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ゼロのペルソナ-29

審判 意味……変革・行き詰まり

優しい風が青々とした草を掻き分け、透きとおる水が柔らかな光を反射する風景。その幻想的とすら言える世界の中に4人の少女がいた。
内三人が同じ学校の制服を着ている。とはいえ一人は緑色のジャージを、一人は赤いカーディガンを羽織り、
一人は女性であるにも関わらず男子生徒が着る学ランを着ているのだから3人の服の意匠が似通っていると思うものはいないであろう。
そして最後の一人は一人オレンジ系統の私服を着ている少女だ。彼女の背後には大きな異形の姿があった。
彼女のペルソナ、カンゼオンだ。カンゼオンは探知能力に特化した稀有なペルソナであり、今もまさにその探索能力を働かせている。
それは両手で持っているバイザーを自身の主、久慈川りせにかけさせている。
彼女の頭がペルソナの両の手で包み込まれているようなこの状態が、カンゼオンの能力を使うときの体勢だ。
りせは精神を集中させ、文字通り頭がアンテナとなっているペルソナでテレビの中の世界を探知していた。
今まで彼女たちの旅において道先案内をしていた能力は全て、失踪した巽完二、花村陽介、クマの3人を探し出すことだけに使われている。
そのため、期待と不安をないまぜにした表情で見つめる三人の少女のことも意識には入っていない。
りせは海外ロケを終え、稲羽市へと来てすぐにジュネスのテレビの中へと入った。
消失した3人の仲間を一ヶ月テレビの中で探していた天城雪子、里中千枝、白鐘直斗らに劣らず、彼女はいなくなってしまった仲間たちを心配していたのだ。
3人の少女たちが自分たちに探知能力がないことを悔やんだように、八十稲羽に戻れなかったことを辛かった。
霧が晴れ、澄み切った世界。立って見渡せば世界の端までも見渡せるような世界の中で、自分が最も知る3人の探索にかかる時間はそう長いものではなかった。
しかし仲間たちの消息をつかみたい彼女たちにとってはまるで時計の針が遅らせられているような長い時間だった。
カンゼオンの姿が消えると——それは探知を終えたということだ——、緑色のジャージを着たボブカットの少女が焦ったようにりせに尋ねる。
「わ、わかったの?あいつらのいるトコ?」
りせは、自身の返答が3人を消沈させるものと理解しながらゆっくりと答える。二つにくくった髪が揺れる。
「見つからない。……この世界にはカンジたちはいないみたい」
冷静なはずの直斗も含め、りせの言葉に愕然とする。
「見落としってことはないのよね?」
赤いカーディガンを羽織っている天城雪子は後輩に念を押す。
「見落としなんてしないよ。たとえ霧がいっぱいにあってもあの三人だったら見つけられる自信もあるし」
「なんてことだ……。僕たちは一ヶ月も見当違いのところを探していたのか……!」
学ランに身を包んだ探偵でもある白鐘直斗は迂闊だったと思っているのだろうが、りせは否定する。
「ううん、見当ちがいじゃない。たぶんここで3人は消えたんだと思う」
「え……それはどういうことですか?聞かせてください」
「この世界に痕跡が残ってるっていうのとは違うかもしれないけど感じるの。一ヶ月くらい前……あの三人がほんの少しだけこの世界にいたみたい」
「少しだけいたということは、すぐにテレビの外に出たということですか?」
直斗は質問しながら頭の中で推理を組み立てる。
電化製品売り場近くで彼ら三人を見たという証言から推測したに、失踪前にテレビの中へ入ったということはまちがいではないようだ。
だがすぐにテレビから出たならその後の足取りがつかめないのは……。
推理を進めようとする直斗にりせは新たな情報を与える。
「いいや、たぶんジュネスに戻ってないと思うの。なんていうかな……まるでテレビを通り道にしみたいな、ヘンな感じなんだけど」
「なるほど。テレビを通ってどこか別の場所へ行ったために目撃はジュネスの家電売り場近くで途切れ、そして今この世界にも彼らはいないということですか」
筋は通っているように思える話ではある。
「でも、あいつらどこにいるの?」
千枝の疑問はもっともであり、何よりも肝要なのはそこであった。彼らがどこにいるかが分かれなければどんな推理も意味がない。
「ごめん、私の能力でもそこまではわかんない……」
りせも自分の無力さが情けないと言いたげであった。つらそうにする後輩の姿に、混乱している千枝もそれ以上は追及できない。
「悲観しない!」
大きく出された声に肩を落とし気味だった直斗、千枝、りせは少し驚く。
