られて
自分も剣を才人に与えることを思い立ったのだ。
 主人がキュルケに薦めたのは、ゼロがこき下ろした大剣だった。キュルケにはその実態が分からないので、
ルイズに差をつけようと思ってそれを買い取ったのだが……この時彼女は色仕掛けにより、
大剣を定価の四分の一以下まで値切ることに成功。我に返った主人にやけ酒をさせることになったのだが、
それは別の話。

『……あいつもよくやるよ』
 キュルケがつけていたことに初めから気づいていたゼロは、超聴力でその流れを聞き止めてそう発した。
「何か言ったか?」
『いや、何でもない』
 才人が聞き返すとごまかした。
「相棒よ、後でおめえの中の、ゼロって奴のことを詳しく聞かせろよ!」
「ああ。お前にも説明しておかないとな。すごい話だから腰抜かすなよ?」
「抜かすもんか! 何故なら腰がねぇからな!」
 気に留めなかった才人は、鞘からちょっとだけ出したデルフリンガーと談話する。
 その時に、事件が起きた。突然、道端の店舗が上空から降ってきた光線によって爆発炎上したのだ。
「きゃあああッ!? き、急に何!?」
「今のは……どこから攻撃が!?」
 大通りは一瞬で恐慌状態になる。才人は空を見上げて光線の発射主を探すが、何も飛んでいない。
デルフリンガーの時と違って、今度は本当に何もなかった。
 だが、光線は次々発射されて街を火の海に変えていく。光線は宙から撃たれていた。
「何もないところから!? これは……!」
『ああ。どうやら侵略宇宙人の仕業のようだぜ』
 だが事態はこれだけで終わりではなかった。突如爆発が起こすものとは違う地響きが鳴り渡ると、
城下町の真ん中に長い尾を持った怪獣が現れたのだ!
「キイイイイイイイイ!」
「あいつは! エレキング!」
 本来目があるべき場所に三日月型のアンテナを生やした怪獣は、数いる怪獣の中でも有名な方で、
才人も名前を知っていた。
「キイイイイイイイイ!」
 エレキングはすぐに三日月状の放電光線を放って、更に街を焼き尽くしていく。トリステインの城下町は、
一気に地獄絵図へと叩き落とされていく。
 こうなった以上、モタモタしてはいられない。才人たちは直ちに人目につかない細い路地に飛び込んだ。
「サイト! ゼロ! これがウチュウジンの攻撃なの!? 怪獣まで現れて!」
「ああ。間違いないみたいだ。って訳で、変身だ!」
『心配するな。すぐにみんな片づけてやるぜ!』
 才人は腕を伸ばし、ウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを出した。
「相棒! 一体何しようってんだ!? 何かすげえことか!?」
「その通りさ。さぁ、行くぜ!」
 ウルトラゼロアイを手に取って、いざ顔に装着しようとした、その時、
「うわッ!?」
 突然見知らぬ女にぶつかられてよろめいた。
「ちょっとそこの! 気をつけなさいよ!」
 ルイズが怒鳴り声を上げるが、女は無視して走り去っていく。
「あービックリした。改めて変身……」
 才人の方はあまり気にせずに変身を続行しようとしたのだが、そこにルイズが金切り声を上げた。
「サイト! あなたウルトラゼロアイは!?」
「えッ!? あぁぁ!? なくなってる!!」
 つい今しがたまで手に持っていたウルトラゼロアイが、いつの間にかなくなっていた!



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