あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

第六話 二人の使い魔の日常 前編


第六話 二人の使い魔の日常


クラースが学院に戻って、数日が過ぎた
二人はルイズの使い魔として、才人は召使のように働かされ、クラースは知識を習得している
そんな使い魔達の日常は、こんな具合である

………………

「クラースさん、起きてください…クラースさん。」
朝…トリステイン魔法学院女子寮のルイズの部屋…
床で眠っているクラースの耳に、才人の声が聞こえてくる
クラースが目を覚ますと、彼とルイズがそこにいた
「ん…ああ、才人…それにルイズも…おはよう。」
二人に朝の挨拶をしながら、クラースは起き上がる
その拍子に、体の上に乗せていた本が幾つかパラパラと落ちる
「全く、主人の私より起きるのが遅いなんて使い魔失格よ。」
「仕方ないだろ、最近徹夜続きなんだ…これを読む為にな。」
クラースの周りにあるのは、図書館から借りてきた本だった
魔法関連から歴史書、地理、法律、伝説など、ジャンルは様々である
「何せ、私はこっちの事を全く知らないからな…学ぶべき事は沢山ある。」
「だからって限度があるでしょ!!」
「仕方ないって…クラースさんは一旦こうなると、ストップ効かないし。」
クラースは時間さえあればその全てを研究に費やすので、生活能力が全くないのだ
ミラルドがいなければ、碌な生活を送れなかったであろう事は想像に難くない
「もう…こうなるんだったら字なんか教えなきゃ良かったわ。」
「ハハハ…それにしても、ほんの数日でよく文字を覚えられましたよね。」
才人の言う通り、クラースはこの数日間でハルケギニアの文字を殆どマスターしてしまった
今ではこうして、複数の本を読む事も字を書く事も可能になっている
「学者だからな、覚えるのは得意な方だ…というか、基本が解ればどんどん理解が深まっていくんだ。」
「へぇ、そんなもんなんですか?」
「そんなの、私が教えるのが上手かったからに決まってるでしょ。」
えっへんと、ルイズは胸を張って自身が偉大であるかのように振舞った
無い胸張って…と呟いた才人をしばくのも、勿論忘れていない
「兎に角…勤勉なのは良いけど、もう少し限度ってものを考えなさい、良いわね?」
「ん?ああ、解った解った…努力はしよう。」
気の抜けた返事を返すクラース…絶対無理だな、と才人は思った
「所でルイズ、今日の授業は何なんだ?」
「今日?今日は最初に魔法の授業があって、後はないわね…最初の授業しか出ないでしょ?」
「ああ。」
クラースは魔法を使う授業だけ、ルイズに同席する
それ以外はこうして本を読むか、散歩するのが此処での彼の日課だ
「じゃあ、早く食堂に行くわよ。私もうお腹空いてるんだから。」
それに、早く食べに行かなければ授業に遅れてしまう
「馬鹿犬、あんたはご飯抜きだから残って掃除・洗濯しなさいよね。」
「はいはい、解ってるって。」
ただ一人、才人だけは部屋に居残りとなった…理由は、昨日ルイズを怒らしたからである
「またか…今度は何をやらかしたんだ?」
「いやぁ…無茶苦茶言うからあいつの服のポケットに、玩具の蛙を忍ばせといたんですけどね。」
「懲りないな、君も…あまりそういう事はするもんじゃないぞ。」
とはいえ、飯抜きになっても才人には苦ではない事をクラースは知っている
が、前のように本当にルイズを傷つけない限り、告げ口する気はなかった
「ほら、何してんの。さっさと行くわよ。」
既に扉を開けて外に出たルイズが呼びかけてくる…昨日の事を思い出したのか、口調が荒い
「ああ、解った…じゃあな、才人。」
「いってらっしゃい、クラースさん…ついでにご主人様も。」
最後だけは付け足して、才人は二人に向かって手を振った
ふん、とルイズは勢いよく戸を閉めると、ずかずかと食堂に向かって歩いていく
やれやれ、と呟きながらクラースもその後に続いた