声を出したのは雪子だ。
「今日で今までわかんなかったことがわかったんだから悲観することなんてないと思う。それに彼もやって来るし」
彼とはこの場の4人、そしていなくなってしまった3人にとってもリーダーであり、そして大切な人物である。
一ヶ月親の海外出張に付き合っていたために八十稲羽にやってこられなかったが、あと数日で来るとの連絡もあった。
彼が来る。その言葉に全員が勇気付けられた。
人間たちの住む土地よりも東にあるエルフたちの住む世界。その東端、一般的にロバ・アル・カリイエと呼ばれる東の世界の境界線、そこに数千のエルフたちの姿があった。
彼らは敵に備えていた。
敵とは人間などという脆弱なものではない。もっと恐ろしいものだ。
エルフたちは戦列を組んで戦うことはしない。だから無造作に並んだように見える現在の状態も、敵と戦うための布陣である。
彼らの視界に無数の黒い鎧が現れる。それは100を、いや千を数えるかもしれないヴァリヤーグだ。
二束歩行で、しかも獣よりも早い速度で、列を整然となして突撃する甲冑はそれがおおよそ常識的存在ではないことを端的に示す。
長槍を持って突撃してくる影たちにエルフは第一波の攻撃を仕掛ける。
火が、風が、土が飛んで行く。
しかし突撃する敵は、炎で焼かれて体を溶かしたり、疾風で体の一部を切り取られたり、頭や足を土塊で潰され数を減らしても突撃を続行している。
まるで前から飛んでくる攻撃も、傍らで倒れていく仲間も目に入らないというように。
それでもエルフの攻撃でヴァヤリーグたちの突撃力はかなり削り取られた。だがエルフたちに一片の油断もない。
これからが正念場だからだ。先陣を切り突撃してきた敵に続いて、エルフたちの視界に入っていた別の二種の巨大な影も近づいてくる。
一つは小さな影と同じく大地を蹴って、もう一つは空から飛来する。
陸路を取る怪物は甲冑姿のヴァリヤーグと同じく金属光沢を放つ。
しかしヴァリヤーグが人に鎧を着せたような姿であるのに対し、その化物——ヨルムンガントはゴーレムが鎧を着た姿だ。
その大きさはヴァヤリーグよりも10倍はあるのではないかという巨体だ。
それはつまりヴァヤリーグとほとんど同じ高さであるエルフにとっても巨大であるということだ。
その巨大なゴーレムは大地を蹴って、まるで操り人形のような常識的なゴーレムとはまるで別種であることを主張するように、素早い動作でエルフに迫る。
もう一つ、空から飛来する影は火竜だ。竜はハルケギニアにおいて最も恐れられる魔獣の一種であり、それは人間だけでなくエルフにとっても共通の認識と言って相違ない。
しかいエルフたちが今見ている竜と比べればまるで普通の竜などかわいいものであった。それは火竜である。とても巨大な火竜である。
体長は40メイル近くあり、通常の火竜の二倍で、それどころかこの世界において最大の生物であることに疑いがない。
100近い火竜が空を飛びエルフたちに襲い掛かってくる。
歯がなりそうな恐怖がエルフたちを襲う。一体で、人間10人以上の力を持つとされるエルフたちが恐怖に耐えるさまは、それだけで人間には恐ろしい何かに見えただろう。
恐怖に飲まれないようにエルフたちは次なる迎撃行動に移る。
直系10メイルオーバーの岩、それもあらかじめエルフたちのよって強化された超硬度のものが、10数人分の精霊の力によって大砲よりも早い速度でヨルムンガントに撃ち出される。
一体を砕き、そしてさらに2体、3体を打ち倒していく。ヨルムンガントには火も、風も、水も通用しない。打ち倒すにはひたすら強力な物理的衝撃が必要だ。
空を飛ぶ火竜には水や氷の精霊の力が撃ち出される。さらにエルフたちの最大の戦力の一つである水竜も今回の戦線にいた。
水竜は相性もさることながら通常の火竜よりも強力な力を持つ。もちろん今戦っている火竜には純粋な戦力では劣るだろうが水は火を消す。
水竜は高圧力の水を口から吐き出した。それは上空高く飛ぶ火竜にダメージを与える。弱った火竜にエルフたちが水・氷を打ち込んでいき、倒していく。
エルフ側に戦況は優位であったが、しかし戦闘の趨勢は時に一瞬で反転する。
始まりは2,3体のヴァヤリーグがエルフの前衛を突破したことから始まった。
                カウンター
使い手のエルフたちが最前線に出て“反射”で守りを固めていたのだが、ある一点が突撃を繰り返す槍の圧力に持ちこたえられなかった。
ヴァリヤーグはヨルムンガントよりも、巨大種の火竜よりもその大きさそして破壊力では下回る。
だがその使い手のエルフすら上回る機動力、そして他の二種の10倍の数の戦力によって防衛線は突破された。
