あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

萌え萌えゼロ大戦(略)-25



「見えた。魔法学院よ」
 王都トリスタニアからわずか数分の旅。空から見る五芒星を象った
塔の並びは、ルイズにはとても懐かしく思えた。
 授業中らしく外に人気はない。ふがくは二人を抱えたまま、一番目立たない
ヴェストリの広場にするりと降り立った。学院に足をつけて、ルイズは
力が抜けたようにへたり込む。
「……帰ってきた……のね」
「ああ。僕たちは帰ってきた。この魔法学院に」
 ギーシュの言葉にも感慨深さがにじみ出る。わずか二日半。けれど、
その間に見たことは、あまりにも多すぎた。ルイズが何とか脚に力を
込めて立ち上がろうとしたとき、広場に三人のメイジが現れた。
「……お帰り。ルイズ」
 ルイズに手をさしのべ、そう言葉をかけたのはワルド。その後ろでは
エレオノールが眼鏡のフレームに指をかけて怒りを抑えている。
その二人の後ろで、オスマンがにこやかに微笑んでいた。
「子爵さま?それに姉さま?オールド・オスマンまで……」
 驚くルイズ。エレオノールは相変わらず怒りを抑えたまま眉を寄せている。
そこにオスマンがねぎらうように言った。
「三人とも、よく無事で戻ってきた。ワシは、まずそれを喜びたい」
 オスマンの言葉には感慨がこもる。正規の軍人でも失敗する可能性の
ある任務だった。誰かが戻ってこなくともおかしくない任務だった。
しかし、ふがくはルイズとギーシュを生きて連れ帰ってきた。しかも
目立った怪我もない。事情を知らないエレオノールの手前、多くは
語れなかったが、その言葉には万感の思いがこもっていた。
 だが、事情を知らないからこそ、エレオノールは小さく溜息をついた。
「……まったく。姫殿下のお願いがどんなものかは知りませんが、
その様子だと時間がかかった以外たいしたことはなかったようね」
「姉さま……それは……」
 たいしたことじゃないことなんてない――そう言おうとしたルイズを、
ふがくが遮る。
「そうね。そう思ってもらって結構だわ」
「……あなたが『フガク』。おちびが呼び出した使い魔がどんなものかと
思ったけれど……」
 そう言ってエレオノールはふがくを検分するように見る。異国の服装に
ハルケギニアの常識では飛べそうにない鋼の翼――オールド・オスマンの
話ではここからトリスタニアまでほんの数分で飛ぶらしいが、可動部が
ほとんどなく魔力を得て飛ぶには不適切な形状だ。それに脚も見たことも
ない車輪状――こっちは材質さえ分からない。だが、ふがくはそんな
エレオノールの思惑をよそに、静かに言う。
「……訂正願います。私は『ふがく』。異国の名前とはいえ発音を間違えるのは
失礼に当たるのでは?」
「確かにそうね。それは失礼したわ。それはそうと、元の国では士官待遇
だったそうね。アカデミーの主席研究員としては、異国のガーゴイルと
あらばじっくり調べさせてもらいたいけれど……」
「国家機密は易々と明かせないわね。それに、この国じゃ私の指一本
動かすだけでもあと数百年はかかりそうだけど」
 ふがくとエレオノールの間に飛び交う冷たい火花。ふがくに背負われた
デルフリンガーが「おお怖え怖え」とつぶやくが、二人は軽く無視した。
 そんな空気を何とかしようと、ルイズが二人に割って入る。
「あ、姉さま。落ち着いて下さい。第一、どうして姉さまがここに?」
 ルイズは気づかなかった。自分が進んで地雷原に足を踏み入れたことに。
エレオノールは髪をぶわっと逆巻かせると、ルイズの頬を抓り上げる。
「あなたが!家に請求書を回されるようなことを!するからでしょうが!」
「あびぃ~~~、ずいばぜん~~~、あでざばずいばぜん~~~」
 頬を抓られたまま、半泣きでルイズがわめく。その様子にギーシュは
あんぐりと口を開け、ワルドは片手で顔を覆う。しばらく抓り上げて
気が済んだのか、エレオノールは指先をぴっぴと払うとルイズに向き直る。
「まったく。さあ、帰るわよ。早く準備なさい」
「え?帰るって……」
「父さまと母さまが、あなたから直接理由を聞きたいとのことよ」
 エレオノールのその言葉にルイズの顔から血の気が引く。
しかし、その理由を知らないふがくは涼しい顔だった。


