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ルイズとヤンの人情紙吹雪-09


「くぅー! ぐぅーーーッ! うーッ!! ヴァ、ヴァリエールのクセに・・・私より先にヤンとデートとは生意気なんじゃないの・・・!」
憤慨している少女がいる。
燃えるような赤髪と褐色の肌。
整った顔立ちとナイスばでーを持ち、これに惹かれない男などいないであろう極上の美少女と言える。
そして隣には、幼い未発達の体、しかし将来限りなく有望と思われる青髪の美少女。
いい意味で対照的なコンビは、現在悪い意味で対照的なコンビを追跡中・・・。
追跡目標はピンクのちんちくりんと黒いお兄さん。
先刻、武器屋から出るのを見届けた。
店から出たヤンは見窄らしい剣を片手に握り締めていた。
チャンスだ!
そう思った。
ヴァリエールはヤンに、あんな剣しか与えなかったのだ! そうに違いない!
ここで一発、最高級の剣でもプレゼントすればヤンの心を一気に手中に収められる!
「所詮、ヴァリエールなどツェルプストーには敵わない! ルイズ敗れたり!」
思わずガッツポーズで叫んでしまった。
「・・・・・・ばれる」
相棒の沈黙少女の的確な突っ込み。
「ハッ!? そ、そうね・・・私としたことが危なかったわ ありがとうタバサ」
そんなこんなで大枚はたいて『ゲルマニアの錬金術師シュペー卿が鍛えし業物』を購入。
後はタイミングを見計らいヤンとルイズに接触。
そしてルイズの目の前で、この大剣を渡すのだ。
歓喜の余りヤンは、『主』であるヴァリエールの目の前で思わず私に・・・・・・熱い抱擁・・・そして・・・。
情熱的で濃厚なベーゼ!
ルイズ涙目(笑)
これよこれ!
我ながら恐ろしいぐらい完璧な作戦ッ・・・!
ルイズらは大通りに出るとそのまま食事処へと入る。
キュルケ達も半刻程の間を置きそれに続く。
ピンクと黒はとても目立っている。
というのもデコボコっぷりもさることながら、問題は注文の量。

ヤンの健啖っぷりには恐れ入る。
尤も、自分の親友タバサも負けてはいない。
自分の隣で、まるでヤンに対抗するかのごとくの食欲を発揮している。
「もぐもぐもぐもぐもぐ・・・・・・ごくん・・・・・・場に動きあり」
タバサの言の通り、寛ぎ食事をとっていたヤン御一行のテーブルが騒がしくなった。
ルイズが突然、立ち上がり喚き立て始めたのだ。
はた迷惑な奴らね。
だがこれはヤンに接触する最高のチャンス。
「いくわよタバサ!」
立ち上がるキュルケに促され、タバサは慌てて残りの食事を掻き込む。
赤毛の友人はゆったりとした足取りでルイズらのテーブルへと歩み寄って行く。
ルイズがこちらに気づいたようだ。
顔を顰め、あからさまに嫌な表情。
「うるさい奴がいると思ったらヴァリエールじゃない。 あら! ダーリン! こんな所で偶然会えるなんて・・・これは運命って奴なのかしら? ね♪」
1日中付け廻しておいてよく言うものだと、タバサは半ば呆れながら感心する。
「げっ! ツ、ツェルプストー! なんでこんな所にいるのよ!」
「お キュルケじゃネーか ん? こっちの嬢ちゃんは・・・」
キュルケの横にいる小じんまりとした少女。
・・・。
コイツは・・・。
あの時・・・俺を監視するかのような目で見てやがったガキ・・・。
「あ ダーリン初めてだった? この子はタバサって名前で私の友人よ」
キュルケに紹介されペコリと頭を下げる。
そしてこっちを眺めてくる。
後方からのルイズの怒気の篭った視線とも違う。
目の前のキュルケの熱い視線とも違う。
観察の視線。
「クはははハは この前から俺のこと見てっケど何か分かったかのかよタバサちゃん?」
口角を引き釣り上げて哂って見つめ返す。
「ッ!?」

