あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Maximusな使い魔 第01話


ルイズは、嬉しかった。
自分の召喚した平民が、今まで自分を馬鹿にしていたクラスメートの前に
立つ。
たったそれだけの事だった。

ルイズの目から涙が零れた。
それを他のクラスメートたちに見られなかったのも、平民の彼が私に背を向けて、
その大きな体で隠してくれたおかげだ。
それがルイズにはたまらなく嬉しかった。

この学院に、彼女の味方はいなかった。

入学当初は彼女にも友達と呼べる仲間がいた。
最初の頃は魔法を失敗しても
「大丈夫だよ」「次は成功するわ」「諦めないでがんばって」
等、優しい言葉をくれたクラスメートたち。

しかし時を重ねるにつれて、励ましの言葉も「ハァ…」というため息に変わり
彼女の周りにいた人たちも次第に離れていってしまった。
今では、「またかよ…」「いい加減にしてくれ」「成功率ゼロだな」
という失望と呆れの声に変わってしまった。
「成功率ゼロ」「才能ゼロ」「友達ゼロ」
と言われ、「ゼロ」というとても不名誉な二つ名をつけられてしまった。

だけど彼女は諦めなかった。

基本的な知識だけでも他人よりもずっと多く取り込んだ。
単純なコモンマジックを一回でも成功させようと、徹夜で唱え続けたりもした。
図書室にこもり、一日中魔法の使い方に関する本を読み続けたなんてのは
毎日のようなことだった。

しかし、彼女は一度も報われなかった。

そんな彼女の前に、とても大きな背中がある。
まるで自分を守ってくれるように。
その背中を見ていると……不思議と安心できた。


――――――――――――――――――


「…坊やだって…?おい平民、誰に向って口をきいているのか分かっているのか!?」
小太りな少年は、頬の肉をプルプルと震わせながら怒りを露にしている。
しかし少年は、彼の大きい体に威圧されているのか、若干後ずさる。
二メートル以上もある長身で、かなりガタイのいいマキシマの目の前で
威圧されないものなど、KOFの参加者くらいではあるが。

「おいおい。初対面なのに誰に向って……ていうのはないだろう?それとも
自分が有名人だとでも思っているのか?」
マキシマが肩をすくめる。
「僕の格好をみて分からないのか?とんだ田舎者だな!…まぁいい。無知な平民にも教えてやる。」
少年は偉そうに腰に手を当て、エッヘン!とふんぞり返る。
腹の肉を上下に揺らしながら、少年は続ける。
「僕の名はマリコルヌ。風上のマリコルヌだ!平民!!貴族に名乗らせたんだぞ!
頭を下げろ!!」

「いや。別に自己紹介をしろ。なんて言ってないんだがなぁ…」
マキシマがポリポリと後頭部をかく。
この少年、マリコルヌは、自分を貴族だといった。つまり、どこかの金持ちの坊ちゃん
なのだろうか。

辺りを見回してみる。
同じ格好をした子供たちが、こちらを見下すような目で見ている。

どうやらここにいる全員が「貴族」で、こちらは「平民」という解釈なのだろう。
そうすると、俺はこの小僧に「下」に見られている訳だ。
あまり気分のいいものじゃないな。

「貴族ってのはもっと紳士的なやつのことだと思うんだがな。少なくとも女の子一人に対して
罵声を浴びせるやつのことじゃないだろう」

彼が言う言葉を、ルイズは黙って聞いていた。

「平民風情が言ってくれるじゃないか…。どうなるか分かっているのか?」
マリコルヌが、懐から杖を取り出し、マキシマにビシッと突きつける。
マキシマが「なんだそりゃ?」と杖を見ていると、
「いいぞマリコルヌ!」「生意気な平民に罰を与えろ!」
等、他の子供が騒ぎ立てる。


…平民に守られてちゃダメ。
貴族は平民を守るのよ!

