広い広い草原でわたしは巨大なゴーレムと対峙していた。
必至で振るけど、私はゼロのルイズ、爆発しか起こらない。
その爆発にも巨大なゴーレムにはまるで効果はなくって。
やかましいとでも思ったのか、ゴーレムは私に向かって殴りかかってきた、もうだめかと思った時に目の前にゆまが現れた。
赤い結界を張ってその殴りに因る攻撃を受け止めている。
「ルイズお姉ちゃん、逃げて!」
「嫌よ! 敵に後ろを見せないものを貴族と呼ぶの!」
「そっか、そうだね、ルイズお姉ちゃんは貴族だったね」
そう言ってゆまは何処かから出した長い槍で、殴りかかるゴーレムの腕を叩き切って跳躍した。わたしはそれを唖然として見ながら、コレなら湯までも巨大ゴーレムを倒せるかもしれないと期待をした。
でも、わたしの期待に対してこちらに向かって振り向いたゆまは、悲しそうな表情でリボンを解いてわたしに渡してきた。
「お姉ちゃん、コレをわたしだと思って、元気でね」
え?
「一人ぼっちは寂しいよ、一緒にいられなくてゴメンね!」
そう言ってわたしはゆまがルーンをかざして巨大ゴーレムにツッコんでいくのが見えた、その身体から強大な光が発したかと思うと。
わたしは爆風によって吹き飛ばされた。
何処まで転がったかはわからないけれど、気がつくと何処にもゴーレムの姿もなく、ゆまの姿も消えていた。
このリボンを残して。
「ゆま、ゆま、ゆまぁあああ!!!!!!!」
わたしは錯乱しながら歩き出す。
なにか無いか、何かないかと思って歩き続ける。
「ゆ……ま……」
見つかったのは彼女の左手だった。
完全に宝石は黒くなっていて輝きはなくなっていた。
私はその冷たくなってしまった手を抱きしめて泣きに泣いた。
「うわぁぁあぁぁあああああああああああぁあああああああああああああ!!!!!」
ふと気がつくと私はベッドの上にいた。
ゆまも隣で眠っている。
「……夢……?」
必至で振るけど、私はゼロのルイズ、爆発しか起こらない。
その爆発にも巨大なゴーレムにはまるで効果はなくって。
やかましいとでも思ったのか、ゴーレムは私に向かって殴りかかってきた、もうだめかと思った時に目の前にゆまが現れた。
赤い結界を張ってその殴りに因る攻撃を受け止めている。
「ルイズお姉ちゃん、逃げて!」
「嫌よ! 敵に後ろを見せないものを貴族と呼ぶの!」
「そっか、そうだね、ルイズお姉ちゃんは貴族だったね」
そう言ってゆまは何処かから出した長い槍で、殴りかかるゴーレムの腕を叩き切って跳躍した。わたしはそれを唖然として見ながら、コレなら湯までも巨大ゴーレムを倒せるかもしれないと期待をした。
でも、わたしの期待に対してこちらに向かって振り向いたゆまは、悲しそうな表情でリボンを解いてわたしに渡してきた。
「お姉ちゃん、コレをわたしだと思って、元気でね」
え?