朝食を終えた後、ルイズとクラースは本日最初の授業に出席した
開始まではまだ少しだけ時間があるので、講師の先生は着ていない
「おい、ゼロのルイズが来たぞ…使い魔のメイジも一緒だ。」
生徒の一人がそう言うと、ほぼ全員がルイズとクラースに視線を向ける
あの決闘騒ぎ以来、彼等のルイズを見る目が変わった
腕の立つ異国のメイジと凄腕の剣士を召喚したとして、彼女の評価は確かに上がったのだ
彼等の眼差しに、ルイズは上機嫌になりながら席を探す
「さてと、何処に座ろうかしら…。」
「此処なら空いていますわ。」
そんな時、上の方にいたキュルケが声を掛けてきた…確かに、彼女の隣の二席は空いている
「何であんたの隣に座らなきゃいけないのよ。」
「あら、私はあんたじゃなくてミスタ・レスターをお誘いしたつもりだけど?」
キッとキュルケを睨むルイズ…そんなルイズを他所に、クラースは歩き出した
そして、空いているキュルケの隣の席に腰を掛けた
「ちょっと、クラース先生…何でツェルプストーの隣なんか…。」
「もうすぐ授業が始まるんだ、空いているならさっさと座った方が良いだろ。」
違うか、と言われてルイズはしかめっ面になりながら唸る
しばらく唸った後、結局彼女はクラースの隣に大きな音を立てながら座った
「あら、あのルイズが言う事を聞くなんて…それに、先生?」
「私は彼女の個人教諭をする事になってね…それで、先生と呼ばれている。」
ふーん、と納得したキュルケはクラースとルイズを交互に見る
「成る程ねぇ…なら、私もクラース先生、と呼ばせて貰っても構いませんかしら?」
「駄目よ、絶対駄目…あんたが言うと嫌らしく聞こえるから。」
「だから、あんたに聞いてるんじゃないのよ。」
クラースを挟んで、キュルケとルイズは喧嘩を始めそうになった
そんな時、クラースは反対側の席が空席になっている事に気付いた
「ん、キュルケ…タバサはどうしたんだ、今日は一緒じゃないのか?」
キュルケとタバサはどういうわけか親友で、一緒にいる事が多い
他の席に座っているのかと教室を見回してみるが、何処にも彼女の姿は見えない
「タバサ?あの子なら何処かに行きましたわよ。あの子ったらふらっといなくなるから。」
どうやら、また国許の任務か何かで出かけているらしい
納得して頷いていると、ルイズがジッと見ている事に気付いた
「先生って、最近タバサと一緒にいる事が多いようね。」
「ああ、まあな…彼女には色々と教えたり、教えてもらっている。」
嘘は言っていない…正直に答えるが、相変わらずルイズはジッとクラースを見つめる
「お、教えたり教えて貰ったりって…まさか、先生…。」
「言っておくが、内容は学問が中心だからな…変な事を考えてないだろうな?」
「へっ…や、やあね、私がそんな変な事考えるわけないでしょ。」
ルイズは慌てて作り笑いをしたが、全然誤魔化せていなかった
そんな彼女に、やれやれとクラースはため息をつくしかなかった
「タバサったら、何時の間に…思わぬ所でライバル出現ね。」
キュルケはキュルケで、勝手にタバサを恋のライバルに認定してしまっている
「私と彼女はそんな関係じゃないのだがな、唯利害が一致したからで…。」
「あの…そろそろ授業を始めたいのですが……。」
そんな時、教卓からこの時間の授業を受け持つ教師の声が聞こえてきた
既に時間は始まりを過ぎており、騒いでいるのはこの辺りだけだった
それ以上喋るのを止め、クラースは授業に集中する事にした

授業が終わった後、クラースはルイズと別れて図書館へと来た
読み終えた本を司書に返すと、ある記述を探して中へ入る
「ふーむ……これは違うな。」
ある本棚でペラペラとページを捲った後、クラースは本を元の場所へと戻した
次の本を手にとって見てみるが、首を横に振って元の場所へと戻す
「これも、これも…これも違うか。何処にあるんだろうな。」
「何をしている?」
それを何度か繰り返していると、クラースを呼ぶ声が聞こえた
後ろを振り返ると、そこにはタバサの姿があった
「タバサ…出かけたと聞いていたが、帰ってきたのか?」
クラースの問いかけに、タバサは黙って頷いて答えた
そうか、とクラースは持っている本を戻し、再び本を探した
「実はな、今私やジーニアス達のような者がいたかどうか調べている所なんだ。」
「貴方達のような…それはつまり、別世界の来訪者?」
「そうだ。過去にも似たような事があったとすれば、帰る方法が見つかるかもしれないからな。」
そんな人物が何処から来て、何処へ向かったのか…
その『何処へ向かった』が解れば、帰れる確立は高くなる筈である
「しかし、中々見つからなくてな…この辺にはないのかもしれんな。」
持っている本を元に戻し、クラースは図書館の中を見回してみる
此処の蔵書量は半端ない、読破にどれだけの年月が掛かるか解らない程だ
「あると思うんだがな…これまでの事を考えると、過去に何度かあっても可笑しくない筈だ。」
それが過失か故意によるものだとしても…クラースはそう確信していた
「タバサ、君は何か知らないか?」
豊富な知識を持つ彼女なら、何か知っているかもしれない
そう思って尋ねてみたが、彼女は首を横に振る
「解らない…別世界の来訪者なんて、聞いた事がない。」
「そうか…やはり、そう簡単に答えが見つかるわけがないか。」
ふぅ、と溜息をついてクラースは本を探すのを中断すると、改めてタバサの方へと振り向いた
「さて、と…タバサ、授業に行かずに私の所に来たという事は…あれか?」
黙って頷くタバサ…それを見て、クラースは『あれ』の続きを行う事にした

