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BRAVEMAGEルイズ伝第一章その1

第一章~旅立ち~

その1 ムサシ登場!! そして旅立ち


小規模なクレーターを前にへなへなと崩れ落ちる少女。
傍らには頭髪の寂しい男性、遠巻きに見つめるのはたくさんの少年少女。
その少女は幾度とない失敗により、爆風と嘲笑を浴びていた。


爆風、というのは彼女の発した魔法によるもの。
というのもピンクブロンドの少女、名をルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
名家ヴァリエール家の三女として、その才を遺憾なく発揮……していない生徒の一人である。
彼女の放つ魔法は、全て爆発という現象に現れる。
『開錠』を行えば扉ごと吹き飛ばし、『錬金』を使えば素材を粉微塵に破砕する。
それ故皆からの嘲りを浴び続ける学院生活を送っていた。
そして、長い一年が終わり進級試験、『春の使い魔召喚』の儀。
皆がルイズが再び一年生となるぞ、と囃し立てていた矢先のことだった。
いよいよ順番が最後、ルイズの番になり、杖を構える。

緊張の為か微かに震える手を振りかざし、呪文を唱え振り下ろし……虚空が爆発した。

まただ、ほらみろと嘲笑の声が飛ぶ。
何度となく、その光景が繰り返される。
次第に少女の慎ましやかながら可憐な容姿は土に塗れていく。
教師の静止も振り切り、傷だらけの体を奮い立たせて杖を振りかざした。
彼女の誇りが、諦めることを許さなかった。

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ……神聖で美しくそして強力な使い魔よ!」

半ば涙目になりながら詠唱を行う。
決めたのだ。
ここで自分の忌まわしき異名を払拭するのだと。
初めての魔法はここで完成させる!
その思いだけで、彼女は体を動かしていた。

「私の呼びかけに……答えてっ!」

杖を振り下ろすと、もう何度も体験した感覚。
目の前が白熱するだけ。
今までにない、一際大きな爆発だった。
いい加減にしろ、驚かせるなと心ない声が飛ぶ。
しかしややあって……皆が、沈黙した。
異様な静けさを感じたルイズが前を向くと、煙に遮られた何者かの陰。

「……やった……」

自分は成功したんだ。
このトリステイン王国の魔法学院に入学してから、ただの一度も成功しなかったこの自分が。
皆に不名誉な二つ名で嘲られ、幾度となく挫けそうになったこの自分が。
皆と同じ魔法を、使えたのだ。
失敗していたら留年となる所だったが、これで再び一年生をやらなくてもいい。
ひどく安堵し、よろよろと立ち上がる。

「……さあ、何なの……?私の、私だけの使い魔!」

期待に小さな胸を膨らませ、埃塗れのブラウスを叩く。
土煙が晴れ、その何者かの姿を初めてその目にした。
何か聞こえる、鳴き声だろうか。
いや、それにしては小さい、よく聞けば穏やかな呼吸音……いや、寝息?

「……子ども?」

驚愕する。
何しろ、目の前にいたのは眠りこけた少年。
小柄なルイズよりさらに頭一つぶんほど小さな少年だった。
しかも、なんともみすぼらしい格好の。

「おい、ぼろを着た子どもだ!」
「ゼロのルイズが物乞いのガキを召喚したぞ!」
「なっ……!」

異変に気がついた生徒達が、召喚対象である少年を見て囃し立てる。
ルイズは頭に血が上りかけたが、しかしよくよく見れば確かに言うとおり。
伸びっぱなしの長髪は頭頂部で束ねてあり、よれよれの上着に足にはボロ靴を履いている。
汚いベルトで留めた見慣れぬ装束を纏い、ひび割れた眼鏡を額にかけていた。
まず、いいところの出ではあるまい。

