あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Ruina 虚無の物語-04


着替えを終え部屋から出ると、隣の部屋の扉が同時に開いた。
中から出てきたのは、まるで炎のような赤毛と褐色の肌が印象的な女性だ。
「あら、おはようルイズ。」
「…おはよう、キュルケ」
「へぇ、本当に人間なのね。全員が貴女の使い魔?」
「使い魔はそこの白いのだけ、あとの3人はその従者よ。」
「へぇ、従者付きでメイジの使い魔だなんて“ゼロ”のルイズにしては気が利いてるじゃない。」
「うるさいわね。」
「誰かさんと違ってあたしは1発で成功したけどね。ところであなたはどのくらい魔法が使えるのかしら?」
キュルケと呼ばれた女性がこちらに問いかけてきた。
フライやレビテーションは使えないが攻撃魔法は多少心得ていると返す。
「へぇ、変わってるわね。ところであなた達の名前は?」
自分達の名前をそれぞれ紹介する。
キュルケはそんな自分を値踏みするかのように眺めている。
探られているようで愉快な気分にはなれないが、それよりも張り詰めたこの空気が耐えがたい。
だが、それを気にせずキュルケは話を続ける
「でも、使い魔ならこういうのもいいわよねぇ。フレイム!」
フレイムというのが彼女の使い魔なのだろうか、
そう考えていると虎と同じぐらいの大きさの火炎蜥蜴がこちらに向かってやってくる。
思わず身構えるが、あの火炎蜥蜴こそが彼女の使い魔のフレイムなのだろう。
「うわ、でかっ!」
「これはすごいわね…」
と感嘆している2人と
何故か真正面から火炎蜥蜴を威嚇しているエンダ。
それらを面白そうに見ているキュルケという奇妙な光景がそこにあった。

威嚇するエンダを宥めた直後にルイズが急き立ててきた。
「あんた達何やってるのよ。早く行くわよ!」
「はい、わかりましたー。」
「じゃあね。」
キュルケに別れの挨拶をしてから食堂へ向かう。
「あのキュルケって人と仲が悪いようだけど、何かあったの?」
地雷だった。
食堂へたどり着くまで、ツエルプスト―家との因縁を何度も語られた。

ようやく食堂へたどり着いた。
意匠が凝っている長いテーブルが、広い空間を生かすよう3列に配置されており、
そのテーブルの上には鳥のローストや鱒を象ったパイ、そして年代物と思わしきワイン等が並べられている。
学生達は各々が談笑していたり、あるいは食事に勤しんでいたりと賑やかだ。
ふと壁を見ると精巧な小人の彫像が並んでおり、その躍動感はまるで今にも動き始めそうな程だ。
そしてルイズが自慢げに告げる。
「ここがアルヴィーズの食堂よ。本来は給仕とコックを除けば貴族しか入れないけど、特別に認めてもいいわ。」
その発言に大いに喜ぶ3人だったが
「ただ、あんた達3人は従者という事だからここでという訳にはいかないわ。」
言いながらも主人は近くにいたメイドを呼びつけ、3人に食事を手配するよう命じた。
「そっか、確かにフィーの従者って事になってたしね。」
「それもそうだけど、釈然としないわね。」
「おお?」
そしてメイドは3人を連れて平民用の食事処へ案内して行った。

椅子を引き、主が座った事を確認する。
そして自分も続こうとすると止められた。
よく見ると、床にはパンとスープ、そしていくつかの料理が小皿に置かれていた。
「いくらあんたがメイジとはいっても、ここは貴族の席よ。だからあんたは床。」
わざわざ食堂に連れてきて床で食べさせる意味は何だろうか。
疑問に思いつつも口にはせず食事を続ける。
せめて野菜はもう少し恵んで欲しいと言うと
「それもそうね。」
と、人気がないのか山盛りで余っていたサラダを渡された。
世知辛さと苦いサラダを噛みしめつつ、3人の方は何を食べているのか気になった。


昨晩会話をしたミス・ヴァリエールの使い魔、その従者が同僚のメイドに連れられてやってきた。
「シエスタ、この3人に食事用意してあげて。ただシエスタが作った奴以外でお願い。」
同僚の言い様に少し腹が立ったが、それは表に出さずに彼女達に声を掛ける
「ひ、ひどい……。と、ミス・ヴァリエールの使い魔の従者の方々でよろしかったですね?」
「何故私達がそうだと分かったの?」
「私達メイドの間でもミス・ヴァリエールがメイジと従者の方々を召喚したと噂になってましたから。」
実は昨晩の会話で大まかな特徴は聞いていたが、それは言わない。
「なるほど~。」
「おお、スゲーな。」
「で、食事は私達と同じような物で良いでしょうか?」
「構わないわよ。」
「大丈夫。ただエンダは生の方がいいんだっけ?」
「ああ。」
「生ですか!? 分かりました。少々お待ちください。」
急いで厨房へ向かい、コック長のマルトー氏に事情を話してから賄いを頼む。
奇妙な注文に驚いてはいたもののシチューを3つと生肉を渡してくれた。
「しかし貴族の従者さんが生肉とは奇妙な注文をするもんだ。」
「先日話す機会がありましたけど、フィーさんは平民の方だそうですよ?」
「だがメイジにゃ違いない。」
「確かにそうですね。でもいい方でしたよ、偉ぶったところなんてなかったですし。
と、そろそろ行きますねマルトーさん。」
「ああ。」

