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虚夢の盾と剣

茜さす空 一陣の風 囲む焚火は 揺らめいて
もしも夕陽が 沈まぬならば ただ今だけを 笑うのに
集う者らの 沈んだ顔に 笑顔も何も ありゃしない

“最後かもしんねぇんだろ?”

静けさ斬るは 一振りの剣 文字のまんまの 錆刀
口も無ければ 顔も無く 器用に鍔で 語りだす

“だからよ、全部、話しておきてぇんだ”

耳を傾け 聞いてはくれぬか これは誰かの 物語
少し長くは なるかもしれぬ どこか遠くの 物語


      虚夢の盾と剣
~出会 -The Starting of Parting- ~


それはいつかの 星降る夜に 大きな街で 動き出す
それはいつかの 祭りの夜で 街の灯りも 眩しくて
それはいつかの 星すら見えぬ 袋小路の 片隅で
それはいつかの 路地裏の隅 武器屋の棚の その奥で
それはいつから あったのだろう 朽ちても未だ 話す剣

“あんまりにも珍しいからよ、武器屋のオヤジが手放さなかったのよ!
 ほれ、看板娘ならぬ、看板剣ってヤツ? 人気者にもほどがあらぁな!”

「まったく……客は来んし、五月蝿い剣は今日も売れ残るし、最低の一日じゃわい」

それはいつかの うらぶれ通り 店のオヤジは 愚痴ばかり
ホコリまみれの 床板きしみ 棚には立派な クモの巣が
その棚の奥 安売りの札 貼られた刀は やかましく

「グチグチ言ってんじゃねぇーよ! 営業努力もしてねぇクソが何言ってやがる!」
「うっせぇデルフ!来月も売れ残ってたら今度という今度は炉で溶かしてやる!」
「上っ等でぇ!来月までこの店が残ってたらやってもらおうじゃねぇか!来週まであったら大ぇしたもんだ!」
「言いやがったなこのサビっサビのボロ刀がぁっ!」
「おう、何度でも言ってやらぁ!ボロッボロの臭い店の店主がよぉっ!」

“とはいえ、こんな店ん中ずっといたんじゃ、『夢も希望もありません』ってなもんでよ!
 とっととシャバにおん出てやりたかったわな!”

それはいつもの ののしりあいで 今日も言葉が 売り買われ
武器は売れぬが 喧嘩は売れて 買ったはいいが 益も無く

「あー!今日と言う今日は堪忍袋の緒も切れた!今すぐにでも俺が叩き折ってやる!」
「やれるもんならやってみな!腐ってもこちとら剣でぇ!てめぇの骨が折れるのがオチだろうよっ!」

人同士なら 胸倉つかみ 互いをにらめば 良いのだが
人と剣では 勝手も違い 店主が剣を つかむだけ
そんないつもの 裏路地の店 男がフラリと 立ち寄って
扉がきしみ 開いたときに 腐った風が 入れ替わる

「人間様なめんじゃねぇよこのクソボロかた……っと何か御用でしょうか?」

客とおぼしき 男が一人 入るや否や 豹変し
汚い剣は 後ろに隠し 足でホコリを 追いやって
さぁさ売るぞと 気合いも入り オヤジが客を 見た途端
寒気と言えば 最も良いか 夏の盛りに 冷や汗が

“すぐ分かったぜ。『タダモンじゃぁねぇ』ってな。
 まぁ、おれっちぐれぇじゃねぇと、分からなかったろうがな!”

「な、何か御用でしょうか?」

音無くゆるり 幻ごとく 入った客の 風貌は
紅衣(くれないごろも) 腰に酒瓶 こけた顔には 黒眼鏡
左の腕は 袖に通さず 襟の元から 覗かせて
痩せてはいるが 貧相で無し 筋の通った 男前
匂う気配は 剣客の物 鋭い殺気は 本物で

「剣を、見せてもらおうか」

有無を言わさず 穿つ眼光 射抜く店主の 目は怯え 

「へ、へい!お客さんほどの使い手様でしたら、こちらの大剣などはいかがでござんしょ?
 これはかの有名なシュペー伯の……」
「いや、お前の後ろ。その剣だ」

意外も意外 男が指すは ギンギラ光る 太刀で無く
どこから見ても 古びているし 錆もつきたる ナマクラを

「へ?こ、このボロ刀で?いや、こいつは……」

“店主の野郎が渋りやがってさ!よっぽどおれっちを手放したくないと見えたんでね!
 だからさ、自分っからアピールすることにしたのよ!” 

