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ゼロの視線-07



第七話

ずずっ
弦之介はとても困っていた。
今日がるいずどのの休日というのは良い。
買い物に出て、でるふりんがなる剣を入手できたのは僥倖といえよう。
ある程度は知識も増えたものの、自分にこのはるけぎにあなる地の常識が乏しいのは分かる。

敵地というわけでもないが異国でその地の常識を知らないというのは致命的だし怪しまれるもとである。
しかし、他人に教えるのが最も難しいのが「常識」なのだ。
「知ってる」ことが前提なためついつい省略してしまうし「分かるのが当たり前」なので説明するのも難しい。
しかも今の主は忍耐とか寛容といったものの容量が著しく乏しい。
彼女の術をかわすのは容易いものではないし無意味に関係を悪化させる必要もなかろう。
まあそんなわけで他愛無い知識を尋問する相手としてはでるふりんが殿は格好の存在といえよう。


話がそれた
今自分が困ってるのは、眼前の風景である。

「ああ、ルイズお願いだから・・・・・・・・
「それにしても懐かしゅうございま・・・・・・

あんりえったなるこの娘は、このとりすてんという国の姫であり、るいずどのがかつて遊び相手を務めたらしい。
これはまずい


自分も甲賀卍谷の跡取りとして幾人かの武将を短期の主として忍び働きしたという経験がある。
父は母とともに卍谷精鋭16人をつれて大御所さまの警護を勤め、大御所さまの首を取ろうとした
忍び(たった二人だったとか)と戦い全滅した。
あとでその忍びが真田の信繁に仕える伊賀の霧隠と甲賀の猿飛と聞き、伊賀甲賀が力を合わせている事に
少なからぬ羨望を抱いたものだ。

まあその経験からすると、現状はるいずどのにとってはなはだ危険だ。
地位あるものが唐突に配下の家に訪れる、というのはまず三つしか理由はないとみてよかろう。
一つが純粋に旧交を温める事
二つが意表を突く事で威圧し、主導権を握ること
かつて大御所様も関白殿にこれをやられ、後手後手に回らざるを得なくなったという。

そして三番目が・・・・・・・とりあえず主のためにも最初の理由であって欲しいものだ。

「ああ本当に懐かしいわ、ルイズ。 それにしても・・・・・・
「そういえばそのようなことも・・・・・・



「わたくし、この度ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世の元への輿入れが決まったの」
「まああのような成り上がりの元へ・・・・・なんとおいたわしい」

そらきた
どうやら最悪の「理由」だったようだ
「始祖ブリミルへの誓いをしたためた恋文を・・・・・・
「そのようなものがもし他者の目に触れれば・・・・・・

突然あらわれた「主君」に対し配下の者は動転するが、その後友好的な態度を取り懐かしい思い出を語れば
自分の家(部屋)ということもあって気を張り詰めることはない。
しばらく昔話などをしてさらに気が緩んだところで「困っている」と語れば
「主君」ではない「旧友」の危機を救うは忠臣たる自分のみ、と思うだろう。
そしてこれは配下の者が自分から言い出したことでありもし配下の者が命を落とそうとも
「主君」にはなんの責もない。
少なくとも自分はそう思い込む事が出来、「なんと可愛そうなわが忠臣よ」と心を痛めるだけで己が身と己が財布は傷まない。

問題はあんりえったどのが意識してそれをしているかどうかだ。
意識しているのなら見事という他無いし、意識していないのなら彼女は人の上に立つ為に生まれてきた
天性の支配者であるといえよう。

気のせいかもしれないが
「ふむ、では旅支度をせねばなるまい」
扉の前でおそらく聞き耳を立てているであろうギーシュにいつ声をかけようか、などと考えながら弦之介は立ち上がった。
「おめえも大変だァな、相棒」
ちなみにアンリエッタが「平民」である弦之介を最後まで無意識に無視し続けたのは余談である。


ぶるるるい
ルイズが用意した馬の鼻面を撫でながら朝霧の中弦之介は佇んでいた。
本来数刻は早く出るはずだったのだが、山のような彼女の荷物から不要なものを
放り出す作業だけで貴重なはずの時間が多く失われたのだ。

だがそれは問題ではない。
問題なのは自分を見つめるこの男の目。
ルイズの婚約者であるジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド(るいずどのの時も思ったがこの国の人間の名はなんと無駄に長いのだろう)
この男は知らない。
だがこの目を自分は知っている。
伊賀は鍔隠れの薬師寺天膳。
幾度か出会ってはいるものの一度しか見たことがないあの男と同じ目をしている事が気になった。
まあ仕方があるまい、と苦笑する。
自分の瞳術を知り、なおかつ自分と目を合わせようとするなど甲賀者でなければ・・・・・・・・・
甲賀者でなければあの娘しかいないのだから。


朧・・・・・・おぬしはいま何をしている?
かような小娘に仕える自分を見て笑っているか?
じゃが、おぬしの居らぬこの地でわしは何かをせねば気が狂ってしまいそうなのじゃ
いつか・・・・・いつかわしはおぬしが居らぬことに慣れてしまうのだろうか



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