「おい!失敗したからってその辺の乞食を連れてくるなよー」
「さすがゼロのルイズ」

心無い言葉にきっと振り返るが、言い返すより早くルイズは教師に向けて叫ぶ。

「ミスタ・コルベール、やり直しを……!召喚のやり直しを、させてください!!」
「……残念ですが、それはできません」
「そんな!」

対してコルベールの返答は否定だった。
納得の行かないルイズは尚も迫る。

「人間を使い魔にするなんて、聞いたことも……!」
「だとしてもです。人間であろうと、召喚された以上は契約しなければなりません。
 それにこのままではあなたは留年することになってしまいます。私としてもそれはとてもとても悲しいことです」

ルイズの悲痛な訴えにも、教師としてコルベールは首を横に振らざるを得なかった。
この春の召喚の儀式は神聖なもの、やり直しという特例は認められない。
彼女に残された道は、あの少年を使い魔とする他に無いのであった。
聡明な彼女はそのことを重々理解していた。
それ以上食い下がることもなくただただがっくり項垂れることしかできない。
やがて諦めたように、横たわったままの彼女の使い魔となる少年に歩み寄る。

「まったく、どこの子どもよ……なんでこんなチビっこなんかと、私が……」

サラマンダーやら風竜やらの素晴らしい使い魔を目にした後だからか、よけいに落胆は大きい。
やがて大きく溜息をつき、観念したように横たわる少年に顔を近づけた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え我の使い魔と為せ」

唇と唇がそっと触れ合う。
異性とこんなことをするなんて生まれてこのかた初めてだったので、ひどく動揺する。
だが相手は子ども、それにこれは儀式上必要なことだ。
ノーカンノーカンとクールに振舞ってみるも、なんだかほかほかしてきた。
頬が熱くなっていることを自覚する。
自らぽかぽかと頭を叩いていると、少年が突然叫びをあげる。

「うわっちちちちちちぃーーーっ!!!」
「きゃ!」

思わぬ反応に思わずその場から飛び退いてしまうルイズ。
少年は熱の根源であろう左手を抑えて、熱さの余り転げまわっていた。
朱塗りの篭手を外すと息をふうふうと手の甲に当て続ける。

「だ、大丈夫?使い魔のルーンが刻まれているだけだから、すぐに済むわ」
「なんだぁ……?ここは、どこだ……?」
「ふむ、コントラクト・サーヴァントのほうは問題ありませんね。おめでとう」

やがて少年が大人しくなり、自分の手を見て目を見開く。
近くにいたルイズに気がつくときっと向き直り、ぴょんと軽い身のこなしで立ち上がった。
近づいてくるその身体はやはりルイズよりも小さい。
歳のころは10そこそこであろうか、意志が強そうな眉と瞳をこちらに向けた。

「やいお前!ここはどこだっ!おいらに何をしたっ!?」
「なっ……」
「……ああっ、よく見りゃ手にイレズミなんてしやがって!島流しにあった覚えはないぜっ!」

声変わりも澄んでいないであろうよく通る声で騒ぎ立てる。
明らかな年下、それも乞食かなにか身分の低いであろう者に怒鳴られたことに、
ルイズの頭はかっと熱を持った。

「へっ……平民の分際で、貴族にそんな口の聞き方を!」
「何ィ!?」
「ミス・ヴァリエール冷静に。ふむ、珍しいルーンですね」

肩の荷が降りたコルベールは、とりあえず目の前の少年に対する疑問はさて置いておく。
手早く少年のルーンを書き写して、見物していた皆に呼びかけた。

「これにて召喚の儀式は終了です。各自学院に戻るように」

呼びかけるとふわりと宙に浮かび、ここからも見える学院の大きな屋根に向かって飛び立った。
同じく生徒たちも空へと舞い上がるが、意地の悪そうな笑みを浮かべ口々に野次を飛ばす。

