「そ、そんな馬鹿な…何だあれは…」
この世界に来て、男はどれだけ走ったのだろうか。辺りは既に夜になっていた。
場所もトリステインからかなり離れ、今は空のよく見える草原にいる。
そして空を見上げ、男は我が目を疑った。
月…それだけなら自分のいた国でも見られる。しかしそれが2つも並んで輝いているとなると話は別だ。
自分のいた甲斐には月が2つもない。
いや、甲斐だけでなく最北端から最南端の九州まで行っても月が2つも見える場所などないだろう。
それはここが日本ではない事を、自分の知らない世界である事を裏付けるのに充分だった。
「で、ではここは…ここは何処なのだ…」
この世界に来て、男はどれだけ走ったのだろうか。辺りは既に夜になっていた。
場所もトリステインからかなり離れ、今は空のよく見える草原にいる。
そして空を見上げ、男は我が目を疑った。
月…それだけなら自分のいた国でも見られる。しかしそれが2つも並んで輝いているとなると話は別だ。
自分のいた甲斐には月が2つもない。
いや、甲斐だけでなく最北端から最南端の九州まで行っても月が2つも見える場所などないだろう。
それはここが日本ではない事を、自分の知らない世界である事を裏付けるのに充分だった。
「で、ではここは…ここは何処なのだ…」
「やっと追いついた!!」
呆然と立ち尽くしていると、背後から声が聞こえた。振り返ると息を切らした少女が立っている。
「…お主は…確かさっきの南蛮人…」
「ハァハァ…あんた…あんたねぇ…こっちは待てって何度も言ったのに!」
桃色の髪を揺らし、少女はこっちへ歩いてくる。この女子なら、この世界について知っているのでは…
「教えてくれ!ここは甲斐では…いや、日本ではないのだろう!?ここは何処なのだ!」
「カイ?ニホン?聞いた事ないわね。ここはハルケギニアのトリステインよ」
とりすていん?やはり自分は南蛮に来てしまったのだろうか。
「そして!あんたは私に召喚された使い魔なの!」
状況があまり理解出来ていない男に少女は指を指して言い放った。
「召喚…?お主が俺をこの世界に連れてきたのか?」
「そうよ、だからあんたは私の命令を…」
「ならばっ!ならば俺を元の世界へ戻してくれ!俺はお館様の策を成さねばならぬのだ!」
「痛!痛いちょっと……離しなさい!!」
男は知らぬ内に少女の肩を掴んでいるのに気づき、慌てて手を離す
「す、すまぬ…女子にこのような手荒な真似をしてしまうとは…だ、だがお主なら知っているのであろう?戻る方法を…」
呆然と立ち尽くしていると、背後から声が聞こえた。振り返ると息を切らした少女が立っている。
「…お主は…確かさっきの南蛮人…」
「ハァハァ…あんた…あんたねぇ…こっちは待てって何度も言ったのに!」
桃色の髪を揺らし、少女はこっちへ歩いてくる。この女子なら、この世界について知っているのでは…
「教えてくれ!ここは甲斐では…いや、日本ではないのだろう!?ここは何処なのだ!」
「カイ?ニホン?聞いた事ないわね。ここはハルケギニアのトリステインよ」
とりすていん?やはり自分は南蛮に来てしまったのだろうか。
「そして!あんたは私に召喚された使い魔なの!」
状況があまり理解出来ていない男に少女は指を指して言い放った。
「召喚…?お主が俺をこの世界に連れてきたのか?」
「そうよ、だからあんたは私の命令を…」
「ならばっ!ならば俺を元の世界へ戻してくれ!俺はお館様の策を成さねばならぬのだ!」
「痛!痛いちょっと……離しなさい!!」
男は知らぬ内に少女の肩を掴んでいるのに気づき、慌てて手を離す
「す、すまぬ…女子にこのような手荒な真似をしてしまうとは…だ、だがお主なら知っているのであろう?戻る方法を…」
「無理」
少女の言葉に、男は耳を疑う。
「な、何…だと?」
「何度も言わせない!無理って言ったのよ。一度召喚したらもうやり直す事は出来ないの!」
帰れない…
武田に仕え、必ず天下をお館様にと心に決めたのに…こんな世界で一生を?