「一人ぼっちは寂しいよ、一緒にいられなくてゴメンね!」
そう言ってわたしはゆまがルーンをかざして巨大ゴーレムにツッコんでいくのが見えた、その身体から強大な光が発したかと思うと。
わたしは爆風によって吹き飛ばされた。
何処まで転がったかはわからないけれど、気がつくと何処にもゴーレムの姿もなく、ゆまの姿も消えていた。
このリボンを残して。
「ゆま、ゆま、ゆまぁあああ!!!!!!!」
わたしは錯乱しながら歩き出す。
なにか無いか、何かないかと思って歩き続ける。
「ゆ……ま……」
見つかったのは彼女の左手だった。
完全に宝石は黒くなっていて輝きはなくなっていた。
私はその冷たくなってしまった手を抱きしめて泣きに泣いた。
「うわぁぁあぁぁあああああああああああぁあああああああああああああ!!!!!」
ふと気がつくと私はベッドの上にいた。
ゆまも隣で眠っている。
「……夢……?」
わたしは夢を見ていた。
白い白い何もない世界。
わたしはふわふわと浮いているようで、身体の自由がきかない。
「ここ……どこ?」
「ここは円環の理……みたいなところかな」
「あなたは……だれ?」
目の前にはルイズお姉ちゃんと似た髪の色をした、ツインテールのお姉ちゃんが立っていた。
「わたしはまどか、あなたは千歳ゆまちゃんだね」
「うん」
「わたしは、あなたの未来を知って、緊急でやってきました」
「わたしの未来?」
「早速だけど、ゆまちゃんにはほぼすべての魔法少女の能力を持ってもらいます」
「ほへ?」
「この力でルイズちゃんを守ってあげてね」
わたしの身体が光りに包まれた。
どういうことだろう? 手を覗き込む、特に変わったことはなさそうだ。
「またね、ゆまちゃん……いつか」
白い白い何もない世界。
わたしはふわふわと浮いているようで、身体の自由がきかない。
「ここ……どこ?」
「ここは円環の理……みたいなところかな」
「あなたは……だれ?」
目の前にはルイズお姉ちゃんと似た髪の色をした、ツインテールのお姉ちゃんが立っていた。
「わたしはまどか、あなたは千歳ゆまちゃんだね」
「うん」
「わたしは、あなたの未来を知って、緊急でやってきました」
「わたしの未来?」
「早速だけど、ゆまちゃんにはほぼすべての魔法少女の能力を持ってもらいます」
「ほへ?」
「この力でルイズちゃんを守ってあげてね」
わたしの身体が光りに包まれた。
どういうことだろう? 手を覗き込む、特に変わったことはなさそうだ。
「またね、ゆまちゃん……いつか」
わたしが目を覚ますとルイズお姉ちゃんに抱きしめられていた。
「ふわ」
「ゆま、よかった……」
「お姉ちゃん?」
「うんうん、夢だって分かってるけど良かった……」
強くギュッと抱きしめられていて身動きが取れない。
と、左手を覗くと盾みたいなのが付いていた、真ん中には砂時計みたいのが付いている。コレは一体何だろう?
「それよりもお姉ちゃん離し……って、なんか騒がしくない?」
「なにかしら?」
と、ここでノックがされる。
答える前に、ドアが開かれて顔を出したのはタバサお姉ちゃんだった。
「ふたりとも、起きた?」
無表情に見えるけれど、ちょっと慌てている様子。
私達は顔を寄せ合って着替えていないことに気がついた。
「……もう少し準備に掛かりそう」
「急ぎの用事なの?」
「……コルベール先生に呼ばれている」
「ゆま、急いで準備するわよ」
昨日の件は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
生徒先生問わず盗まれた宝物庫の剣のことについて会話をしている。
宝物庫に向かうまでに、唯一の目撃者であるということで呼ばれたことをタバサお姉ちゃんから説明され納得していると。
確かに宝物庫は昨日の巨大なゴーレムの攻撃によるものだろう、大きく口を開いたようになっていた。
その前に先生たちが集合して同じように口を開いていた。
壁には土くれのフーケの犯行声明が刻まれている。
『破壊の杖、確かに領収しました、土くれのフーケ』
こりゃすごいことになってるなと思っていると、隣にいるお姉ちゃんはちょっと眠そうであくびをこらえている様子だった。
「土くれのフーケ! 貴族たちの財宝を荒らしまくっているという盗賊か、魔法学院にまで手を出しおって、随分なめられたもんじゃないか」
「衛兵たちは何をしていたんだね!」
「衛兵など当てにならん! 初戦は平民ではないか! それより当直の貴族は誰だったんだね!」
あんな巨大なゴーレムに攻められたら、どんな人だって逃げ出しちゃうだろうなって思った、ルイズお姉ちゃんは早くも船を漕ぎ始めている。
確かにちょっと退屈な会話だもんね。
「この通り族は大胆にも忍び込み、破壊の杖を奪っていきおった。つまり我々は油断して追ったのじゃ、責任があるなら我々全員にあるといわねばなるまい」
さすが学園長先生、この場を簡単に収めちゃった。
「で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」
「この二人です」
私は使い魔なので人数に入っていないみたいだ。
