あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

世界を繋ぐ虚無の少女の召喚詩-02


「クローシェ様、ルカ。失礼します」
一人の騎士が扉を叩く。
彼は大鐘堂の騎士、クロア・バーテル。騎士隊のエースであり、ルカとクローシェにとってかけがえのないパートナーである。
「…? クローシェ様? ルカ?」
返事がない。外出中だろうか? しかし、先ほど帰還したとの報告を受けているし、外出の予定もない。
「失礼します!」
返事を待たずに扉を開ける。やや不躾かとは思うが、何か問題が起こってからでは遅い。
そして、どうやら問題はすでに起こってしまった後のようだ。
「…いない?」
御子室はもぬけの殻だった。


-ざわめく動悸-


時間が止まった。
とにかく皆、なにが起こっているのかを把握できず、身動きすることすら出来ずにいる。
その中で、最初に動き始めたのは、先ほどルカに突き飛ばされたクローシェだった。
「あ、あなた! 一体何をしているの!!」
その叫び声で、止まっていた時間が動き出す。
ルイズとルカはぱっと離れた。周りの生徒たちは騒ぎ出している。コルベールはなにやら考えているようだ。
クローシェは、一番近くにいる少女-ルイズ-に詰め寄る。
「ちょっと、これはどういうことなの!? 説明なさい!」
ルイズも何かを話そうとしているが、うまく言葉にならない。口をパクパクさせるだけだ。
その時
「熱っ!」
横にいたルカが悲鳴を上げ、しゃがみこむ。
「ルカ! どうしたの?」
「なんか、手に突然痛みが…」
見れば、左手に不思議な文様が浮かんでいる。
「これは… 一体?」
「あ… 収まった」
クローシェは勢いよくルイズの方に向き直り、鬼の形相でルイズを責め立てる。手は腰のレイピアへと伸ばされている。
「さあ、説明してもらうわよ! 事と次第によってはただでは「あー、申し訳ない。ちょっとよろしいでしょうか」
あわててコルベールが間に入る。
このままではルイズに危害が加えられかねない。教師として、監督官として、それを見過ごすわけにはいかなかった。
「私はトリステイン魔法学院の教師でジャン・コルベールと申します。私の方から説明させていただきたいのですが…」
教師。ということは、彼女たちは学生なのだろう。
少なくとも、この少女と話をするよりは、まともな話が聞けそうだ。
クローシェはそう判断し、ルイズに詰め寄るのをやめ、コルベールとの話をはじめる。
「…いいでしょう。納得のいく説明をしていただきますよ」
「ありがとうございます、ミス… ええっと」
羽の意匠の付いた純白の衣装に、太陽を模したと思われる冠飾りを付けた女性が名乗る。
「私はクローシェ・レーテル・パスタリエ。こっちの子は…」
「あ、ルカ・トゥルーリーワースです。よろしくお願いします」
ピンク色のひらひらとした衣装に、月を模したと思われる冠飾りを付けた女性が名乗った。
「ミス・パスタリエにミス・トゥルーリーワースですね。ミス・ヴァリエールも名乗りなさい」
「わ、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」

コルベールは、ひとまず生徒たち-ルイズを除く-を教室へ戻らせる。
これから話す内容が、場合によっては秘匿せねばならないこととなるだろうからだ。
さて、と話を始めるコルベール。


