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13日の虚無の曜日 第一話

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深夜、一人の少女がアルビオン王国サウスゴータ地方の
ウエストウッド村近くの森にいた。
その名をティファニアといい、彼女の血にはエルフの血が流れていた。
そのため王により国外追放され、人間の父は獄死、エルフの母は王家の軍により殺され、
自身は追っ手から辛くも逃れ、父に仕えていた臣下の娘であるマチルダの助けにより
ウエストウッド村で孤児たちと一緒に隠れ住む身である。

その彼女が何故一人で森に佇んでいるのか。
彼女は思いつきを実行に移していた。
記憶の片隅で誰とも知らない貴族が行っていた『サモン・サーヴァント』。
それを見様見真似で、試していたのだ。
彼女を知る人間がいても、その行動に意味を見出すことはできない。
それは正しく気紛れであり、失敗することは
彼女の頭の中でもわかっていることだった。

だが僅かにある期待と渇望が、『サモン・サーヴァント』をやめる意志を妨げた。
この気紛れは、決してマチルダや孤児たちと過ごす時間が退屈だったのではなく、
いたずらに魔法を試みているわけでもなかった。彼女には一つの願いがあった。

「もう一度…!」

少女は懸命に『サモン・サーヴァント』を行う。
自身を守ってくれる強靭な使い魔、
そしてマチルダや孤児を守ってくれる使い魔を彼女は欲した。
それは自分の身を守ってくれたマチルダへの恩返しのためであり、
孤児たちを戦禍から守る、孤児たちの恒久的平和のためであり、
そしてもう一つの願いを叶えるための儀式であった。

そのもう一つの願い。彼女はその身ゆえに、村からはあまり離れることができない。
例えそれが自身をこの地へ追いやった世界といえど、外の世界への興味が尽きなかった。
そして考えついたのが使い魔召喚『サモン・サーヴァント』。

『少しだけで良い、外の世界を知りたい』

相手が喋れない動物でも、その存在が外の世界から来ただけでよかった。
彼女はその些末な変化を感じたかったのだ。

彼女は懸命に記憶を掘り起こしながら、『サモン・サーヴァント』を行った。
これで15回目になるだろう『サモン・サーヴァント』は彼女の期待に応えた。
失敗した時とは違う、神々しい光が森の木々を照らした。
思わず目を瞑るティファニア。光は現れた時と同じように一瞬で消え、
ティファニアは成功の喜びを実感しようと目を開けた。
彼女の顔に戸惑いが現れた。光が現れ消えた場所、
そこには2メイル近い人間が仰向けに倒れていた。

異様な風体の人間だった。白い被り物をする頭部にはほとんど頭髪がなく、
申し訳ない程度に、後頭部に疎らな髪があった。
ボロボロの汚れた衣服は所々かびているようにも見え、
ティファニアの服は森の木々の色のような新緑だったが、
対照的にその服は汚らしい沼地の淀みを思わせる色合いであり、
肌はそれと同じといってもいいほど、どす黒いものだ。
辛うじてその体格から、ティファニアは人物が男であると認識できた。

ティファニアは面食らっていた。
彼女としては動物が出てくるものだと思っていたものが
人間が出てきたことに驚きを隠せないでいた。
混乱しながらも、全てを終わらせようと彼女は召喚された人間の横に座り、
キスをしようと被り物を外そうと身を傾ける。

頑丈そうな胸板が上下にゆっくり移動し、微かな呼吸音が彼女の耳に届き、
ティファニアは初めて相手が寝入っていることに気づいた。
そのまま彼女は白く簡素な被り物を少しずらし、
うろ覚えな呪文を詠唱し、唇にキスしようと顔を近づける。
初めてのキスは一瞬だったが、相手の唇の冷たさが印象に残った。

突如、彼女の胸に衝撃が走った。
身体が宙を浮く一瞬の浮遊感、と同時に急激な速度で身体が
自分の意思に関係なく後方へと飛ぶのがわかる。
瞬間的飛行は、始まった時同様、突然の全身の痛みにより終わりを告げた。
腰から痛みが走り、頭に苛烈な痛みが届くと、気が遠くなりそうになる。

視界が歪み、意識を失いそうになりながら自身の状態を確認する。
さっきまで地面に座っていたはずの身体が、地面に倒れており
その先には彼女が召喚した男が右腕を突き出す状態で、
上体を上げてこちらを見つめていた。
目が覚めた男に突き飛ばされ、地面に身体が激突したのだとわかった。

何故という疑問が湧き起るが、ともかく相手に事情を説明しようと
声をかけようとした。しかし痛みが彼女の意思を挫き、薄れゆく意識の中、
男が立ち上がりこちらへ向かってくるのを感じたが、
それ以上は意識を保てず、彼女は気絶した。

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