第98話
本当のウルトラタッチ
本当のウルトラタッチ
ウルトラマンメビウス
ウルトラマンヒカリ
彗星怪獣 ドラコ
吸電怪獣 エレドータス 登場!
ウルトラマンヒカリ
彗星怪獣 ドラコ
吸電怪獣 エレドータス 登場!
「ウルトラマンが三人がかりで敵わないなんて、なんて化け物なの!?」
空高くまで舞い上がった戦塵で髪と頬を薄黒く染めて、キュルケの叫びが
シルフィードの背の上から恐ろしげに響く。
ウルトラマンA、ウルトラマンメビウス、ウルトラマンヒカリの三人は今、たった
一体の怪獣によって窮地に陥れられていた。その怪獣の名は彗星怪獣ドラコ、
かつて初代ウルトラマンの時代にレッドキングやギガスと戦い、怪獣酋長
ジェロニモンによって蘇生して科学特捜隊に倒されたことでも知られる。
だが、いずれも別の怪獣や人間の手によって倒され、強豪というイメージとは
程遠いが、ガディバのもたらした生体改造と大量のマイナスエネルギーの
投与はヤプールにも予想外だった超強化を、この怪獣にもたらした。
空高くまで舞い上がった戦塵で髪と頬を薄黒く染めて、キュルケの叫びが
シルフィードの背の上から恐ろしげに響く。
ウルトラマンA、ウルトラマンメビウス、ウルトラマンヒカリの三人は今、たった
一体の怪獣によって窮地に陥れられていた。その怪獣の名は彗星怪獣ドラコ、
かつて初代ウルトラマンの時代にレッドキングやギガスと戦い、怪獣酋長
ジェロニモンによって蘇生して科学特捜隊に倒されたことでも知られる。
だが、いずれも別の怪獣や人間の手によって倒され、強豪というイメージとは
程遠いが、ガディバのもたらした生体改造と大量のマイナスエネルギーの
投与はヤプールにも予想外だった超強化を、この怪獣にもたらした。
「光線技が、跳ね返されるっ!」
「ナイトビームブレードでも切れないとは……」
「以前のドラゴリーのときと同じだ……マイナスエネルギーが付加された怪獣は、
元よりもはるかに強化される」
「ナイトビームブレードでも切れないとは……」
「以前のドラゴリーのときと同じだ……マイナスエネルギーが付加された怪獣は、
元よりもはるかに強化される」
パワーアップしたドラコは、体格が巨大になり、容姿が昆虫然とした凶悪な
ものになっただけではなく、そのポテンシャル全体が比較にならないほど
強化されていた。腕力、瞬発力に優れているのはもちろんのこと、得意武器の
両手の鎌はグドンの皮膚すらやすやすと切り裂くほどに鋭く研ぎ澄まされている。
しかし、それらに加えて何よりも恐ろしかったのが、防御力の超強化であった。
ウルトラマン三人の格闘技が効かないのはもちろんのこと、メビュームシュートの
ような光線技、ウルトラスラッシュのようなカッター光線、さらにはナイトビーム
ブレードの斬撃をもってしても傷一つつけることができない。この、まさに不死身と
いっていい能力を得たドラコには、残存エネルギーの全てを与えたヤプールも
大満足した。
「ふははは! まさか、あの怪獣にこれほどの素質が隠されていたとは、
とんだ拾い物だが、これで貴様らの最後は決まったな。ウルトラ兄弟、
そこで死んでいけ! ウワッハッハッハ!」
もはや勝利は疑いなしと、満足の哄笑を残してヤプールは次元の裂け目に消えていく。
ドラコは、ウルトラマン三人の必殺技をなんなく受けきり、悠々と鎌で反撃を
していく悪夢のような光景には、空から見守るGUYSクルーたちも戦慄を
禁じえない。
「テッペイ、あいつの体はいったいどうなってるんだ!?」
「全身が、リフレクト星人の誘電体多層膜ミラーのような、光線の吸収性の
ない物質に変わってる上に、強度はキングジョーのペダニウム装甲並です。
つまり……」
「つまりなんだ?」
「つまり、僕らの兵器はもちろん、ウルトラマンの必殺技もほとんど通用しなく
なっちゃったってことです」
その結論は、リュウをもってしても平然と受け入れるというものではなかった。
光線も、打撃もどちらに対しても完全無欠、むろんウルトラ兄弟のパワーを
集結させたメビウスインフィニティーのコスモミラクルアタッククラスの
超々破壊力をもってすれば話は別かもしれないが、今いるのは三人だけで、
これにガンフェニックスのパワーをあわせたところで到底及ばない。
「何か弱点はねえのか?」
「フェニックスネストに分析を依頼してますが、はたして間に合うかどうか……」
そのころ、ガンフェニックスからデータを送られたフェニックスネストでは、
ゲートが閉じる時間が間近に迫る中、コノミやカナタがうろたえるばかりで
役に立たないでいるトリヤマ補佐官の見ている前で、大急ぎでドラコの
外骨格に弱点がないかと分析していたが、いくらGUYSのスーパー
コンピューターを使っても、残り少ない時間で間に合うかどうか。