「単刀直入に申し上げます。あなた方はこのミス・ヴァリエールに召喚されたのですよ」


「召喚?」
聞き慣れない言葉にクローシェは首をかしげる。
「はい。我が学院では、2年生の春に使い魔を召喚し、契約を行う儀式が行われています。
本来ならば、ハルケギニアの幻獣や魔物などを呼び出すのですが、なぜか人間であるあなた方が召喚されてしまった。
私の知る限りでは、人間が召喚されたという事例は聞いたことがありません」
「あの… ハルケギニアって、なんですか?」
ルカがおずおずとそう問うと、ルイズが「何を言ってるの」といった風に答える。
「この世界のことに決まってるじゃない」
「この世界って… アルシエルじゃないの?」
「アルシエル? 聞いたことのない名前ですね」
「あんた達の住んでたところでは、ハルケギニアのことをそう呼んでたわけ?」
「そ、そうなのかな…」
どうにも話がかみ合わない。仕方がないので、クローシェが次の疑問を口にする。
「それについてはおおよその事情は分かりました。それで、なぜ私たちを呼び出したのです?」
「それは…」
コルベールが言いよどむ。
「どうか、気を悪くしないで頂きたい。あなた方は彼女、ミス・ヴァリエールの使い魔となっていただくために呼ばれたのです」
「使い魔? あなた方は勝手に召喚して勝手に使い魔にしてしまうというの?」
「いえ、本来なら獣の類が召喚されるので、それほど問題にはならないのですが…」
「しかし、現実に私たちは召喚された。明らかな人権侵害ではなくて?」
「ええ、はい。しかしこれは伝統儀式でして…」
「私たちには拒否権もないと。そういうことですか」
「いえ、契約を交わすまでは使い魔と認められないのですが」
「契約?」
「はい。『コントラクト・サーヴァント』という呪文を唱え口づけを交わすことで契約が成立するのです」
「つまり…」
2人の視線がルカに集まる。
「ルカが、ということね」
「はい、その通りです」
「え、それじゃあ。私が使い魔になっちゃったの!?」
ルカの驚きの叫びが響き渡った。

「私たちには重大な使命があります。このような場所で使い魔などやっている暇はありません!」
「そうだよ! 早く戻って『メタファリカ』を紡がなきゃ!」
クローシェとルカがそれぞれ言うが、コルベールとしては答えようがない。
「残念ながら、『サモン・サーヴァント』で呼び出された使い魔を元の場所へ還す方法はないのです」
「そんな! それじゃあどうすれば…」
「あなた方が住んでいた、アルシエルという場所がどちらにあるのか分かりませんが、
東へ馬を飛ばすか、もしくはフネを使えば、あるいはたどり着けるかもしれません」

じっと考え込んでいたクローシェがコルベールに尋ねる。
「ジャン・コルベールさん。ひとつ伺いたいことがあります」
「コルベールで結構ですよ、ミス・パスタリエ。で、何でしょう?」
「このあたりに、『塔』はありますか?」
「塔、ですか?」
「そうです。空をも貫く巨大な塔」
「いえ、この国にそのようなものは存在しませんが」
「そうですか…」
「どうしたの、クローシェ様?」
「どうやら… 私たちは、異世界に呼ばれてしまったみたいね」
この言葉に、ルカだけでなく、ルイズとコルベールも驚き、言葉を失った。
「い、異世界、ですか…? それはいったい」
学院の教師であり、研究者でもあるコルベールにとっても、異世界など聞いたことがない。
「私たちの世界は、大地は死の雲海と呼ばれる雲に覆われ、空はブラストラインというプラズマに覆われた世界
唯一、世界に存在する3本の塔に張り付くようにして人が生活している世界です」
「なんと…」
「明らかに、ここは私たちの住んでいた場所とは別の世界… すなわち、異世界なのでしょう」

「俄かには信じがたい話ですが… とはいえ、嘘をついているようにも思えません。
ミス・パスタリエにミス・トゥルーリーワース。学院長の所までお越しいただけますか?」
驚きから立ち直ったコルベールが、そう提案する。
「この問題は、私の手に余る問題のようです。学院長も交えて話をしたいのですが」
「そうですね。私たちにとっても、少しでも解決の糸口が見えるのなら、それに越したことはありません」
「ミスタ・コルベール! 私はどうしたら…」
蚊帳の外に置かれていたルイズがコルベールに詰め寄る。
「もう授業の時間も終わりですね。ミス・ヴァリエールは寮に戻っていなさい」
「でも、私の使い魔が…」
言いながら、ルカの方を見る。
「しかし、彼女たちに話を聞かないことには」
「でも、このまま寮に戻ってもバカにされます!」
「そうは言ってもだね…」
ルイズとコルベールのやり取りを傍で見ていたルカが「それじゃあ」と提案する。
「私がこの子-ルイズちゃん、だっけ-と一緒に行くから、クローシェ様が話をしてきてよ。
ほら、私は難しい話をされてもわかんないし、偉い人と話したりするの苦手だから」
思わぬところから救いの手が伸ばされたことで、ルイズは驚くと同時に顔を輝かせる。
「よろしいですか、ミス・トゥルーリーワース」
「はい。あ、それと、出来れば「ルカ」って呼んでください。ミスとか呼ばれるの気恥ずかしくって」
「分かりました。それではミス・ヴァリエールと共に寮に戻ってください。ルカ君、でよろしいかな」
「はい。それじゃいこ、ルイズちゃん」
「ちょっと、待ちなさいよ! 使い魔のくせに!」
寮の方へ歩いていくルカと、それを追いかけるルイズ。
「おっと、ルカ君、ちょっと待ってもらえるかな」
「なんですか?」
「君の使い魔のルーンを写させてもらえないかな? ちょっと調べてみたいのでね」
「これですか?」
ルカが左手を差し出し、コルベールがそれを観察する。
「ふむ、珍しいルーンだ。こんな文様は見たことが… いや、どこかで…」
つぶやきつつ筆を走らせ、スケッチを終わらせる。
「はい、終わりました。なにか分かればお知らせしますよ」
頷き、ルカは再びルイズと共に寮へと歩いていく。
「さて、我々も行きましょうか」
ルイズたちの姿が小さくなった頃、コルベールとクローシェも学院長の元へ向かった。