タバサお姉ちゃんとルイズお姉ちゃんが前に出てきた。
「ふむ……君たちか」
学園長先生は興味深そうにわたしを見つめた。どうして自分がそういうふうに見られるのかわからなかったから私は首をかしげた。
「詳しく説明したまえ」
ルイズお姉ちゃんが前に出て説明をする。
「大きなゴーレムが現れて、ここの壁を壊したんです。肩に乗っていた黒いメイジがこの宝物庫の中から出てきて何かを、それが破壊の杖だと思いますけど、盗み出したあとまたゴーレムの方に乗りました、その後のことはよくわかりません」
「ふむ、あとを追おうとも手がかりは無しというわけか」
学園長先生はヒゲを撫でた。
「時に、ミス・ロングビルはどうしたね」
「それが朝から姿が見えません」
「この非常時に、何処に行ったのじゃ」
「どこなんでしょう」
といっていると、そのミス・ロングビルさんらしき人が現れた、
「ミス・ロングビル! 何処に行っていたんですか、大変ですぞ、事件ですぞ!」
それは見れば分かると思うけど。
「申し訳ありません、朝から調査をしておりましたの」
「調査?」
「そうですわ、今朝方、起きたら大騒ぎではありませんか、そして宝物庫はこのとおり、すぐに壁にフーケのサインを見つけたので、これが国中の貴族を震え上がらせている大怪盗の仕業と知りすぐに調査をしました」
そんな怪盗だったんだ。
確かにでっかいゴーレムを操ってこんなに派手に破壊工作をしていれば、少しは有名な怪盗さんになるかもね。
「仕事が早いのミス・ロングビル」
「で、結果は」
「はい、フーケの居所がわかりました」
「誰に聞いたんだね、ミス・ロングビル」
「近所の農民に聴きこんだところ、近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです、おそらく彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと」
朝から仕事をしてた農民さん見つかるほど、目立つ怪盗さんだってことなんだろうか。
「黒ずくめ……それはフーケかな、ゆま」
わたしに問いかけられてもちょっと困る。
「うーん、それだけじゃフーケだって断定できないんじゃない?」
「……私もそう思う」
「とにかくその廃屋は、徒歩で反日、馬で四時間の場所にあるとか」
「すぐに王国衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けてもらわなくては!」
「ばかもの、王国なんぞに知らせておっては、フーケは逃げてしまうわ! その上身にかかる火の粉を己で振り払えぬようで何が貴族じゃ! 魔法学院の宝が盗まれた、コレは魔法学園の問題じゃ! 当然我らで解決する!」
と、ここで学園長先生は咳払いをする。
「では、捜索隊を編成する、我と思うものは杖をあげよ!」
誰も上げない、確かにだれだってあのおっきなゴーレム相手に格闘をするのは怖いだろう、私もティロ・フィナーレの他に、まどかさんに貰った能力……は、何なのかわからないけど、とりあえずあるみたいだから立ち向かえられそうだし。
「おらんのか? おや? どうした! フーケを捕まえて、名をあげようとする貴族はおらんのか!」
わたしの隣にいたルイズお姉ちゃんがすっと杖を上げた。
わたしは杖を持ってなかったけど出てくるかな、と思ってソウルジェムから杖よ出てこいと願ったら出てきたのでそれを掲げた。
「ミス・ヴァリエール!」
シュヴルーズ先生が驚いた声を上げた。
「何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて」
「誰も掲げないじゃないですか!」
お姉ちゃんはきゅっと唇を固く結んで言い放った。唇をへの字に曲げて、真剣な瞳を向けたルイズお姉ちゃんは凛々しく格好良かった。
コレなら誰にも負けない、そんな意志を全身から放っているようだった。
それを見てタバサお姉ちゃんが杖を上げた。
「ゆまが上げているから」
「タバサお姉ちゃん……」
「そうか、では頼むとしようか」
「オールド・オスマン! わたしは反対です! 生徒たちをそんな危険に晒すわけには!」
「ではキミが行くかねミセス・シュヴルーズ」
「い、いえ、わたしは体調が優れませんので……」
「魔法学園は、諸君らの努力と貴族の義務に期待をする」
ルイズお姉ちゃんとタバサお姉ちゃんは、真剣な顔つきになって直立すると「杖にかけて」と同時に唱和した。それからスカートの裾をつまみ恭しく礼をする。
わたしもとりあえず真似して頭を下げた。
「では、馬車を用意しよう、それで向かうのじゃ魔法は目的地につくまで温存したまえ。ミス・ロングビル」
「はい、オールド・オスマン」
「彼女たちを手伝ってやってくれ」
「もとよりそのつもりでしたわ」
「ふわ」
「ゆま、よかった……」
「お姉ちゃん?」
「うんうん、夢だって分かってるけど良かった……」
強くギュッと抱きしめられていて身動きが取れない。
と、左手を覗くと盾みたいなのが付いていた、真ん中には砂時計みたいのが付いている。コレは一体何だろう?