そして、GUYSと同様にドラコの頭抜けた強化に悪寒が止まらないでいる
才人は、戦いに何の関与もできずにいる自分の無力さに、握ったこぶしに
汗をためながら見守り続けていた。
「エース……ルイズ、頑張れ……頑張れよ」
三人のカラータイマーの点滅が響く中で、ただ一匹ドラコの勝ち誇った
遠吠えだけが響き渡る。
ものになっただけではなく、そのポテンシャル全体が比較にならないほど
強化されていた。腕力、瞬発力に優れているのはもちろんのこと、得意武器の
両手の鎌はグドンの皮膚すらやすやすと切り裂くほどに鋭く研ぎ澄まされている。
しかし、それらに加えて何よりも恐ろしかったのが、防御力の超強化であった。
ウルトラマン三人の格闘技が効かないのはもちろんのこと、メビュームシュートの
ような光線技、ウルトラスラッシュのようなカッター光線、さらにはナイトビーム
ブレードの斬撃をもってしても傷一つつけることができない。この、まさに不死身と
いっていい能力を得たドラコには、残存エネルギーの全てを与えたヤプールも
大満足した。
「ふははは! まさか、あの怪獣にこれほどの素質が隠されていたとは、
とんだ拾い物だが、これで貴様らの最後は決まったな。ウルトラ兄弟、
そこで死んでいけ! ウワッハッハッハ!」
もはや勝利は疑いなしと、満足の哄笑を残してヤプールは次元の裂け目に消えていく。
ドラコは、ウルトラマン三人の必殺技をなんなく受けきり、悠々と鎌で反撃を
していく悪夢のような光景には、空から見守るGUYSクルーたちも戦慄を
禁じえない。
「テッペイ、あいつの体はいったいどうなってるんだ!?」
「全身が、リフレクト星人の誘電体多層膜ミラーのような、光線の吸収性の
ない物質に変わってる上に、強度はキングジョーのペダニウム装甲並です。
つまり……」
「つまりなんだ?」
「つまり、僕らの兵器はもちろん、ウルトラマンの必殺技もほとんど通用しなく
なっちゃったってことです」
その結論は、リュウをもってしても平然と受け入れるというものではなかった。
光線も、打撃もどちらに対しても完全無欠、むろんウルトラ兄弟のパワーを
集結させたメビウスインフィニティーのコスモミラクルアタッククラスの
超々破壊力をもってすれば話は別かもしれないが、今いるのは三人だけで、
これにガンフェニックスのパワーをあわせたところで到底及ばない。
「何か弱点はねえのか?」
「フェニックスネストに分析を依頼してますが、はたして間に合うかどうか……」
そのころ、ガンフェニックスからデータを送られたフェニックスネストでは、
ゲートが閉じる時間が間近に迫る中、コノミやカナタがうろたえるばかりで
役に立たないでいるトリヤマ補佐官の見ている前で、大急ぎでドラコの
外骨格に弱点がないかと分析していたが、いくらGUYSのスーパー
コンピューターを使っても、残り少ない時間で間に合うかどうか。
そして、GUYSと同様にドラコの頭抜けた強化に悪寒が止まらないでいる
才人は、戦いに何の関与もできずにいる自分の無力さに、握ったこぶしに
汗をためながら見守り続けていた。
「エース……ルイズ、頑張れ……頑張れよ」
三人のカラータイマーの点滅が響く中で、ただ一匹ドラコの勝ち誇った
遠吠えだけが響き渡る。
だが、相手がいくら強かろうとひざを屈するわけにはいかない。自分たちの
後ろにはルイズたちの母校、トリステイン魔法学院がある。この国の、ひいては
この世界の未来をになうべき若者たちの明日を育てる、この大切な学び舎を、
壊させるわけには絶対いかなかった。
「テヤッ!」
「ヌゥン!」
一人ずつではだめならと、メビウスとヒカリが同時にドラコの右腕と左腕に
掴みかかり、組み付いて動きを封じようとする。
「くっ、すごい力だ!」
「だが、エース今だ!」
六〇メートルの今のドラコの巨体の前にはウルトラマンさえ小さく見える。
両側から押さえ込んだメビウスとヒカリを、それぞれ腕一本の力で押し返そうと
するドラコは、細かな牙をいっぱいに生やした口を横に開いて、甲高い声で
空気を揺さぶって正面に立つエースを威嚇してきて、そのバッタを捕食するときの
カマキリのようなドラコの口の奥から垂れる唾液を見て、ルイズは思わず雷に
怯える幼児のように無意識に訴えかける恐怖感に襲われた。
(……ひっ!)
自分に向けられてくる圧倒的な敵意と悪意に、ルイズの心は氷結してしまった
かのごとく熱を失っていく。いや、いつもならば相手がどんなに強大であろうと、
臆することはなかった。なぜなら、いつでも襲い掛かってくる恐怖や悪意から、
神の盾のように守ってくれた頼もしい人がいたから……なのに、自分はそれが
失われた後のことなんかを……
(怖いか?)
(こ、怖くなんてないもの!)
