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デュープリズムゼロ-23

第二十三話『タルブと土鍋と時々カボチャ』

「うわぁぁぁぁ~~~~~っ!!!助っ!助けてくれっ~!!」

今ギーシュは情けない悲鳴をあげながら全力で木々が生い茂る森の中を走っていた………そう、三匹のオーク鬼を引きつれて。

「何で僕がこんな……目にぃっ!?」

そもそもこんな事になった理由はキュルケがミントを宝探しに誘い、そのミントがギーシュを半ば無理矢理拉致するかのように宝探しに連れ出したのだ。
ギーシュは魔法学園の中でもミントとは付き合いの深い方に入るしルイズとオスマンを除けばミントが異世界の王女だと知る唯一の人物だ。だが、だからこそミントが良い笑顔で自分を誘った時嫌な予感しかしなかった。
無論、拒否と抵抗を行ったがミントに通用する筈も無く問答無用で連れてこられ、今は宝が眠る寺院からオーク鬼を誘い出す為の囮をやらされている…


死にものぐるいで予定地点に辿り着いたギーシュが落とし穴の目印をなんとか飛び越えるとそれを追っていたオーク鬼達は次々とヴェルダンデによって掘られ、タバサの水魔法によって沼と化した落とし穴に下半身を飲まれた。

「お疲れ様です、ミスタ・グラモン大丈夫ですか?」
肩で息をするギーシュにハンカチを差し出し、労いの優しい言葉を掛けるのは身の回りの世話とガイドとして付いて来たシエスタ。
「あ…あぁ、何とかね…後は…」
ヘトヘトになりながらもギーシュは何とか呼吸を整え、自分のやり遂げた仕事の成果を確認する為、沼の落とし穴に填まったオーク鬼に視線を向ける。
藻掻きながら落とし穴を抜けようとするオーク鬼の眼前にミントとキュルケが木の枝の上から飛び降り、ようやくその姿を現した。

「フレイムボール。」「フレア。」

二人の手によってそれぞれ同時に放たれた二つの大火球が身動きが取れないオーク鬼を無慈悲に焼き尽くす。





___ 寺院内部

「で…結局見つけたお宝は…」

「銀のコイン一枚と古いだけのネックレス…」
批難めいたジト目でキュルケを見つめるミントにタバサが本を手放さぬままポツリと答える。
既に7カ所も巡ったというのにこれといった成果が無い事に露骨に項垂れる一行、因みに今更ながら一行の内訳はミント、キュルケ、タバサ、ギーシュ、シエスタ、後は三人のそれぞれの使い魔である。

「んもうっ、分かってるってば!!次よ次で最後だから。次こそ本命なの!その名も『巨人の土鍋』これに関しては実在が確認されてるのよ!!ね、シエスタ!!」

と成果の上がらない今回の冒険の立案者であるキュルケは些か勢いでバツの悪さを押し切り、夕食の鍋をお玉でゆっくり丁寧にかき回していたシエスタへと話を振る。

「あ、はい。ミス・ツェルプストーの仰る通り巨人の土鍋は私の田舎のタルブ村の祠に祀られています。村のみんなは土鍋様って呼んでますけど…アレはお宝って言うよりは変な石像って感じの物で、価値があるようにはとても…」
言ってシエスタは苦笑いを浮かべる。その言葉にミントとキュルケのテンションがグッと下がった。
「あっ、ですがタルブは上質なワインが名産でとても喉かな良い所なので立ち寄られるならば折角です精一杯お持て成ししますので、ゆっくりしていって下さい。」

屈託無く微笑むシエスタに一同は「まぁ、観光みたいだけどそれも良いか。」と軽い気持ちでタルブ村へと向かう事に決めた。

ちなみにギーシュはこの間疲れ果てて眠っており、寝言で「もう帰りたい。モンモランシーに会いたい、帰りたい…」と魘されるように繰り返していた…




___ タルブ村

「皆さん、こっちでーす。」
向日葵の様な明るい笑顔のシエスタが村の入り口、門の下で大きく手を振って一行を呼ぶ。シエスタの案内を受けてようやく一行はタルブの村へと到着した。