「それよりもお姉ちゃん離し……って、なんか騒がしくない?」
「なにかしら?」
と、ここでノックがされる。
答える前に、ドアが開かれて顔を出したのはタバサお姉ちゃんだった。
「ふたりとも、起きた?」
無表情に見えるけれど、ちょっと慌てている様子。
私達は顔を寄せ合って着替えていないことに気がついた。
「……もう少し準備に掛かりそう」
「急ぎの用事なの?」
「……コルベール先生に呼ばれている」
「ゆま、急いで準備するわよ」
昨日の件は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
生徒先生問わず盗まれた宝物庫の剣のことについて会話をしている。
宝物庫に向かうまでに、唯一の目撃者であるということで呼ばれたことをタバサお姉ちゃんから説明され納得していると。
確かに宝物庫は昨日の巨大なゴーレムの攻撃によるものだろう、大きく口を開いたようになっていた。
その前に先生たちが集合して同じように口を開いていた。
壁には土くれのフーケの犯行声明が刻まれている。
『破壊の杖、確かに領収しました、土くれのフーケ』
こりゃすごいことになってるなと思っていると、隣にいるお姉ちゃんはちょっと眠そうであくびをこらえている様子だった。
「土くれのフーケ! 貴族たちの財宝を荒らしまくっているという盗賊か、魔法学院にまで手を出しおって、随分なめられたもんじゃないか」
「衛兵たちは何をしていたんだね!」
「衛兵など当てにならん! 初戦は平民ではないか! それより当直の貴族は誰だったんだね!」
あんな巨大なゴーレムに攻められたら、どんな人だって逃げ出しちゃうだろうなって思った、ルイズお姉ちゃんは早くも船を漕ぎ始めている。
確かにちょっと退屈な会話だもんね。
「この通り族は大胆にも忍び込み、破壊の杖を奪っていきおった。つまり我々は油断して追ったのじゃ、責任があるなら我々全員にあるといわねばなるまい」
さすが学園長先生、この場を簡単に収めちゃった。
「で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」
「この二人です」
私は使い魔なので人数に入っていないみたいだ。
タバサお姉ちゃんとルイズお姉ちゃんが前に出てきた。
「ふむ……君たちか」
学園長先生は興味深そうにわたしを見つめた。どうして自分がそういうふうに見られるのかわからなかったから私は首をかしげた。
「詳しく説明したまえ」
ルイズお姉ちゃんが前に出て説明をする。
「大きなゴーレムが現れて、ここの壁を壊したんです。肩に乗っていた黒いメイジがこの宝物庫の中から出てきて何かを、それが破壊の杖だと思いますけど、盗み出したあとまたゴーレムの方に乗りました、その後のことはよくわかりません」
「ふむ、あとを追おうとも手がかりは無しというわけか」
学園長先生はヒゲを撫でた。
「時に、ミス・ロングビルはどうしたね」
「それが朝から姿が見えません」
「この非常時に、何処に行ったのじゃ」
「どこなんでしょう」
といっていると、そのミス・ロングビルさんらしき人が現れた、
「ミス・ロングビル! 何処に行っていたんですか、大変ですぞ、事件ですぞ!」
それは見れば分かると思うけど。
「申し訳ありません、朝から調査をしておりましたの」
「調査?」
「そうですわ、今朝方、起きたら大騒ぎではありませんか、そして宝物庫はこのとおり、すぐに壁にフーケのサインを見つけたので、これが国中の貴族を震え上がらせている大怪盗の仕業と知りすぐに調査をしました」
そんな怪盗だったんだ。