エルフたちの戦列に紛れ込んだのはほんの数体だったがそれらは暴れ周りエルフたちの戦術をかき乱した。
その槍によって数十のエルフがその槍に襲われ、さらに混乱が広がる。
そうしたために化物たちへの攻撃に間隙が生じる。
その間を縫って一体のヨルムンガントが大地を蹴り、そしてエルフたちを蹴り進む。圧倒的な質量差の前に反射は意味をなさない。
エルフたちを文字通り蹴散らしながら、水竜にたどり着き、その巨大な金属のゴーレムは横振りに拳を叩きつけた。
腹部をまるで生物ではないかのようにへこませながら水竜は横っ飛びに吹き飛んでいく。
信じられないというようにそれの飼い主たちはぽかんと見つめている。
エルフたちの攻撃とその間の間断の時間は逆転していた。
攻撃の時間の合間合間にインターバルがあるのではなく、かろうじて思い出したように攻撃しているだけとなっている。
それも全くの統制を欠いたものである。そしてエルフたちの決壊寸前の勇気は最後の一押しを受ける。
空から何かが落ちてくる音が、騒がしい戦場にも確かに聞こえた。そのことから巨大な質量だということがいやでもわかる。
空から翼をたたみ落ちるように下りてきたのは火竜だ。それは今まで自分に牙を向いていた水竜を踏みつけて降り立った。
水竜は突然の重量に耐え切れず骨や内臓、筋肉の壊れる音がしながら圧死、その口からはグロテスクな悲鳴が小さくなった。
潰れた水竜を踏みつけて火竜は咆哮を上げる。まるで玉座に腰かけ、誰が竜種の王であるかを示すかのようだ。
ここに戦線は完全に崩壊した。
ヴァリヤーグたちはその槍を鮮血に染め、ヨルムンガントたちは走り回るだけで死を撒き散らし、火竜たちは全てを燃やし尽くした。
勇敢に戦っても、勇敢に死ぬことができるだけの戦いとも言えない戦い。誰もがただただ逃げた。
全ては6000年前からの延長線上、6000年前から続く戦いの歴史だった。
トリステインを侵攻したガリア王ジョゼフはトリステインから姿を消した。
そしてオルレアン公の遺児シャルロットを擁立したトリステインの勢力は抵抗らしい抵抗なくガリアの地へと分け入っていった。
民心はロマリア侵攻の際に離れかけていた。
そしてトリステイン—ゲルマニア—ロマリアが大連合を組み、オルレアン公の遺児シャルロットを新王として擁立した時点でガリア貴族の半数近くがジョゼフを見限った。
そういった中で、ジョゼフ王が姿を消せば、残りの半数がシャルロット新王側に鞍替えすることは何もおかしなことではない。
このとき、こういった事態に起こりがちな略奪も起こらなかった。それには3つの要因があった。
一つはこれが新王擁立のための侵攻であったからだ。略奪などすれば支持が受けられなくなってしまうのは当然である。
二つ目は貴族たちが戦うことなく受け入れるということは彼らの持つ兵たちは全く消耗していないということだ。
いわば略奪が起きないように睨みがきいているといえるだろう。
最後の一つはすでにトリステイン王となることが知られているアンリエッタ王女直々に略奪行為が禁止されていたからだ。
そうつまりこの軍の指揮をとっていたのはアンリエッタ王女であったのである。
こうしてトリステイン軍は、かつてのオルレアン派を中心としてシャルロットのもとに集まってくるものたちを吸収しながら進軍し、戦いらしい戦いなくガリア王都入りを果たした。

王都リュティスの郊外にある王族の城ヴァルサルテイル宮殿には現在ハルケギニアの有力者が集まっていた。
壮麗な宮殿の中でも青レンガで作られ異彩を放つグラン・トロワの一室にはゲルマニア皇帝をはじめ、ロマリア連邦の各権力者、またアルビオンからも何人かの有力者が訪れていた。
しかし彼らの顔に浮かんでいるものは多くは不満であった。それはトリステインがほとんど単独でガリア進軍を果たしたことに起因する。
彼らは自分たちを差し置いて手柄を独り占めにしたトリステインはガリアへの影響力を大きいものにしようとしていると考えている。
彼らの多くはせっかく軍を用意しながらもトリステインの早い進軍のためにすでに新王への支持を固めた地域を何もすることなく通ってきただけであった。
もはやそれは進軍とすらいえないものだった。
トリステインについて大きな声で批判を行えないのは、ジョゼフ王の子イザベラと新王シャルロットが進んでこれを支持したこと。
それと初めはトリステイン軍単独であった戦力がジョゼフ王から離反したガリア軍を吸収していき、
王都リュティスに到達することにはその数がトリステイン軍に拮抗して、新王シャルロット王も実質的な力を持つようになってなおトリステインとの協力体制を崩さなかったためだ。
