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ルイズガキタ! ~「キガタガキタ! 『恐怖新聞』より」より~

 トリスタニア・某街道の某交差点。
 横断しようとする人々を遮断する棒が下り、その外側には人だかりができている。
 その中、それも遮断機のすぐ前に黒髪メイド服の少女・シエスタの姿があった。
 反対側にある遮断機のすぐ向こうに、1人の少女の姿があった。シエスタがいる位置からでは、顔は棒で隠れて見えない。
 するといつの間にかその少女が遮断機の内側に侵入し、シエスタの方に接近してきた。
「あ、渡れますね」
「え!?」
 一緒にいた同じくメイド服の少女の声も気にせず、シエスタは遮断機をひょいとくぐって街道を横断しようとする。
 ──シエスタは後にこう語っている。
『向こう側から女の子がごく自然に渡り始めたのが見えたんです。だから私も誘われたようについつい渡ってしまったんです。……え!? 女の子は確かにいましたよ。……誰も見ていない? そんなはずはありません』
 と──。
 シエスタとすれ違いしばらく歩いたところで、少女は目を見開いて振り返った。
 ……首を半回転させて。
「馬車に轢かれてぺっしゃんこ、馬車に轢かれてぺっしゃんこ」

 街道アンジー
 以前この交差点で轢かれた少女が地縛霊となったものである。
「アンジー」は本名ではない──という噂もあるが、詳細は定かではない。

 アンジーが伸ばした腕は蛇のようにうねりつつ伸張し、シエスタの頭部をわしづかみにしようと迫る。
 ……が、その直前、少女のものと思しき手がアンジーの手首をつかみその動きを封じる。
「そこまでよ、この悪霊め!」
 桃髪の少女・ルイズがアンジーの腕をひねり上げた直後、ルイズの傍にいた少年がシエスタを抱き寄せる。
 そのシエスタの額をかすめて、数十台の馬車の列が高速で通過していった。
「あ……、わわわわああー!?」
 目の前を高速で通過していく馬車の列に、シエスタは驚愕の声を上げた。
「失敗!? 失敗失敗失敗失敗失敗失敗──ちっ」
 アンジーは忌々しげにそうまくし立てると、ごそりと体が崩壊していった。
「逃げたわね」
「いいさ。お前など敵ですらない」
 ルイズ・少年がそう言った次の瞬間、遮断機が上がり人々が3人の元に殺到する。
「わ……、うあーっ! 何をやってるんだ、君達は!」
「え? え?」
「シ……、シエスタ、大丈夫? 怪我は無い?」
「い、いえ、あの……」
「いきなり遮断機をくぐるなんて……。自殺でもする気だったのか!?」
「そ……、そんなあ」
 シエスタは何が何だかわからず、ただ狼狽するばかりだった。
「し……、知りません。私知りません」
 一方、ルイズ・少年は集まってきた人々とは別の方向に視線を向けていた。
(そうよ、彼女は知らない事なのよ。少女のふりをした地縛霊の仕業なのだから)
(これが起こる事を知っていたのはボクとルイズ、そうしてもう1人)
 2人の視線の先には、新聞紙が集まって形成されているような巨大な女性の頭部が空中に浮遊し、2人をじっと見下ろしているのだった。
「あんたは全部知ってるのよね、恐怖新聞!!」
「お前には負けない!! 『予言』は全て覆してやる!! 『鬼形礼』のような犠牲者はもう出させない──そう誓ったんだ!」
 2人の名はルイズ・ヴァリエールと鬼形冥。恐怖新聞に取り憑かれたメイジと使い魔だ。

 その夜、2人は14歳になったばかりだった。
「シンブーン!!」
 声と共にルイズの部屋の窓を突き破って、新聞が室内に飛び込んできた。
「うわっぷ! な……、何よ!?」
 眠っている自分達の顔面に覆い被さってきた新聞を、ルイズは慌てて払いのける。
「し……、新聞!? 誰だよ、こんな悪戯するのは~」
 目を擦りつつ2人は枕元の時計に視線を移し、うんざりした表情になる。
「……夜中の12時!?」
 だが、1面に掲載されている記事の内容に2人は思わず目を見張る。
『恐怖新聞 深夜刊
 現代の予言書 恐怖新聞が再び!!
 鬼形一族の1人である鬼形冥と彼を召喚したルイズ・ヴァリエールは、本日14歳となったため恐怖新聞を購読する資格を得たと判断された。
 そのため、35年間発行停止となっていた恐怖新聞が再刊となった模様である。
 恐怖新聞の購読料は100日分の寿命であり、これは何人たりとも例外無く漏れなく徴収されるものである!
(恐怖新聞は予言が外れた場合、代金とされる100日分の寿命は頂きません)』