「おれっちに目ぇつけるとはいい目ぇしてるねぇ、オッサン!気に入った!買ってけ!」
「で、デルフ、お前は黙ってろ! いやね、インテリジェンス・ソードなんざ誰が作ったんでしょうね?
 ボロいは、五月蝿いわで……あ、こいつはすぐに引っ込めますから……」
「いや、それが良い」

袖の下から じゃらりと音が 店主の方に 押しつけて
開いてみれば かくも驚き 山吹光る 銭の海

「足りんか?」
「いえ、いえいえいえいえいえいえいえいえ!?め、めっそうもござんせん!?
 というか多すぎでございますですよ!?ほ、本当にこのボロ刀で……」
「良い」
「おらぁ、オヤジ!良いっつってんだから良いじゃねぇか!とっととおれっちを売りつけやがれ!」
「本当に、よろしいんで?後でダメって言われましても……」
「構わん」
「そ、それでは……やいデルフ!粗相の無ぇようにな!」
「へっ!やっとおん出られてせいせいすら!アバヨっ!」
 ・
 ・
 ・

久方ぶりの シャバの空気は 驚くくらい 澄んでいて
賑やかなまま 互いに競う お空の星と 街の灯が
夜風に吹かれ 一人が歩き 幽霊みたく ゆらゆらと
一振りはただ 陽気に浮かれ 下品な声を ぶちまけて

「――いっやぁ~!相棒みてぇないぶし銀の使い手に選ばれるたぁ嬉しいねぇ!
 おれっちも武器としちゃ長いが、ここまで久しぶりに外出られたのはいつだろうよ?
 いや全然記憶が無ぇんだけどもな?6000年ほど生きてるはずだがすっかり忘れちまって……」
「そうか」
「あ、そうそうそう!自己紹介がまだだったな?おれぁ、デルフリンガーってんだ!デルフって気易く読んでくれよ!
 もちろん、『デルフ様』でもいいぜ?……っ冗談だよぉ~!相棒に上から目線、なわけねぇじゃん!だっはっはっは!」
「そうか」
「――んでー、相棒の名前はなんてぇのよ?」
「アーロン」
「お、渋いねぇ、名前まで渋いねぇ!いいよ、渋くて!
 ……渋くていいんだけどよ?もうちょっと会話してこうや?なぁ?」

“正直、うかれてた。 久しぶりの外でよ、うかれてたんだ。
 だからよぉ、色々気付かなかったんだなぁ。

 街の灯りが、夜だってのに明るすぎるぐらい明るかったこと。
 相棒の格好なんざ、ハルケギニアじゃまず見ない格好だったこと。
 オマケに、街の連中の服もまた全然違う格好だったんだよな。
 いくら記憶は無くてもよ、ここまで世の中、時代が変わっちまってるもんか?

 そんなことに気づくのも、大分、後んなってからだった”


「なぁなぁなぁ?相棒は職業何よ?メイジって訳じゃぁねぇんだろ?あれか、傭兵とかか?
 それともあれか、賞金稼ぎか?相棒のこった、たんまり稼いでやがんだろうなぁ~!あとはそうだなぁ……」
「ガードだ」
「そうそうそう、がぁどでもたんまり稼いでいけそうだよな!  ってがぁど?何でぇ、そのがぁどってぇのはよ?」
「そのうち分かる」
「つれねぇなぁ、いいじゃねぇかよ、相棒!」
「先は長い。急ぐぞ」
「急ぐってどこによ?」
「……来るぞ」
「来るって、何が?       ぅぉ!?」

まるで地面が のたうつように 水面が風に 舞うように
お祭りに沸く 市民の声が 全て悲鳴に 塗り替わり
水風船の ように弾けて 瓦礫を散らす 魔天楼
街全体が 波間に落ちて 掻きまわされた ようになり
そいつはまるで 悪夢のようで 街は歪んで 崩れてく