しかし、小さな声では新王はトリステインの傀儡であるという者もいた。
「みなさんご足労感謝いたします」
そう言ったのはこの会議の主催者の一人であるアンリエッタ次期王であった。
そして隣には新王シャルロットがいる。円形のテーブルであるためこの会議には上座というものは無い。
二人も自分たちに寄せられている反感に気付いており、少しでもその反感を買わないためだ。
二人の心配の通りホストの言葉にいい反応をする者は少ない。
当然のことながらアンリエッタやシャルロットの二人の少女はこの会議の中で最年少であり、そのことでも低く見ているものもいるのだ。
構わずアンリエッタの隣に座っているもう一人のホストであるシャルロットが発言を引き継ぐ。
「皆に集まってもらったのは、ジョゼフ王に備えるため」
会議上はざわざわと騒がしくなる。それはどちらかといえば冷たい反応であった。それを代表するようにゲルマニア皇帝が発言する。
「ジョゼフはすでに逃亡していて、彼についた軍もない。何の脅威にもなりえないだろう。そもそもヤツが生きているのかすら怪しいものだ」
そうだそうだというように会議場がざわいめいた。
しかしアンリエッタは確信を込めて否定するように首を振る。
「いいえ、ジョゼフ王は……ジョゼフは生きています。そして必ず反攻します」
会議の場にいた者の中には露骨にアンリエッタを冷笑する者もいた。軍も支持者もいない元王がなんの脅威になるかと思っている者たちだ。
しかし王が生きて反攻を企てることが決して軽視できるものではないことを理解している者もいる。放っておけば大きな戦乱になるかもしれない。
そしてそれは今回のガリア奪還で何の活躍をすることが出来なかったトリステイン以外の国がガリアでの利権を得るチャンスがあるということだ。
「ジョゼフがどうして生きていて、そして反攻しようとしているかと推測したのか説明してもらえるのかな?」
ゲルマニア皇帝も自国の介入のために少しでも情報を得ようとして、アンリエッタに喋らせようとする。
「かまいません。みなさん全員にその理由をお目にかけましょう」
確信を込めた一言とその内容にハルケギニア指折りの有力者たちは眉をひそめる。そして顔に浮かんだ怪訝は驚愕あるいは戸惑いに変わる。
突然、彼らの囲んだ机の上に長い槍が現れたのだ。長さ4メイルはあろう槍が突然白いテーブルクロスの上に鎮座している。
「こ、これはいったい……?」
「みなさんにはこれからジョゼフの力と、そして私たちの立ち向かわなければならない運命を知ってもらいます」
混乱の中にいる彼らはアンリエッタの言葉を理解できるものもなく、そのため冷笑を返すこともできない。
そして落ち着きを取り戻す前に、彼らは全員は槍の記憶の中へと引きずり込まれた。
            リコード
「どうやら全員、あなたの“記録”をかけられたようですね」
「はい」
先ほどまで議場にはいなかったはずの少女が現れていた。
ウェーブがかったピンク色のブロンドを揺らす少女、ルイズである。
手入れの行き届いた真っ白なテーブルクロスの上には不似合いな槍がある。それはトリスタニアを強襲したヴァリヤーグの槍だ。
ルイズのテレポートによって運ばれたこの槍にはヴァリヤーグの歴史が刻まれていた。
幾度となくエルフと戦った記憶があった。
人間が恐れるエルフたちを槍玉に挙げていくその姿。そしてその槍はエルフたちを襲う二種の巨大な存在も映していた。
エルフと並び恐れられる竜、それも人間の知るものの二倍はあろうという巨体を持ちエルフたちを焼き払い蹂躙する火竜。
鉄の装甲を持ちながらその巨体から想像もつかない走力を見せるヨルムンガンド。
3種の怪物たちがが数十どころか数百以上もいることをその槍は記憶している。
そしてジョゼフに使い魔として呼び出され、火竜とともにトリスタニアを襲ったことも。
こういった物の記憶を呼び起こし人に見せる魔法が虚無魔法レコードである。レコードは記憶を操る魔法で、ルイズは槍の記憶を想起させてアンリエッタの呼び出した全員に見せている。
そうハルケギニアの権力者たちを集めたのは会議のためなどではなかった。全ては彼らにハルケギニアに訪れる運命を知ってもらい、そして兵力を結集させるためだ。
全てはジョゼフがシャイターンの門からつれてくる使い魔たちの軍団に備えるためである。
もし座して待つだけならばガリアもゲルマニアもトリステインも、人間の住む全ての国という国が滅びることになるだろう。


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