あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

デュープリズムゼロ-03

第三話『朝食を求めて』


「そう、よろしくキュルケ。ところで何?その微熱って。風邪引いてるんなら部屋でおとなしく寝てる事をお勧めするわよ。」
「え?・・・アハハ、違う違う微熱ってのはメイジの二つ名よ。私は炎のトライアングルだからね、どう驚いた?すごいでしょ?」

ミントの的外れな言葉にケラケラとキュルケが笑っているとキュルケの部屋から大型の赤い体表をしたモンスターがのそのそと表れ、キュルケの足下に寄り添う様に伏せる。

「何それ?モンスターみたいだけどあんたのペット?」
現れたヒトカゲに対してミントは敵意を感じる事も無い為腰を落として軽く頭を撫でてやるとヒトカゲも気持ちよさそうに目を細めた。

「あら?ペット呼ばわりはひどいんじゃ無い?一応あなたの同類なんだから。」

ミントの疑問にクスクスと笑ってキュルケは少々意地悪く切り返す
「同類?」
「そうよ、紹介するわね。私の使い魔のフレイムよ。」
キュルケに紹介されたフレイムは軽く上体を起こして口から炎をこぼし出した。
「メイジの実力を見たければ使い魔を見ろって言われるのよ。
でも驚いたわ~ゼロのルイズが呼び出したのがあなたみたいな平民だったんだから。」

(・・・って事はあのルイズって子相当な実力のメイジって事かしら?そうは見えないけど。)

キュルケとミントがとりとめの無い会話を交わし親交をを深めているとようやく着替えが終わったルイズが苛立たしげな表情で廊下へと出てきてミントとキュルケを睨み付ける。

「あら、おはようヴァリエール。」
「おはようツェルプストー。」
お互い努めて冷ややかに朝の挨拶を交わす。


(ふーん・・・この二人馬が合わなさそうね。)
直感でそう感じたミントだったがまぁそんな事は自分には関係ないので知らんぷりである。
「じゃあねミント。私先に行ってるわ。」
「ん、じゃあね~。」
微笑みを浮かべながらミントに手を軽く振ってキュルケはフレイムと共に長い廊下の向こうへと歩いて消えていった。

「どういう事よっ!!」
キュルケが視界から消えた瞬間、ルイズはミントに怒鳴ると同時にその胸ぐらへと掴み掛かる。

「あの女はね、ツェルプストーはヴァリエール家にとって御先祖代々からの仇敵なの!!
怨敵なの!!それが少し目を離したら私の使い魔がへらへらと・・・どういう事よ!?」

ルイズのただならぬ剣幕にミントは少し呆れながらさして苦も無くその手をふりほどく。
流石にここまで一方的に来られると逆に冷静にもなる。

「はいはい、あんたの家庭の事情なんてそんなのあたしが知るわけ無いでしょう?
それにお互い軽く挨拶してただけじゃん。あんたどんだけ余裕が無いのよ?
朝ご飯でも食べれば少しは冷静になるんじゃない?」

「くっ・・・食堂に行くわ。付いて来なさい。」
ルイズは俯きながらミントへの怒りにプルプルと肩を震わせながらマントを翻し食堂までの道を先導して歩く。
(何よ・・・何なのよこいつ!!)

対してミントは軽い足取りに何食わぬ顔で平然とルイズの後を付いて来ていた。

(ご飯♪ご飯♪そういえばカローナの街で食べたグドンの肝おいしかったのよねー・・・
でも流石にフレイムを捌いて食べるのはまずいか。)







