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ゼロのペルソナ 第3章 女帝



女帝 意味…愛情・嫉妬

日本のとある片田舎にある地方都市稲羽市。
昨年こそ連続殺人が起きたり、アイドルや探偵が地元の高校に転校、また謎の霧が発生したなどで妙な騒がしさがあったが
今年はもともとの稲羽市らしい様子を見せていた。つまり何もない田舎町に戻っていたのだ。
そんな静けさを取り戻す町の中で3人の少年が姿を消した。
元の姿を取り戻しつつある町の中で再び起きた失踪事件は、昨年の事件を解決した者たちの心を波立たせた。
陽介、完二、クマたちが姿を消してすぐに里中千枝、天城雪子そして白鐘直斗らは捜索を開始した。
2、3日の調査の結果、彼らがこの町から出たのを見た者がいないことと、
地元の大型スーパージュネス付近で彼らを最後に見た証言が集中していることがわかった。
そのことから彼女たちは彼らはテレビの中に入ってから何らかの事情で戻って来れなくなっていると推理し、現在テレビの中を捜索していたのだった。
テレビの中は優しい風が澄んだ湖面を波立たせ美しい植物たちが咲き乱れる世界だ。ついこの間までは霧が立ちこめ、
恐ろしい怪物がはびこっていたのがウソのようである。
その美しい世界を取り戻したのは千枝たちであったのだが、彼女らには現在それを楽しむ余裕はなかった。
千枝に至っては優しげな世界の中で似つかわしくない今にも泣きそうな表情を浮かべている。
彼女は短いボブという髪型とジャージを好んで着ることからイメージできるよう活発な少女だ、男勝りとさえ呼ばれるほどに。
しかしここぞというときに気弱になりがちなのだった。
「ど、どうしよう!?花村たちぜんぜん見つかんない!」
湖畔の青々とした草原に、千枝、雪子、直斗らが話し合っていた。
テレビの中の世界を駆け回ったのだが、彼らの姿どころか痕跡すら見つけられなかった。
「しっかりして千枝!私たちが弱気になっちゃダメ!」
弱気を見せる親友を勇気付けるのは赤い服を着た少女、雪子だ。
青を基調とした探偵ルックの男装をした少女、直斗も頷く。
「そうです。慌ててはいけません。しっかりと落ち着いて探しましょう」
二人の仲間に励まされて千枝はこくりと頷くが不安は隠せない。彼女らはこの世界で仲間たちを見つけ出す手立てをもっていないのだ。
「霧が晴れてもこの世界は広いですから探すのも一苦労ですね」
直斗がそう言うと雪子がポツリと言ってしまう。
「りせちゃんがいてくれたらね……」
久慈川りせは彼女たちの仲間で索敵など、補助に特化した能力を有しているペルソナを使える。何度も彼女の力に助けてもらった。
そして今こそ、また彼女の力を借りたいところだが、そうもいかない事情があった。
というのはりせはりせちーという通称で親しまれた元人気アイドルで、彼女が稲羽市に来たのは休業のためであったのだが、
今年の四月から彼女は復帰して稲羽市を離れてしまったのだ。
しかも彼女は現在、映画撮影のために長期的に海外ロケに行ってしまっているのだ。
一年近く休業していたアイドルが復帰して一ヶ月足らずでそれほどの規模の映画に起用してもらえるなど幸運としか言いようがない。
だが彼女の力を頼りにしたい千枝たちが間が悪いと思ってしまうのは仕方がないだろう。
そういうわけで連絡もなかなかつかず、連絡が通じて帰ってきた答えは稲羽市に来れるようになるまで一ヶ月ほどかかるというものだった。
りせもいなくなった彼らを心配しているようだったが、彼女にはどうしようもないことであるので、今は仕事に専念するようにと連絡をしておいた。
「りせちゃんもそうだけど彼もまさか親の短期出張に付き合って海外に行ってるなんて……」
彼とは昨年起きた事件を追った特別捜査隊でリーダーとなった少年のことだ。
彼は非常に強いリーダーシップを持っており、こういう困ったときに頼りしたくなる人物だ。
彼女らは頼りになる二人の仲間とたやすく会えないことに運命の悪意さえ感じた。
それでも彼らと合流できるのが先になるのなら自分たちで探すしかないと3人はテレビの中を探し続ける。だが彼女らの苦労は報われることはなかった。
まさか3人の内誰も、名探偵である直斗も見たこともないファンタジーの世界に少年たちが行ってしまったなど思いもよらなかった。