今のルイズには、案じてくれているエースの声もとがめるようにしか聞こえずに、
虚勢を張ることしかできず、その怯えがまたエースの力をそいでいく。けれども、
メビウスとヒカリの作ってくれたチャンスを無駄にするわけにはいかない。
しかし打撃、光線、斬撃もだめ……ならば!
『エースブレード!』
ウルトラ念力で構成した剣を握り締めたエースは、切り裂くのではなく、
切っ先をドラコの腹に向けて構えた。
「テェーイ!」
刃物を使用した攻撃で、もっとも殺傷力の高いのは斬撃ではなく刺突だ。
いくら強固な外骨格を誇るとて、その力を一点に集中するのであれば、
鉄板をアイスピックの一撃で貫けるように貫通も不可能ではないものと
エースは判断したのだ。しかし!
後ろにはルイズたちの母校、トリステイン魔法学院がある。この国の、ひいては
この世界の未来をになうべき若者たちの明日を育てる、この大切な学び舎を、
壊させるわけには絶対いかなかった。
「テヤッ!」
「ヌゥン!」
一人ずつではだめならと、メビウスとヒカリが同時にドラコの右腕と左腕に
掴みかかり、組み付いて動きを封じようとする。
「くっ、すごい力だ!」
「だが、エース今だ!」
六〇メートルの今のドラコの巨体の前にはウルトラマンさえ小さく見える。
両側から押さえ込んだメビウスとヒカリを、それぞれ腕一本の力で押し返そうと
するドラコは、細かな牙をいっぱいに生やした口を横に開いて、甲高い声で
空気を揺さぶって正面に立つエースを威嚇してきて、そのバッタを捕食するときの
カマキリのようなドラコの口の奥から垂れる唾液を見て、ルイズは思わず雷に
怯える幼児のように無意識に訴えかける恐怖感に襲われた。
(……ひっ!)
自分に向けられてくる圧倒的な敵意と悪意に、ルイズの心は氷結してしまった
かのごとく熱を失っていく。いや、いつもならば相手がどんなに強大であろうと、
臆することはなかった。なぜなら、いつでも襲い掛かってくる恐怖や悪意から、
神の盾のように守ってくれた頼もしい人がいたから……なのに、自分はそれが
失われた後のことなんかを……
(怖いか?)
(こ、怖くなんてないもの!)
今のルイズには、案じてくれているエースの声もとがめるようにしか聞こえずに、
虚勢を張ることしかできず、その怯えがまたエースの力をそいでいく。けれども、
メビウスとヒカリの作ってくれたチャンスを無駄にするわけにはいかない。
しかし打撃、光線、斬撃もだめ……ならば!
『エースブレード!』
ウルトラ念力で構成した剣を握り締めたエースは、切り裂くのではなく、
切っ先をドラコの腹に向けて構えた。
「テェーイ!」
刃物を使用した攻撃で、もっとも殺傷力の高いのは斬撃ではなく刺突だ。
いくら強固な外骨格を誇るとて、その力を一点に集中するのであれば、
鉄板をアイスピックの一撃で貫けるように貫通も不可能ではないものと
エースは判断したのだ。しかし!
「そんなっ!? エースの剣が、折れた」
なんと、ウルトラ念力で作られた、この世のあらゆる刃物よりも鋭いはずの
エースブレードがドラコの外骨格にはじき返されたばかりではなく、柄元から
乾いた金属音を立てて真っ二つにへし折れてしまったのだ。
まったく無傷のドラコは、メビウスとヒカリを振り払うと、巨体からは想像しがたい
俊敏さでエースに突進し、体当たりだけで大きく弾き飛ばして学院の城壁に
叩きつけてしまった。
「グッ、ォォォッ!」
崩れた瓦礫の中になかばうずめられながら、エースは起き上がることさえ
できずにもだえる。そこへ、ドラコは鎌を殺人鬼がナイフを舌なめずりして
もてあそぶように振り回しながら、とどめを刺そうと近づく。
「エース兄さん!」
「いかん、今のエースにはあれは避けられん!」
グドンの皮膚をもたやすく切り裂いた今のドラコの鎌ならば、ウルトラマンの
体でも無事で済むとは思えない。メビウスとヒカリはドラコに後方から
メビュームスラッシュとブレードスラッシュを撃ち込み、気を逸らして方向
転換させることに成功したが、両腕の鎌を使って二刀流で挑んでくるドラコは
まるで全身を鎧で固めた宮本武蔵も同然で、二人がかりでもまるで太刀打ち
することができない。
それに、かろうじて難を逃れたと思っていたエースにも、次の脅威が迫っていた。
瓦礫を押しのけて起き上がろうとするエースに突然襲い掛かる圧迫感、それが
もう一度瓦礫の上にエースを押し付け、打ちのめしていく。
「ウォォッ!」
まるで体の上で大岩がダンスしているようなこの感触、間違いない。それに
気づいたキュルケとタバサがエースの上に攻撃を仕掛けると、案の定透明化を
解除してエレドータスが姿を現した。
「あいつ、逃げたんじゃなかったのね!」
ドラコに恐れをなして、尻に帆かけて逃げ出していたはずのエレドータスが
戻ってきたことにキュルケとタバサだけでなく、シルフィードも強い憤りを覚えた。
奴は二人のウルトラマンが助けに入れないことをいいことに、抵抗力が衰えた