 ――かくして。ルイズは姉エレオノールによって半ば強引に帰郷させられることになった。
 ルイズが戻ったので王宮に帰還するワルドに見送られて、エレオノールが
自分が乗ってきた馬車にルイズと一緒に乗り込み、学院から強引に借り受けた
馬車にふがくとシエスタを詰め込んで――特にシエスタは何故自分が
ここにいるのかをまだ理解できていないようだった。ルイズと親しいと
いう理由でエレオノールの学院滞在中専任メイドとして勤め上げ、
そのままラ・ヴァリエール家の侍女として連れてこられたのだから、
無理もないと言えるのだが……
「旅ってわくわくしますね!」
 馬車の中。小さな座席に並んで座るふがくとシエスタ。ふがくの手には
デルフリンガーがある。だが、シエスタのその元気いっぱいの言葉は、
ふがくには現実逃避にしか聞こえなかった。
 シエスタの格好は草色のワンピースに編み上げのブーツ。そして小さな
麦わら帽子といった、ちょっとしたよそ行きの格好だ。ふがくはいつもの
縦の絶対領域を見せつける和装。翼の分だけ狭いのだが、シエスタは
そんなことを気にせず……というか、止まってしまうと壊れてしまう
人形のようにはしゃぎ続けていた。
「……なあ、相棒……」
 そんな様子を見たデルフリンガーがふがくに話しかける。この馬車で
話ができるのは、ふがくとシエスタ、それにデルフだけだ。
御者はなんでもゴーレムらしい。人形のような若い男のその瞳はガラス玉の
ような光を放ち、一言も言葉を発しない。エレオノールがルイズを待っている
間に呼び寄せたとのことだった。
「……まぁ、分からないでもないけどね。事情が事情だし」
 そう言ってふがくは小さく溜息をつく。
 シエスタのまじめな仕事ぶりはエレオノールにも気に入られたらしく、
単なる道中の世話という名目のお飾りではなく自分のメイドとして雇おうと
したらしいが……そこをルイズが自分のものだと言ったのが、この状況に
拍車をかけていた。学院で奉公していたはずが気がつけば大貴族のお抱えに
なっているとは、シエスタでなくともなかなか現実を認識しにくいだろう。
そのあたりのことについては戻ってからオールド・オスマンとちゃんと
話をすることになったのだが、シエスタがルイズと親しくなったのも、
元はといえば自分との関わりだということで、ふがくも内心穏やかでは
なかった。