「何度も言わせない!無理って言ったのよ。一度召喚したらもうやり直す事は出来ないの!」
帰れない…
武田に仕え、必ず天下をお館様にと心に決めたのに…こんな世界で一生を?
『お館様!この幸村、必ずやお館様と共に天下を!』
『うむ…!幸村よ、儂に付いて来れるか!?』
『ははっ!この幸村!どこまでも付き従う所存!』
『うむ…!幸村よ、儂に付いて来れるか!?』
『ははっ!この幸村!どこまでも付き従う所存!』
「う…う…うおおおおぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
男は突然持っていた2本の槍を叩きつけ、暴れだした。
「ちょっと、どうしたのよ!?」
「ぬあぁ!うおあぁ!このような場所で本懐を遂げずに果てるなどっ!!くそおぉー!!」
一通り暴れると、次に泣き出してしまった。
「うぅ…畜生…畜生ぅ…」
「あんた、泣きたいのはこっちなのよ…」
見た所この男は貴族に見えない。人間の…しかも平民を使い魔にするなんて…
帰ればキュルケ達のいい笑い者だろう。
だが一度呼び出したら使い魔が死ぬ事でもない限り、再び召喚の儀式を行う事は出来ない。
覚悟を決めてこの平民を使い魔にするしかないのだ。
男は突然持っていた2本の槍を叩きつけ、暴れだした。
「ちょっと、どうしたのよ!?」
「ぬあぁ!うおあぁ!このような場所で本懐を遂げずに果てるなどっ!!くそおぉー!!」
一通り暴れると、次に泣き出してしまった。
「うぅ…畜生…畜生ぅ…」
「あんた、泣きたいのはこっちなのよ…」
見た所この男は貴族に見えない。人間の…しかも平民を使い魔にするなんて…
帰ればキュルケ達のいい笑い者だろう。
だが一度呼び出したら使い魔が死ぬ事でもない限り、再び召喚の儀式を行う事は出来ない。
覚悟を決めてこの平民を使い魔にするしかないのだ。
「…我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
五つの力を司るペンタゴン この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
五つの力を司るペンタゴン この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
俯いていた男の顔が不意に持ち上げられる。
「な、何だ?何をする気だお主…」
「仕方ないから契約するのよ。い、いい?平民が貴族にこんな事されるなんて普通はないんだから!」
男の顔に少女の唇が近づいてくる。
待て、これはまさか…いや間違いない!この女子…!
「ままま待たれよ!お、俺はそのような破廉恥な事は…むぅ!?」
少女と…唇が重なった。
「な、何だ?何をする気だお主…」
「仕方ないから契約するのよ。い、いい?平民が貴族にこんな事されるなんて普通はないんだから!」
男の顔に少女の唇が近づいてくる。
待て、これはまさか…いや間違いない!この女子…!
「ままま待たれよ!お、俺はそのような破廉恥な事は…むぅ!?」
少女と…唇が重なった。
『あんた、恋はしているかい?』
『こ、恋だと!?破廉恥極まりないっ!!』
『何だまだなのかい?恋はいいよ!人を熱く…強くしてくれる』
『こ、恋だと!?破廉恥極まりないっ!!』
『何だまだなのかい?恋はいいよ!人を熱く…強くしてくれる』
以前出会った風来坊の言葉が思い出される。
(俺が接吻を…女子と接吻…せせせせせせっぷせっぷぷぷぷんせっぷ)
男の顔がどんどん赤くなっていく。そして
(俺が接吻を…女子と接吻…せせせせせせっぷせっぷぷぷぷんせっぷ)
男の顔がどんどん赤くなっていく。そして
「ブフウウウウウゥゥゥゥゥーーッッ!!!!!」
「きゃあぁぁっ!?」
まるで噴水のごとく、男は鼻血を噴き出し、そして倒れた。
「貴族に何て事するのあんた!起きなさい!起きなさいってば!」
倒れた男を引っ叩いて起こそうとするが、男は鼻血を流したまま意識を取り戻さない。
(冗談じゃないわよ…こんなの担いで帰れるわけないじゃない!)