確かにでっかいゴーレムを操ってこんなに派手に破壊工作をしていれば、少しは有名な怪盗さんになるかもね。
「仕事が早いのミス・ロングビル」
「で、結果は」
「はい、フーケの居所がわかりました」
「誰に聞いたんだね、ミス・ロングビル」
「近所の農民に聴きこんだところ、近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです、おそらく彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと」
朝から仕事をしてた農民さん見つかるほど、目立つ怪盗さんだってことなんだろうか。
「黒ずくめ……それはフーケかな、ゆま」
わたしに問いかけられてもちょっと困る。
「うーん、それだけじゃフーケだって断定できないんじゃない?」
「……私もそう思う」
「とにかくその廃屋は、徒歩で反日、馬で四時間の場所にあるとか」
「すぐに王国衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けてもらわなくては!」
「ばかもの、王国なんぞに知らせておっては、フーケは逃げてしまうわ! その上身にかかる火の粉を己で振り払えぬようで何が貴族じゃ! 魔法学院の宝が盗まれた、コレは魔法学園の問題じゃ! 当然我らで解決する!」
と、ここで学園長先生は咳払いをする。
「では、捜索隊を編成する、我と思うものは杖をあげよ!」
誰も上げない、確かにだれだってあのおっきなゴーレム相手に格闘をするのは怖いだろう、私もティロ・フィナーレの他に、まどかさんに貰った能力……は、何なのかわからないけど、とりあえずあるみたいだから立ち向かえられそうだし。
「おらんのか? おや? どうした! フーケを捕まえて、名をあげようとする貴族はおらんのか!」
わたしの隣にいたルイズお姉ちゃんがすっと杖を上げた。
わたしは杖を持ってなかったけど出てくるかな、と思ってソウルジェムから杖よ出てこいと願ったら出てきたのでそれを掲げた。
「ミス・ヴァリエール!」
シュヴルーズ先生が驚いた声を上げた。
「何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて」
「誰も掲げないじゃないですか!」
お姉ちゃんはきゅっと唇を固く結んで言い放った。唇をへの字に曲げて、真剣な瞳を向けたルイズお姉ちゃんは凛々しく格好良かった。
コレなら誰にも負けない、そんな意志を全身から放っているようだった。
それを見てタバサお姉ちゃんが杖を上げた。
「ゆまが上げているから」
「タバサお姉ちゃん……」
「そうか、では頼むとしようか」
「オールド・オスマン! わたしは反対です! 生徒たちをそんな危険に晒すわけには!」
「ではキミが行くかねミセス・シュヴルーズ」
「い、いえ、わたしは体調が優れませんので……」
「魔法学園は、諸君らの努力と貴族の義務に期待をする」
ルイズお姉ちゃんとタバサお姉ちゃんは、真剣な顔つきになって直立すると「杖にかけて」と同時に唱和した。それからスカートの裾をつまみ恭しく礼をする。
わたしもとりあえず真似して頭を下げた。
「では、馬車を用意しよう、それで向かうのじゃ魔法は目的地につくまで温存したまえ。ミス・ロングビル」
「はい、オールド・オスマン」
「彼女たちを手伝ってやってくれ」
「もとよりそのつもりでしたわ」
わたし達は、案内役だって言うミス・ロングビルと一緒に早速出発した。
馬車といっても、この前ルイズお姉ちゃんが用意をしたような、屋根がついた豪華なものじゃなくてリヤカーみたいな感じだけど。