……………

「クラースさ~~ん、何処ですか~~~?」
昼食が近い頃、掃除を終えた才人がクラースを探して図書館へやってきた
膨大な数の本棚を見回しながら、クラースを探して歩き回る
「きっと此処にいると思うんだけどなぁ…それにしても、本当頭が痛くなる位の本の山だよな。」
そんな事を呟きながらこの広い図書館を歩き回って数分…ようやくクラースを見つけた
「あっ、クラースさん…此処にいたんですか、探しましたよ。」
クラースは読書用のスペースで、タバサと並んで座っていた
タバサは字を書いており、クラースは才人の声に顔をあげる
「ん…ああ、才人か…もう昼食の時間か?」
「そうですよ。放っておいたら、飯も食べずに調べ物をしますからね…で、二人して何を?」
「書き取りだ。私の持っている術書を理解して貰う為に、彼女に私の世界の文字を教えている所だ。」
成る程、彼女が書いている字に見覚えがあると思ったわけだ
今も書き取りを続けているタバサに、才人は近づいた

「よう、タバサ。」
才人が呼びかけるが、タバサは返事も返さずに書き取りを続ける
クラースとタバサが関わるようになって、自然と才人も彼女に関わるようになった
とは言っても、今のように碌な会話は今の所出来てはいない
「それにしても…クラースさん、こいつに本当の事全部喋っちゃったんですよね?」
クラースの傍に回り込み、タバサに聞こえないよう小声で才人は話す
この前の大まかな事は、クラースから聞かされている
「良かったんですか?俺達の事喋ったりして…。」
「そうでもせんと、彼女の協力を得られなかったからな。」
「ふーん……あれ?」
書き取りを行うタバサを見ていると、才人はある違和感に気付いた
しかし、彼女はその違和感に気付いていないようである
「なあ、タバサ…ちょっとそれ見せてくれよ。」
無視されるかもと思ったが、才人の言葉に初めてタバサは顔を上げて彼の顔を見た
しばらくじっと才人の顔を見ていたが、書き取りの用紙を渡す
それを受け取ると、才人はじっと書かれたアセリアの文字を見つめて…
「ああ、やっぱり…お前、此処のスペル間違ってるぜ。これだと変な文章になるから…。」
そう言うと、傍にあった予備のペンを使って字を修正する
修正したそれを返すと、タバサは修正された字を見つめる
そして、自分が間違っていた事が解ると、少し驚いた表情で才人を見た
「何だよ、そんなに意外か?俺もクラースさんに召喚されてから字の勉強させて貰ったからな。」
才人の脳裏には、子ども達に混ざってミラルドから勉強を受けた時の事が過ぎる
意外な所で役に立ちました、と改めて彼女に感謝した
「ほぅ、ちゃんと勉強の成果は出てるようだな。」
「ミラルドさんの教えが上手ですからね…クラースさんは専門すぎてチンプンカンプンだし。」
「よく言われる…私としては解り易く説明しているつもりなのだがな。」
そう言って、二人は笑いあった…その様子を不思議そうにタバサは見つめる
彼等はメイジと使い魔という関係の筈なのに、全然そうは見えないからだ
「さて、勉強は此処までにして…昼食を食べに行くか。」
ようやく此処で区切りを入れると、クラースはテーブルの上の片づけを始めた
タバサも片づけを始める中、才人はある事についてクラースに話した
「ああ、それなんですけど…さっきマルトーさんから、厨房に来るようお誘いがありましたよ。」
「そうか…なら、今日も厨房の連中に見せてやるかな。」
そんな中、タバサは自分の荷物を片付け終えると先に図書館から出て行こうとした
折角だし…才人はタバサに向かって呼びかける
「タバサ、お前も来るか?来たら面白いもんが見えるぜ。」
「…面白いもの?」
「まあ、来れば解るって…美味いもんも食えるし。」
ですよね、と才人がクラースに振ると、ああ、との返事が返ってきた
それが何の意味かよく分からないタバサだが、美味しい食べ物というのには興味を持った
断る理由も特にないので、頷いて答える
「決まりだな…じゃあ、厨房に行くぞ。」
こうして、三人は厨房に向かう為に図書館を後にした