エースにのしかかるだけでなく、口から吐く電撃光線で追い討ちをかけていく。
相手が強ければ逃げ出すくせに、自分より弱いと見れば喜んで襲い掛かっていく、
しかもこそこそと姿を消してふいまでうって、人間に例えるまでもなく、こういう
ことをするやつを好きである理由は一欠けらもなかった。
「お姉さま! あんな卑怯者、やっつけちゃってなのね!」
「シルフィードの言うとおりよ。あいつだけは、生かしておけないわ」
タバサも一度だけうなずくと、シルフィードとキュルケに即席で考えた作戦を
指示して、自らも精神を集中して呪文の詠唱を始めた。
「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ハガラース……」
『氷嵐』、現在のタバサが使える最強のトライアングルスペルが、彼女の膨大な
魔力を得て節くれだった杖に集中していき、さらにキュルケも可能な限りの
熱量を集中させた『炎弾』を構築していく。
だが、普通に放てばハルケギニア最強の幻獣であるドラゴンにさえ致命傷を
与えられるであろう二人の魔法でも、相手は生物の常識を超えた存在である
怪獣である。ケムラー、スコーピス、ガギら強敵と渡り合ってきたタバサには、
これでもたいしたダメージはいかないものと予想していた。かといって、数で
勝負しようにも、時間をかければこちらが奴の破壊光線にやられる。
ならば、勝負は一撃でかけるしかない。
「お姉さま、いくのね!」
奴の目の死角から急接近していくシルフィードの背から、まずキュルケが先手をとった。
「炎よ!」
発射された火炎は流星のように尾を引いてエレドータスに向かう。しかし、相手は
全身を強固な甲羅に覆った亀の怪獣、胴体を狙ったところで意味は無い。キュルケの
炎は亀の最大の急所である首筋にまとわりつくと勢いよく燃え上がった。
「やった! これであいつはもう首を引っ込められないのね!」
亀型怪獣のやっかいなところは甲羅の中に頭と手足を引っ込めると鉄壁の
ガードとなって一切の攻撃が効かなくなることだが、首筋に炎のネックレスを
あしらわれたエレドータスはその熱さのあまりに首を甲羅に戻せないでいる。
「今がチャンスよ! タバサ、頼んだわよ!」
キュルケの激励を受けて、タバサは首筋を焼く炎を振り払おうとして、悲鳴を
あげながら頭を振り回しているエレドータスが、ひときわ大きい叫び声をあげた
その瞬間、巨大な口の中に渾身の『アイス・ストーム』を叩き込んだ! すると、
極低温の吹雪が口内で荒れ狂い、エレドータスの唾液から、口内の薄い皮膚の
下の毛細血管の水分も一瞬にして凍りつかせ、それらは細胞を破壊する無数の
槍となってエレドータスを一瞬にして凍死に追い込んだのだ。
「やったやった! さすがお姉さまなのね!」
「やった……すごいわ、タバサ!」
地面に崩れ落ちて完全に絶命したエレドータスを見下ろして、シルフィードと
キュルケは躍り上がるようにして喜んだ。
「見事よタバサ、けど硬い体を避けて体内を直接狙うなんて、よく思いついたわね」
「たまたま気づいた」
そう、タバサの立てた作戦とは、体の外からの攻撃に強いのならば、逆に体内から
攻撃すればいいというものであった。これまでの戦いから、『烈風』カリンほどの
超攻撃力をいまだもてない自分が、怪獣と戦うにはどうすればよいかと考えた結果、
行き着いた答えがこれであった。
ようやく起き上がったエースの眼前を通り過ぎて、シルフィードはまた舞い上がっていく。
(すごい友だちだな)
(ええ、認めたくないけど、キュルケたちは強いわ)
手を振りながら飛び去っていったキュルケたちに、エースが惜しみない賞賛を
送るのに、ルイズも認めざるを得ないというふうに答えた。
はじめは、ハルケギニアの人間は怪獣に対して軍隊をもってしてもまったく
なすすべはなく、累々と死山血河を築き上げるだけであったのに、努力を重ねて
かつて初代ウルトラマンを苦しめた怪獣ザラガスを独力で撃破するまでに
短期間で成長し、今でもヤプールをはじめとする侵略者と戦い続けている。
もしも、彼らの奮闘がなければウルトラマンAだけではヤプールの侵攻は
防ぎきれなかったに違いない。それは、ハルケギニアも地球も変わりなく、
強大な悪意に対抗し、守るべきものを守るためならば人は限りなく進化を
続けていく。
(我々も、負けてはられないぞ)
(ええ、サイトに……みっともないところは見せられないもの)
自分だけが、ずっと同じところにとどまっているわけにはいかないと、ルイズは
からっぽの心に風を吹き込むように、キュルケたちからもらった一欠けらの闘志を
燃え上がらせ、その心を受け取ったエースは力を振り絞って立ち上がり、
メビウスとヒカリを相手に暴虐を振るうドラコに立ち向かっていく。
「デャアッ!」
ドラコの背中から飛び掛り、翼を掴んで引っこ抜こうとするが、スチールより
硬くてビニールより薄くて柔軟なドラコの翼も、同様にパワーアップされていて、