 そんな二人の気持ちを知ってか知らずか。ふがくたちの乗る馬車の
後ろを走る、二頭立ての立派なブルームスタイルの馬車の中で、ルイズは
針の筵に座っている心地でいた。
「……つまり、姫殿下のお願いについては、何も言えないということね?」
 エレオノールは眼鏡のフレームをくいっと上げた。ルイズはわき上がる
恐怖にあらがいつつ、小さく「はい」と答えるのが精一杯だった。
 エレオノールはふがくの速度や航続距離を知らない。
だからオールド・オスマンから魔法学院から王都トリスタニアまで
数分で飛ぶと聞かされても、ハルケギニアで一番速い風竜の速度程度にしか
考えていなかった。また、オスマン本人も、エレオノールにルイズたちが
アルビオンに向かったことは話していなかった。だから、せいぜいどこかの
山にでも咲いている珍しい花でも取りに行かせたのだろうと、自分の尺度に
基づいた想像しかできなかった。優秀であるが故に嵌ってしまった陥穽だった。
「まあ、それについてはとりあえずいいでしょう。グラモン家の人間と
一緒にいたことを含め、父さまや母さまには聞かれるでしょうから。
 それよりも……あなたが得意な系統に目覚めたというのは本当なの?」
 エレオノールの視線に疑念と喜びが入り交じる。ルイズも自分が『虚無』に
目覚めたとは言えない。だが、帰郷準備の途中何の気なしに使った
『アンロック』が正しく効果を現したことは、何よりルイズ本人を驚かせた。
だから、ルイズはアルビオンのことを隠すため、嘘をつくことにしたのだった。
 こくりと、ルイズは頷く。そう、ウェールズ皇太子の言葉通り、ルイズは
アンリエッタ姫にも、そして家族にも唇をかんででも嘘をつくことにしたのだ。
「それで、四系統のどれかしら?」
「……風、です。姉さま」
 エレオノールはしばらくルイズの顔を見つめ……そして得心したように
小さく安堵の溜息をつく。
「母さまと同じ系統ね。まあ、あんな使い魔を呼んだのだから、そうじゃ
ないかと思ったけれど」
 異国の、『ハガネノオトメ』とかいう鋼の翼持つガーゴイルを召喚した妹。
その力は未知数だが、ハルケギニアの技術体系とは異なる技術で作成された
それは、エレオノールにはある種の禁忌に触れているようにも思えた。
人間の、少女を器に使ったガーゴイルなど、ハルケギニアには存在しないからだ。
それでも、空を飛ぶ使い魔を得た以上、ルイズの言葉を疑う余地はなかった。


 その頃。魔法学院では――

「……これは……」
 火の塔の隣にある自分の研究室で、コルベールはうなっていた。
 ルイズが帰郷の準備をしている間に、ふがくがこの研究室を訪ねてきたのは
彼にとっても予想外だった。だが、彼女の用件を聞いて、コルベールは
思わず目を見開いた。
 アルビオン空軍技術廠の遺産が収められた大きな木箱。王党派が貴族派に
渡すことなく持ち去ったそれらは、ハルケギニアでも最先端の『科学』技術を
余すことなく彼に語りかける。自分が発明していたおもちゃの域を出ないものを
さらに発展させ、『蒸気機関』として軍艦に搭載してしまっていたとは、
コルベールの想像の埒外だった。だが、同時にそれらは自分のしていたことの
正しさと過ちを証明するものでもある。
「……やはり、『火』は破壊にしか用いられないのか……」
 そうつぶやいて肩を落とすコルベール。しかし、そのとき彼の脳裏に
ふがくの言葉が浮かぶ。

 ――それをどう使うかは、アンタに任せるわ。けど、変なことには使わないって確信してるから。

 コルベールはもう一度図面に目を落とす。そこで不自然なことに気づいた。
この戦列艦『イーグル』号、戦艦『ライオン』号、竜母艦『ヒューリアス』号と
いう三隻の軍艦の図面から、主砲から対人用小口径砲まで、艦載砲に関する
資料だけがすっぽりと抜け落ちているのだ。それは先に王宮でアンリエッタ姫と
マザリーニ枢機卿にこれを見せたときに抜き取られたのだが、それを裏付けるように、
一枚の紙が挟まれていた。
「……これは……?ふふっ。ふがく君は、もう少しこの国の文字を勉強するべきかな」
 それはふがくの書いたメモだった。彼女の人柄を表すような流麗な
文字だったのだが、所々に綴り間違いがある。コルベールはそれを
ほほえましく読み始める。
「『武器はなし。でも参考になるものが届くから待ってて』……ですか。
はて、『参考になるもの』とはいったい……?」
 首をかしげるコルベール。そんな彼の元に『イーグル』号の長官艇が
竜籠に載せられて厳重に梱包されて届くのは、明くる日のこと。長官艇が
届けられてから、コルベールはある一時を除き、授業など必要最低限以外
研究室にこもることになる。あるときは長官艇をいじり、あるときは
机に向かい製図用紙にペンを走らせながら、彼は自分の夢に橋を架けて
くれた乙女に感謝した――


