わたしがこのハルケギニアにやってきてから一週間が経ちました。
最初のギーシュさんとの一件以来、わたしの生活はほぼ平穏といっていいと思います。
ルイズお姉ちゃんは教えるのがとても上手で、最近は授業も少しだけ分かるようになって来ました。
それと同時に、お姉ちゃんがちょっと不思議なメイジであることもわかっています。
他の人達は爆発魔法をゼロだゼロだというけれど、わたしはそうは思いません。
きっとお姉ちゃんもそう思っているはずです。だからどんなにバカにされても平気なんだと思います。
何時の日か隠れた才能が目覚めてあっと言わせる日を私は夢見ています。
わたしの一日はルイズお姉ちゃんの下着や制服を用意することから始まります。
使い魔というのはもっと別の仕事があるそうですが、私は戦闘がほぼ専門だと思われてしまっているので、
お姉ちゃんは採掘などの仕事をわたしには頼みません。キョーコに教わった食べられる野草の知識なら十分持っているんだけども。
ルイズお姉ちゃんは貴族なので、食べられる野草やきのこの類にはあまり興味がないようです。
朝ごはんを一緒に食べたら授業に参加します。
さっきも言ったとおり、授業にもちょっとだけついていけるようになったのでとても楽しいです。
実技では、ルイズお姉ちゃんのサポートはできないけれど、ガンバレーといつも応援しています。
お昼ごはんが終わったらたまにシエスタさんと給仕のお手伝いをします。
何故か貴族の人を倒したおかげでわたしは奇跡のヒロイン扱いで、食堂の人たちからよくほめられます。
ただ世の中にはもっともっと強いメイジがいるので油断は禁物だと注意されてしまいました、わたしもそう思います。
授業が終わって夕食を食べたらルイズお姉ちゃんと一緒に勉強をします。
この世界のことを教わったり、授業でのことを教わったり。
ここだけの話ですが、魔法をちょっと教わったら、ついできてしまったのは秘密です。アンロックとサイレンスという魔法だそうです。
お姉ちゃんのベッドはとても大きいので、二人で寝ても十二分に大きさがあります。
昔はルイズお姉ちゃんがその上のカトレアお姉ちゃんという人と一緒に寝てたとお話をしてくれたことがあります。
よもや自分が年下の女の子と一緒に寝る事になるとは夢にも思わなかったと笑っていました。
わたしやルイズお姉ちゃんの洗濯物はシエスタさんに頼んでお洗濯をしてもらっています。
なんだか悪いような気もしますが、それもお仕事なのだそうです。
朝から晩までよく働くね、とルイズお姉ちゃんに言ったら、あなたも使い魔として四六時中働いているわと言われました。
そう言われてみればそんな気もします。
ちなみに私の服は、謎の人に用意をしてもらっています。
朝起きると、毎日毎日違う服がたたんで用意してあるのです。
下着からサイズまでなにもかもぴったりなのが不思議で仕方がありません。
ルイズお姉ちゃんが言うには、かなりのハイセンスで流行に相当敏感な人なのではないかということでした。
それがこのトリステインでの流行なのか、ハルケギニアの流行なのかまではわかりませんが、
とりあえず服を沢山持っている人の犯行だというのはよくわかっています。
お昼ごはんはだいたいルイズのお姉ちゃんと一緒に食べるのですが、たまに食堂のシェフの人に誘われて食事をします。
食事の相手はシエスタさんだったり、他の給仕さんだったりしますが、
とにかくわたしが褒められるのは変わりません。
あんまりほめられた経験がないので恥ずかしい気分になります。
また、ルイズお姉ちゃんも授業の予習や復習があるようなので、その時にはシエスタさんと活動します。
わたしが参加できないような授業もたまにあるみたいです、先生にもいろんな人がいるみたいです。
その時は平民の間で流行っている歌や遊びで時間を潰します。
お姉ちゃんと一緒じゃないのは寂しいですが、それも使い魔の努めだと我慢します。
お昼ごはんの後でのルイズのお姉ちゃんとの授業は眠気との戦いでもあります。
今の季節は春なので、ついついうとうとと船を漕いでしまいます。
その時、キュルケお姉ちゃんのフレイムと目が合いました。
彼(?)が授業に参加するのは珍しいですが、目があうのは更に珍しいです。
授業が終わりました。
「ゆま、先に帰って寝たら?」
ルイズお姉ちゃんにそう言われてしまいました。
確かにこのまま授業を続けて受けていても、どうしようもなさそうです。
わたしは頷いてフラフラと教室を後にして、石造りの廊下へと出ました。
やっと部屋にたどり着いたと思ったら、木の扉の前にはフレイムがいました。
まるで通せんぼをしているかのようです。
わたしは首をかしげながらどうしたのと聞きます。
すると彼はついて来いとばかりに私に尻尾を向けて、歩き始めました。
