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デュープリズムゼロ-05

第五話『ギーシュからの挑戦』

「ぶへぇ……この僕を足蹴にするとは…」

観衆の中、ミントの跳び蹴りによって無残にも食堂の端にまで吹っ飛ばされたギーシュがヨロヨロと起き上がり鼻血を拭ってミントを睨む…
「…君は確か…ゼロのルイズが召喚した平民の使い魔だったね。フフフ…成る程…流石は平民、
子女でありながら気品の欠片も無いまさに蛮行と呼ぶに相応しい振る舞いだ。」
だいぶミントの蹴りが答えているのだろう。ギーシュは足をガクガクと震わせながら精一杯の強がりと共に再び他の生徒達に囲まれた騒動の中心まで何とか歩いて来ると胸元から取り出した造花の薔薇の杖をミントに突きつける。

「このギーシュ・ド・グラモンいかに君が女性とて君の無礼な振るまい許すつもりは無い!!覚悟したまえ!!」




「シエスタ、大丈夫?あんた全然悪くないんだからあんなバカほっとけば良いじゃん?」
「そうはいきません、我々平民が貴族様に逆らうなど…」
だがミントはポーズを決めて声高らかに宣言するギーシュを完全に無視して未だ怯え伏せたままのシエスタの身体を引っ張り起こしてスカートに付いた汚れを軽く祓ってやる。
その様子にギーシュの顔は朱を帯び、こめかみにピクピクと青筋を浮かべていた。
「無視するなよっ!!ぐ…最早我慢成らん唯ですむと思うな平民!!」
ギーシュの怒りに染まった声色にシエスタがビクリと震え、顔を青ざめさせる中ようやくミントはギーシュの方へと向き直り、片手を腰に当ててゆっくりとわざとらしく溜息を吐く。
そうして軽くその場で飛び跳ねると背中から愛武器デュアルハーロウをしっかりその手に握り込んだ後ビシリとその手をギーシュへと向ける。
「唯じゃ済まないって、どうするつもり?こちとらルイズのせいでストレス溜まりまくってんのよ。喧嘩なら受けて立つわよ。」
ふと、ミントの左手に熱が走る…契約の時の様な痛烈な物では無く柔らかで力強い熱…

「良いだろう!このギーシュ・ド・グラモン君に決闘を申し込む!!だがここは貴族の食事の場、平民の血で汚すわけにも行くまい。ヴェストリの広場で待つ、そこで決着をつけるとしよう。」
金髪を掻き上げながらそう言うとギーシュはミントが逃げ出さないようにと友人の一人に監視を依頼すると別の友人を連れだってすたすたと食堂の外へと歩いて行った。

それを追いまたぞろ我先にと周囲のギャラリーも面白い見物だとヴェストリの広場へと移動していく。
「決闘ね~上等じゃ無い…ボコボコにして地獄巡りをさせてあげるわ。」
ジト目でギーシュの背中を見送り自信ありげに笑うミント…


「コラーッ!!このバカ、あんた一体何考えてるのよ!!」
そんなミントに怒鳴り散らしながら猛スピードで掴み掛かるルイズ。
「うっさいわね~。何をそんなに怒ってる訳?」
「うっさいわね~じゃないわよ!!何でギーシュと決闘なんて事になってんのよ!?」
「知らないわよあのバカがシエスタに絡んでたからちょっとぶっ飛ばしてやっただけじゃ無い。」
「何であんたはそう…もう、とにかく直ぐにギーシュに謝ってきなさい!!」
「…ねぇルイズあたしがそんな事すると思う?」
「ぬっ…だから…もう!!……だぁーーーーーーーーっ!!」
駄目だこいつ早く何とかしないと…最早言葉も出ないルイズは頭を掻き毟りながら絶叫し自分の使い魔に心底呆れ返る…

「ミントさんっ!!貴族様との決闘なんて無茶です。殺されてしまいますよ!」
そしてやっとルイズから解放されたと思えば今度はシエスタがミントに涙ながらに縋り付く。

そんな二人の様子に対して今度はミントが溜息を漏らす。
何だかだここに来てまだ一日しか経過していないと言うのに溜息の量がやばい。
「あんた達さぁ…あたしの事舐めてない?」

こう見えてミントは相当に強い。特にルール無用の戦いなれば時には非道な手段さえ躊躇いなく行使する、そういう強さも秘めている。
かつて敵対した魔道の申し子たる男もミントを見てこう言った。
『欲望は人を強くすると言いますが殿下はさぞ欲が強いと見える…』
そう、まさにミントという少女はそう表する通りなのだ…

勿論魔法学園の人間はルイズ含めそんな事は知るよしも無い。

「ねぇ、あんたヴェストリの広場って所まで案内して頂戴。」
見張りに残っていた男子生徒に声をかけミントは堂々と広場へと歩いて行く。

「ど、ど、どどうしましょうミス・ヴァリエール。私のせいでミントさんが。」
顔を青くしてシエスタが震えながらルイズに訪ねる。

「…私だって知らないわよ。もうこうなった以上はどうしようも無いわ。少なくとも私には見届ける義務があるからシエスタあんたは先に医務室の手配をしておいて。」
言ってルイズは自信満々に歩いて行くミントを慌てて追いかけた。







