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ソーサリー・ゼロ第四部-07

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二八三

「な、なによ。わたしが怖がってるとでも思ってんの?」
 ルイズは気色ばむ。
「ちょっとロンディニウム塔まで足を伸ばして、≪エクスプロージョン≫で塔のてっぺんごと≪門≫の装置を吹き飛ばせば、それでおしまい。
はっきり言って、タルブの時より簡単なくらいだわ」
 そこで、壁に立てかけてあったデルフリンガーが話に加わる。
「だが、そこまでの道のりが大変なんだろ? 塔の周りにゃ、相棒と同じ世界からやってきた化け物やごろつきどもが、
うじゃうじゃいるって話じゃねえか。あと、味方のはずだった連合軍も邪魔者になるだろうな。上の統制を外れちまった兵隊ってのは、
山賊の類と同じだ。出くわしたら何をされるか、わかったもんじゃねえ。今のアルビオンはどう考えても、若い娘っ子が行くような場所じゃねえぞ」
 ルイズは眉を吊り上げると、デルフリンガーをにらみつける。
「脅したって無駄よ。わたしは何があろうと、絶対に任務を成し遂げてみせるんだから」
「お前さんの覚悟が固いのは、よくわかった」
 デルフリンガーの口調が真剣さを帯びる。
「≪虚無≫の担い手としての責任感が、そうさせるのかね? 大いなる力、伝説の力を持つ者の責任ってやつを果たそうと」
 デルフリンガーの問いを受け、ルイズは少しのあいだ考えてから
「……それだけじゃない」と答える。
「クロムウェルが≪門≫を手にしている限り、わたしたちに未来はないわ。彼がアルビオンでしている事を考えれば、戦おうと降伏しようと、
トリステインを待っているのは破滅だけ。姫さまも、オールド・オスマンも、シエスタのような平民たちだって
……どうなってしまうかわからない。わたしは、みんなを守りたい。貴族としての名誉や義務、≪虚無≫に目覚めた者としての責任
――そういうのを抜きにしても、わたしは、自分ができることをやりたいのよ。もう無力な≪ゼロ≫じゃないんだから」
 ルイズが語り終えると同時に、部屋の中に小さな音が響く。
 今のは扉が揺れた音だ――扉の向こうに誰かいる!
 素早く扉を開け放つか(一〇三へ)、それとも、そこにいるのは誰だと一喝するか(四一一へ)?

一〇三

 取っ手に飛びつき、勢いよく扉を開けた君が最初に見たものは、廊下の暗がりにまぶしく映える、赤く豊かな髪だ。
 視線を下げると、赤い髪の持ち主の正体が明らかになる――キュルケだ。
 キュルケはしゃがみ込んだ姿勢のまま君を見上げると、いたずらっぽい笑みを浮かべ
「はあい、ご機嫌いかが?」と言う。
 ルイズは血相を変えて
「ツ、ツ、ツェルプストー!? ななな、なんで? き、聞いてたの、今の話を? どこまで!?」と叫ぶ。
「静かになさいな、ルイズ。廊下に響くわよ。みんなが起きちゃうわ」
 そう言うとキュルケは堂々と戸口をくぐり、後ろ手に扉を閉める。
 予想外の事態を前に慌てふためき、まともに口もきけぬルイズに代わって、デルフリンガーがキュルケに話しかける。
「盗み聞きたあ、趣味が悪ぃな。貴族としてどうかと思うぜ」
「ごめんなさいね、どうしても好奇心を抑えられなかったのよ。あなたたちが王宮へ呼び出されたって噂を聞いてから、
その事が気になって気になって仕方なかったの」
「あ、あんたには関係のないことでしょ」
 いくらか落ち着きを取り戻したルイズが言う。
「オールド・オスマンが学院をあわただしく出て行くだけでも珍しいのに、それに≪ゼロのルイズ≫がついていったとなれば、
何かとんでもない事が起きたと思うほうが普通でしょう? どんな用件だったのかを聞き出すつもりで扉の前に立ったんだけど、
ノックをする前に、あなたたちの声が漏れ聞こえてきちゃったから……」
 キュルケは扉に耳を押し当てる真似をする。