襲われた時に外に飛び出せる方がいいということでこのような馬車にしたってタバサお姉ちゃんが教えてくれた。
馬を操るのはロングビルさん。
「でも、馬で4時間もかかってたら逃げられちゃうかもね」
と、わたしが言うと。
「そうねえ、新しい泥棒先に行ったりねえ」
と、ルイズお姉ちゃんが続ける。
タバサお姉ちゃんは本を読みながらわたしたちの話を聞いている様子だ。
「それに、フーケが彼だって言ってたけど、あんなローブじゃ性別わかんないよね」
「そうねえ、農民だから目が良かったのかしらね」
「そうでしょうね、村で一番だそうですよ」
ロングビルさんが付け加えた。
「そういえばゆまは、何か左手に付いてるけどそれなあに?」
「うん、わたしもよくわからないんだけど、まどかさんって人に貰ったの」
「いつ?」
「夢の中で」
「夢か……」
ルイズお姉ちゃんが遠い目をして、何かを思い出している様子だった。
馬車は深い森の中に入っていった、鬱蒼とした森で、逆に飛び出せるようにしたのが失敗だったようにしか思えなかった。
「此処から先は歩きましょう」
ロングビルさんが言った。
私達も警戒を怠らないようにしながら馬車から降りる、それと同時に私は変身を開始した。
森を問おおる道から、小道が続いている。
わたし達は開けた場所に出た、森の中の空き地って言った感じだっった。学園の中庭と同じ程度の広さが広がっている。
真ん中に確かに廃屋があった。私達は見えないようにしながらその廃屋をじっと見つめた。
「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」
ほんとうにあの中にいるのかな?
「あの中に暮らしているの?」
「人気がなさそうね」
「……悪人はそういう場所を使う」
「そうね」
タバサお姉ちゃんはちょこんと星座をして、皆に自分の立てた作戦を説明するために枝を使って地面に絵を書き始めた。
まず偵察兼囮が小屋のそばに赴き、中の様子を確認する。
そして、中にフーケがいればコレを挑発し外に出す。
小屋の中に、あの巨大なゴーレムを作れるほどの土はない。
外に出ない限り、得意の土ゴーレムは使えないのであった。
そして、フーケが外に出た所を魔法で一気に攻撃をする。土ゴーレムを創りだす暇を与えずに集中砲火でフーケを沈める。
これが、タバサお姉ちゃんの作戦だった。
「じゃあ、わたしが偵察をするね」
「ゆま! ……むむう、他に適任者がいないわね」
「……危険があったらすぐに引く」
私は魔力を使って加速をした、気がついたらできるようになっていたのだ。ひとっ飛びに小山で近づくと窓から中をチェック、何もない事を確認すると、扉から中にはいった。
薪が積まれた場所の近くにチェストがあった。
「とりあえず皆を呼ばないとね」
わたしは外に出て、皆を呼んだ。
「こりゃあ、唯の小屋ね、ハズレだったのかしら?」
「……怪しいチェストがあるくらい」
「まさか中に破壊の杖が入ってたりしないよね?」
「あはは、まさか」
皆でチェストの中を確認した。
これ、ティロ・フィナーレの時に使うロケット砲に似てるけどちょっと違う。
「そういえば今日はフリッグの舞踏会ねー」
ルイズお姉ちゃんが現実逃避を始めた。
何日も前から楽しみにしていたのを私は知っている。
ダンスパーティと聞いていたから私は参加するつもりはないけれど、ルイズお姉ちゃんは存分に楽しんで欲しい。
「辺りを偵察してきますね」
ロングビルさんは仕事熱心だ。
きっと何処かに潜んでいるフーケを捕まえようってことだろう。
なんて騙されない。
わたしはこのあとの展開を魔法によって視たから!