眠いのは眠いですが誘われたら言ってみたく鳴るのが人の性です。
案内をされたのはキュルケお姉ちゃんの部屋でした。
中にはその部屋の主であるキュルケお姉ちゃんと、青い髪の赤いメガネをした小柄のメイジさんです。
大きな杖を持ってベッドに腰掛けて本を熱心に読んでいます。
「ゆま、この子はタバサ」
と、キュルケお姉ちゃんが言いました。
タバサお姉ちゃんお姉ちゃんと繰り返して名前を覚えます。
「この子がね、あなたに用があるって言うから来てもらったの」
そうなんだ……。
初めてあった人なのに、なぜだか不思議と既視感がある人です。
「はじめましてゆま、私は雪風のタバサ」
「はじめまして、千歳ゆまだよ」
「そして、謎の人です」
謎の人の正体が発覚した瞬間です。
「えと、どうして私に服を?」
「毎日同じ服じゃかわいそうだから」
「それは……親切にありがとうございます」
「いいの、他に聞きたいこともあったから」
と、タバサお姉ちゃんは一呼吸をおいて。
「ゆま、あなたの強さの秘密は何?」
と聞かれます。
強さの秘密、魔法少女としての能力の事かな。
秘密といっても、キュゥべえと契約して、他の魔法少女の人から教えられたことをやってるだけなんだけど。
「うーん……わたしは、ここにくるまで魔法少女として魔女っていうのと戦ってたんだ」
「なるほど、だから戦闘慣れはしていると」
「うん、人と戦ったのは初めてだけど」
「魔女は異型のバケモノなの?」
「うん、すっごい、とりあえず、化物ーって感じだよ」
あの魔女の形状はうまく説明できない。
絵の具をキャンパスに投げつけたような形の魔女や、巨大なハサミで攻撃してくる魔女や、お人形さんみたいな魔女とか。
「おそらく、魔法少女はメイジとは違う存在」
「そうなの?」
「私達が使ってる魔法とは明らかに違う魔法を使っていることからの推測」
「詠唱もしないで魔法を発動する、それってエルフみたいじゃない?」
キュルケお姉ちゃんがそういうと、タバサお姉ちゃんは首を振りました。
「ディレクトマジックを使ってみたけど、そのような素質は感じられない」
「ということはただの平民ってことね」
「そういうことになる」
と、ひと通りお話ししてわたしが眠そうにしているのを見計らって、部屋に帰ってもいいわよと言われました。
お部屋に戻ると、私はルイズお姉ちゃんと一緒に寝ているベッドに入って、その瞬間にぐっすりと眠りました。
最初のギーシュさんとの一件以来、わたしの生活はほぼ平穏といっていいと思います。
ルイズお姉ちゃんは教えるのがとても上手で、最近は授業も少しだけ分かるようになって来ました。
それと同時に、お姉ちゃんがちょっと不思議なメイジであることもわかっています。
他の人達は爆発魔法をゼロだゼロだというけれど、わたしはそうは思いません。
きっとお姉ちゃんもそう思っているはずです。だからどんなにバカにされても平気なんだと思います。
何時の日か隠れた才能が目覚めてあっと言わせる日を私は夢見ています。
わたしの一日はルイズお姉ちゃんの下着や制服を用意することから始まります。
使い魔というのはもっと別の仕事があるそうですが、私は戦闘がほぼ専門だと思われてしまっているので、
お姉ちゃんは採掘などの仕事をわたしには頼みません。キョーコに教わった食べられる野草の知識なら十分持っているんだけども。
ルイズお姉ちゃんは貴族なので、食べられる野草やきのこの類にはあまり興味がないようです。
朝ごはんを一緒に食べたら授業に参加します。
さっきも言ったとおり、授業にもちょっとだけついていけるようになったのでとても楽しいです。
実技では、ルイズお姉ちゃんのサポートはできないけれど、ガンバレーといつも応援しています。
お昼ごはんが終わったらたまにシエスタさんと給仕のお手伝いをします。
何故か貴族の人を倒したおかげでわたしは奇跡のヒロイン扱いで、食堂の人たちからよくほめられます。
ただ世の中にはもっともっと強いメイジがいるので油断は禁物だと注意されてしまいました、わたしもそう思います。
授業が終わって夕食を食べたらルイズお姉ちゃんと一緒に勉強をします。
この世界のことを教わったり、授業でのことを教わったり。
ここだけの話ですが、魔法をちょっと教わったら、ついできてしまったのは秘密です。アンロックとサイレンスという魔法だそうです。
お姉ちゃんのベッドはとても大きいので、二人で寝ても十二分に大きさがあります。
昔はルイズお姉ちゃんがその上のカトレアお姉ちゃんという人と一緒に寝てたとお話をしてくれたことがあります。
よもや自分が年下の女の子と一緒に寝る事になるとは夢にも思わなかったと笑っていました。
わたしやルイズお姉ちゃんの洗濯物はシエスタさんに頼んでお洗濯をしてもらっています。