少女は焦った。
見ていることはバレてもしょうが無いとしても。
だが今、この男は『何かわかったか』と聞いてきたのだ。
言外に自分には重大な秘密があります、と申告したようなものだ。
意図がバレてる・・・!
そしてからかわれているのだ。
お前ごときの観察眼では自分の正体は掴めない・・・と。
あるいはバレてもどうってことはない程度の秘密?
それとも秘密も知った者を自由に処断できる自信の現れ?
理性も知性も感じさせない言動を繰り返してはいるが、それはフェイクなのだろうか。
この男から感じる何らかの『気配』は・・・『不安』なのか『期待』なのか。
自分の考えすぎなのだろうか。
考えれば考える程、ヤンという男がタバサには理解出来なかった。
しかし食堂で見たモノ。
あれは紛れもない真実なのだ。
「・・・・・・ず、ずっとヤンを見てるですって!? ちょ、ちょっとアンタまで人の使い魔に色目を使うわけ!? さすがツェルプストーの友人ね!」
ルイズはタバサのことは殆ど知らない。
学園で見かけるクラスメイト。
若干15歳ながらシュヴァリエの爵位を持つエリートである・・・というぐらいは知っている。 が、その程度だ。
記憶の中では、この少女の表情の変化など見たことがない。
その少女が明らかに一瞬、動揺したのだ。
それを見たルイズは焦り、怒る。
明らかにナニかを勘違いしたわけだ。
「えぇ!? まさかタバサまでダーリン狙いなの!?」
それに釣られてキュルケまで。
「ち、違う・・・・・・誤解・・・」
友人にまで勘繰られて、些か焦ってしまう。
これがルイズには良くなかった。
止まらぬ邪推。
「あ、ああああああんたが色んな女に色目を使うからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 シエスタ、キュルケ、タバサ。 
この短期間に3人も!
しかも全員美少女で、2人にはおぱーい的な意味で完全敗北である。
ぷっつん。
ルイズの中で決定的な何かが切れた。
タバサとキュルケを見ていたヤン。
その背後で何かを振り上げる、空気の音。
「へっ?」
まさか、と思いつつ素っ頓狂な声をあげ振り返ると。

どばーーん

盛大な爆発がヤンを包んだのであった。




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カッ
「・・・・・・」
ぶんッ
カッ
「・・・・・・ダメだ さっぱり当たらん」
ざっく ざっく ざっく
ざっく ざっく ざっく
「・・・・・・・・・・・・薪割りは後で私がやっておきますから・・・・・・・・・水汲みでも手伝ってきてください」
若干、呆れ顔の女性。
筋肉隆々、半身刺青だらけの農作業に精を出していたその女性が、太ましい男性に声をかける。

女性のそのTHE・ガッツな感じの姿。

何ていうか・・・

すごく・・・

似あっています・・・

耕しているのは、この女性だけではない。
ざっと数百人の逞しい男性達がフロンティアじゃあー開拓じゃあー と言わんばかりにバリバリ耕している。
農作業に鼻歌はお約束。
彼らは美しいバリトンボイスを清々しいお天道様の下に響かせる。

ホイテ ヴォーレン ヴィ アイン リートライン ジンゲン♪
Heute wollen wir ein Liedlein singen, (我らは今日は歌を歌い )

トリンケン ヴォーレン ヴィ デン クーレン ヴァイン♪
Trinken wollen wir den k?hlen Wein (冷えたワインを飲もう)

ウント ディ グレーザー ゾーレン ダツ クリーンゲン♪
Und die Gl?ser sollen dazu klingen, (そしてグラスで乾杯しなければならない)

デン エス ムス、 エス ムス ゲシーデン ザイン♪
Denn es mu?, es mu? geschieden sein. (なぜなら別れなければ、別れなければならないから。)

ギープ ミァ ダイネ ハント、 ダイネ ヴァイセ ハント♪
Gib' mir deine Hand, deine wei?e Hand, (その手を私に差し出しておくれ、その白き手を)

レープ ヴォル マイン シャッツ、 レープ ヴォル マイン シャッツ♪

Leb' wohl, mein Schatz, leb' wohl mein Schatz, (さようなら、私の愛する人よ、さようなら、私の愛する人よ)

レープ ヴォル、 レーベ ヴォル♪
Leb' wohl, lebe wohl (さようなら、お元気で)

デン ヴィア ファーレン、 デン ヴィア ファーレン♪
Denn wir fahren, denn wir fahren, (なぜなら我々は進軍する、進軍するのだから)

デン ヴィア ファーレン ギーゲン エングラント、 エングラント♪
Denn wir fahren gegen Engeland, Engeland. (なぜならイギリスへ、イギリスへ我らは進軍するのだから。)