彼女は決心する。


マキシマの手をクイクイっとルイズが引いた。
「どうした?嬢ちゃん」

「…もういいわ。もう大丈夫…ありがと」
「そうか」とマキシマが微笑みながらルイズの肩をポンッと叩く。


もうルイズの目には、涙は無かった。


ルイズは、マリコルヌの前に堂々と仁王立ちをする。
「なんだゼロのルイズ。姿が見えないからもう実家に帰っちゃったのかと思ったよ」
「お生憎様。風邪っぴきに何を言われようと、出て行かないわよ。
あなたこそ、家に帰って休んでいたら?早く風邪が治るように」
負けじとルイズも言い返す。

いつもの調子に戻ったルイズを見て、赤髪の少女はホッと胸をなでおろす。
「僕は風邪っぴきじゃない!風上だ!」
「あら?声が枯れてきてるじゃない。大丈夫?早く家に帰らないとぶっ倒れるわよ?」
「地声だ!!」

ギャーギャーと騒ぐ生徒たちにハゲ頭、コルベール教員が気付いたのはそれから
十分後であった。

――――――――――――――――――


「オッホン!さて…。ではコントラクト・サーヴァントを行ってください。ミス・ヴァリエール」
その言葉にルイズは「え?」と、間抜た声で返事をした。

「お言葉ですがミスタ・コルベール。彼は人間の平民にしか見えないのですが…?」
「そのようですな」

こともなげにコルベールは答える。
「いいですか?ミス・ヴァリエール。この使い魔召喚の儀式『サモン・サーヴァント』は
とても神聖な儀式なのです。『コントラクト・サーヴァント』は、最初に呼び出した生き物と
行わなければなりません。例えそれが人間の平民であろうと貴族であろうと。この儀式に反するという事
は、始祖ブリミルに反するということですよ」

ルイズはうめき声をもらした。
「でもでも!人間の使い魔なんて前例がありません!」
なおもルイズは反論する。
「なぁに。何事にも初めてというのは存在するのですよ」
「じゃあ!使い魔召喚をやり直「それとこれとは話が別です」…」

途端に元気が無くなったルイズ。

「この平民にも色々事情があるだろうし…」
と、最後の反対をするが、黙って首を横に振られてしまう。
ルイズは「ハァ…」と肩を落とした。

その様子を、他人事のように観察していたマキシマに、ルイズが近づく。
「なんだ?」
「ねぇ。届かないからしゃがみなさい」
「?」
なんのことだ?と言いつつ、少女に言われたとおりにする。

するといきなり少女にキスをされた。
「!!おいおい、俺がいい男だってのは分かるがイキナ…!?」


まず、何が起きたのか分析する。
左手の甲に正体不明の熱が襲う。
視界に謎の文字列が流れ、最後に見たことも無い文字が左上に小さく残る。
自分の目で確認するため、着けていたグローブを外す。

そこには、視界の隅に残された謎の文字と同じものがあった。
熱が引くと、今度は手の甲の文字が輝きだす。
「なんなんだ!こいつは!」
「落ち着きなさい。使い魔のルーンが刻まれているだけよ」
ルイズは涼しい顔で答える。

そこでマキシマは、妙な感覚にとらわれた。
(なんだ?妙に体が軽いぞ?それに……分析能力や思考・判断能力が飛躍的に上昇している)
これは一体…。
(この文字のせいか?どうやらこの効果を一時的に消すことも出来るらしいな。)

視界端の文字の情報にファイアウォールのような制限を掛ける。
すると左手のルーンが輝きを失う。
(この文字は後で分析するか…)

そう考えていると、例のバイクオタクのハゲ(マキシマはそう思っている)が
近づいてきた。
「見たことの無いルーンですね…。少し写させてもらってもよろしいですか?」
かまわない というと、せっせと紙に書き写していった。