『__!!??!』
「??・・・どうしたのフレイムいきなり震えて。」


唐突に襲いかかった何か得たいの知れぬ不安にフレイムがまさに肝を冷やしていたのは本蜥蜴以外誰も知らない。

~アルヴィーズの食堂~


「おー中々豪華な食堂ね。それに並んでる料理の質も量も良いじゃ無い!
うん、あたしが食事をとるのには相応しいわ。」

大きなホール場の食堂に入った途端ミントは上機嫌に口元に両手を寄せて軽やかにステップで喜びを表現する。
「本来は貴族しか入れないんだけどあんたは私の使い魔だからね・・・
こっちよ、付いて来て。」
ルイズはミントとは対照的に無表情、抑制無く言ってずらりと並んだテーブルの間をずんずんと歩いて行く。
ルイズとミントは寝坊したため既に他の生徒の食事は始まっている。
ある程度進んだ所でおもむろにルイズは一つのテーブルへと馴れた様子で腰を落とした。
ミントもルイズに習って付近のテーブルに着こうとした、だがその周囲にはどう見ても空いている席は他には無い。

そうして空いている席が無いかミントが周囲を見回しているとルイズは一人でさっさと二言三言始祖への感謝とお祈りを捧げてミントを放置したまま食事を始める。


そのルイズの様子にミントはもしや・・・と思いルイズへと自分の中の疑問を一つずつ確認する事にした。


「ねぇルイズ、あたしはどこに座れば良いのかしら?」


「床にでも座ってれば?」



「ねぇルイズ、あたしの分のご飯はどこにあるの?」


「そんな物は無いわ。」



「ねぇルイズ、あんた昨日あたしの食事は面倒見るって言ってなかったっけ?」
「朝御主人様より遅く起きて、着替えの手伝いもせず、よりにもよって朝からツェルプストーなんかと仲良くへらへらお話してる様な使い魔に、私は食事を与える気は無いわ。
どうしてもというのなら今ここで今までの非礼をしっかり詫びてこれからの・・・「話にならないわね。」」

ルイズの言葉を遮り、ミントは大げさに肩を窄める。

「こんなに胸くその悪い経験させてくれたのマヤ以外にはあんたが初めてだわ。
いいわ、食事は自分で何とかする。それじゃあまた後でねご・主・人・様。」

つまらない物でも見るかの様なジト目でしばらくミントはスープを口に運ぶルイズの背中を見つめて食堂の裏口へと歩いて行く。

途中可愛らしく腹の虫は鳴ったが今はそんな事は関係ない。

力ずくでルイズを地獄巡りのボッコボコにするのははっきり言って簡単だしむしろ普段なら恐らく既にそうしている。
口より先に手が出る筈のミントさまが辛辣な言葉は口から出てくるがどうにも拳が前に出ていかない。




「ハァ~・・・」
食堂の外壁に背中を預けてミントは自分の中のモヤモヤとした違和感と空腹に盛大な溜息一つを溢した。





「ハァ~・・・」
ルイズは溜息と共にスプーンを手放して食事を早々に終了させる。
(私は悪くない。悪いのはあの身の程知らずな使い魔なのよ。)


自分に言い聞かせるも先程のミントの冷たい言葉に胸が苦しくなって何とも言えず、正直憂鬱になる自分が居る。
(折角使い魔の召喚に成功したのに・・・何なのよ。)

ミントに対してキュルケに勝るとも劣らず腹が立つ事は間違いなかった。
だが正直認めたくは無かったが昨日の夜のベッドの取り合いや歯に衣着せない口論はアンリエッタとかつて過ごした御転婆な子供の頃を思い出す様で楽しかった。



それがまた悔しくてルイズは掴んだパンに一口、モヤモヤを吹っ切る様に行儀悪く噛みついた。




~厨房~

「いや~、おいしかったわありがとうシエスタ。マルトーさん。」
「良い食いっぷりだったよミント。そんだけ旨そうに食って貰えるんならこっちだって嬉しいぜ。まぁお前さんも貴族様の使い魔なんてこれから大変だろう、頑張れよ。」
「またいつでも来て下さい。困った時はお互い様ですから。」