「まぁ予想はしてたけど、何て言うか牧歌的というか…はっきり言って超が付く田舎ね。」

「…君はそういう事を本当にばっさり言うね。」
「まぁ良いじゃ無い。それに確かに田舎だけど村自体は豊かそうだわ。良い領主に恵まれてるのかしらね…」
シエスタに案内されつつそれぞれ好き勝手な事を良いながら村の中をミント達は歩いて行く。

「はい、領主様の統治の御陰もありますが実はタルブには他には無い名産品があってそれが村の生活を支えているんです。」

「名産ってワインでしょ?何、そんなに珍しいワインなの?」
「僕の舌を唸らせるワインならば是非買って帰りたいね。」
鼻高々自慢げに語るシエスタにワインに目が無いキュルケとギーシュが瞳を輝かせて食いつく。

「いえ、ワインも確かにそうなんですがもっと変わった物ですよ♪あ、ほらあの右手の畑に見える…「ひぃっ!!!!」」
話を続けていたシエスタが右手の民家の畑を指し示した所、ミントの今まで誰もが聞いた事の無い様な情けない悲鳴でシエスタの言葉を遮った。

「カ……カボチャ…」
ミントは完全に忘れていた…
確かに聞いていた…以前シエスタと初めて顔を合わせた時にシエスタ自身から故郷のタルブの名産がミントがこの世で最も嫌いなカボチャであるという事を…
ミントは手で口元を押さえて怖じ気づいたように二、三歩後ずさり必死に思考を巡らせる。

(何で!?何でよりにもよってアレが名産なの?ていうかアレ、間違いなくアレよね…)

目にしたカボチャが唯のカボチャならミントも此処までうろたえる事は無かっただろう。しかし、目の前に見える畑で丸々と実った巨大なカボチャはどう見てもミントには馴染み深いこの世界にあるはずの無いカボチャに見えた。

「あ…あの、ミントさん?」
明らかに様子がおかしいミントを心配そうに見つめるシエスタに対し、キュルケ、ギーシュ、果てはタバサまでが今まで見た事も無い大きさのカボチャに興味を引かれその足を畑へと向ける。

「うわっ、でっかーい!!何これ…手?」
「可愛い…」
「驚いたね…この大きさなら名産にもなるよ。しかしこのカボチャの模様なんだか顔と口みたいだね。」
ギーシュ達が注目したのはその大きさとカボチャの模様、オレンジの外皮に浮かんでいるその黒い模様はどう見ても口と目にしか見えなかった。おまけに非常に小さい申し訳程度に手の様な形に外皮が両脇に伸びている。

「その子達はお化けカボチャって名前でそういう風に顔がくっきり浮かぶと食べ頃なんですよー。でも、収穫せずに放っておくと畑から逃げていっちゃうんですよ~。」

「逃げるって…まさかこれ生き物なの?」
シエスタの説明にキュルケが驚いた様子で足下のカボチャを見つめる。

「一応そうでは無いんですが…私は種を遠くへ運ぶ為に頑張ってるんじゃ無いかって父から聞きました。」
「成る程…変なカボチャね。」

「何で…アレがここにあるのよ…」

シエスタ達が色々と会話に花を咲かせていた間、ガックリと四つん這いの姿勢で項垂れていたミントは目の前のカボチャをよ~く知っていた。
何故ならこのカボチャは間違いなくミントの世界で『パンプキン』と呼ばれる品種だったからである。

「おや、君達は?何故ここに…」

と、そんな一行の背後に突然学園で聞き慣れた、人の良さそうな男性の声が掛けられる。

『ミスタ・コルベール!?』
その声に振り返れば太陽の光を反射する眩しい頭が全員の目を眩ませる。そこに立っていたのは紛れも無く学園の教師コルベールだった。

ミント達は授業をサボっていた件について叱責を受けながらもコルベールとお互い何故タルブに居るのかを聞いてみる。するとコルベールも巨人の土鍋の噂を聞いてこの村を訪れていたのだと言う。

その日ミント達は村中の暖かい歓迎を受け、シエスタの実家に宿泊し翌朝巨人の土鍋こと『土鍋様』が祀られてい祠へと向かう事となった。
シエスタの家は村の中でも大きく、聞けばお化けカボチャを育てだしたのはシエスタの曾祖父らしく土鍋様も一応その家系の所有物に当たるそうでそこそこに裕福な家庭であった。
ミント以外はそこで名物のワインとカボチャのフルコースに舌鼓を打ち、それでもミントは頑なにそれらを口に運ぶ事を拒み続けた。
折角の料理を食べて貰う事が出来なかった事をシエスタは残念に思ったがミントのカボチャ嫌いっぷりはそれはもう凄まじい物であった。