「おお、来たか。我等の剣と本よ!!」
三人が厨房に入ると、魔法学院の食を纏めるコック長のマルトーが出迎えてくれた
他のコックやメイド達も好意的に、三人を受け入れている
「我等の…剣と本?」
「ああ、何かあの決闘以来俺達此処じゃ人気らしくてさ…皆からそう呼ばれてるんだ。」
平民が魔法を使う貴族を倒したという事は、彼等にとって賞賛に値する事であったからだ
しかし、メイジ(と周囲から思われている)のクラースも受け入れられているのは、それだけではない
「我等の本よ、今日も俺達の知らない料理を見せてくれ。」
「ああ、解った……じゃあ、今日はアレを作るとするか。」
空いているスペースへ歩み寄ると、クラースは包丁を手に取って料理を開始する
「…料理?」
「そ、クラースさん料理得意でさ…前に披露したら大受けだったんだ。」
「はい、どの料理も絶品ですし、何よりマルトーさんが唸るくらいですからね。」
続けて答えてくれたのは、シエスタだった…仕事を終えて一旦戻ってきた所だ。
「こんにちは、才人さん…それに、ミス・タバサもいらっしゃったんですね。」
「ああ、俺達が誘ったんだけど…悪かったかな?」
「構いませんよ、貴方達二人の紹介ならマルトーさん達も納得してくれますでしょうし。」
取りあえず、料理が完成するまで気長に待つ事にした
半時間後…才人にとって馴染みのある匂いが厨房に漂い、完成した料理がテーブルに置かれる
「これが今回の料理か…我等が本よ、これは何という料理だ?」
「これは遥か東の地で秘伝とされている方法で作られている、カレーライスというやつだ。」
そう、クラースが作ったのはカレーだった…あの短時間でよく出来たなと、才人は思った
周囲を見回してみると、誰もカレーの事など知らないようである
「ほほぅ、カレーライスというのか…どれ、一口…。」
スプーンで一口分すくうと、マルトーはそれを口の中へと入れた
ある程度口を動かした後、急に動きが止まり…そして…
「むっ…こ、これは…辛い、辛いがそれだけじゃない、この辛さは舌を刺激するだけでなく、体の隅々まで行きわたっていく!!」
料理漫画のように解説しながら、マルトーは夢中になってカレーを食べ始める
豪快にカレーライスを全て食べきると、スプーンと皿を置いて手を合わせた
「ふぅ、ご馳走様でした…しかしまぁ、今日も驚かされちまったな、我等の本には。」
「グルメマスターの称号は伊達ではないという事さ。」
「グルメマスターか…料理人にとって憧れの称号、まさかお前さんが取得しているとは驚きだな。」
この世界でも、その称号の価値は料理人達にとって高く評価されている
クラースが彼等に受け容れられたのは、この料理の腕によるものが大きい
「流石、グルメマスター…此処まで来ると、正に至高の料理だよな。」
「いや、至高より究極だろ、この場合。」
「何にせよ、魔法も凄くて料理も凄いってんだもんなぁ…偉大だぜ。」
わいわいと、周りのコック達がクラースの事を褒め称える
クラースもクラースで、テンションが高くなっているのか上機嫌である
「フフフ…そう、歌って踊れて召喚術も使えて、更に料理も出来るクラース・F・レスターとは、私の事だ~~~!!!!!」
遂には両手を挙げて高々とポーズを取る始末…しかし、マルトーを含めた全員が、拍手喝采を送る
「「「…………………。」」」
目の前の異様な盛り上がりぶりに、三人はとてもついていけなかった
シエスタと才人は苦笑いし、タバサはジッと見つめるだけである
「というわけで…今日の昼ご飯はカレーだぞ、二人とも。」
くるりと、此方に振り向いたクラースは二皿についだカレーを差し出した
「あ、はい…じゃあ頂きます。けど、まさか此処に来てカレー食べれるとは思わなかったなぁ。」
椅子に腰掛けると、馴染みのあるカレーをスプーンですくって食べ始めた
モグモグと口を動かすが、しばらくしてその動きが止まる
「うっ…か、カラッ、滅茶苦茶辛いっスよこれ。」
「ああ、本場仕込みのカリーだからな…しかし、癖になるだろ?」
そうは言っても、辛いものは辛かった…隣にいるタバサは平然と食べているが
み、水…と呟きながら飲み物を探していると、クラースはフルーツジュースを差し出した
「此処では飲み物は酒が主流だが、君は未成年だからな…これで我慢してくれ。」
そう言う間にも、飲み物を欲する才人はフルーツジュースを飲み干した
クラースもまた自分の分をついで席に座ると、昼食を食べ始めた


新着情報

取得中です。