「タバサお姉ちゃん、ドラゴンを呼べる?」
「……? ええ」
「それに、ルイズお姉ちゃんを載せて欲しいの、いいかな?」
「……ゆまの願いなら、承知」
馬車といっても、この前ルイズお姉ちゃんが用意をしたような、屋根がついた豪華なものじゃなくてリヤカーみたいな感じだけど。
襲われた時に外に飛び出せる方がいいということでこのような馬車にしたってタバサお姉ちゃんが教えてくれた。
馬を操るのはロングビルさん。
「でも、馬で4時間もかかってたら逃げられちゃうかもね」
と、わたしが言うと。
「そうねえ、新しい泥棒先に行ったりねえ」
と、ルイズお姉ちゃんが続ける。
タバサお姉ちゃんは本を読みながらわたしたちの話を聞いている様子だ。
「それに、フーケが彼だって言ってたけど、あんなローブじゃ性別わかんないよね」
「そうねえ、農民だから目が良かったのかしらね」
「そうでしょうね、村で一番だそうですよ」
ロングビルさんが付け加えた。
「そういえばゆまは、何か左手に付いてるけどそれなあに?」
「うん、わたしもよくわからないんだけど、まどかさんって人に貰ったの」
「いつ?」
「夢の中で」
「夢か……」
ルイズお姉ちゃんが遠い目をして、何かを思い出している様子だった。
馬車は深い森の中に入っていった、鬱蒼とした森で、逆に飛び出せるようにしたのが失敗だったようにしか思えなかった。
「此処から先は歩きましょう」
ロングビルさんが言った。
私達も警戒を怠らないようにしながら馬車から降りる、それと同時に私は変身を開始した。
森を問おおる道から、小道が続いている。
わたし達は開けた場所に出た、森の中の空き地って言った感じだっった。学園の中庭と同じ程度の広さが広がっている。
真ん中に確かに廃屋があった。私達は見えないようにしながらその廃屋をじっと見つめた。
「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」
ほんとうにあの中にいるのかな?
「あの中に暮らしているの?」
「人気がなさそうね」
「……悪人はそういう場所を使う」
「そうね」
タバサお姉ちゃんはちょこんと星座をして、皆に自分の立てた作戦を説明するために枝を使って地面に絵を書き始めた。
まず偵察兼囮が小屋のそばに赴き、中の様子を確認する。
そして、中にフーケがいればコレを挑発し外に出す。
小屋の中に、あの巨大なゴーレムを作れるほどの土はない。
外に出ない限り、得意の土ゴーレムは使えないのであった。
そして、フーケが外に出た所を魔法で一気に攻撃をする。土ゴーレムを創りだす暇を与えずに集中砲火でフーケを沈める。
これが、タバサお姉ちゃんの作戦だった。
「じゃあ、わたしが偵察をするね」
「ゆま! ……むむう、他に適任者がいないわね」
「……危険があったらすぐに引く」
私は魔力を使って加速をした、気がついたらできるようになっていたのだ。ひとっ飛びに小山で近づくと窓から中をチェック、何もない事を確認すると、扉から中にはいった。
薪が積まれた場所の近くにチェストがあった。
「とりあえず皆を呼ばないとね」
わたしは外に出て、皆を呼んだ。
「こりゃあ、唯の小屋ね、ハズレだったのかしら?」
「……怪しいチェストがあるくらい」
「まさか中に破壊の杖が入ってたりしないよね?」
「あはは、まさか」
皆でチェストの中を確認した。
これ、ティロ・フィナーレの時に使うロケット砲に似てるけどちょっと違う。
「そういえば今日はフリッグの舞踏会ねー」
ルイズお姉ちゃんが現実逃避を始めた。
何日も前から楽しみにしていたのを私は知っている。
ダンスパーティと聞いていたから私は参加するつもりはないけれど、ルイズお姉ちゃんは存分に楽しんで欲しい。
「辺りを偵察してきますね」
ロングビルさんは仕事熱心だ。
きっと何処かに潜んでいるフーケを捕まえようってことだろう。
なんて騙されない。
わたしはこのあとの展開を魔法によって視たから!