「な、なあ、タバサ。まだ着かねえのか!?」
「もう少し」
現在、陽介とタバサの二人は馬上の人であった。
陽介は馬術を持ち合わせていないため、自分より一回り以上小さい以上小さいタバサにしがみついているというなんとも情けない様子である。
二人は今ガリアの地にいた。
ガリアとはこの魔法の世界ハルケギニアで最大の領土と国力を持つ国家である。陽介たちが呼び出された国はトリステインで、ガリアの北西に位置する。
二人はトリステインからガリアへ入り、ガリアの首都のリュティスに向かっている所である。
陽介はタバサにつれられトリステイン学院を出る際にタバサに言葉数少なくガリアという国に用事があるので馬を駆ってトリステインからその国に向かうと聞いた。
しかし陽介はそこに至るまで何日もかかるとは聞いていなかった。隣国とはいえトリステインの首都近くからガリアの首都への道のりは決して短い道のりではないのだ。
タバサは慣れたもので連日馬に乗ってこたえている様子はないが陽介はそうではなかった。
「もう限界!腰が!ケツが!」
「我慢して」
彼の主の返答は陽介の腰には冷酷ものだった。

ガリア王国の首都リュティスの東端にガリア王家の住まうヴェルサルテイルが存在する。
ヴェルサルテイルの中の小宮殿プチ・トロワがタバサの目的地であり、着くなり彼女はさっさと入っていった。使い魔には外で待つように言付けて。
「人間が使い魔ってのは体裁が悪いらしいし、それか?にしても外で待っとけはちょっと愛がねーんじゃないですかね?」
日は沈んでおり、肌寒い中陽介はごちた。
なんでもタバサはこの国の騎士で依頼を受けているらしい。
この世界の常識がない陽介は、学生でも仕事させられて大変なんだな。と。この世界の魔法使いにとって一般的なことなのだと考えた。
夜の冷えた風に打たれながらしばらく待っているうちにある衝動が彼を襲った。両足をすり合わせるようにもじもじさせる。
「やべえ、なんかモーレツにションベンしたくなっちまった。でもここ宮殿っぽいし、立ちションってわけにも行かねえよな」
突然の尿意に襲われた陽助はきょろきょろと回りを見渡した。
メイドを見つけたので駆け寄り、トイレの場所を尋ねる。彼女は指を差して道を教えてくれた。タバサが入っていった扉の前を素通りすればいいようだ。
「あんがとさん!」
陽介はその方向へ一目散に駆けていった。道を尋ねた少女は、あ、そっちは!と言ったが、トイレが近くあせっている彼の耳には届かなかった。



プチ・トロワの花園に一人の女性がいた。長く青い髪をしておりその青は彼女がガリア王家の血筋であることを証明している。
手入れされた髪、そして彼女が身にまとっている平民どころかなみの貴族なら手の届かぬほど高価なドレスは高貴さをかもし出すが、
今の彼女からは何よりも怒りやねたみなどといった負の感情があふれ出ていた。
彼女、イザベラの機嫌をくずしたのは彼女の従妹の態度であった。
生卵、泥の入った豚の腸を投げつけ、下着姿にしてしもべたちのさらし者にしたというのに表情の一つも変えなかった。
まるで自分のことなど眼中にないかのようにだ。
  ガーゴイル
「あの人形、私をバカにしやがって……」
勝手と言えば勝手過ぎる怒りであった。イザベラも自身の身勝手さを感じないわけではない。
しかし自身の矮小さに気付きそうになると、その惨めな気分も従妹のせいだと思わずにいられないのだ。
眉間にしわを寄せ、庭園の花を愛でるというより射殺すような視線で見ているとき、彼女は視界に何者かが入りこんだのに気付いた。
「誰!ここは立ち入り禁止よ!」
「うわっ、え、っと、すいません、今すぐ出て行くんで!」
どうやら若い男のようだ。既に日は沈んでいるが庭園にある明かりで男の姿がぼんやりとだが見える。
黒い服を着た茶髪の少年のようだ。こそこそと去ろうとする姿を見てイザベラは意地悪く口を引きつらせた。
「待ちなさい。ここに来なさい」