奴が軽く羽ばたかせただけでエースは振り払われてしまった。
「エース兄さん、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ。しかし、このままでは我らの力を結集したとしても、奴には勝てない」
「ああ、何か弱点を見つけなければ……」
ウルトラマン三人と、ガンフェニックスの総攻撃を受けてもいまだドラコには
かすり傷一つつけられていない。それほどに、ドラコの全身をくまなく覆った
外骨格の強度は並はずれで、カラータイマーを鳴らす三人とは裏腹に、奴は
疲れたそぶりさえ見せていない。
けれど、この世に存在するものに完全無欠などということは絶対にない。
金城鉄壁を誇る外骨格に唯一存在したアキレス腱を、フェニックスネストで
必死の努力で分析していたコノミたちがついに見つけ出したのだ。
「リュウさん、わかりました。ドラコの右肩の頂上部に、わずかですが亀裂が
あります!」
「なにっ!? そうか、奴が強化する前にメビウスにつけられた刀傷が残ってたのか。
なら、そこを攻撃すればいいんだな」
ギリシャ神話の英雄アキレスは、冥府の不死身の川の水を全身に浴びたときに
かかとだけが隠されて浴びそこない、そこを射抜かれて倒されてしまったというが、
ドラコにとってはメビウスから受けた深手が、ガディバの生体再構築をもってしても
再生しきれず、場所は違うがアキレスのかかととなったらしい。
ただ、ドラコの弱点は右の肩だということはわかったが、それには大変な
難題がいっしょについていた。
「はい……ですけど」
なんとコノミから伝えられた結果は、そのドラコの外骨格の唯一の亀裂は、ほんの
一〇センチに満たない小ささで、それも時間が経つにつれて徐々に小さくなって
いっているというのだ。
「一〇センチだって、そんなもんカラスの足跡みたいなもんじゃねえか!」
口で言えば簡単だが、相手は全長六〇メートルの巨大怪獣であり、しかも
当たり前のことではあるが、動き回るために照準は一定することはない。
いくらガンフェニックスの性能をもってしても、そこまでの超精密ピンポイント射撃は
不可能だ。
期待が大きかっただけに、それに対する落胆もまた彼らを打ちのめしたが、
それでも勝率ゼロが、一パーセントにも二パーセントにもなったのは事実である。
「行くぞ、ドラコの弱点は……右の、肩だ!」
「はい!」
「おうっ!」
エースを先頭に、三人のウルトラマンはドラコの唯一の急所をめがけて飛び掛っていく。
エースのパンチが、メビュームブレードが、ナイトビームブレードがドラコの右肩
のみを狙って何度も攻撃を仕掛けては、そのたびにハエを払うように無造作に
弾き飛ばされる。
「なんて強いやつなんだっ!」
むろん、ガンウィンガー、ガンローダー、ガンブースターの三機もチャンスが
あるたびに射撃を繰り返すが、的が小さすぎるためにいくら撃ってもヒットを
得ることができないでいる。メテオールも、今回ばかりはブリンガーファンも
スパイラルウォールも役には立たないし、唯一効果がありそうなスペシウム弾頭弾は
昨日の戦いで使い果たしてそのままなので、残念ながら使えない。
そのとき、才人は時間ばかりが無意味に過ぎていく絶望的な状況で、これまで
戦いをどうすることもできずに見守り続けていたが、ついにたまりかねて意見を
口にした。
「ガンローダーの機動性なら、ギリギリまで接近して攻撃できるんじゃないですか?」
確かに、三機中もっとも安定性の高いガンローダーの性能ならば、直接照準が
できる場所まで接近して攻撃できるかもしれなかったが、それは大変な危険も
はらんでいた。
「つまり、ギリギリまで肉薄してゼロ距離射撃に賭けろってことか」
「ちょっとあんた! それは危険すぎるわよ」
「マリナの言うとおりだ、下手すれば特攻になっちまうぞ」
ジョージとマリナの言うとおり、蜂に刺されるとわかっているのに飛んでくる
のを黙っている人間がいないように、奴は暴れて接近しようとするガンローダーを
撃ち落そうとしてくるに違いない。
「す、すいません……素人考えで口をだしちゃって」
「いや、このままじり貧でエネルギーを削られていくよりかは成功率がある。
悪い考えじゃねえかもしれん」
才人は謝ったがリュウは虎穴にいらずんば虎子を得ず、危険を恐れていては
なにも成し遂げられないと、むしろこの無謀な案に強い興味を示していた。
それに、才人は半年ものあいだこの世界で怪獣や宇宙人を相手にエースを
サポートして戦ってきたのだ、実戦経験という点では万金の価値がある。
ただし、才人はあくまでも一般人という立場であることを忘れてはならない。
ジョージはその作戦は、可能だとすればガンローダーくらいだが、才人を乗せた
ままで怪獣に肉薄する気かと問うてきたが、才人は決然とリュウより先に答えた。
「おれのことは気にしないでください。だてに怪獣と戦ってきてません! それに、