「タバサお姉ちゃん、ドラゴンを呼べる?」
「……? ええ」
「それに、ルイズお姉ちゃんを載せて欲しいの、いいかな?」
「……ゆまの願いなら、承知」
外に出ると巨大なゴーレムが姿を現していた。
わたし一人地上に残ってゴーレムと対峙する。
「無茶しないでよ! ゆま!」
ルイズお姉ちゃんの声がする。
わたしはしっかりと頷いた。
「キミの動きは全部視えてるよ! 未来予知でね!」
ゴーレムの攻撃をかわしながら、剣を飛ばしたり、鉤爪を飛ばしたり、やりを飛ばしたり、弓で攻撃したりする。
「火力が足りないかな」
手に持った槍で、助走をつけながら跳躍して腕を叩ききる!
「でもまだまだわたしには攻撃方法があるんだよ! トネール!」
手に持った剣に雷を含ませてそのままぶった切った!
しかしまだどうやら動くらしい、わたしは油断せずにマミお姉ちゃんの最終兵器を出した。
「とどめだよ、ティロ・フィナーレ!」
巨大な砲弾がゴーレムに直撃して爆散した。
それを見届けてドラゴンが地上に降りてくる。
ルイズお姉ちゃんが抱きしめに来てくれた。タバサお姉ちゃんもこちらを見て微笑んでいる。
「このまま帰っちゃう?」
「え、ミス・ロングビルは?」
「きっと彼女は戻ってこないよ、あの人がフーケだからね」
わたしは未来が視えることを説明しつつ、ロングビルさんの発言の矛盾点や変な所を上げて彼女を犯人に仕立て上げた。
ただ、タバサお姉ちゃんたちは信じてくれるけど、学園長先生とかは信じてくれないだろうなって思った。
わたし一人地上に残ってゴーレムと対峙する。
「無茶しないでよ! ゆま!」
ルイズお姉ちゃんの声がする。
わたしはしっかりと頷いた。
「キミの動きは全部視えてるよ! 未来予知でね!」
ゴーレムの攻撃をかわしながら、剣を飛ばしたり、鉤爪を飛ばしたり、やりを飛ばしたり、弓で攻撃したりする。
「火力が足りないかな」
手に持った槍で、助走をつけながら跳躍して腕を叩ききる!
「でもまだまだわたしには攻撃方法があるんだよ! トネール!」
手に持った剣に雷を含ませてそのままぶった切った!
しかしまだどうやら動くらしい、わたしは油断せずにマミお姉ちゃんの最終兵器を出した。
「とどめだよ、ティロ・フィナーレ!」
巨大な砲弾がゴーレムに直撃して爆散した。
それを見届けてドラゴンが地上に降りてくる。
ルイズお姉ちゃんが抱きしめに来てくれた。タバサお姉ちゃんもこちらを見て微笑んでいる。
「このまま帰っちゃう?」
「え、ミス・ロングビルは?」
「きっと彼女は戻ってこないよ、あの人がフーケだからね」
わたしは未来が視えることを説明しつつ、ロングビルさんの発言の矛盾点や変な所を上げて彼女を犯人に仕立て上げた。
ただ、タバサお姉ちゃんたちは信じてくれるけど、学園長先生とかは信じてくれないだろうなって思った。
アルヴィーズの食堂の上の会が大きなホールになっている。舞踏会はそこで行われた。私はバルコニーの枠に持たれて、華やかな会場をぼんやりと見つめていた。
中には着飾った生徒や教師たちが、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで歓談している、その中にはルイズお姉ちゃんも含まれていた。
フーケは捕まえることは出来なかったけど破壊の杖を戻すことはできた、とりあえずはそれで十分だということにした。
ミス・ロングビルはきっと学園には戻ってこないだろう。
それと同じように私は元の場所には戻れないだろうと思った。
なんとなくだけども。
ジュースを飲みながら苦笑いをした。
中には着飾った生徒や教師たちが、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで歓談している、その中にはルイズお姉ちゃんも含まれていた。
フーケは捕まえることは出来なかったけど破壊の杖を戻すことはできた、とりあえずはそれで十分だということにした。
ミス・ロングビルはきっと学園には戻ってこないだろう。
それと同じように私は元の場所には戻れないだろうと思った。
なんとなくだけども。
ジュースを飲みながら苦笑いをした。