なんだか悪いような気もしますが、それもお仕事なのだそうです。
朝から晩までよく働くね、とルイズお姉ちゃんに言ったら、あなたも使い魔として四六時中働いているわと言われました。
そう言われてみればそんな気もします。
ちなみに私の服は、謎の人に用意をしてもらっています。
朝起きると、毎日毎日違う服がたたんで用意してあるのです。
下着からサイズまでなにもかもぴったりなのが不思議で仕方がありません。
ルイズお姉ちゃんが言うには、かなりのハイセンスで流行に相当敏感な人なのではないかということでした。
それがこのトリステインでの流行なのか、ハルケギニアの流行なのかまではわかりませんが、
とりあえず服を沢山持っている人の犯行だというのはよくわかっています。
お昼ごはんはだいたいルイズのお姉ちゃんと一緒に食べるのですが、たまに食堂のシェフの人に誘われて食事をします。
食事の相手はシエスタさんだったり、他の給仕さんだったりしますが、
とにかくわたしが褒められるのは変わりません。
あんまりほめられた経験がないので恥ずかしい気分になります。
また、ルイズお姉ちゃんも授業の予習や復習があるようなので、その時にはシエスタさんと活動します。
わたしが参加できないような授業もたまにあるみたいです、先生にもいろんな人がいるみたいです。
その時は平民の間で流行っている歌や遊びで時間を潰します。
お姉ちゃんと一緒じゃないのは寂しいですが、それも使い魔の努めだと我慢します。
お昼ごはんの後でのルイズのお姉ちゃんとの授業は眠気との戦いでもあります。
今の季節は春なので、ついついうとうとと船を漕いでしまいます。
その時、キュルケお姉ちゃんのフレイムと目が合いました。
彼(?)が授業に参加するのは珍しいですが、目があうのは更に珍しいです。
授業が終わりました。
「ゆま、先に帰って寝たら?」
ルイズお姉ちゃんにそう言われてしまいました。
確かにこのまま授業を続けて受けていても、どうしようもなさそうです。
わたしは頷いてフラフラと教室を後にして、石造りの廊下へと出ました。
やっと部屋にたどり着いたと思ったら、木の扉の前にはフレイムがいました。
まるで通せんぼをしているかのようです。
わたしは首をかしげながらどうしたのと聞きます。
すると彼はついて来いとばかりに私に尻尾を向けて、歩き始めました。
眠いのは眠いですが誘われたら言ってみたく鳴るのが人の性です。
案内をされたのはキュルケお姉ちゃんの部屋でした。
中にはその部屋の主であるキュルケお姉ちゃんと、青い髪の赤いメガネをした小柄のメイジさんです。
大きな杖を持ってベッドに腰掛けて本を熱心に読んでいます。
「ゆま、この子はタバサ」
と、キュルケお姉ちゃんが言いました。
タバサお姉ちゃんお姉ちゃんと繰り返して名前を覚えます。
「この子がね、あなたに用があるって言うから来てもらったの」
そうなんだ……。
初めてあった人なのに、なぜだか不思議と既視感がある人です。
「はじめましてゆま、私は雪風のタバサ」
「はじめまして、千歳ゆまだよ」
「そして、謎の人です」
謎の人の正体が発覚した瞬間です。
「えと、どうして私に服を?」
「毎日同じ服じゃかわいそうだから」
「それは……親切にありがとうございます」
「いいの、他に聞きたいこともあったから」
と、タバサお姉ちゃんは一呼吸をおいて。
「ゆま、あなたの強さの秘密は何?」
と聞かれます。
強さの秘密、魔法少女としての能力の事かな。
秘密といっても、キュゥべえと契約して、他の魔法少女の人から教えられたことをやってるだけなんだけど。
「うーん……わたしは、ここにくるまで魔法少女として魔女っていうのと戦ってたんだ」
「なるほど、だから戦闘慣れはしていると」
「うん、人と戦ったのは初めてだけど」
「魔女は異型のバケモノなの?」
「うん、すっごい、とりあえず、化物ーって感じだよ」
あの魔女の形状はうまく説明できない。
絵の具をキャンパスに投げつけたような形の魔女や、巨大なハサミで攻撃してくる魔女や、お人形さんみたいな魔女とか。
「おそらく、魔法少女はメイジとは違う存在」
「そうなの?」
「私達が使ってる魔法とは明らかに違う魔法を使っていることからの推測」
「詠唱もしないで魔法を発動する、それってエルフみたいじゃない?」
キュルケお姉ちゃんがそういうと、タバサお姉ちゃんは首を振りました。
「ディレクトマジックを使ってみたけど、そのような素質は感じられない」
「ということはただの平民ってことね」
「そういうことになる」
と、ひと通りお話ししてわたしが眠そうにしているのを見計らって、部屋に帰ってもいいわよと言われました。
お部屋に戻ると、私はルイズお姉ちゃんと一緒に寝ているベッドに入って、その瞬間にぐっすりと眠りました。