「それで、どこまで聞いてたんだね?」
 デルフリンガーの問いに、キュルケは
「そうねえ……まず、アルビオンのクロムウェルが操る≪門≫という兵器が、相当やばい代物だって事」と答える。
「魔法装置を壊して≪門≫を消し去らないと、世界はクロムウェルの手に落ちてしまうんでしょう? ずいぶんと途方もない話だけど」
「ああ、そうだ……それだけかね?」
「それと、ルイズが≪門≫を破壊する任務に志願した事。まったく、呆れたわ。祖国を救うためとはいえ、敵陣まっただ中に飛び込もうだなんて。
その小さな体のどこに、それだけの勇気が詰まってるのかしら?」
「ほ、褒めるかけなすか、どっちかにしなさいよ」
 ルイズは憮然とする。
「じゃあ、娘っ子の志願がどうして認められたのかも、知ってるわけだな?」
 キュルケは真剣な表情でうなずく。
「ええ、ルイズは伝説の≪虚無≫の魔法が使えるんでしょ。タルブで見たあの光も、そうだったのね。怪物を塵一つ残さず消し去った、
小さな太陽のような光……あれさえあれば、≪門≫だって何だって楽勝よね」一三九へ。

一三九

「こりゃ参ったね。一から十まで、何もかも聞かれちまってたわけだ」
 気楽な口調のデルフリンガーとは対照的に、ルイズは青ざめた表情で
「知られちゃった……いちばん知られちゃいけない相手に……フォン・ツェルプストーに……」とつぶやく。
 キュルケはルイズに微笑みかけると、
「心配いらないわ。あなたの秘密は絶対に守る。だってあたしたち、互いに命を預けあう仲間じゃない」と言う。
 君とルイズは揃って
「仲間?」といぶかしげな声を上げる。
「あたしもアルビオンへ行くわ」
 キュルケは胸を張り堂々と宣言する。
「任務を成功させるには、腕利きのメイジが必要でしょう? それに、フォン・ツェルプストーの人間としては、
ラ・ヴァリエールだけにいい格好させるのも癪だしね」
 思わぬ申し出を受け、ルイズは目を白黒させる。
「そ、それ、本気で言ってるの?」
「もちろん」
「な、なに考えてんのよキュルケ! 今度の任務は、遊び半分の洞窟探検なんかとはわけが違うのよ? 周りは敵だらけの戦場で、
もしかしたら、生きて帰れないかもしれないのに!」
「その危険な任務に、あなたは飛び込もうとしている。名誉のため、祖国のため、そして何より、みんなを守るために」
 キュルケは言う。
「あなたの決意のほどを知って、正直なところ、あたし感動しちゃったのよ。気位ばかりが高かった≪ゼロのルイズ≫がいつのまにか、
こんなに立派になってたなんて。
だから、手伝わせてもらうわ。あたしも自分の持てる力を役立てたいのよ――世界のためというより、無鉄砲で危なっかしい、
手のかかる友達のためにね」
「キュルケ……」
 ルイズは感極まったように相手の名を呼ぶが、すぐにはっとしてそっぽを向く。
「か、勝手にしなさいよ! どうせ、嫌だと言ってもついてくるんでしょ! 断ったら、学院中に秘密を言いふらされちゃうかもしれないし。
王宮のほうには、わたしから言っておくわ。とにかく、任務の邪魔だけはしないでよね!」
 赤い顔をしてそう言うルイズに向かって、キュルケは一礼する。
「ありがとう、ルイズ。夜も遅いわ、早く休みましょう。細かいことは明日にでも聞かせてちょうだい」二六四へ。

二六四

 キュルケが隣室へ引き上げたのち、君とルイズはすみやかに床に就く。
 ルイズの寝台からは落ちつかなげに寝返りを繰り返す音がしていたが、やがてそれも止み、君は安心して目を閉じる。

 君の目の前に立っているのは、ひとりのみすぼらしい男だ。
 不恰好な猫背とがにまたのせいで、もともとそう高くはない身の丈が、さらに低く見える。
 ろくに手入れもされておらぬ髪は伸び放題で、身にまとう服はぼろぼろだ。
 君は男の容貌に不快を覚えるが、同時に、不思議な威厳のようなものを感じて戸惑う。
 男は薄い唇をにっと歪めて笑みを浮かべると、見た目に合わぬ静かな声で語りかける。
「きさまがリブラのお気に入りか。なるほど、いい面構えをしておる」
 喉の奥からかすれた笑い声が漏れ出す。
「楽にせよ、小さき者よ。余は礼を言いに来たのだ。きさまとあの小娘の存在が盤上の駒を掻き乱し、
遊戯に思わぬ楽しみを与えてくれているのだから。
対局は余の優勢で進んでおるが、まだ『王手』ではない。余の相手を務める者は、『詰み』も同然の状況であがいており、結果がどうなるかは、
きさまの動き次第だ。我が叡智をもってしても、先は読めぬ。これぞ遊戯の醍醐味よ!」
 男の目が尋常ならざる輝きを帯びる。
「きさまは小娘を守り、任務の達成に励むことだ。それが余を楽しませることとなる。健闘を祈っておるぞ、我が息子よ!」