___ タルブの祠

翌朝、一行はやはりシエスタの案内の元にタルブの祠を訪れていた。それは祠といっても鍵の付いた独特の設計をした唯の木造の倉庫の様だった。
「これが、土鍋様の祠です。何でも私の曾おじいさんがお化けカボチャの種を持って土鍋様に乗って遠くの国からやって来たそうです。」

「ほう、やはり噂で聞いた通り巨人の土鍋は人を乗せて稼働していたのかね?」
コルベールはシエスタの説明に興味深そうに訪ねる。コルベールは趣味の域を超えてそういった動力機関などの研究を行っている。
最も周囲の反応は冷ややかな物であるが…

「はい、今はもう動かす事は出来ないのでそれが本当かどうかは判りません。でも土鍋様は今はこの村の守り神みたいな物ですから大切に祀られていて凄いメイジの方に固定化も掛けて貰っているんですよ。…お待たせして申し訳ありません、開きました。」
誇らしげにそう話しながらシエスタが扉の鍵を外し、その重たい扉を開いていく。
しん、と静まり返った薄暗い祠の中に太陽の光が入り込む。

露わになった安置されていた土鍋様の巨体に男のロマンを感じ取り、コルベールとギーシュはそれに子供の様に瞳を輝かせながらかけだしていく。

土鍋と評されるに相応しいずんぐりとした亀の甲羅の様なボディ、そこから前方に伸びる蛇腹の多節状の一対の腕、
後方にはプロペラに良く似た形状の足が、そして亀っぽい頭部には大きな水晶がモノアイの瞳らしき場所にはめ込まれている。

そして普段ならばコルベール達同様テンションを上げるであろうミントはその姿に色々と考えてしまう事がありすぎて珍しく呆然としてしまい、その場から直ぐには一歩も動く事が出来なかった。


「これは………むむむ………何と!!…素晴らしい…」
「何だ、この材質は!?土?岩?だがこの硬度はなんだ?」

ギーシュとコルベールは早速土鍋様に触れ、その未知の材質や構造に驚嘆し続ける。ただの石像などでは無い事がこの二人には判るのだ。

「何アレ?唯の石像じゃ無いの…いい年したおっさんがはしゃいじゃって。ごめんねミント、タバサ、付き合って貰ったのに結局全部大ハズレだったわね。…ってミントどうしたの??」
そんな二人の少年の心を露わにする二人に呆れながら溜息を溢したキュルケはふと隣に立つミントの様子がおかしい事に気が付いた…よく見ればその身体はワナワナと震えている。

「……大ハズレ?…いいえ…大当たりよ、キュルケ!!」

言ってミントは地面を蹴って飛び上がると華麗に土鍋様の背中に着地する。そしてその足下に刻まれているルーンと何かが以前填め込まれていただろうくぼみを確認して全てを確信した。


オスマンがかつてある村で石像に固定化をかけた際、カノンオーブを渡されたと言っていたがその話の舞台は間違いなくこのタルブ村で、パンプキンをこの村に持ち込んだシエスタの曾祖父は間違いなくミントと同郷なのだ。
そこまで考えてミントは決めた。
「シエスタ。」

「はい、何でしょうミントさん?」

「この巨人の土鍋!いいえ、この『ヘクサゴン』きっと動かせるわよ。あたしに寄越しなさい!!」
ビシリとシエスタを指さしてそう宣告するとミントは不敵に笑う。

『ヘクサゴン?』
同時にその場に居た全員がミントの口から出た謎の名称に首を捻った。


かつてベルとデュークによって使用されミントを苦しめた魔法兵器『ヘクサゴン』。
タルブの物はその二人が使用していた物とは別物の様であったがミントにとってこれはとてつもなく大きな意味を持った代物だ。

(ベル…デューク…)
まさかハルケギニアに来てまでベルとデュークの事を思い出す事になろうとはミントも思っていなかったが不思議と今はそれも悪い気はしなかった。


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