マルトーの料理は3人に好評だった。
材料が余り物とはいえ、貴族を相手に出す料理のそれなので品質は高い。
それを、貴族相手の食堂で長を務める腕のコックが調理をしているのだ。
味は推して知るべし、である。


食事を終え、食堂前の広場で合流する。
陽の光が心地よく、これで満腹だったならば居眠りと洒落込んでいたであろう。
「フィー、そっちはどうだった?」
「こっちはウマかったぞ。」
思わず主人の方を見つめる。
「な、なによ……。」
気まずそうにしていたので、次回から食事は彼女達と一緒でいいと伝える。
「わ、わかったわ。好きにしなさい!」
怒りながらも許可は出すあたり、わかってやっていたようだ。
「あれ、フィーは何食べたの?」
「気になるわね」
「気になるな」
仕方なく、賄い物を頂いたとだけ答えた。

休み時間が終わり、授業が始まった。
教室は階段のように複数の段からなっており、後部の席からでも黒板が確認しやすい仕組みとなっていた。
そして各段に長机が綺麗に整列されている。
蛇や猫、梟や烏と言ったものから火炎蜥蜴や見た事のない生物までもが使い魔として控えており、賑やかだ。
そんな教室が自分達が入った時に一瞬だけ静まり、次の瞬間複数の視線がこちらに向いた。
興味深げな物や楽しげな物もあったが、大半は嘲りの物である事は簡単に想像できた。
このままだと暴れ出すかも知れないからとネルはエンダから目を離さないようにしている。
少し緊迫した空気の中帽子を被り、紫を基調にした服装の教師が入ってきては辺りを見渡して満足気に言った
「おはようございます。春の使い魔召喚は成功のようですね。
このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
そして、こちらを見て言葉を続ける。
「あら、とても変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール。」
どっと笑い声が響く。
「おいおい、いくら召喚できなかったからって、そこらにいた平民達をつれ――」
愉快な気分でなかったため、意図して感情を消した無機質な表情を作り、見つめる。
すると圧倒されたのだろうか、小太りな少年は途中で黙り込んだ。
静かになったため、シュヴルーズという名の教師は授業を始めた。
その内容は去年の復習ということだ。
今では使い魔である自分も魔法師であるため、授業の内容は非常に興味深い。
真剣に教師の話を聞き、黒板を見てはその内容を記す。
ちなみに自分達4人は生徒でないため、主人の席の付近にある段差に腰をかけている。
ドットやラインといったランクは、故郷に無い概念であったし
特に興味深かったのは“錬金”という魔法である。
彼女が短い詠唱をして杖を軽く振っただけで、机の上の小石が真鍮へと変化したのだ。

そんな授業の最中で事件は起こった。
シュヴルーズが錬金を実演させる生徒として主人を指定したのだ。
その瞬間、他の生徒たちから彼女へ非難が殺到した。
「危険です、先生!」
「先生!」
「それはやめた方が……」
様々な暴言が飛び交ったがそれでも彼女はルイズを指定し、そしてルイズは前に出た。
それを見た他の生徒達はあわてて机の下へ避難を始める。
そんな中、キュルケが避難しつつも声をかけてきた。
「悪い事は言わないから避難した方がいいわよ。」
「なんでですか?」
「危険だからよ。」
そしてルイズの方を見ると、小石にさっきとは比べ物にならないほどの魔力が注ぎ込まれている事を感じた。
咄嗟に懐から小杖を取りだして詠唱。即座に自分たちを守る結界を構成する。
その次の瞬間、爆風と衝撃が部屋を蹂躙した。

教室を覆っていた煙がはれると、そこには惨状ともいえる光景が広がっていた。
破壊された教卓や机の破片が散乱しており、窓にも罅が入っている。
咄嗟に張った結界のおかげで自分と仲間達は爆発に巻き込まれなかったが、
その一方で爆心地にいた女教師はさほど大きな外傷も見えず、気絶していた。
「ちょっと失敗した様ね。」
爆発を起こした張本人は、ところどころ衣服が破れつつも悪びれもせずに言ってのけた。
脳内で彼女の評価を改めつつ辺りを見渡すと
「だからゼロのルイズにやらせるなって言ったんだよ!」
「うわ、ラッキーが蛇に食われた!」
「どこが“ちょっと”だよ!」
「なんてこった!」
「いまの凄かったな!」
……大惨事だ。


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