あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Maximusな使い魔 第05話


教室に入り、マキシマとルイズを待っていたのは、好奇の視線だった。
平民を召喚したルイズ、平民で見た事もないような大男。
どちらかというと、後者に向けての視線が多いのだろう。
生徒たちの視線は若干高い。

二人を見て、クスクスと笑う者やひそひそ話をし始める者もいる。
そんな連中を一瞥すると、ルイズは視線を避けるように一番後ろの席に座り、マキシマはその後ろで腕を組み壁に背を預けた。
「なぁ。俺は教室の外で待ってた方がいいんじゃないか?」
「ダメよ。さっきも言ったでしょ?使い魔は主人に付き添うものなの。それに、今日の授業には使い魔をつれて来いって言われてるのよ」

聞けば、使い魔同士の顔合わせも兼ねているらしい。
「生徒の人数と外の人外の数が合わないんだが……」
教室を見回して生徒たちの使い魔を観察しながら思った事を口にする。
「大きくて教室に入れない使い魔もいるけど…ほら、外を見て」
言われるままに窓の外を見ると、なるほど。教室に入る事の出来ないような大きな使い魔達は外で一箇所に固まっていた。

「…俺も結構大柄な方だろ?外でもいいと思うぞ?」
「いくらなんでも無理があるでしょ…。と言うより何でそんなに外がいいの?」
渋りまくるマキシマに、ルイズは怪訝な目を向ける。
「……いや…何だか場違いな気がしてならないんだが…」

その言葉に「あぁ~…」っと呟くルイズ。
確かに平民の巨漢が、学院の教室に居るというのは違和感が凄い。
様々な動物や幻獣がいるが、マキシマは特に目立つ。
周りの生徒たちも「何食ったらあんなにデカくなるんだよ…」「2メイルはあるぞ…?」等マキシマについて話しをしている。

「とにかく!あんたはここに居なさい!それに、あんたの居た所って魔法が無いんでしょう?ならここで少し勉強しておいたらどうかしら」
ふむ。と考えるマキシマ。

確かに居心地は良くないが、魔法がどのような物かを知っておいて損は無いだろう。
「りょーかい。それじゃあ俺もお勉強させてもらうかな」
諦めたらしいマキシマを見て、ルイズは満足そうに椅子に深く腰掛けた。
「そういえば、あんたのいた所にも魔法みたいなものがあるって言ってたじゃない?どういうも
のなの?」

思い出したようにルイズは聞いた。
「厳密には違うんだろうが…。まあその話はまたの機会にな」
教室に入ってきた教員と思われる中年の女性を見て、話を中断する。
温厚そうな見た目の女性は、近くにいた生徒達に笑顔で挨拶をしている。
「むぅ…」っと残念そうな顔をするルイズであったが、授業ならば仕方があるまいと諦める。

それまでおしゃべりに夢中になっていた生徒たちも席に座り始め、全員が席に着いたのを確認すると、女性は生徒達に激励の言葉をかけた。
「さて皆さん。春の使い魔召喚は全員成功したみたいですね。私も、この教室で再びあなた達に会えたことを、とてもうれしく思います」

マキシマがどういう事かルイズに聞くと、どうやら使い魔を召喚する事が出来なかった場合、進級する事が出来ないそうだ。
「まあ、実際に召喚が出来なかった事があったなんて話し、聞いた事がないけどね」
そう続けるルイズに、マキシマは「そういうもんなのか」と納得する。

教員の女性はマキシマに目を留めると、興味半分、驚き半分というような顔で、ルイズに声を掛ける。
「こ、これはまたずいぶんと珍しい?使い魔を召喚したものですねぇ。ミス・ヴァリエール」
「は、はい。私自身かなり驚いています…。アハハハ…」
落ち込んだような笑い方をするルイズの耳に、聞き覚えのある声が飛んできた。

「おい!ゼロのルイズ!召喚に失敗したからって、その辺にいた平民を連れてくるなよ!」
昨日ルイズと言い争いをしていた小僧だ。確か名前はマリコルヌだったか。
そんなマリコルヌの言葉を、ルイズは屁とも思ってないようだ。
「先生!グランドプレ君は気分が優れないみたいです!誰かが医務室に連れて行かないと
倒れてしまいます!その証拠に、昨日あった事も覚えてないみたいで…」