「きゃあぁぁっ!?」
まるで噴水のごとく、男は鼻血を噴き出し、そして倒れた。
「貴族に何て事するのあんた!起きなさい!起きなさいってば!」
倒れた男を引っ叩いて起こそうとするが、男は鼻血を流したまま意識を取り戻さない。
(冗談じゃないわよ…こんなの担いで帰れるわけないじゃない!)
少女が途方にくれていると、地鳴りのような音が聞こえてくる。
振り返ると同時に、音の発信源が地響きを立てて着地した。
「ひっ…何よコレ…ゴーレム…?」
いや、よく見ると体は土ではなく、鎧を着込んでいる。
そして顔を殆ど覆った兜からは鋭い目がこっちを睨んでいた、少女は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう。
「…見つけた」
と、巨人の肩に見慣れた2人がいた。
「やっと見つけたわよルイズ!あなた達こんな所まで来てたの」
キュルケとタバサであった。夜になっても戻らない2人を探しに来たのである。
「…ちょ、ちょっとルイズ!あなた何それ!!」
ルイズの姿を見たキュルケは驚く、彼女は男が鼻血を噴いて倒れた際、その血を浴びていたのだ。
そのせいで彼女は血まみれ、そして男は鼻血で出来た血の海に倒れている…
「あ、あんたまさか…いくら使い魔が気にいらないからって殺し…」
「違うわよ!!いきなり鼻血噴いて倒れたの!」
「そ、そうだったの。じゃあ無事だって事ね…」
「……何よ、馬鹿にしないの?平民が使い魔なんて…お笑いでしょ?」
「へ?あ、えーと……い、いいんじゃない?珍しくて、あ、あはは…ははは…」
「キュルケ、変よ…」
振り返ると同時に、音の発信源が地響きを立てて着地した。
「ひっ…何よコレ…ゴーレム…?」
いや、よく見ると体は土ではなく、鎧を着込んでいる。
そして顔を殆ど覆った兜からは鋭い目がこっちを睨んでいた、少女は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう。
「…見つけた」
と、巨人の肩に見慣れた2人がいた。
「やっと見つけたわよルイズ!あなた達こんな所まで来てたの」
キュルケとタバサであった。夜になっても戻らない2人を探しに来たのである。
「…ちょ、ちょっとルイズ!あなた何それ!!」
ルイズの姿を見たキュルケは驚く、彼女は男が鼻血を噴いて倒れた際、その血を浴びていたのだ。
そのせいで彼女は血まみれ、そして男は鼻血で出来た血の海に倒れている…
「あ、あんたまさか…いくら使い魔が気にいらないからって殺し…」
「違うわよ!!いきなり鼻血噴いて倒れたの!」
「そ、そうだったの。じゃあ無事だって事ね…」
「……何よ、馬鹿にしないの?平民が使い魔なんて…お笑いでしょ?」
「へ?あ、えーと……い、いいんじゃない?珍しくて、あ、あはは…ははは…」
「キュルケ、変よ…」
「帰る、乗って」
倒れた男を巨人の背中に乗せ、ルイズもタバサ達と一緒に乗る。
「…飛んで…」
タバサが言うと、巨人が背負っている箱から噴射口が現れた。
そして青い火炎が噴射され、空を飛んで学園へと戻っていく。
倒れた男を巨人の背中に乗せ、ルイズもタバサ達と一緒に乗る。
「…飛んで…」
タバサが言うと、巨人が背負っている箱から噴射口が現れた。
そして青い火炎が噴射され、空を飛んで学園へと戻っていく。