_____学院長室

ここでは二人の男性がとある重大な案件について談義を交わしていた。
一人は召喚の儀式の引率をしていた教師コルベール
もう一人は齢300歳とまで噂されるトリステイン魔法学園学院長オールド・オスマン

「成る程のぅ…この件わしが預かる、王宮にも報告は控えろ。誰にも他言無用じゃ。」
「分かりました…しかし本人達にもですか?」
「うむ、何にせよ情報が少なすぎるでの。大きな力を持つならばその自覚と責任が必要になる。
わし等は知らなすぎるあの使い魔の人となりは勿論ガンダールブのルーンについてもじゃ…」
髭を擦りながらオスマンはを細め思慮深くコルベールに語る。

あの日、ミントが召喚されルイズとの契約を結んだ後
ミントの手に浮かんだ見慣れぬ使い魔のルーンを書き写していたコルベールが昨夜から図書館で様々な文献を読みあさり調べたところミントの左手のルーンの正体が発覚した。
しかしその正体が何とも問題だった。
それはかつて始祖ブリミルが使役したと伝わる伝説の使い魔『ガンダールブ』のルーン

そしてコルベールはこの明らかに自分の手に余る案件を偉大なるメイジオールド・オスマンに報告していたわけだ。

二人が揃ってこの降って湧いた突然の難題に頭をひねっていると学院長室の扉に二度三度静かなノックの音が響き渡った
「学院長、ロングビルです。ご報告があります失礼してよろしいでしょうか?」
「おぉ…おぉ、構わんよミス・ロングビル。」
「失礼します。」
扉を開けて部屋に入ってきたのは学院長の秘書ロングビル(25)因みにコルベールが年甲斐も無く恋をしている女性でもある。
「いやー、さっきまでコルベール君と二人きりじゃったからの、潤いが足りず毛根が死んでしまうところじゃったよ。して、報告とは?」
先程までとは打って変わってオスマンは喜色の顔でロングビルに訪ねながら使い魔のネズミモートソグニルをロングビルの足下に走らせる。
「現在ヴェストリの広場にて生徒達が決闘騒ぎを起こしております。
また、教師が止めようにも騒ぎが大きすぎ恐らく終息がやっかいである為宝物庫の秘宝『眠りの鐘』の使用を許可して頂きたいのです。」

冷静に一息で報告を済ませるとロングビルは足下に寄ってきたモートソグニルを軽く足で蹴り祓う。
「それとセクハラは止めて頂けますか?」

「うぅ~む…残念じゃのう。まぁ決闘の方は所詮子供の喧嘩じゃて眠りの鐘は必要ない。
事が落ち着いた後で当事者に罰を与えてやれば良かろう、放っておけば良い。因みに決闘なんぞしておるバカはどこの誰じゃ?」
オスマンの言にロングビルは一瞬眉をひそめるも再び淡々と報告を始める。

「土のドット二年のギーシュ・ド・グラモンです。」
「グラモンの倅か。あそこの一族は色恋が好きな連中じゃからのぅ。そういえば二人の兄もグラモンの奴も学園に居った頃は女の取り合いで決闘騒動を起こしておったわ。
それで…相手は誰かね?」
オスマンは懐かしむのと同時にグラモンの家系に呆れるているとここで初めてロングビルが言葉を言い淀む。
「そ、それが……ミス・ヴァリエールの召喚した使い魔、平民の少女だそうです。」

ロングビルのその言葉にコルベールとオスマンは顔を見合わせ、互いの考えを即座に理解した。
「ふむ分かった。それならばギーシュ・ド・グラモンが分別のある貴族であれば大事には成るまい。ミス・ロングビル、君は一応医務室の手配を。」
「畏まりました。」


ロングビルの退室を確認してからコルベールは即座にオスマンに詰め寄る。
「学院長!!」
「分かっておる。ミント君と言ったか…早速彼女が本当にガンダールブなのか見極めるチャンスが来たようじゃの…」
オスマンは自分の机から水煙草を取り出し咥えた後、部屋の隅に立て掛けてある大きな鏡に被せられた布を魔法で取り払い、短く呪文を唱える。


そこにはヴェストリの広場で大勢のギャラリーに囲まれた状態で睨み合うギーシュとミントの姿が見下ろす様な俯瞰視点で映し出されていた。

___ヴェストリの広場

「フッ、逃げずに良く来たね褒めてあげよう。」
「逃げる?冗談っ。あんたごときに逃げ出すようじゃ遺産のゲットなんて夢の又夢よ。」
ミントとギーシュのお互いが睨み合う。
ルイズはそれを心配そうに観衆の最前列から見ていた。