「ゼロのルイズ!お前は歩いて来いよ」
「『フライ』も『レビテーション』もロクに使えないんじゃあ仕方ないな!」

嘲笑を浴びるも、今は目の前の少年のことで頭がいっぱいなルイズは振り向きもしない。
しかし少年の方は、空中を見つめて驚いた表情だった。

「あいつら飛びやがった!妖術使いか?」
「……メイジが飛ぶのは当然のことじゃない」
「メイジだかショウワだか知らねえが、いよいよおかしいぜ!ここはどこなんだ?」
「はぁ……とりあえずついてきなさいよ、戻るから」

何も知らない使い魔に、やはり世間にも疎い乞食なのかと頭を抱え込む。
溜息を禁じ得ないが、頭から少しずつ説明してやりながら学院への帰路へついた。

「……でね、あんたは召喚されて、私の使い魔にならなきゃいけないの」
「召喚?おいら、また召喚されちまったってのかっ!?」

また?おかしなことを言うものだ。
そんなにしょっちゅう人間が召喚されるなんて聞いたこともない。
まあ、召喚を理解しているフシは説明が省けて好都合だ。

「物分りがいいじゃない、でね、あんたは私の使い魔として……」
「まあいいや。今度こそとっとと済ませて、こんな世界とはおさらばだぜ」
「ちょちょ、ちょっと。何言ってるのよ」
「ん?」

前言撤回。
自然と帰る流れになったのでルイズは慌てて止める。
この使い魔召喚が理解できていたり放棄する気でいたりといろいろおかしい。
ルイズのフラストレーションが積み上がっていく。

「あんたは私の使い魔をやってもらうのよ!何よおさらばって」
「だから、その用事を済ませりゃ元の世界に戻れるんだろ?」
「元の世界?ああもうわけわからないわね!あんたはずっと使い魔!ずっと!」
「なんだって!?ずっと!?」
「ずっとよ!」
「そんなバカな!」
「知らないわよ!こっちだって、あんたみたいなチビで!
 ヘンなモミアゲな奴なんか!召喚したくなかったわよ!」
「くっまたそう言われるのかよ!?なんだってんだこのチンチクリン!おてんば!」
「キィィィーーーーッ!」

爆発した。
小さいもの同士がぎゃんぎゃんと騒ぎ立てながら追い掛け回したり小突きあったり。
学院に帰るまで、それは続いた。

「……ぜい、ぜい、ぜい……」
「おい、大丈夫かい?」
「う、うる……さい……ぜんっぜん……大丈夫、よ……」

はたから見れば本当に子供の喧嘩のようなことを年甲斐もなく延々と続けてしまったルイズは、
やがてゼイゼイと息を整えながらルイズは立ち止まる。
少年はしばらく落着くのを待ってくれていたが、溜息をひとつ大きくついた。

「ま、いいや。終わっちまったことをいつまで言ってもしょうがねえ」
「へ?」
「使い魔だかなんだか知らないけど、おいらがやりゃあいいんだろ?」
「あ、ああそう……なによ急に」

実にあっけらかんと了承してくれたのは意外だった。
子供らしく聞き分けなく反発するか勝手にどこかに逃げ出したりするかと思っていたが。
彼は案外、さっぱりした人物だったのかと納得する。
とりあえずこれで留年する心配はなくなった。

「見たところ、空飛んだりなんだりで面白そうな奴らがいっぱいいるみてえだし」
「面白そうな……魔法をそんな言い方しないでよ、そりゃまいっぱいいるわよ」

少年の顔つきが変わる。
先程までの疑心を帯びたそれではない、もっと単純な感情。
心の奥から湧き出るような、原始的で直情的なその感情。
『楽しんで』いる。
ひとつの冒険は終わった。
しかし、彼の冒険が、また始まるのだ。

「妙にワクワクしちまうぜ!」
「……あんた変な奴ね……名前は?」
「人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るもんだぜ」
「……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」

少々ムッとしたが、これは正論だ。
若干ぶすっ面で返答する。
大して少年は、立派な髷をガシガシと掻きながら告げた。
後に伝説となる自らの名を。

「おいらはムサシ。よろしくなっ、ルイズ!!」

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