「なぁ おい ところでドクはどこでなにやってる」
「ドクは少佐以上に体力ないですから。 家でティファニアと料理するって言ってましたよ」
ふーっ、と手拭いで汗を拭きながら答える筋肉女。
さっきからいちいちガテン系の動きが様になり過ぎている。
「な、なんだとぅ! ドクの奴め! あのオッパイを独り占めしようというのか!」
軽く三桁㎏を越えているであろう太ましい肉体からは想像も出来ないほどの素早さで駆け出す。
こんな所で農業してる場合ではない。
あの野郎!
テファたんは俺の嫁だと言っておいたものを!
ばーーん!
「こらーーーーーーーーーーーーー!!」
「「「「ぎゃぁあぁぁっぁあああああぁぁぁぁぁ!! でたーーーーーーーーーーーー!!」」」」
扉を勢い良く開けて乱入してきたデブに混乱する子供たち。
「って少佐じゃないですか あーびっくりしたー なんですかいきなりー」
混乱した子供たちの中にいた、ネコミミを生やした少女のような少年のような。
そんな子が胸を撫で下ろす。
耳も一緒にふにゃ~となって、なんというか。 その。 可愛い。
「准尉。 ドクは ドクはどこだ。 奴には造反の疑いが掛かった。 というか造反してるんじゃないかな ちょっと一発殴ろうと思って」
「ド、ドクならそこにいますけど」
ネコミミっ子の指差した方向には紛う方無きドクの姿。

そして・・・。
その横には煌く金髪。 極め細やかな白い肌。  つんと尖った耳。
そして胸。
とにかく胸。
そのたわわな胸が視界に入る度、少佐のアハトアハトが火を噴くぜ。
そんな魔乳美少女の横で楽しくお喋りしている、やせ細ったメガネ男。
ギリギリギリギリギリギリ
ぐ・ぬ・ぬ・ぬ・ぬ・ぬッ!
「おらーーー!」
げしっ
「ぐっはぁ! あ! しょ、少佐殿! ま、薪割りは!? 薪割りをなさってたんじゃないんですか!?」
「テメェーーーッッ!! テファたんは俺の嫁だっつってんだろーがァッ!!」
ガッ
「ぐ、ぐぅ・・・ぐぐぐぐぐぐぐッッ て、ティファニアさんのオッパイは・・・・・・み、みんなの・・・ 我らミレニアムのぼ、母性の象徴なわけでありまして・・・」
言葉では多少、遜っているドクだがシッカリやり返していたりする。
互いに頭部を、両の手で強く抑えつけ主張を譲らない。
「少佐さん! ドクさん! ケンカはやめなさいっていつも言ってるでしょ!! 少しは大尉さんを見習って下さい! もう!」
ぐる~
少佐とドクが頭をねじる。
そこには・・・もくもくと野菜を切り続けるトレンチコートの姿が。
「「あ゛ッ!! あの野郎!!」」
「い、いつのまに・・・ずっとティファニアさんと話していて気付かなったなァ・・・! さすが最強戦力!」
「お、おのれ大尉・・・! むっつり狼! てめーも造反者だーーー!」
しかし哀しいかな少佐とドクは潰し合っていて大尉には手が出せない。
こうしている間にも大尉は着実にティファニアの好感度をゲットしている筈だ。
我々は、逆に好感度が下がっている!
うおーん
泣くデブとメガネ。
しかしやはり、いがみ合いはやめる気がないようだ。
「はぁ・・・ドクゥ~ 少佐ぁ~ カッコ悪いですよ~」
ネコミミっ子も呆れた様子。