「それでは!今日のところは自分の部屋に戻って自分の使い魔と交流を深めてください!」
コルベールがそう生徒たちに言うと、子供たちは塔に向って進んでいった。


空を飛んで…。


「まさか本当にファンタジーの世界に来ちまった訳じゃないだろうな…?」
マキシマが目頭に指を当てて呟く。

正確には彼の周りにも空を飛べる人は数人いるのだが。

例えば彼の相棒は空中で「シャラー」と言いながら飛べる。

「ルイズー!お前は歩いて帰れよ!」
「お前は『フライ』はどころか『レビテーション』も使えないからなぁ!」
馬鹿にしながら飛んでいくクラスメートに
ルイズが冷めた目で杖を向けると、慌てて逃げていった。

今この場に残っているのはルイズとマキシマ、ついでにコルベールの
三人だけだった。
「気を落とさないでください。ミス・ヴァリエール。貴女はサモン・サーヴァントを成功させたのですよ」
「えぇ。大丈夫ですよ。それに、いつか必ず見返してやりますから!」
コルベールはルイズの言葉に、深くうなずいた。

「それじゃあこの辺で」
と、マキシマがバイクに乗ると、ルイズとコルベールは顔を見合わせた。
「何言ってるの?あなたも来るのよ」
ルイズの言葉に、マキシマは耳を疑う。
「何をいってるんだ?俺はこれから帰らなきゃならないんだが…」
その言葉に、コルベールは「アチャー…」っという顔をする。


「その…言いにくいんですが…」
コルベールが申し訳なさそうに話出す。

「帰れないわよ?」
   「「!?」」

ルイズがお構いなしに続ける。
「今…なんて言った…?」
「だから、帰れないわよ?」
コルベールが、言いにくかった事をサラっと言ってしまったルイズに
(空気読んでください!)と、念を送ってみるが、無駄だった。

「帰れないなんて事はないだろう。所でここは何処なんだ?」

「聞いたことくらいあるでしょ?ここがかの有名なトリステイン魔法学院よ」
「知らん」
即答する。

「相当な田舎者ね。ハルケギニア中探してもこの学院を知らないひとなんていないわよ?」
「なんだその古代生物みたいな国は。聞いたことがない」
ルイズが「ハイ?」と聞き返す。


「違うわ。ここはトリステイン王国よ。ハルケギニアは国じゃなくて大陸の名前。
ドンだけ田舎者なのよ…」
今度はマキシマが「ハイ?」と聞き返した。
「まてまて。誰も知らないような、地図にも書かれないような小さな国があるっていうんなら分かるが…
そんな大陸は聞いたことが無い……!?」
もしやと思い。
「カナダって国は知ってるか?俺の生まれた国なんだが…アメリカは?」
「聞いたことないわ」
マキシマは深いため息を吐いた。

やはりここは別の世界らしい。

「さあ。積もる話はあるでしょうが、それは部屋に戻ってからにしてください」
コルベールはそう言うと。帰るための準備を始める。

しょうがない。帰る方法が見つかるまで、しばらくやっかいになるか。

そうマキシマが考え、バイクのエンジンをつける。
「なんなのその椅子。うるさいわね!」
「何?こっちにはバイクもないのか」
そういうとマキシマは体を少し前へずらす。
「後ろに乗りな。嬢ちゃん」
ルイズは頭に「?」を浮かべつつ、マキシマの後ろに乗り込む。そして

「私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。嬢ちゃんじゃないわ」
「そうかい。しっかり掴まってな」
マキシマは答えると、一度エンジンを吹かしてから、すぐに進みだす。
「ちょっと!私が名乗ったんだから!?いやぁぁぁぁああーーーーーーーー!?」

グンッと加速すると、ルイズの悲鳴を残してすぐに見えなくなってしまった。

「おお!!あの椅子はマジックアイテムの一つなのか!?しかしディテクトマジックにはまったく反応がなかった…!
もしや!人為的に作られたものなのか!?う~む…今すぐに聞きに行きたいが…明日にしておこう」


彼はまだ知らない。あの乗り物どころか、あの使い魔自身の体が、人為的に作られた「ネスツ」の科学の結晶という事を。




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