あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロみたいな虚無みたいな-01


 メイジ達が学ぶトリステイン魔法学院。
 その講堂では現在2年生に進級したばかりの生徒達が、使い魔との親睦を深めるための集会に集まっていた。
「トリステイン魔法学院へようこそ。ここは素敵なメイジになるべく集まったあなたの主人達が学んでいけるよう、設備がしっかりした学院です」
 舞台上では学院教師のミス・ロングビルが、生徒達の使い魔に向けて語りかけている。
「覚えなくてはならない事がたくさんありますが、必ず皆さん達と主人達の役に立つと思います」
 ――バタンッ!
 突然舞台と反対方向にある扉が開かれ、使い魔達も生徒達もそしてミス・ロングビルも一斉にその方向に視線を向ける。
 開かれた扉から入ってきたのは薄茶色の髪をツインテールにして、十字の意匠がある襟・ネクタイという学院の物とは異なる制服を纏った少女。
 彼女こそ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが召喚した使い魔だった。
「あっ、あの、明治あぽろですっ。迷っちゃって遅刻しました。すみません……」

 集会を終えて教室に戻ったあぽろを待っていたのは、ルイズからの叱責だった。
「アポロ、大事な集会に遅刻するなんてたるんでいる証拠よ」
「ルイズ、いきなりそんな風に言ったら怯えるじゃない」
「ツェルプシュトー……、最初が肝心なのよ」
 ルイズをたしなめつつ、キュルケはあぽろににっこり微笑みかける。
「アポロ、突然この学院に召喚されたのよ。まだ慣れてなくて大変よね?」
「うん……」
 するとそこへ、使い魔召喚の儀式に立ち会った学院教師・コルベールが入ってきた。
「皆さん、席に着いてください」
『はーい』
 コルベールの言葉に、生徒達・使い魔達はざわつきつつも各自の席に戻っていく。
 生徒達に向けた挨拶を聞きつつも、キュルケはフレイムの後ろ(キュルケの斜め後ろ)に座っているあぽろの方を向いて、簡単ながら挨拶する。
「困った事あったら言ってね」
「う、うん、ありがと、ツェルプシュトーさん」
「キュルケでいいわよ♪」
「う、うん(ツェルプシュトーさん、いい人だな~)」
 キュルケが前方に向き直った事を意にも介さず、コルベールは話を続ける。
「この先2年間クラス替えはありません。寮生活もありますし、集団生活中心の部分が多いです。お友達関係は大切に支え合っていきましょう」
 あぽろはコルベールの話に耳を傾けつつ、改めて教室内にいる面々を見渡す。
 最初に視線を向けたのは当然ながら隣に座っているルイズ。
(ルイズちゃん……。怖いけど美人さん)
 あぽろと目が合ったルイズは、物珍しげに周囲を見回している彼女に注意するかのように少々きつい視線を投げかける。
(怖いよー)
 次に同様に教室内をあちこち見ている青いロングヘア少女が、あぽろの視線に気付いてにっこり笑いつつ手を振った。
(お人形さんみたいっ。可愛い人だなー)
 彼女は前方に向き直るとすぐに退屈に耐えかねたのか、前の席で机に突っ伏している小柄な青いショートヘアの少女の背中をつつき始める。
「……何……」
 青いロングヘア少女の方に振り向いた彼女は、眼鏡の奥にある眠そうな目を向けて答えた。
(男の子かと思っちゃった……。かっこいいんだもん……ってこれは失礼か……)
 そうこうしている間に、コルベールの挨拶は大詰めを迎えていた。
「……さて、話が長くなってしまいましたが、1番大切な時間を過ごしてそしてここから巣立っていく時、どんなメイジになっているでしょうね。もう2年間よろしくお願いします」
 コルベールの最後の言葉を、生徒たちはそれぞれの思いと共に聞いていた。
 当然あぽろも、魔法学院での新生活に期待で胸を膨らませていたのだった。
(みんなと仲良くしてもらえるといいな……)