厨房の中の一角にあるテーブル、その上に積まれた空の皿を前にミントは満足げにお腹をさすっていた。
事の経緯はこうである。

食堂裏口の辺りで項垂れていたミントにメイドのシエスタが声をかけ、空腹である事を伝えたミントをシエスタが厨房連れ込み、
ミントの口から語られる掻い摘んだ聞くも涙語るも涙の冒険の話からのルイズの極悪な扱い(盛りまくり)にコック長のマルトーが同情して今に至るわけだ。

「ま、多分食事関係じゃしばらく世話になると思うわ。あ、そうそうあたしの食事にはカボチャだけは絶対入れないでね。」
ミントがこの世で最も嫌いな食べ物がカボチャである。
元々食事の味付けにはうるさく、好き嫌いも多い方だがカボチャだけは別格で筋金入りだ、
何せ以前実家のシェフがカボチャ料理を食卓に出した際、ミントはそのシェフを本気で首にしようとしていた程である。

「ミントさんカボチャ苦手なんですか?私の故郷のタルブ村じゃワインと並ぶ名産なんですけど・・・」
「げっ、シエスタあたしあんたの故郷には絶対行かないわ。」

「わはは、ミント好き嫌いいってっとシエスタみたいに大きく成れねぇぞ?色々とよ。」


マルトーのセクハラ発言にシエスタは慌てて両手で胸を隠して顔を赤らめた。

「良いのよ、その辺も含めてエイオンの遺産を手に入れちゃえば万事解決ってね。
それよりセクハラは感心しないわよおっさん。んじゃ、あたし行くわ。
何かルイズはこの後は授業があってあたしも一緒に来る様に言ってたからね。
乗り気じゃ無いけどしばらくはここで情報集めたりしないと戻る事も難しそうだしね。
ごちそうさま。」
「おう。」

そう言い残しミントは椅子から立ち上がるとおいしい食事で元気を取り戻したのか走り出した。

「何だか変わった人ですね、ミントさんって。」
「だな。」






未だ気分の晴れぬままルイズは一人教室への廊下を歩いていた。
朝食の後は授業が有ってミントにも自分に付き添う様事前に言ってあったがミントが食堂から出て行った後はルイズはその辺で待っている物だと考えていたがそうでは無かったらしい。
勝手にどこかに消えてミントがどこに行って今何をしているかなど知らないし知りたくも無い!!

廊下ですれ違う他の殆どの生徒・・・その傍らにはそれぞれの使い魔が寄り添っている。
何だか魔法が使えないという事以上に今は自分の隣に使い魔が居ない事が惨めに感じてしまう。

「・・・まぁ居たら居たで腹立つんだろうけど・・・」
一人呟いて既に始業まで時間の無い廊下をルイズは歩いた。




「やっと来たわね、遅いわよルイズ。」
「・・・何でここに居るの?」
ルイズが自分の教室の前にたどり着くと意外にもそこには何故か既にミントが仁王立ちで待っていた。

「偶然出会ったキュルケに案内して貰ったわ。」
「どっか行ったんじゃ無かったの?」
うつむき加減に拗ねた様にルイズが言うとコツンッと何かが自分の額を叩いた。
それはいつもミントのリュックに引っかかっている二対の金のリング『デュアルハーロゥ』だった。

「何言ってんのよ、ちゃんと後でねって言ったじゃ無い?」

どうやらルイズは自分とのさっきの険悪なやり取りで少し落ち込んでいたらしい・・・
だからあえてミントはわざとらしい位にまるで一緒に居るのが当たり前だと言う様に振る舞ってやる。



「ふんっ!とにかくもう授業が始まるわ、とりあえず付いて来なさい。」
「へいへい・・・このミント様も丸くなったものだわ・・・」

「ミント、早く来なさいよ。」

少しだけ気持ちが軽くなったルイズが胸を張り教室へと入っていくのを見留てその後をミントは露骨にめんどくさそうに追いかけて行く。


この生意気な自称ご主人様は本当に憎たらしくて腹が立つ。


本当に。


(そういえばプリマの奴も最初はすっごい生意気だったっけ・・・)

ふと、思い出すのは魔道師に作られた人形の少年の生意気な笑顔だった。


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