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斬魔の使い魔03


 一通り暴れた後、ルイズは着替えた。
 本当は九郎にやらせようとも思っていたが、病み上がりを考えて自分で着替えた。
 明日からはやらせるつもりだが。

 一方、九郎も包帯の上から、部屋に用意してあった黒いローブを身に纏った。
 なんとなくミスカトニック大学生時代を思い出す。


 朝食に行くとのことでルイズに連れられて部屋を出る。
 と、そこには、扇情的な格好をしたグラマラスな少女が立っていた。
 褐色の肌がやけに艶かしい。

「あら、おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ」

 片やにこやかに、片や嫌そうな表情で挨拶を交わす。
 と、キュルケが九郎に気付いた。

「貴方の使い魔、元気になったようね」
「まったく、余計な出費がかさんだわ」
「ふふふ、使い魔の管理もメイジの仕事でしょう。それにしても……」

 キュルケはじろじろと九郎の顔を見る。

「ふうん……ただの平民かと思ったけど、意外といい男ね」
「……え?」
「あたしはキュルケ。貴方の名前は?」
「……あ、九郎。大十字九郎だ、です」
「ダイジュウジクロウ? 変わった名前ね。でも似合っているわ」

 一般に朴念仁と呼ばれる九郎。
 それでもやはりこんな美人に褒められて嬉しくないわけがない。
「いやあ、そんな」と頬をかきながら照れる。踵に蹴りが入った。

「ちょっと! 人の使い魔に色目を使わないでよ!」
「あはははは、安心しても良いわよ、ルイズ。いくらあたしでも使い魔に手を出したりしないわよ。特に、『ゼロのルイズ』の使い魔にはね」
「――なっ!?」

 ゼロのルイズと呼ばれた途端、不機嫌な表情から、明確な怒りの表情に変わるルイズ。
 何か言葉を発しようとしたが、キュルケの背後から這い出てきたものを見た瞬間、言葉を詰まらせる。

「ああ、紹介するわね、この子があたしの使い魔のフレイムよ」

 それは一見すると、真っ赤で巨大なトカゲに見える。
 しかし、その尻尾は燃え盛る炎で出来ており、口からはチロチロと炎を吐き出している。
 キュルケは得意げに胸を張った。

「この立派な尻尾、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ。好事家に見せたら値段なんてつかないわよ。あたしの属性にもピッタリ♪」
「……そりゃ良かったわね」
「ほー」

 苦々しい声のルイズとは対照的に、足をトントンと叩きながら感心した声の九郎。
 フレイムをジッと見る。

 なんとなくクトゥグアに似ている。
 炎の神性を持った邪神。
 前の世界では強力な魔銃として活躍した。

「――あ」

 九郎は思い出した。
 というか、何で今まで忘れていたのか。
 不思議そうな顔をしている二人の方を向く。

「あのぉ……俺、あぁ、いや私が召喚されたとき、銃が二丁ほど落ちていませんでしたか?」
「銃? そんなもの落ちてなかったわよ」
「あたしも知らないわね」

 この世界に召喚されたとき、何処かに飛んでいったのかもしれない。消滅してしまったとは考えにくい。
 これも今頃になって気がついたが、両手の甲に刻まれていた炎と風の紋章が消えていた。
 恐らくアルと離れたことにより、一時的に契約が切れたのだろう。
 今の九郎は強力なマギウスの力を持たない、半端魔術師と言うことだ。

(前途多難だなぁ……)

 早くアルを見つけよう。
 九郎はその想いを一層強くした。





『アルヴィーズの食堂』
 小人の名前を冠するこの食堂は、貴族が通う学院の食堂だけあって、やたら豪華だった。
 百人は優に座れるだろう、長いテーブルが三つ並んでいる。
 その上には、朝から凄まじいほどの豪華な食事がこれでもかと並んでいた。
 ルイズは九郎に引かれた椅子に座ると、そのまま床を指差した。
 その先には小さな皿が置いてあり、中には固そうなパンと冷めたスープが入っている。

「貴方の食事はあれよ」

 何処となく偉そうに言い放つ。
 わざと貧しい食事を与えることによって、主従関係を骨の髄まで叩き込む。
 ルイズの目論見に、果たして九郎は答えた。

「ふぇ、ふぁんふぁっふぇ?」

 ローストチキンを口一杯に頬張りながら。

「――なっ!? ち、ちょっと何を!」

 驚くルイズを尻目に、九郎は頬張っていたチキンをお茶で流し込んだ。
 そして、そのまま魚のソテーに手を伸ばす。

「ちょっと! ご主人様の話を聞きなさい!」

「断る! 今の俺は人に非ず! ただ一匹の飢えた狼! ゆえに眼前のご馳走を食べつくすのみ!」
「――うっ!」

 己の使い魔から放たれる、『名伏しがたい何か』に気圧され言葉を詰まらせるルイズ。
 九郎はソテーを食いちぎると、空いた手で焼きたてのパンを丸かじる。
 餓鬼の如き怒涛の食いっぷりに、周囲の生徒達は最初こそ驚いていたが、しばらくすると笑い出した。

「お祈りすらせずに食べだすとは、所詮は平民か」
「さすがはゼロのルイズの使い魔だな。下品なことこの上ない」
「まあ、ピッタリなんじゃないの? ゼロのルイズにはね」

「……負けない」

 青い髪をした約一名を除いて、嘲り声が生徒達から囁かれた。
 それは九郎が食事を終わり、ルイズに地獄の折檻をされるまで続いた。








「ほー、あいつ、いい食いっぷりだな。コック冥利に尽きるってもんだ」
 食堂の様子を見ていたコック長のマルトー。
 変なところで九郎を気に入っていた。


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