「なーシュレディンガー! 少佐達なんかほっといて遊びの続きーー」
はいはい、と同じぐらいの年に見える少年達に遊びの輪に戻されるネコミミ。
ばーん
再び勢い良く扉が開かれる。
しかし今度の闖入者は先程より段違いに可愛らしい。
「肉調達班ただいま戻りましたー! ティファニアさーん! 見てくださいよーーこーれー 今日は700羽も墜としましたよー♪」
「うわー 相変わらず凄いですねリップヴァーンさんは♪」
浮き浮き顔のリップバーンの後ろからはスーツで決めた男が現れる。
「水調達班も戻りましたぁぁぁー」
「あ トバルカインさんもお帰りなさい! いつもありがとうございますね♪ さぁー頑張らないと! 皆さんちゃっちゃっとやりましょー!」
「「「「了解(ヤボール)!」」」」
ティファニアの指示の元、調理当番の吸血鬼達がてきぱきと夕飯の支度を進める。
1000人分の食事である。
外に大食卓を100個ぐらい設置してみんなで仲良くお食事しましょう。
そうティファニアが提案したら二つ返事で少佐がオッケーした。
超大家族で賑やかにしているのがエルフの少女は本当に楽しいらしい。
毎日が大わらわ。 少し前まではヒッソリと建っていた僅かな家も、今では軽く2、300軒。
男女比がかなり偏っているが、僅かな期間でウエストウッド村の規模は拡大していた。
無敵の敗残兵達はこんな環境であろうとも馴染んでしまう。
50年超の潜伏経験を持つミレニアムは、こんな適応能力すら得ていたらしいデスヨ?
約2名を除いて。
少佐&ドク。
戦争以外なんの役にも立たない。
研究以外なんの役にも立たない。
この二人はもうこういう人である、と大隊の誰もが理解しているので大きな問題は無い。
「テメェはマチルダ姐さんにでも萌えてろよカースッ!」
「少佐こそティファニアさんは私に任せて、マチルダ姐さんをどうぞ!」
「おれはババ専ではないから遠慮するぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「私もどちらかというと幼い子の方が好みでしてェェェ!」
この問題発言はしっかりと最後の大隊員の脳内に記憶されるのだった。
しかし戦争がないと本当に駄目だなこの人達は。

はやくなんとかしないとなー。
固く心に誓うミレニアム一同だった。




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「へぇっくしっ!!」
「おや 風邪ですかミス・ロングビル。 無理は良くありませんよ」
「あ、あら 大丈夫ですわ おほほほ」
何かと世話を焼いてくるお人好しの同僚からの心配に、しっかりと社交辞令を返した妙齢の美女。
ハルキゲニアにおいては些か行き遅れに差し掛かりつつあるお年ごろ。
ロングビルこと盗賊フーケことマチルダ・オブ・サウスゴータは苛立っていた。
ここ数日、宝物庫を調べまわったのだがいやはや何とも。
堅牢な固定化が掛けられており、自分の錬金の魔法では突破出来そうもない。
怪しげな人間の使い魔とかもいるし、噂のお宝『破壊の杖』は明たほうが懸命だろうか。
それとも綱渡りの盗賊人生に終止符をうつか。
そして良い人を見つけて家庭を持つ。
年齢いこーる恋人いない歴にもちょっと疲れてきた。
というか焦っている。
普段は気にしていないつもりなのだが・・・ふ、とした時に焦りがでる。
何故だ!
顔だってスタイルだってそんなに悪くないぞ!
何で自分に言い寄ってくる男には碌な奴がいない!
あんなコッパゲはやなんだ!
高望みしたせいで完全に売れ残った!
元貴族の矜持でも心の奥底にこびり付いているのか。
白馬の王子様を望む夢見がちでもないが、汚い男に抱かれるなんざ想像しただけで恐ろしいっつーの!
くっそう!
しかしここの給料は中々に良い。
上司のオールド・オスマンのセクハラさえ除けば、人間関係や自らの安全・・・魔法学院長の秘書という社会的地位。

諸々、考えれば悪い職場ではない。
むしろ恵まれていると言える。
何時までも続けられるわけはない盗賊業。 そして結婚願望と恵まれた職場。
ここでマジで頑張るのもいいかもしれない。
しかし・・・。
そう、しかし。
ティファニアが召喚した使い魔とその部下達。 複数形。
最近、家族が増えてしまったのだ。 1000人ぐらい。
おかしいでしょ。 1000人って(笑)
しかも全員吸血鬼だし。
しかも私の知ってる普通の吸血鬼と何かかなり違うし。
しかも肝心の使い魔の少佐が危険な目でテファを見てるし。
オマケに私をババア扱いするし。
話聞いてみたらテメェの方がジジイだろうがデブ!
とにかく!
就職してるのは現在この私一人!
いや、みんな頑張ってくれてるよ? 農業とか。
でも耕作ってすぐ金にならないし、もちろん実も成らない。
当座の資金が必要なのだ!
みんな何とか現金を工面しているものの、一家の大黒柱はこの私!
我が家のエンゲル係数は順調にマッハで右肩上がり。
実家への仕送りも増やさなければティファニア達がカツカツになってしまう。
この職場でさえ十分とは言えない状況になってしまったのだ。
そうだ。
やるしかない!
我が家の家計の為に!
テファ! 子供たち! そしてエンゲル係数上げてくれた使い魔達!
姉ちゃん頑張って稼ぐからね!
結婚!? 何それおいしいの!?
わはは恋人なんざ欲しくないわよ!
私は血も涙も無い盗賊フーケ様さ!