 君は夜が明けぬうちに目を覚ます。
 一晩休息できたので体力点二を加えてよい。
 夜中に見た夢は鮮明で、心騒がせられるものだった。
 意味はわからぬが、何かの暗示かもしれぬ――あるいは、任務に対する不安のあらわれか。

 君は衣装箪笥の抽斗を開け、奥のほうから一揃いの服を取り出すと、手早くそれに着替える。
 この服は、君がハルケギニアに召喚される前から着ていた旅装束だ。
 トリスタニアの古着屋で服を新調して以来、ずっとしまい込んでいたのだ。
 『アナランド風』のこの服は見るからに粗末で野暮ったいが、袖を通した君は懐かしさと安心感を覚え、気持ちが落ち着く。
 君が着替えたのにはわけがある――この格好なら、アルビオンでカーカバードの兵隊と出くわしても、同郷の者と思われるかもしれぬからだ。
三八七へ。

三八七

 陽が昇るにつれて、小鳥のさえずりと、人々の呼び交わす声が聞こえだす。
 窓を開け外を見下ろすと、学院に奉公する者たちが三々五々、動いている様子が見える。
 今日も、いつもと変わらぬ一日が始まるように思える光景だ。
 奉公人たちはもちろん、教師や生徒のほとんどは、世界を脅かす≪門≫について何も聞かされてはおらぬのだ。

「おはよう。学院は平和そのものね」
 背後から投げかけられた声に応じて振り向くと、ルイズがいつのまにか目を覚ましており、体を起こして君のほうを見つめている。
 いつもの寝起きの悪さが嘘のようだが、すぐにその理由に思い当たる――任務の事で緊張しているのに違いない。
「王国が存亡の危機にさらされているなんて、嘘みたい。でも、こうしているあいだにも、クロムウェルは≪門≫を使って、
どこかの町を襲っているかもしれない……」
 君はうなずき、身づくろいを手伝おうかと言うが、ルイズはかぶりを振る。
「ううん、自分でやるわ。あんたは散歩でもしてて」

「……グラン・トロワは炎に包まれ、ジョゼフ陛下をはじめとして、王族や重臣のほとんどは今のところ行方知れず。
≪レコン・キスタ≫の叛徒どもによる、未知の魔法兵器を使った攻撃とのことじゃが、詳しいことは明らかになっておらん」
 学院長の言葉を受けて、『アルヴィーズの食堂』は騒然とする。
 リュティスの都を襲った惨劇は、多くの者にとって寝耳に水の大事件なのだ。
 よく響く声で静粛を命じてから、オスマンは話を続けるが、カーカバード軍の存在や、ジョンストンの卑劣な脅迫については触れようとしない。
 たとえ知ったところで、学院の人々に何ができるわけでもない。
 ただ混乱を招くだけだと老賢者は考えたのだろう。
「トリスタニアが同様の襲撃を受けるおそれは、当面のところは無いそうじゃ。宮廷よりの指示があるまで、学院の日課は平常どおりとする
――むろん、授業もな」
 食堂のそこかしこで嘆息が上がる。

 食堂の外で朝食を済ませた(体力点に一を加えよ)君は、出発までの時間をどう過ごすべきかと考える。
早ければ正午過ぎには、王宮からの迎えが来るらしい。
 ルイズは授業に出ず、自室で手紙を書くつもりだという――おそらく家族宛てに出すのだろう。
 君はルイズの邪魔をせぬよう、部屋の外で待つ事に決める。
 誰かと会って話をするか(一〇へ)、それとも学院の中をぶらつくか(一四七へ)?

一〇

 誰を探す?

 ギーシュ・四八七へ
 コルベール・五七七へ
 シエスタ・三四二へ
 タバサ・四三九へ

四三九

 カーカバード軍の襲撃でジョゼフ王が死んだとすれば、タバサを取り巻く状況は、一気に好転した事になる。
 もはや危険な任務を与えられる事はなく、彼女の母親の軟禁も解かれるに違いない。
 今回の件をどう思うか、タバサに訊いてみようと考えた君だが、そこで思い出す――ここ数日、彼女の姿を目にしておらぬのだ。
 おそらく新たな任務を受け、≪使い魔≫のシルフィードとともに、どこか遠くの地を駆けずり回っているのだろう。
 タバサの無事をリブラに祈った君は、他の者と会うことにする。
 誰を探そう?

 ギーシュ・四八七へ
 コルベール・五七七へ
 シエスタ・三四二へ


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