 それからしばらくして、あぽろは1人女子寮の廊下を歩いていた。
「えーと、確か3号室だったよね……。同じ部屋の人がいるって言ってたから挨拶しっかりしないと……」
 扉の上にあるプレートを1つ1つ確認しつつ進むあぽろの足が、とある部屋の前で止まる。
「あ、ここだ」
 早速扉を開けて室内に挨拶の声を響かせたものの、
「失礼しまーす。今日からこの部屋に……ありゃ……、誰もいない」
 室内はもぬけの殻だった。
「広いなー。ここで2人部屋?」
 物珍しげに室内をきょろきょろ見回し、置かれている2つのベッドのうちの片方にダイブする。
 うつぶせになって寝転がっている彼女の目に、ベッドの上に転がっているロザリオが入ってきた。
「ロザリオだー。可愛い~! いいな、いいなー」
 あぽろがロザリオをつまみあげて眺めたり抱き締めたりしているところに、
「アポロ……」
 バスタオルを巻いたルイズが、髪を拭きつつ部屋に入ってきた。
 そしてその視線が、あぽろが手にしているロザリオに向けられる。
「!! あんた、何触ってんのっ!!」
「ひゃあああああっ」
 口から心臓が飛び出さんばかりに驚愕して、あぽろは慌ててルイズの方を振り返る。
「ルイズちゃ……」
 そして体ごと向き直ろうとした時彼女の視界の端を何かがかすめた。
 驚いた拍子に手の中から放り出されて窓の手すりに引っかかっていたロザリオが、窓の下へと落下していったのだ。
「きゃ……あ~っ」
 あぽろは呆然とロザリオを視線で追いかけ、ルイズも慌てて窓辺に駆け寄った。
「あうあう~……。あ……、あの、ルイズちゃん……」
「馴れ馴れしく呼ばないで!」
「あう……」
「あのロザリオは……、ちい姉様がくれた大切な物だったのよ……」
 そう途切れ途切れに言いつつ、ルイズはゆっくり床に崩れ落ちる。
「早く部屋から出てって……」
「あのね、同じ部屋なの……」
 その言葉にルイズは答えず、あぽろと彼女の荷物を廊下に放り出した。
 ――ドンドンドン
「開けてー、開けてよー」
「嫌っ。あんたと一緒に生活は無理。ミスタ・コルベールにもそう言ってちょうだいっ」

 翌朝。
 むくりとベッド上で身を起こしたルイズは、使用された形跡の無い隣のベッドに視線を向ける。
「ふん……」
 ぼんやりした表情のまま制服に着替えていくルイズ。その手がふと首に伸びる。
「あ……、ロザリオもう無いんだったわ……(アポロどうしたかしら……)」
 着替えを終えたルイズの耳に、何やらざわめきが聞こえてきた。
「ん? 外騒がしいわね」
 ルイズが部屋から出ると、学院教師達が慌ただしく廊下を行き来していた。
 そこにキュルケが同様に慌てた様子で駆け寄ってくる。
「あ、ルイズ、おはよう」
「何よこの騒ぎ……」
「アポロが行方不明らしいの。先生方が探してるんだけど、私も手伝ってるのよ。学校内や森にもいないし……。学院創立以来の事件って先生方が言ってたわよ」
(てっきり誰かの部屋に行ってると思ってたのに……。アポロどこに行ってるの?)
 みるみるうちにルイズの顔が不安の色に染まっていった。
「私も探すわ。ちょっと待ってて」
 そう言ってルイズが自室に戻ると、
「あ、お帰りなさーい」
 あぽろが床の上に正座してルイズを待っていたのだった。
「アポロ、どこ行ってたのよー! 先生探してるわよっ!」
「ルイズちゃん、あのねあのね」
 凄まじい剣幕のルイズを笑顔でいなし、あぽろは両手を差し出す。
「はい(はぁと)」
 その上に乗っていたのはルイズのロザリオだった。
「勝手にルイズちゃんの物触ってごめんなさい」
「(すっごくボロボロ……。目の下くまできてるし……。夜中ずっと探してくれてたって事?)……ミスタ・コルベール怒ってたわよ」
「えっ、本当!? あわわ~、コルベール先生に謝ってくる」
「待って」
「み゙ ゃっ!」
 立ち上がって部屋を出ようとしたあぽろだったが、ルイズにツインテールの片方をつかまれたために奇声と共に尻餅をつかんばかりにのけぞった。
「ル、ルイズちゃん?」
「私も行くわ。共同責任だし」
「えっえっ、でも……」
「アポロ」
「はっ、はい」
「これからよろしくね」
「うん(はぁと)」
 部屋を出る2人の手はそっと握られていたのだった……。


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