あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのゴースト 1-1

 ルイズに疑問が生まれた。
 自分の使い魔の少女、憐。召喚した昨日、そして今朝の食事までの時間のやり取りで、「自分の使い魔は普通ではないのではないか?」と思うようになった。
 勿論使い魔そのものに不満は……まあ、あるといえばあるが、それを上回るほどのモノがあるのでまあいい。
 むしろ可愛いは正義なのでオッケー。
 平民だから目や耳となれなくても、秘薬を取ってこれなくても、護衛ができなくてもそれはそれで仕方が無いし、自分がどこから来たのかうまく説明できないのもまあ気にもしなかったが、
久しぶりに顔を洗ったとか久しぶりに着替えたとか、挙句久しぶりに食事を『する』と聞いたとき、不憫に思いながらも、

(この子……今までどうやって生きてきたの?)

『する』という言い回しから、憐が食事をとっていないのは一日や二日ではなく、もっとずっと長い期間なのだろう。そんなの、人間なら我慢できる出来ない以前に死んでしまう。
これではまるで、人間じゃないみたいだ―――

「……お姉ちゃん?」
「……ん、何でもないわよ」

 食事の際に膝上に乗せた憐の心配する声に、意識を現実に引き戻す。食事をとっていない→じゃあ一緒に食べましょう→わーいのコンボで膝の上にいたのだった。周りから平民と食事を取るなんて何してるんだよという声があったが無視した。

(憐が何者でも、いまはどうでもいいか……こんないい子を疑うなんて、どうかしてるわ)

 膝の上で小動物みたいに色々頬張っている様子を見てたら、和んでどうでもよくなった。



 失敗した。詳細はとある少年の事例からご存知の方々も多いだろうので、簡潔に行う。
 憐を授業に連れて行って―――憐は授業と言うのも受けた事が無く、子供特有の好奇心を遺憾なく発揮した。
 例えば、「あれ、何?」「この動物さん、何ていうの?」「今から何をするの?」等々。それらに律儀に答えているうちに、教師にひそひそ話を咎められ、錬金をする事に。
 当然、この時まともに魔法を使えないルイズは失敗し、起こした大爆発によって教室は無茶苦茶、罰として片づけを命じられた。

 それが終了したのは昼休み前。ルイズは無言で食堂に向かっていた。
 一歩後を歩く憐も無言。ただルイズとは違い、『姉』に対してどう声をかければいいか、解らなかったのだ。
 彼女は理解できていない。この世界で、この学院で、貴族の中で魔法がまともに使えない事がどういう事かを。『ゼロ』が何を意味するのかを。
 元々使い魔がどういう物かすら分かっていない。況や、貴族の誇りや魔法の凄さ等を1○歳(全年齢版でも不明)の『平民の』少女が解るはずもなく、それでも何とか『お姉ちゃん』が落ち込んでいるのを何とかしたいと思って、

「……ん」

ただ、服の裾を引っ張った。

「……何?」
「あの……」
「その……えっと……」
「……えい」
「きゃうっ?」

 ルイズは、何も言わずに憐を抱きしめた。使い魔として契約したからか、憐の目を見れば彼女が心から心配してくれていたのが解った。
 『妹』の前であんな失態を見せてしまい、そのせいで何とか心配してくれていたのだと解った。その気の遣わせ方が、どうしようもなく切なくて。

(使い魔に気遣われるなんて、わたしはどうかしてるわ)

 誓いを込めて抱き締める。何度つまずき、無様に失敗し続けても、憐に気を遣わせてしまうような事はしないと。
 それは、使い魔に対する主人の誇りで、平民に対する貴族の意地で、初めてできた妹に対する姉のプライドから生まれたもの。
 ルイズは、魔法使いとして目指す何かを、新たに見出しかけていた。憐に、恥ずかしくない主人である為に。

「もう、大丈夫よ。食堂に行きましょう!」

**********

 ルイズには優しい姉と厳しい姉が一人ずついる。厳しい方が苦手だった事もあり、憐に対する態度は無意識の内に優しい方を見本としたかのように世話焼きになっていた。

「おいしい?」

 ルイズの問いに、ハムスターの様に口を頬張らせ、膝上でコクコク頷く憐。その様子は、昨日今日に平民と馬鹿にしていた者達をも和ませていた。

(いいなぁ…あれ)
(ゼロのルイズも見てくれはいいからなぁ…美少女同士の絡みは映えるぜ)
(きっと夜は、主人命令でイケナイことを…)