「はぁ、まったく。せっかく召喚が成功したと思ったら、なんで平民なんか」
歩きながらルイズが不満を口にする。
「え~ そんなこと言われたって、こっちだって驚いてるんだよ」
ルカも不満を漏らす。
「何よ! あんたがあの時割り込んだりしなければ、あっちの貴族? と契約できたのに!」
「それはしょうがないよ。妹に危険が迫ってると思ったら、体が自然に動いちゃったんだから」
「妹?」
「うん、そうだよ」
ルイズはルカの頭から爪先までを観察し、もうひとりの貴族らしき女性-クローシェ-と比較する。
身長は一回りほど小さい。胸は… 胸も、一回りほど小さい。
「あんたの方がお姉さん?」
「……ルイズちゃんが何を言いたいのかだいたい分かるから、それ以上は言わなくていいよ」
どうやら自分でもコンプレックスに思っているらしい。ちょっとだけ悲しそうな顔でルカは会話を打ち切った。

自室に着くと、早速ルイズはルカとの話に興じる。
「さて、あんたは私の使い魔になったわけだけど」
「あ、そういえば。使い魔って言ったけど、何をすればいいの?」
「まず第一に、感覚の共有。あんたが見たもの・聞いたものが私にも分かるようになるの」
「へぇー。てことは、今私が見てるルイズちゃんの姿が見えるの?」
「そのはずなんだけど、見えてこないわね」
ただでさえハズレを引いたというのに、使い魔としての能力もないなんて。
あからさまに表情に出しはしないものの、失望していることに疑いはない。
「第二に、主人が望む物をいろいろとってくる。秘薬とかね」
「とってくるのはいいけど、私この辺の地理には全然詳しくないよ」
「…というわけで、これもダメと」
となれば最後のひとつだが…
「最後は、主人の身を護る。といっても、無理よね…」
「うーん、ちょっと難しいかも」
「はぁ、しょうがないわね」
使い魔としてはハズレだが、契約できただけ僥倖だと思おう。
ルイズはそう思うことにした。
「それじゃ、家事でもやってもらおうかしら。」
「料理とか洗濯とか?」
「大抵のことはここのメイドたちがやってくれるけど、自分の従者がやってくれるんならそれに越したことはないわ」
「私ちょっと不器用だから、うまく出来ないかもしれないけど、それでもいいならやってみるよ」
「それじゃ、任せるわ」
ルイズはまだ知らない。ルカの料理の腕を。

「それにしても、異世界から来たなんてね… とても信じられないわ」
「私だってそうだよ。鏡みたいなのに吸い込まれたと思ったら、突然見たこともない場所にいるんだもの」
そういえば、とルカがルイズに質問する。
「さっき学校の生徒たちが教室に戻るとき、みんな飛んでたじゃない。もしかして、ここの人たちってみんな飛べるの?」
「みんなじゃないわ、メイジだけよ。メイジになれるのは貴族だけだから、平民はみんな飛べないわ」
貴族でも飛べない者はいる、とはあえて言わない。
「へぇ~ そうなんだ。私たちの魔法じゃ空は飛べないから、羨ましいなぁ」
なんとなく鼻が高いような、それでいて惨めなような複雑な気持ちになる。
と、ルカの放った何気ない一言に、聞き捨てならない言葉が混ざっていたことに気付く。
「魔法? あんた、魔法が使えるの!?」
「え、使えるけど。どうしたの?」
「何で平民のくせに魔法が使えるの? もしかして、貴族なの?」
「平民っていうか一般庶民だけど、魔法は使えるよ」
「ホント!? それじゃ、あんたの魔法見せて頂戴よ」
「うーん、まあいいけど」