「な、なんだなんだなんだ!?せ、戦争でもおっぱじまったのか!?」

そんなことなど お構いなしに 男はゆるり 歩を進め
夜風はぬるく ぬるりと歪み まとわりついて 満ちていく

「あ、相棒!相棒ってばおい!何がどうなってんだよ!?」
「知りたいか?」
「あぁ!?」
「真実を、知りたいか?」

試すがごとく 射抜かれる目に 流石の剣も たじたじと

「お、おうよ!し、知りたく無ぇわけねぇだろうよ!?」
「では、行くぞ」
「だぁからぁ!?どこにだっての!?」

崩れた壁を 避けて通り 男はゆるり 歩を進め
泣いてるガキに 目もくれないで 男はゆるり 歩を進め

「お、おいおい、ちょい待てよ!ストップ!ストーップってば!?何かあんぜ?おい?」

それは奇妙な 卵のようで 地面の上に 立っていた
卵と言えば ツルンとするが そいつは岩の 質感で
尺はと言えば 大人の高さ 頭一つは 出るところ
何より妙と 言うべき点は 怪しく蒼く 光るとこ

「何よ、これ? うっは、またびっしりありやがるな……」

磯辺の裏の フジツボごとく 妙な卵は びっしりと
瓦礫の岩と 蒼い光に 埋め尽くさるは 大通り

「なんっか薄気味悪ぃ…… げ、動いた!?」

卵が孵る グネリと孵る グシャリと孵る 気味悪く
中から出るは 甲羅の光る 羽の生えたる 虫のよう
そいつが吠える 音甲高く 異界の魔物に 相違なし

「う、うわぁ、なななんだよ、こいつ!」
「……お前が使えるか、試すか」
「は!?」
「前にいるヤツだけを倒して、道を切り開くぞ」
「ちょ、ちょいちょいちょいぃぃ!?あれ斬るの!?ちょっとキモくね!?」
「耐えろ」

言うが早いか デルフを背負い 構える姿 勇ましく
陣風起し 牙龍のごとく 襲う姿も 猛りたり
征伐するは 目前の敵 煌めき爆ぜる 流星の

「ふんっ!」

錆びた刀で 青竹ごとく スパンと斬るは 鮮やかに
飛び散る血色 いと青白く ぬとりと粘って 地に落つる

「おわっ!? す、すげぇ!?堅そうな甲羅一発だぜ!?」

だがそれだけで 終わりと行かず 孵る卵が 増えていく
見渡す限り 蒼い光で ひしめく虫の 禍々し

「こ、これ全っ部斬るのかよ!?」
「流石に、面倒だな」

そう言った後 衣を直し 目をつけたるは 円筒の

「焼き払うか」
「ど、どうやってよ!?」
「こうやって、だ」

斬ってしまうは 鋼の筒を 中に溜まるは 燃ゆる水
瓦礫も虫も 大通りすら 燃やし尽くすが 火炎なり

「どわぁ!?相棒!?危ねぇ!?危ねぇから!?自爆するつもりかってんだってーの!?」

燃ゆる業火に 飛ばされそうに 気づけば空が 渦巻いて
渦巻く天の そのど真ん中 白い光が またたいて

「覚悟を決めろ」
「な、何言ってやがんで――」

剣士は剣を しっかと握り 身体が宙に 浮かんでく
見れば全て 天に落ちると 星も何もが 飲み込まれ
白い光が 瓦礫も何も 飲んでくれると 口を開け

「他の誰のものでも無い」
「は!?」
「これは――お前の物語だ!」
 ・
 ・
 ・

“なんつーかよ?シャバに出たらいきなり街が崩れてよ?んで光る空でよ?『お前の物語』だなんて言われてよ?”

香る青草 見える青空 流れる雲は 春先の

「あ、あんたが私の使い魔!?」
「そのようだな」

“それ越えたら今度はどっかの原っぱでよ?おれっち頭がグルグルしてきちまってさぁ……”

「ルイズが……」
「人間の使い魔だぞ!」

“おれっち、こう……叫びたい気分になっちまったんだ!”

「な、なんだってんだよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「け、剣がしゃべった!?」

トリステインは 魔法学院 春風舞うは 新学期
今日と言う日に 使い魔の儀を 果たした乙女 驚いて
出会った剣と 出会った剣士 どうなることか 物語

―――― 春風や いづれ別るる 出会かな ――――

「ファイナルファンタジーⅩ」よりアーロンを召喚


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