ちくしょうミレニアムども!
マチルダが決意を新たにした時。
その悲痛な決意に神か悪魔かが微笑んでくれた。
多分、間違いなく後者だが。

ドーーン

爆音。
「あちゃー! どうやらミス・ヴァリエールですね・・・ またやらかしてしまったようで はぁ・・・」
「! (今の方角は・・・ひょっとしてひょっとすると!?) わ、わたくしミス・ヴァリエールがやらかした被害を見てまいりますので」
「いつもいつもありがとうございますミス・ロングビル。 あ、あのそれでその、お礼というわけではないのですが今度お食j」
「急ぎますので失礼しますわね」
「・・・・・・・・・」
コルベールの何度目か分からないお誘いは、またこうして失敗に終わった。
がんばれハゲ!
負けるなハゲ!
僕らはそんなゲーハーが大好きだぜ!
コルベールの言葉も華麗にスルーして駆けるロングビル。
爆音響いた庭。
そこでロングビルが見た光景とは。
木の枝に括りつけられたロープに吊るされた使い魔の男。
と。
それを爆殺しようとしているルイズの姿。
「ぐわーー! やーめーてー! 流石に死ぬって! オレでも死ぬって!」
どかーん
どかーん
どかーん

「ちょっとヴァリエール! それ以上は流石にダーリンでも危ないわよ!」
やや遠巻きに見ていたキュルケも必死に取り成すが効果はない。
というより逆効果のようだ。
「うっさいわね! バカ犬にはこれぐらいで丁度いいのよ! だいたいアンタがヤンに色目を使うからいけないんでしょうが!!」
ルイズの目は血走っている。
少し・・・というか、かなり危ない人に見える。
「アンタもアイツもアイツも・・・皆アンタ達のせいよ!!」
鬼気迫る、とはこのことだ。
キュルケもこれにはたじろぐ。
しかしヤンのことを結構本気で思っている彼女は果敢に立ち向かう。
「ふぅん だったらダーリンにそんなことするのはお門違いなんじゃないの? 私に腹が立つなら私が相手になるわヴァリエール!」
「・・・・・・ツェルプストーにしては・・・なかなかいい考えねェ・・・! 丁度いいわ! ツェルプストーとヴァリエールの因縁!! ここで終わらしてあげる!!」
何だか凄いことになっているようだ。
ロングビルは影から覗いていた先客のメイド少女と同様に覗きこむ。
コソコソ
「・・・これは一体どうゆうことなのかしら?」
「あ どうも! 私も最初から見ていたわけでは無いので詳しくは・・・・・・でもこのままじゃヤンさんが・・・!」
「ヤンって・・・あの吊り下げられている人?」
「はい! そうなんですよ! ヤンさんってとってもきゅーとでカワイイ、優しい人なんです! それなのにミス・ヴァリエールのなさりようは・・・あんまりです!」
「(きゅーと? かわいい? 優しい? ・・・・・・何だか見た目というか、醸しだす空気からはそんなの微塵も感じ無いけどね・・・寧ろミレニアムの連中に・・・)」
いけないいけない、先入観は良くない。
贔屓だの差別だのは尤も忌避すべきこと。

身を以てそれを痛感しているロングビルは努めて公平に、そして冷静に場を眺める。
やたらめったら爆破を試みていた少女。
これからどうやら修羅場で、ドンパチが始まりそう。
ここは宝物庫の壁が近い。
結論。
いいぞもっとやれ。
あの『ゼロのルイズ』の爆発の威力はつとに有名だ。
あれならひょっとしたら宝物庫の壁も・・・。
黒髪のメイドと一緒に固唾を飲んで行方を見守る。
「連打で行くわよ! ファイアー・ボール!」
「こっちだって・・・! ロック! ロックロックロックロックロックロックロックロックロックロック・・・・・・!」
あちらこちらから炎と爆発が巻き起こる。
それはさながら戦場である。
そして当然、そのド真ん中に吊るされているヤンは・・・。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ、あにきーーーーーーーだぢげでーーー!」
燃えカスになりつつあるヤン・バレンタインであった。
その凄惨?な光景を、使い魔である風韻竜シルフィードの背中という安全圏から眺める少女と剣。
「げらげらげらげら! 相棒ざまぁ! げらげらげらげら」
「・・・・・・・・・バカばっか」
「きゅいきゅい!(お、おねえさま! それ電子の妖精さんの決め台詞なのね!)」
今日もカオスな1日は暮れつつあった。



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