陽介はトイレを探しさまよい歩いていると花が咲き乱れ、整えられた木々が並んでいる庭園に入った。
地球ではありえない二つの月光に照らされた庭園は言葉で言い表せないほど美しかった。
花というものに興味のない陽介も思わず見入っていると、突然どこからか大声で怒鳴りつけられた。
どうやらここは入ってはいけないところであったらしい。いそいそと元来た道に戻ろうとする。
しかし彼に警告した女性は何を思ったのか今度は逆に彼を呼びつけた。
陽介はよくわからないまま、言われたとおり彼女に近寄った。なにやらやんごとなき雰囲気の少女であった。
少なくともジュネスでは取り扱えない高級そうなドレスに身を包み、頭に冠をかぶっている。
美人といっていいが、つり目で陽介を射るように見ており、強気さが前面に出ている少女だった。
陽介はそのつり目とそして手入れの届いた長い青い髪と彼女の雰囲気に既視感を覚えた。
少女は陽介の違和感に構うことなくじっと見ながら話しかけてくる。陽介としては少し居心地が悪い。
「もしかしてあんた人形娘の使い魔じゃない?」
「人形娘?」
「人形みたいに感情のない娘よ」
もしかしてタバサのことであろうか?と陽介は思った。
人形とは決していい表現とは言えないが、感情を見せないこととこじんまりとして幼いながらも整った顔立ちは人形のようである。
「えーと、もしかしてタバサのことっスかね?」
なにやらエラそうな少女なので敬語を使っておく。
王族ならこんな砕けた敬語でいいものかと思わないでもないが、目の前の少女は気に留めなかったようだ。
「そう。あの人形にはぴったりな名前よね、タバサって。何あいつ本当にあんたみたいな平民呼び出したの!?
 騎士だの言われてるけどあいつの実力もこれで底が知れてるってものね」
話の途中から少女は下品に笑い始める。
陽介はむっとした。ハルケギニアに呼び出されて数日しか経っておらず、無口な彼女のことはよくわからない。
それでも彼女は衣食住を用意してくれているのだ(衣は基本学ランだが下着や学ランの下の上着を借りている)。
そりゃ、ここ数日は馬に乗せ腰を痛めつけてくれたものだがそれが全て彼女の責任とは思わない。
少なくとも完二の主だというSッ気たっぷりの少女に比べてはるかにいい少女だ。
色気たっぷりのクマの主の方がいいが、彼女が子供なのはそれも時間が問題で彼女のせいではない。
「タバサはそこまで言われるほど悪くねーでしょ」
「あんたあいつの肩持つの?」
彼女は面白いものでも見るようににやにやと陽介を見た。陽介は少女の言葉を真っ向から受ける。