ウルトラマンたちや、ルイズやキュルケたちも必死に戦ってるのに、おれだけ
何もしないでいるなんて耐えられません」
「そうか、よく言ったぜ。その勇気、あの嬢ちゃんたちに見せてやろうぜ。さあて
一瞬でも、奴の動きを止められれば」
そうすれば、一撃でけりをつけてやるのにとリュウは才人の案に一筋の
光明を見たような気がした。ともかく、一瞬でも奴の動きが止まれば。
それができるのは、彼らしかいなかった。
エースブレードがドラコの外骨格にはじき返されたばかりではなく、柄元から
乾いた金属音を立てて真っ二つにへし折れてしまったのだ。
まったく無傷のドラコは、メビウスとヒカリを振り払うと、巨体からは想像しがたい
俊敏さでエースに突進し、体当たりだけで大きく弾き飛ばして学院の城壁に
叩きつけてしまった。
「グッ、ォォォッ!」
崩れた瓦礫の中になかばうずめられながら、エースは起き上がることさえ
できずにもだえる。そこへ、ドラコは鎌を殺人鬼がナイフを舌なめずりして
もてあそぶように振り回しながら、とどめを刺そうと近づく。
「エース兄さん!」
「いかん、今のエースにはあれは避けられん!」
グドンの皮膚をもたやすく切り裂いた今のドラコの鎌ならば、ウルトラマンの
体でも無事で済むとは思えない。メビウスとヒカリはドラコに後方から
メビュームスラッシュとブレードスラッシュを撃ち込み、気を逸らして方向
転換させることに成功したが、両腕の鎌を使って二刀流で挑んでくるドラコは
まるで全身を鎧で固めた宮本武蔵も同然で、二人がかりでもまるで太刀打ち
することができない。
それに、かろうじて難を逃れたと思っていたエースにも、次の脅威が迫っていた。
瓦礫を押しのけて起き上がろうとするエースに突然襲い掛かる圧迫感、それが
もう一度瓦礫の上にエースを押し付け、打ちのめしていく。
「ウォォッ!」
まるで体の上で大岩がダンスしているようなこの感触、間違いない。それに
気づいたキュルケとタバサがエースの上に攻撃を仕掛けると、案の定透明化を
解除してエレドータスが姿を現した。
「あいつ、逃げたんじゃなかったのね!」
ドラコに恐れをなして、尻に帆かけて逃げ出していたはずのエレドータスが
戻ってきたことにキュルケとタバサだけでなく、シルフィードも強い憤りを覚えた。
奴は二人のウルトラマンが助けに入れないことをいいことに、抵抗力が衰えた
エースにのしかかるだけでなく、口から吐く電撃光線で追い討ちをかけていく。
相手が強ければ逃げ出すくせに、自分より弱いと見れば喜んで襲い掛かっていく、
しかもこそこそと姿を消してふいまでうって、人間に例えるまでもなく、こういう
ことをするやつを好きである理由は一欠けらもなかった。
「お姉さま! あんな卑怯者、やっつけちゃってなのね!」
「シルフィードの言うとおりよ。あいつだけは、生かしておけないわ」
タバサも一度だけうなずくと、シルフィードとキュルケに即席で考えた作戦を
指示して、自らも精神を集中して呪文の詠唱を始めた。
「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ハガラース……」
『氷嵐』、現在のタバサが使える最強のトライアングルスペルが、彼女の膨大な
魔力を得て節くれだった杖に集中していき、さらにキュルケも可能な限りの
熱量を集中させた『炎弾』を構築していく。
だが、普通に放てばハルケギニア最強の幻獣であるドラゴンにさえ致命傷を
与えられるであろう二人の魔法でも、相手は生物の常識を超えた存在である
怪獣である。ケムラー、スコーピス、ガギら強敵と渡り合ってきたタバサには、
これでもたいしたダメージはいかないものと予想していた。かといって、数で
勝負しようにも、時間をかければこちらが奴の破壊光線にやられる。
ならば、勝負は一撃でかけるしかない。
「お姉さま、いくのね!」
奴の目の死角から急接近していくシルフィードの背から、まずキュルケが先手をとった。
「炎よ!」
発射された火炎は流星のように尾を引いてエレドータスに向かう。しかし、相手は
全身を強固な甲羅に覆った亀の怪獣、胴体を狙ったところで意味は無い。キュルケの
炎は亀の最大の急所である首筋にまとわりつくと勢いよく燃え上がった。
「やった! これであいつはもう首を引っ込められないのね!」
亀型怪獣のやっかいなところは甲羅の中に頭と手足を引っ込めると鉄壁の
ガードとなって一切の攻撃が効かなくなることだが、首筋に炎のネックレスを
あしらわれたエレドータスはその熱さのあまりに首を甲羅に戻せないでいる。
「今がチャンスよ! タバサ、頼んだわよ!」
キュルケの激励を受けて、タバサは首筋を焼く炎を振り払おうとして、悲鳴を
あげながら頭を振り回しているエレドータスが、ひときわ大きい叫び声をあげた
その瞬間、巨大な口の中に渾身の『アイス・ストーム』を叩き込んだ! すると、
極低温の吹雪が口内で荒れ狂い、エレドータスの唾液から、口内の薄い皮膚の