「ルイズの使い魔大丈夫かしら?御陰で食堂じゃ笑わせて貰ったけどアレギーシュの奴、
相当切れてるわよ。私あの子気に入ってるの…やばくなりそうだったら助けてあげないと。ね、タバサ。」
ミントの心配をしている人物はここにも居る。キュルケは広場の外壁の上から二人を見下ろしながら隣に座り本を読みふける親友のタバサに声をかけた。
「…多分不要。」
タバサの返答にキュルケは二つの驚きに目を丸くする。
基本的に本を読んでいる最中はタバサは自分が話しかけても殆ど返事をしてくれない。
そしてタバサはミントへの助けは必要無いと断じた。それはつまりそういう事なのだ。
「珍しいわねタバサ、まぁあなたがそう言うならそうなんでしょ?」



「先ずはルールだ。決着の付け方だがこれはどちらかが参ったと言いそれを勝者が認める事。」
「オッケーよ。」
「そしてもう一つ、僕に限って言えばこの薔薇、僕の杖なのだがこれを僕が手放しても君の勝ちとしよう。」
(尤も最初のルール…これは君によりきつく仕置きをする為のルールなのだがね…)
ギーシュはミントに見せつける様に薔薇を高く翳した後その薔薇で歪めた口元を隠しミントを睨む。


「僕の二つ名は『青銅』。故に魔法を使って君のお相手をさせて頂く。卑怯とは言うまい?」
今度こそギーシュも魔法を唱える為に杖を翳す。
「全然問題ないわ。」
平然と言ってミントもデュアルハーロウを握る、それが決闘の開始の合図。
(やっぱりだわ…武器を握ると力が漲る…ブックの魔力を取り込んだ時程じゃ無いけど
ルイズの使い魔にされた影響?この左手のルーン何かあるわね?)

一瞬の思考…そしてミントとギーシュの間にはいつの間にか一体の青銅で出来た女性のゴーレムが立っていた。
「行けっワルキューレ!!」

ギーシュの合図に合わせて青銅のゴーレム、ワルキューレがミントへと拳を振りかざし猛然と突進する。
中身が空洞のゴーレムとは言えその身体は紛う事なき金属製、唯の人間では抗え無い驚異である。

だがミントはギーシュのワルキューレの拳を見切った様に軽やかなバックステップで躱してみせると強く地面を踏み締め、今度はミントからワルキューレへと一気に飛びかかる!
「遅いっ!!」


『ドゴンッッ!!』

鈍い衝突音と共にワルキューレの身体が僅かに浮き上がりその背が勢いよく広場の芝生を押しつぶす…

「大した事無いわね…」
つまりミントは蹴り飛ばしたのだ。純粋な蹴り上げだけで…

どよめく観衆、しかしギーシュは余裕の顔を崩さない。
「やるね…そんな蹴りをさっき僕は喰らったわけだが正直ぞっとするよ。だが甘い、その程度じゃ僕のワルキューレは倒せない…そして…」

ギーシュの薔薇の造花から六枚の花びらが散り、それはそれぞれ剣と盾を携えた六体のワルキューレへと変化した。
「ワルキューレはその一体だけでは無い。さぁ、跪いて泣いて謝れば僅かに君の罪酌量してあげようじゃないか何せ僕は優しいから!!アハハハハ!!」
同時にミントに蹴り飛ばされ顎がいびつに変形したワルキューレも立ち上がり一歩ミントににじり寄る。

「(こいつらドールマスター達が作ってたパペットみたいな物か…)仕方ないわね…」


ミントは呟いて一度深呼吸して集中する。
ギーシュはそのつぶやきを聞き諦めたか?とも考えたがその考えは直ぐに否定される事に成る。


二つのデュアルハーロウがミントの左手に握られ、空いた右腕は肩の高さから自分の後方へと僅かに下げられる…そう、左手のデュアルハーロウを弓に見立てればそれはまさに矢を番えて引き絞る様にも見えた。

「ギーシュって言ったっけ?確かあんた魔法は卑怯じゃ無いって言ったわよね??」
ミントの笑いながらの問いかけにギーシュは言いようのない不安の様な物を振り払う様に答える。

「あぁそういった!!そうそれがメイジだ、君の様な魔法も使えぬ平民等と対等に戦いなどする訳が無いだろう。
さぁ何をする気か知らないがこれで止めだ!ワルキューレ!!」

再び一体目のワルキューレがミントに肉薄する。
そして残りのワルキューレも動き出した。これでは一体目を退けても残りのワルキューレの餌食である。

これで決着だと誰もが思った瞬間、ミントはその口元をいやらしく歪めて歌う様に言い放った。




「だったらあたしも魔法を使うわ。」





瞬間、ワルキューレは幾つもの光の弾丸に貫かれて美しかった姿を一瞬で不細工なガラクタへと変える…



ミントは目を丸くしたギーシュと周囲の野次馬を見やり満面の笑みを浮かべる。


そうマヤ曰くの『小悪魔的』では無く『悪魔的』な笑みを…

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