 ……訂正、壊していた。
 そんな事露知らず、ようやく食堂を終わらせた姉妹は、別の場所での騒ぎに目を向けていた。
 ルイズの耳には、ギーシュなる毎度お騒がせの浮気者が、薔薇がどうとか言うどうでもいい話で盛り上がっていた。

「お姉ちゃん、あれなあに?」
「聞かなくていい話よ。教育上良くないから」
「?」
「さ、部屋に戻りましょ」

 と二人して立ち上がったその時、憐の足の裏が小さなでっぱりを捉える。
 それは小瓶で、中には変わった色の液体。知る人は知る、モンモランシーがギーシュに作った香水である。
 騒ぎの最中に落としたのに気付かず、転がってきていたのだった。

「なんだろう…お姉ちゃん、これなあに?」
「香水ね。これは、どっかで見た気が…」

 香水は、流石の憐も知っていた。女性が使う物である事も。
 だが、その知識と、さっきルイズが落ち込んでいた事から、予想外の行動に出た。

「お姉ちゃん、あげる!」

 その言葉に一瞬面食らうルイズだが、憐の真意を何となく理解したので、彼女の親切を拒絶したくなかったという事もあり、「ありがとう」と受け取っていた。

(まあ、後で持ち主を探せばいいかしら)

 この時、某少年かメイドが拾っていれば決闘が始まるのが周知の事実だが、幸か不幸か拾ったのが憐であった事、そして二人が『姉妹』の会話に集中していて誰が落としたか見ていなかった為、ギーシュは浮気を問い詰められる事が無かった代わりに、後に二人の少女の修羅場に巻き込まれる事になる。


***************


 それから一週間ほど、ルイズと憐は楽しい時間を過ごしていた。
 ルイズの本人を棚上げした「掃除洗濯とかの家事が出来ないといいレディーになれないわよ」との言葉で家事を教えたり、二人で馬に乗って街に買い物に出かけたり、憐がルイズの友人(兼ケンカ仲間)のキュルケの使い魔である火トカゲと遊んだり、憐に手を出そうとするものを爆破したり、平穏な時間を過ごしていた。
 だが、そんなのんびりとした時も、終わりは近づいていたのだった。


 ある時、ふとした事からキュルケとルイズが決闘する事になり、本塔の中庭に来た時、事件は起きた。
 次々と高鳴る爆発音。空間を走る衝撃。
 ただ事ではない事を察した二人は急いで目的の場所に走る。そして、彼女等は見た。
 『土』で作られたゴーレムが、白く一回り小さな『ゴーレム』を殴りつけ、粉々に砕いた所だった。だが白い方もただ殴られず、吹き飛ぶ間際に謎の音と光を発し、土のゴーレムを粉砕して土砂に変えていた。
 勿論彼女等は知らない。白い『ゴーレム』は何処からかの迷い子である事。
 『目』や『頭』を損傷したため、土のゴーレムを敵と誤認し、『足』を損傷した為に回避も出来ず、残った240mmハンドキャノン×2と290mmミサイルポッドを撃ちまくっただけであると。
 そして、土のゴーレムを操作していた者は。

(なんなのかしら……あれ?)

 土くれのフーケもまた驚愕していた。宝物庫のある本塔の前で下調べしていた所、急に白いゴーレムが現れた。咄嗟に土のゴーレムを出してしまったが、その判断は正しく、白い敵は『銃撃』のようなものを行ってきた。
 だが幸いな事に、白い敵が放った『花火』―――180mmマスターガンが厳重な魔法で守られた外壁を破壊し、宝物庫への道が開かれた。

(チャンスは逃さないでおきましょうか)

 少々トラブルはあったが、結果オーライであった。素早く潜入、目的のブツを奪い取り、しもべが相打ちした事に少し驚きながらも素早く脱出する。

『破壊の杖』確かに徴収いたしました

という文面を残して。

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