 時間は進んで2人がシエスタを助けた日の深夜、2人は寮の自室で就寝準備を整えていた。
「今日は何とか覆す事ができたけど、守るだけじゃきついわよ。まったく!」
 と言いつつ2人がベッドに入った直後、枕元の時計が12時を示し……、
「シンブーン!!」
 声と共にルイズの部屋の窓を突き破って、新聞が室内に飛び込んできた。
 降り注いだ新聞紙と窓ガラスの破片に布団から這い出す2人。
「くそっ、ゆっくり眠る事もできないのか! で……、明日は何があるってんだ!?」
 舌打ちしつつ配達された恐怖新聞に目を通す冥だったが、すぐにルイズ共々顔色が変わる。
 直後、2人は寮を飛び出し町へと駆け出していくのだった。

(人の不幸を予言する恐怖新聞は、書かれている事に外れる事が無いわ。つまり不幸のみをもたらす新聞よ。だから──)
 深夜の住宅街を全力疾走するルイズ・冥。2人の脳裏には先程配達された恐怖新聞の見出しが浮かんでいた。
『鬼形冥とルイズ・ヴァリエール、予言の阻止失敗!?
2回目の事故を見逃した』
(予言は今回2回目があったんだ! 午後6時と午前1時と! 昨日の新聞には午後6時の分1つしか出ていないから、騙されたんだ。くそっ、でもそれは詐欺だろ)
 その先にあるのは、2人が夕方事故を防いだ街道の交差点。
(──だから私達はその予言を外れさせるのよ。不幸を止めるのよ)

 一方その頃、件の交差点では……。
「んっ、んっ」
 若い女性が1人、石畳の間の隙間に足首を挟まれ立ち往生していた。
「やだあ、抜けない! もう、何で……? 馬車が来ちゃうよ。誰かいないの!?」
「きゃはははははははははは! そうよ、あたしが邪魔してるから抜けないのよ。大好きよ大好きよ、もう放さない!」
 必死で足を引き抜こうとする女性には、アンジーの長く伸張した四肢が幾重にも絡みついていた。
 幾つもの馬車の前照灯が交差点を照らし始める。
「ほらほらほらほらほらほら! 轢いて轢いて轢いて轢いて! 轢け轢け轢け轢け! 一緒に轢かれてぺっしゃんこ!!」
 女性が絶望の表情で光に視線を向けたその時、
「恐怖新聞と共謀してボク達を騙したのか。力の無い地縛霊のくせにやるじゃないか。だけどな」
「確かに私達には霊能力は無いけど、悪霊に対抗する知恵はあるのよ!」
 そう言いながら、ルイズ・冥が花束片手に息を荒くして到着した。
 そしてアンジーの横っ面に花束を叩きつける。
「!? ンギギギギギギギ……」
 すると花束の花が吸い寄せられるようにアンジーに突き刺さり、さらに高速回転してえぐり始める。
「痛いだろう! 当然だ! その花はお前が死んだ場所に供えられていた花だ。みんなの『心からの善意の花』だもの!」
「あんたがここで死んだ時、みんなが悲しんだわ! だけどあんたはそんなみんなに逆に嫌がらせを始めたのよ! 『もっと同情しろ』『もっと優しくしろ』っていうねじくれた根性があんたを悪霊にしたのよ。悪霊の身に『善意』は辛いでしょう」
「ガガガ……、ギギギギ」
 花にえぐられる苦痛に堪えきれず、アンジーは身をよじって女性から離れかける。
「あんたの不幸は馬車に轢かれた事じゃないわ。生きてる人間を妬んだ事よ!!」
「他人を巻き添えにするな! 迷惑だ!!」
 この機を逃がさず、ルイズはアンジーを女性から引き剥がし、冥はその女性を抱え街道の外に跳び退く。
(あんたのような甘ったれた悪霊がいるから、恐怖新聞みたいな悪霊(やつ)までが図に乗ってはびこるのよ!!)
 アンジーを正面から馬車に叩きつけた後、ルイズも遅れて街道から跳び退いた。
 その場に取り残された女性の鞄が馬車に引きちぎられて、中身が路上に散乱する。
「あ……、悪霊なんか、『へ』でもねーや!!」
「あああああ! また邪魔をまた邪魔をまた邪魔を! しかも私を馬車にぶつけたな2度轢きしやがったなあああ──」
 馬車の正面に貼り付いたアンジーの声が次第に遠ざかっていく。
 その上空では、夕方にも出現した新聞紙で形成された女性の頭部が忌々しげに2人を見下ろしていた。
(『ちっ、失敗か』って顔をしているわね)

 ──今は亡きキガタレイへ。
 私とメイは毎日が恐怖新聞との戦いです。神経が磨り減る事ばかりです。大変です。
 でもやめません。あなたのような犠牲者を出さないためにも戦い続けます。
 私とメイが無事生き残れるよう、あなたも見守っていてください。
 ルイズ・ヴァリエール──



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