 ルイズたちが王宮でアンリエッタ姫にアルビオンからの帰還を報告した翌日。
銃士隊隊長アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランと、副長のミシェルは
港町ラ・ロシェールにいた。
 石畳にロングブーツの靴音を響かせ、一般隊員とは異なりところどころ
板金で保護された鎖帷子に身を包み、百合の紋章が描かれたサーコートを
羽織ったアニエスと、サーコートが白無地であること以外アニエスと
同じ出立ちのミシェル。アニエスとミシェルがそれぞれ第1小隊と第2小隊の
小隊長も兼任する、銃士隊全体で7つの小隊の小隊長以上が鎖帷子を身につけ、
一般隊員が布鎧なのは、体力的な問題以上に、戦術として先頭に立つ
小隊長以上には純粋に防御力が要求されていたため。そして二人の腰に
下げられているのは、メイジの証の杖ではなく細く長い剣であり、腰の
後ろには最新型の火打ち石式短銃がいつでも撃てるよう準備されていた。
「すまんな。ミシェル。タルブから戻ったばかりだというのに」
 短く切った金髪の下、澄み切った青い目がわずかに下がる。強行軍で
ラ・ロシェールに来たにもかかわらず、その表情に疲れは見えない。
「かまいませんよ。そのおかげで私の第2小隊は休暇を取れたんですから。
みんな喜んでましたよ。……ん?あれは……?」
 短く切った青い髪に青い瞳のミシェルは、そう言うと視線の先、
目的地である世界樹桟橋の入り口に立つ銃士姿の4人組に目を向ける。
全員一般隊員と同じ布鎧だが、先頭に立つ金髪を少年のように切った
まだ少女のような雰囲気の女だけは鎖帷子を身につけないときに羽織る
小隊長用の白いマントを身につけている。後ろの三人はといえば……
一言で言えば奇異。
黄色い派手な鎧下に銃士隊では禁じられているはずの緑の長髪に傾いた
ような動物の耳がついた耳当てをつけた者、自分と似た、ある種銃士隊には
似合わぬ雰囲気をまとった者、そして同じくこの場に似つかわしくない
雰囲気をまとう青く長い髪の者。この4人を見たとたん、アニエスが
顔を渋くする。
「ども。お疲れ様です。姫殿下から連絡はいただいてます」
 近づく自分たちに、小隊長風の女が前に出て明るく声をかけてくる。
アルビオン訛りのあるその声に、アニエスは疲れを隠さない声で応えた。
「……まさかお前がいるとはな。シン。いつアルビオンから戻ってきた?
後ろの三人は……聞くまでもないな」
「まぁ、そんなところで。ボクは昨日あの『マリー・ガラント』号で
戻りました。報告書はもう姫殿下に送ってますけど、写しをご覧になります?」
「ああ。見せてもらおう。お前がここにいるということは……アルビオンの
内乱は終結した、ということか」
 アニエスの言葉にシンは無言で頷く。どちらが勝利したのかなど、
聞くまでもない。
「ところで、姫殿下が言っていた『荷物』というのは……あれか?」
 アニエスはシンが指さした『マリー・ガラント』号の甲板に布を
かけられたまま厳重にロープで固定された大きなものを見る。形から
すると小型のフネのようだが、破損しているのかマストがない。
「はい。それから……」
「救助した方々については心配いらん。アストン伯が受け入れを快諾
して下さった。順番にタルブにあるアストン伯の別城にご案内する」
 アニエスのその言葉にシンは胸をなで下ろし、アルビオン王党派の
生き残りにその旨伝えるべく三人を連れて桟橋を上っていく。その後ろを
ゆっくりと追いかけるように歩き出すアニエス。シンたちが十分に
離れたのを見計らって、ミシェルがアニエスに尋ねた。
「隊長。彼女たちは何者です?銃士隊の格好はしていましたが……」
「ああ、そういえばミシェルはまだ配属されて半年だったな。
 シンは我が銃士隊第8小隊の小隊長だ。アルビオン内乱の動静を探るため、
特命でしばらくアルビオンに派遣されていたのだが……きちんと顔合わせを
しておくべきだったか」
「まあ、それは後でもできますし。ですが、第8?銃士隊は全部で7小隊では?」
 驚くミシェル。アニエスはミシェルに顔を近づけると、誰にも
聞こえないように耳打ちする。
「第8小隊は独立遊撃小隊だ。私の指揮下ではあるが、姫殿下の直率とも言える。
実際、私も第8小隊全員の顔は知らん。後ろの三人で私が知っているのは
あの傾いた耳当てをつけた副官のハーマンだけだ。
小隊長のシンはあの調子で新兵訓練などにひょっこり顔を出すがな」
「そんな小隊が……知りませんでした」
 ミシェルは内心の動揺を必死に隠し、言葉を絞り出す。そんなミシェルに
だめ押しのナイフを突きつけたのは、アニエスのこの言葉だった。
「ああ、一つ教えておこう。第8小隊の別名は『脱走者殺し』(ヒュージティブ・トュエス)。
先日も一人挙動不審で内偵を入れていた銃士が奇妙な死に方をしたのを
覚えているだろう?つまり、銃士隊の中でもそういう任務も受け持つ連中だ」
 アニエスはシンたちの本当の顔は知らない。そして、ミシェルには
そのとき今は亡き先王とタルブ領主アストン伯などごく一部の者しか
知らないはずの新型長銃が自分の枕元に置かれていたことまでは
話さなかった。
だが、選り抜きとして将来を嘱望されていたその不幸な銃士が野良猫を
見たとたんに絶叫してショック死する現場に居合わせたミシェルは、
横にアニエスがいることも忘れて思わず息をのんだ。