「俺はあいつの使い魔らしいですし」
そうは言っても陽介は使い魔が何をするものか理解していなかったが。
この数日過ごしてみてもそれらしいことをした記憶もない。もちろん完二のように身の回りの世話をさせられたいわけではないが。
「ふーん……」
少女は陽介を上から下まで品定めするように見てきた。
陽介は居心地が悪くなり話題をそらそうとして先ほどからひっかかっていたことを尋ねた。
「えーと、あなたってタバサのご家族なんすかね?」
そう先ほど感じた既視感は目の前の少女がタバサと似ていると思ったからだ。青い髪もそうだが目もだ。
眼鏡をしていて物静かなイメージと合わないので印象に残りづらいがタバサはつり目がちなのだ。
「どうしてそう思うんだい?」
「なんとなく似てるって思ったんですけど……」
陽介の返答を聞くと彼女は何がおかしいのか笑い始めた。
「私があいつと?」
「あ、いや、雰囲気っていうかなんというか……」
更に彼女の笑いは強くなりヒステリックとすら言っていいものになった。
「王女の私が没落したあいつと?こき使われるあいつと?無表情のあいつと?トライアングルのあいつと?」
ゲラゲラと笑う少女に陽介は不快感よりも恐ろしさを感じた。
それから彼女は顔を下に向けて、はーあと息をついた。顔を上げたとき、そこから歪んだ笑みは消えていた。
だが、つき物が落ちたような表情は一瞬のことで意地の悪い笑顔を浮かべる。
そして彼女は陽介にぐっと顔を近づけてその指で陽介の胸を指す。
「いいことを教えてあげようか、使い魔。あの人形は喋らないかも知れないが私の趣味はあんたのご主人さま、従妹をいたぶることなのさ」
陽介は言語化された悪意に戸惑う。目の前の少女はどうやらずいぶんとタバサのことを毛嫌いしているらしい。
自分の主とやらになったらしい少女のことを陽助はまだよく知らない。
しかしそれでも彼女の悪口を言われるのはいいものではなかった。その悪意は自分にも向いているのだからなおさらである。
「もしかしてタバサにコンプレックスを持ってるんじゃねえのか」
その言葉は反撃の意を込めたものだった。だが実際、陽介が感じ取ったことでもある。さきほどからの少女の言動にゆがみを感じずにはいられない。
陽介の反撃は予想以上の効果を挙げたようた。
彼女の顔から意地の悪い笑みが消えた。しかしかわりにもっと強烈な感情が表れた。
眉間に深いしわが現れ目は大きく開いて、双眸は陽介を、いや陽介の向こうの何かをじっと憎憎しげににらみつけているようだ。
あ、やべ……。
陽介はその憤怒を見て言いすぎたことを早くも後悔した。
「出て行きなさい……」
底の低い声だった。
「あっ、いや、はい!」
陽介は首をがくがくとさせてうなずいた。
彼女の地雷をこれ以上踏まないようにゆっくりと歩いていこうとするとき背中から声をかけられる。
「名前は?」
「え、花村陽介っスけど……」
彼女の意図が読めないことと、先ほどよりは落ち着いた声であったので彼は思わず正直に答えてしまった。
「イザベラ」
すぐには理解できなかったがどうやら彼女の名前らしい。呼んでいいものか?
「えーとじゃあ、イザベラさん?お元気で?」
そういってイザベラの表情を窺いながら庭園を去る。

陽介が去った後、そこに残るのは当然イザベラだけであった。
「あの使い魔……」
コンプレックスを持っている――その言葉はイザベラの胸に突き刺さった。
それは間違いなく事実であった。そしてイザベラ自身も自覚していた。
彼女とは比べられないほどの魔法の才を持つあの小さな従妹。
彼女以上に王位継承者に相応しいと家臣たちから思われているあのシャルロット。
そのことを考えると胸が悪くなる。
なのになぜ?と自分に問いかける。
なぜ自分はあれほど無礼な平民を返してしまったのだろう?
なぜ名前を聞き、教えたりしたのだろう?
気まぐれだ。自分はあれが何かの暇つぶしになると考えた。それだけだ。イザベラはそう考えることにした。
「ハナムラ・ヨースケ……ふふ、変な名前」
イザベラは笑った。その笑みに不思議と悪意はなかった。

その変な名前の持ち主はというと、
「ダメだ、忘れてたけどモレそう!タバサ、トイレの場所教えてくれ!」
「我慢して」
「もっ、無理だって!」
尿意に苦しんでいた。

イザベラのこの夜の行動はきまぐれであった。
しかしその気まぐれは彼女の深い嫉妬を変えていくこととなる。


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