『Ma num ra selena , knawa yorr sarla(私はあなたが魔法を知るために詩を奏でる)』

すっと立ち上がると、窓の外に向かい、両手を高く突き上げながら、歌を謳う。
「…歌?」
不思議な、聴いたことのない旋律の歌をルカが謳うと、ルカの真上に氷の弾が現れる。

『Ma num ra exec sosar colga(氷の魔法を実行します)』

呪文と共に、氷の弾が窓の外の木に向かって飛んでいく。
手加減して放たれた魔法は木の表面を僅かに凍らせるにとどまったが、ルイズに与えた衝撃は計り知れない。
「凄い… ホントに魔法を使ったわ」
「ね、ホントでしょ」
ルイズは気が付いた。これはもしかして大アタリだ、と。
身なりこそ平民のそれだが、魔法を使える使い魔。もしかすると、今日召喚された中で一番かも。
「そ、そうね… まったく使えない使い魔じゃないってことは分かったわ」
素直になれないルイズは、精一杯の虚勢を張った。

ふぁっ、とルイズが欠伸をひとつ。
「さて、と。今日は疲れたし、そろそろ寝ようかしら」
「ねえねえ、ルイズちゃん?」
「なに?」
「あのね、私はどこで寝ればいいのかな?」
そういえば… この部屋にはベッドはひとつしかない。
使い魔の寝床にしようと藁を敷き詰めた床ならあるが、さすがにそこに寝かせるのは忍びない。
一緒のベッドで寝ようか… とも考えたが、それほど大きくないし、第一それでは示しが付かない。
「仕方ないわね、今日はこの毛布でも使いなさい。明日にはメイドに用意させるから」
そう言って毛布を渡す。
「ありがと。えへへ、ルイズちゃんって優しいね」
「な、なに言ってんのよ! 使い魔が風邪でもひいて使い物にならなくなったら困るだけよ!」
やはり素直になれないルイズである。

「それじゃ、寝るから。服、脱がしてちょうだい」
「…え?」
「早くしてよ。着替えさせてちょうだい」
「え、ええええええ!?」
今日何度目かの絶叫を残し、最初の一日の幕が閉じた。




 ※トークマター『妹?』をゲット!
 ※トークマター『脱げないの?』をゲット!
 ※トークマター『歌? 魔法?』をゲット!



そしてその夜、皆が寝静まる頃…

「ねぇ、ちょっと話でもしない?」
「うん、いいよ。何か話題あるかな?」



『妹?』

「そういえば」
「何? ルイズちゃん」
「さっきあんた、妹って言ってたじゃない? クロ… なんていったっけ」
「クローシェ様のこと?」
「そうそう、クローシェ。何で妹なのに様付けで呼ぶわけ?」
「うーん、説明すると長くなるんだよね… いずれちゃんと話すよ」
「なによ、ご主人様に隠し事?」
「そういうわけじゃないんだけど。クローシェ様が戻ってきてから、ね」
「しょうがないわね。ちゃんと後で話してもらうわよ」



『脱げないの?』

「ねえ、ルイズちゃん」
「どうかした?」
「ルイズちゃんって、服の脱ぎ方を知らないってわけじゃないよね?」
「はぁ? そんなわけないじゃない。自分の服も脱げない人なんてそういないわよ」
「そっか、そうだよね」
「何でそんなこと聞くわけ?」
「クローシェ様ってさ。出会った頃、自分の服の脱ぎ方知らなかったんだよ」
「…ホントに? 世間知らずってレベルじゃないわよ」
「うん、私もそう思うよ…」



『歌? 魔法?』

「魔法が使えるんなら私の護衛、出来るんじゃないの?」
「だけど謳ってる間は無防備だから。むしろ私が護って貰わないとね」
「歌? 歌はいいから魔法使いなさいよ」
「だから、謳って魔法を使うんだってば」
「は? 意味分かんないわ。まあいいわ、歌は今度聞いてあげるから、ちゃんと魔法使いなさいよ」
「だからぁ…」


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