ルイズが心底心配そうな顔を作って言う。
その言葉に「まぁ!大変!」と慌てる女性。
当の本人は何が起きているのかが理解出来ていないようで、首をかしげている。
「昨日から心配してたんです。声が枯れてて、風邪じゃないかって言ったんですけど…」

ようやく自分が馬鹿にされている事に気づくマリコルヌ。
「おい!ゼロ!僕は風邪なんか引いてないぞ!?いい加減な事いうな!」
「聞きましたか先生!今のガラガラ声!昨日より酷くなってますよ?」
ルイズの演技に、女性は完全にルイズの言う事を信じてしまった。

「ミスタ・グランドプレ!貴方がどれだけ勉強熱心でも、風邪を引いていてはいけません。今は十分休養を取って、風邪を治してから授業に出ましょう。それまでは医務室から出てはいけませんよ?」
「そ、そんな!?僕は風邪なんか!」
そんなマリコルヌの悲痛な叫び声にも、教師は首を振る。
「その言葉は、まず喉が治ってから聞かせてください。医務室からここまではそんなに離れていませんから、そこのあなた。彼を医務室まで連れて行ってあげてください」
そう言って本を読んでいた青い髪の小柄な少女を指名する。

少女はコクリと頷いて、片手で本を読みながらマリコルヌの襟首を掴んでズルズルと引きずって行ってしまった。
引きずられてゆく最中、マリコルヌは何かを叫んでいたが、何を言っていたかは誰も聞き取れなかったようだ。
「さて。ミス・ヴァリエールの使い魔さん…じゃ呼びづらいですね。私はこの学院で教師をしているシュヴルーズといいます。あなた、お名前は?」
「マキシマだ。魔法の事について詳しくご教授していただくと助かる」
「まぁ!私の授業に興味が?そうですね。それでは皆さん。今日の授業は、昨日の召喚の儀式をひとまずの区切りにして、これまでの授業のおさらいにしましょう。では彼の主人であるミス・ヴァリエール。魔法の四大系統をお答えください」

シュヴルーズがルイズを指名して、問題を出す。
「火、水、風、土、です。メイジはそれぞれ自分の得意な系統を持ち、使い魔はメイジの得意系統にあったものが召喚される事が多いです」
自信たっぷりに答えるルイズに、シュヴルーズはパチパチと小さな拍手を送った。

「その通り。そしてメイジにはドット、ライン、トライアングル、スクウェアというようなクラスがあり、クラスが上がるごとに
使える系統が一つ増え、魔法に必要な魔力の消費量が減っていきます」
ルイズの説明にそう付け足すと、シュヴルーズは懐から小石を取り出して教卓の上に置く。
「私の系統は土。土系統は汎用性に優れていて、とても便利です。代表的なものが、錬金ですね。『イル・アース・デル』」
唱えながら杖を振るうシュヴルーズ。
すると教卓の上にある小石が黄金色に輝いた。

「ゴ、ゴールドですか!?ミス・シュヴルーズ!」
キュルケが思わず身を乗り出すが、シュヴルーズは首を横に振った。
「残念ですがこれは真鍮です。ゴールドを錬金するとなると、それこそスクウェアクラスの技量と魔力が必要になりますからね」
シュヴルーズの回答に、キュルケは本当に残念そうな顔をする。

(結構現金な性格してるんだな…)
(そうね…)
マキシマが小声で話し掛け、ルイズが同意。
キュルケが振り向いてルイズとマキシマを見たが、二人はあらぬ方向を見て目を逸らす。

「それでは誰かにこの『錬金』をやって貰いましょうか」
そういうと教室を見渡すシュヴルーズ。
「ではミス・ヴァリエール。お願いできますか?」
「ま、また私ですか!?」

まさか二度も指されるとは思っていなかったルイズは驚いたように聞き返す。
「ええ。自分の使い魔にいい所を見せるチャンスですよ。さあ、こちらに来てください」
言われるがままに教卓に向って歩き出すルイズ。
しかし、生徒の一人が声を上げた。