下の毛細血管の水分も一瞬にして凍りつかせ、それらは細胞を破壊する無数の
槍となってエレドータスを一瞬にして凍死に追い込んだのだ。
「やったやった! さすがお姉さまなのね!」
「やった……すごいわ、タバサ!」
地面に崩れ落ちて完全に絶命したエレドータスを見下ろして、シルフィードと
キュルケは躍り上がるようにして喜んだ。
「見事よタバサ、けど硬い体を避けて体内を直接狙うなんて、よく思いついたわね」
「たまたま気づいた」
そう、タバサの立てた作戦とは、体の外からの攻撃に強いのならば、逆に体内から
攻撃すればいいというものであった。これまでの戦いから、『烈風』カリンほどの
超攻撃力をいまだもてない自分が、怪獣と戦うにはどうすればよいかと考えた結果、
行き着いた答えがこれであった。
ようやく起き上がったエースの眼前を通り過ぎて、シルフィードはまた舞い上がっていく。
(すごい友だちだな)
(ええ、認めたくないけど、キュルケたちは強いわ)
手を振りながら飛び去っていったキュルケたちに、エースが惜しみない賞賛を
送るのに、ルイズも認めざるを得ないというふうに答えた。
はじめは、ハルケギニアの人間は怪獣に対して軍隊をもってしてもまったく
なすすべはなく、累々と死山血河を築き上げるだけであったのに、努力を重ねて
かつて初代ウルトラマンを苦しめた怪獣ザラガスを独力で撃破するまでに
短期間で成長し、今でもヤプールをはじめとする侵略者と戦い続けている。
もしも、彼らの奮闘がなければウルトラマンAだけではヤプールの侵攻は
防ぎきれなかったに違いない。それは、ハルケギニアも地球も変わりなく、
強大な悪意に対抗し、守るべきものを守るためならば人は限りなく進化を
続けていく。
(我々も、負けてはられないぞ)
(ええ、サイトに……みっともないところは見せられないもの)
自分だけが、ずっと同じところにとどまっているわけにはいかないと、ルイズは
からっぽの心に風を吹き込むように、キュルケたちからもらった一欠けらの闘志を
燃え上がらせ、その心を受け取ったエースは力を振り絞って立ち上がり、
メビウスとヒカリを相手に暴虐を振るうドラコに立ち向かっていく。
「デャアッ!」
ドラコの背中から飛び掛り、翼を掴んで引っこ抜こうとするが、スチールより
硬くてビニールより薄くて柔軟なドラコの翼も、同様にパワーアップされていて、
奴が軽く羽ばたかせただけでエースは振り払われてしまった。
「エース兄さん、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ。しかし、このままでは我らの力を結集したとしても、奴には勝てない」
「ああ、何か弱点を見つけなければ……」
ウルトラマン三人と、ガンフェニックスの総攻撃を受けてもいまだドラコには
かすり傷一つつけられていない。それほどに、ドラコの全身をくまなく覆った
外骨格の強度は並はずれで、カラータイマーを鳴らす三人とは裏腹に、奴は
疲れたそぶりさえ見せていない。
けれど、この世に存在するものに完全無欠などということは絶対にない。
金城鉄壁を誇る外骨格に唯一存在したアキレス腱を、フェニックスネストで
必死の努力で分析していたコノミたちがついに見つけ出したのだ。
「リュウさん、わかりました。ドラコの右肩の頂上部に、わずかですが亀裂が
あります!」
「なにっ!? そうか、奴が強化する前にメビウスにつけられた刀傷が残ってたのか。
なら、そこを攻撃すればいいんだな」
ギリシャ神話の英雄アキレスは、冥府の不死身の川の水を全身に浴びたときに
かかとだけが隠されて浴びそこない、そこを射抜かれて倒されてしまったというが、
ドラコにとってはメビウスから受けた深手が、ガディバの生体再構築をもってしても
再生しきれず、場所は違うがアキレスのかかととなったらしい。
ただ、ドラコの弱点は右の肩だということはわかったが、それには大変な
難題がいっしょについていた。
「はい……ですけど」
なんとコノミから伝えられた結果は、そのドラコの外骨格の唯一の亀裂は、ほんの
一〇センチに満たない小ささで、それも時間が経つにつれて徐々に小さくなって
いっているというのだ。
「一〇センチだって、そんなもんカラスの足跡みたいなもんじゃねえか!」
口で言えば簡単だが、相手は全長六〇メートルの巨大怪獣であり、しかも
当たり前のことではあるが、動き回るために照準は一定することはない。
いくらガンフェニックスの性能をもってしても、そこまでの超精密ピンポイント射撃は
不可能だ。
期待が大きかっただけに、それに対する落胆もまた彼らを打ちのめしたが、
それでも勝率ゼロが、一パーセントにも二パーセントにもなったのは事実である。
「行くぞ、ドラコの弱点は……右の、肩だ!」
「はい!」
「おうっ!」
エースを先頭に、三人のウルトラマンはドラコの唯一の急所をめがけて飛び掛っていく。
エースのパンチが、メビュームブレードが、ナイトビームブレードがドラコの右肩