 そして、アニエスたちがそのような話をしている頃。先を行くシンたちもまた、
ちらりとミシェルに視線を向けた後、小声でハーマンがシンに話しかける。
「……予想できたとはいえ、隊長だけじゃなくてアイツまで来るとはねぇ」
「うん。そうなんだけど……まだ裏が取り切れてないんだ。
ハーマンさんの方が詳しいと思うけど」
「だから……その『ハーマンさん』っての、やめないかい?
あんたが小隊長なんだし」
 ハーマンの声がどっと疲れを帯びる。だが当人であるシンは困ったように
言った。
「うーん。みんなボクより年上だし……。
それにハーマンさんはハーマンさんだから」
「あーわかった。もういい。好きに呼んでおくれよ……。
 ま、あたしが、というかほとんどシーナが調べたところだけど、
表向き枢機卿の差し金で銃士隊副長に任命されてるけど、裏で高等法院長と
つながってる没落貴族ってとこだね。つまり平民装ってるけどメイジだよ」
 半分だけとはいえ獣人であるハーマンも、吸血鬼であるシーナも、二人とも
系統魔法以外の禁忌に属する魔法を使うことができる。その能力を駆使して
トリステイン王国に深く食い込んだ『レコン・キスタ』やガリアなどの
勢力を洗い出し、時には排除することを主な任務としていた。
「うーん。リッシュモン高等法院長かぁ。
確かに一番疑わしいんだけど……まだしっぽがつかめないんだよね。
ワルド子爵みたいな方法で連絡は取っていないようだし……。
 本当にやっかいだなぁ。これ。隊長とも関連あるし……。
どっちにしてもボクたちの任務が終わるまでは他の人に任せるしかないけど」
 歩きながら首をかしげるシン。そこにカルナーサが小声で声をかけた。
「ところでさ、シン。王党派の後始末が終わった後で、アタシら何するわけ?」
 アンリエッタ姫の命令では単にラ・ロシェールでシンと合流しろとしか
言われていなかったための言葉だが、シンはあっさりと答えた。
「あれ?言ってなかったっけ?『マリー・ガラント』号が出港可能に
なったら、もう一度アルビオンへ行くよ」
 しかし、シンのその言葉が実現されるまで、三日の時間を必要とした。
理由はアルビオン王党派の生き残りを馬車で移送する際に目立たない
深夜に行ったためであり、同時にシンたちにも準備が必要だからであった。



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