「先生!危険です!そいつに魔法を使わせちゃダメです!」
他の生徒達も必死にシュヴルーズに抗議したが、ルイズの魔法を見たことがないシュヴルーズには、何故生徒達がこんなに騒ぐのか理解できなかった。
「心配ありませんよ。錬金は土系統でも初歩の魔法ですから」
「先生は知らないだけなんです!ゼロのルイズが魔法を使うと…」

教卓に向うルイズの背中を見送りながら、マキシマは何故自分の主人が『ゼロ』と呼ばれているのかを考えていた。
(良い意味ではないんだろうが…なぜ『ゼロ』なんだ?)
マキシマの疑問は、その後すぐに解消した。

「それではミス・ヴァリエール。この石を何でも良いので何か別の金属へ錬金してください」
「は、はい…」
ルイズの返答に、教室の生徒達が青ざめ、ざわつきだす。
そしてルイズが杖を取り出すと、生徒達が皆教卓から離れたり机の下に隠れたりしている。

「さあ、落ち着いて。大丈夫。あなたはとても勤勉な生徒です。きっとうまくいきます」
一度だけ深く深呼吸をして、ルイズが杖を振り上げた。
そのタイミングで、教室の扉が開いた。

「先生!僕が風邪じゃない事は、医務室の先生に証明してもらいました!」

「「あ」」

意気揚々と教室に戻ってきたマリコルヌが、光に包まれる。
石が、爆発した。

「こんな筈はぁぁーーッ!!」
シュヴルーズは黒板に叩きつけられ、マリコルヌは廊下へと消えていった。
飛んでくる破片を手で払いながら、マキシマは考える。
(何故失敗したんだ?確かにあの教師と同じようにスペルを唱えていたはずだ…)

「このゼロ!またやりやがった!」
「いつになったらまともに魔法を使えるようになるんだ!」
「一生無理だろ?」
「言えてる」
生徒達は、机の下から出てくると、ルイズに向って野次を飛ばし始めた。
悲しそうに俯き、こぶしを握り締めるルイズ。

(なるほどな…。成功率『ゼロ』パーセントってことか…)

爆発音を聞きつけた数人の教師達がやってきて、爆心地のすぐ近くにいたルイズを見てため息を漏らす。
授業を中止させて、ルイズに教室の後始末を命じると、生徒達と一緒に教室を出て行った。
教室に残ったのは、ルイズとマキシマだけだった。

二人は黙々と破片を拾い集め、煤だらけになった床や机を拭いていく。
「…分かった?私がなんで『ゼロ』なんて呼ばれてるのか」
「…ああ」
不意にマキシマに声を掛けるルイズ。

「私ね、一度も魔法が成功したことがないの…。一度もよ?ドットにもなれない、一にも満たないゼロ…。笑っちゃうでしょ?」
自嘲気味に語るルイズには、普段の覇気がまったくない。
聞いてる方が悲しくなるような声で、ルイズは続ける。
「失望したでしょ?笑いたければ笑っていいのよ?」

ポロポロと涙を零しながら喋るルイズの頭に、マキシマが手を乗せる。
「…ゼロじゃないだろ?」
「え?」
鼻をすすりながら、聞き返す。

「ゼロではないだろう。現に、俺を召喚したのは嬢ちゃんだ。違うか?」
マキシマの言葉に、呆気に取られるルイズ。
「まさか、励ましてくれてるの?」
「いや、事実だろう?だから、俺は今ここにいる」

それに と続けるマキシマ。
「見返してやるんだろ?嬢ちゃんを笑った連中を」
その言葉に、ルイズは頷いた。

「そうよ。確かに今は魔法が使えないかもしれない…。でも、諦めないわ!絶対に偉大な貴族になってみせる!」
胸を張り、そう宣言したルイズは、服に付いた汚れを払う。
「さっさと終わらせるわよ!昼食に間に合わなくなっちゃう」
そういって作業に戻ろうとするルイズ。

「その前に、やる事があるだろ?」
「…何よ?」
「顔。洗ってきたらどうだ?」

ガラスの破片を見せると、ルイズは「うっ…」と唸った。
ルイズの顔は、煤と涙の跡で酷い事になっていた。
「ち、違うのよ!別に泣いてなんかないんだから!」

そういうと、教室の外へと走ってゆくルイズ。
その姿を、マキシマは微笑ましそうに見送った。



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