のみを狙って何度も攻撃を仕掛けては、そのたびにハエを払うように無造作に
弾き飛ばされる。
「なんて強いやつなんだっ!」
むろん、ガンウィンガー、ガンローダー、ガンブースターの三機もチャンスが
あるたびに射撃を繰り返すが、的が小さすぎるためにいくら撃ってもヒットを
得ることができないでいる。メテオールも、今回ばかりはブリンガーファンも
スパイラルウォールも役には立たないし、唯一効果がありそうなスペシウム弾頭弾は
昨日の戦いで使い果たしてそのままなので、残念ながら使えない。
そのとき、才人は時間ばかりが無意味に過ぎていく絶望的な状況で、これまで
戦いをどうすることもできずに見守り続けていたが、ついにたまりかねて意見を
口にした。
「ガンローダーの機動性なら、ギリギリまで接近して攻撃できるんじゃないですか?」
確かに、三機中もっとも安定性の高いガンローダーの性能ならば、直接照準が
できる場所まで接近して攻撃できるかもしれなかったが、それは大変な危険も
はらんでいた。
「つまり、ギリギリまで肉薄してゼロ距離射撃に賭けろってことか」
「ちょっとあんた! それは危険すぎるわよ」
「マリナの言うとおりだ、下手すれば特攻になっちまうぞ」
ジョージとマリナの言うとおり、蜂に刺されるとわかっているのに飛んでくる
のを黙っている人間がいないように、奴は暴れて接近しようとするガンローダーを
撃ち落そうとしてくるに違いない。
「す、すいません……素人考えで口をだしちゃって」
「いや、このままじり貧でエネルギーを削られていくよりかは成功率がある。
悪い考えじゃねえかもしれん」
才人は謝ったがリュウは虎穴にいらずんば虎子を得ず、危険を恐れていては
なにも成し遂げられないと、むしろこの無謀な案に強い興味を示していた。
それに、才人は半年ものあいだこの世界で怪獣や宇宙人を相手にエースを
サポートして戦ってきたのだ、実戦経験という点では万金の価値がある。
ただし、才人はあくまでも一般人という立場であることを忘れてはならない。
ジョージはその作戦は、可能だとすればガンローダーくらいだが、才人を乗せた
ままで怪獣に肉薄する気かと問うてきたが、才人は決然とリュウより先に答えた。
「おれのことは気にしないでください。だてに怪獣と戦ってきてません! それに、
ウルトラマンたちや、ルイズやキュルケたちも必死に戦ってるのに、おれだけ
何もしないでいるなんて耐えられません」
「そうか、よく言ったぜ。その勇気、あの嬢ちゃんたちに見せてやろうぜ。さあて
一瞬でも、奴の動きを止められれば」
そうすれば、一撃でけりをつけてやるのにとリュウは才人の案に一筋の
光明を見たような気がした。ともかく、一瞬でも奴の動きが止まれば。
それができるのは、彼らしかいなかった。
「リュウ、作戦は決まったようだな。なら、そのチャンスを俺たちが作ってやる」
「僕たちが、全力で奴を押さえつけます。その隙にお願いします」
「恐らく、我々の残りの力では数秒も持つまい。チャンスは一度きりだ、頼むぞ」
「僕たちが、全力で奴を押さえつけます。その隙にお願いします」
「恐らく、我々の残りの力では数秒も持つまい。チャンスは一度きりだ、頼むぞ」
ヒカリ、メビウス、エースは活動時間のリミットがすぐそばまで迫っている中で、
最後の希望を人間たちにたくそうと、残された力を振り絞ってドラコに向かっていく。
「テァッ!」
「ヘヤッ!」
ヒカリがドラコの右腕に、メビウスが左腕に組み付いて、先程と同じように
動きを封じようとし、エースもドラコの首筋にねじ上げるようにするが、奴の
強靭な体は関節技も通じないらしく、三人がかりでもさきほどより消耗した
状態ではドラコのパワーには負けてしまう。
「リュウさん!」
「リュウ、いまだ!」
「G・I・G!」
ドラコの動きが止まった、仲間が作ってくれたこのチャンスを逃してなるかと
リュウはガンローダーをドラコに向かって急接近させ、照準をオートから
マニュアルに変更し、照準機に映し出されたドラコの右肩にあるという、
外骨格の亀裂を撃とうとトリガーに指をかけた。
しかし……
最後の希望を人間たちにたくそうと、残された力を振り絞ってドラコに向かっていく。
「テァッ!」
「ヘヤッ!」
ヒカリがドラコの右腕に、メビウスが左腕に組み付いて、先程と同じように
動きを封じようとし、エースもドラコの首筋にねじ上げるようにするが、奴の
強靭な体は関節技も通じないらしく、三人がかりでもさきほどより消耗した
状態ではドラコのパワーには負けてしまう。
「リュウさん!」
「リュウ、いまだ!」
「G・I・G!」
ドラコの動きが止まった、仲間が作ってくれたこのチャンスを逃してなるかと
リュウはガンローダーをドラコに向かって急接近させ、照準をオートから
マニュアルに変更し、照準機に映し出されたドラコの右肩にあるという、
外骨格の亀裂を撃とうとトリガーに指をかけた。
しかし……
後半部へ続く